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驢鳴犬吠1911
日日是労働セレクト166
日日是労働セレクト162
 以下に、「日日是労働」のダイジェスト版・第162弾を掲げます。直ぐ下の記事がこの「日日是労働セレク
ト162」の中では最も新しい日付のものです。つまり、読み進めるほど、古い記事になります。ただし、いち
いち明示しませんが、後日に行った加筆訂正を含んだ日があります。日誌ですから、少なくとも後日に加筆
することはご法度であるはずですが、「某月某日」ということもあり、記事内容の充実を優先させました。
ご了承ください。また、頑張って「辛口」の批評を展開しようと務めておりますので、本文に何かと読者の
お気に召さない表現等が散見されるやもしれませんが、特定の個人、団体等を誹謗中傷する目的は一切あり
ませんので、どうぞご理解ください。なお、ご感想は、muto@kochi-u.ac.jp までお寄せ下さい。

                                                   
 某月某日

 DVDで邦画の『日露戦争勝利の秘史 敵中横断三百里』(監督:森一生、大映東京、1957年)を観た。日露
戦争時における挺身斥候隊の活躍を描いた作品である。山中峯太郎の原作で、『少年倶楽部』(1930年)に
連載された由。小生としては、大ベストセラーである『敵中横断三百里』の名称は知っていたが、中身は初
めて知った。むろん、読んだことはない。
 物語を確認しておこう。例によって、<Movie Walker>のお世話になる。執筆者に感謝したい。なお、一部
改変したが、ご寛恕を乞う。なお、以下、「支那」という言葉を遣うが、歴史的な背景があるので、そのま
ま用いた。他意はないことを付言しておく。

   〔解説〕

  かつて雑誌『少年倶楽部』に連載された山中峯太郎の『敵中横断三百里』の映画化。『どん底』の
 コンビ、黒澤明と小国英雄が共同で脚本を書き『稲妻街道』の森一生が監督、『青空娘』の高橋通夫
 が撮影した。主演は『青空娘』の菅原謙二、『暖流(1957年)』の根上淳、船越英二、品川隆二、
 『花嫁立候補(1957年)』の川崎敬三。ほかに北原義郎、高松英郎、石井竜一、柳永二郎など。

   〔あらすじ〕

  明治三十八年(1905年)、旅順要塞がやっと落ちた後、広島大本営では一気に勝敗を決しようと、
 日夜御前会議が開かれていた。その決戦地として露軍が大兵力を集中している地点は鉄嶺か奉天か
 判然しなかった。それを探るため敵中深く挺身斥候隊を送りこむことが決定され、第二軍騎兵第九
 聯隊の建川中尉(菅原謙二)以下五名が使命を帯びて出発した。雪の満洲平野。しばらく進んだ頃、
 コサックの大軍に追われた。逃げる六騎の前に馬賊が現われた。しかし、それは日本の特務機関の
 馬賊だった。彼らと別れて一週間、斥候隊は露軍と行きあったり、敵の馬賊に追われたり、吹雪に
 苦しめられたりした末、やっと鉄嶺を見晴す山の上にたどりついた。彼らは露軍の外套をまとって
 市街に忍び入り、偵察した。露軍の大群が集結し、汽車に乗って奉天へ南下していた。決戦地は奉
 天。一刻も早く知らせねばならぬ。帰途についた彼らはまたも露軍の大軍に出会った。それはたく
 みな露語で切り抜けたが、休息のため中国人集落に入った時、日本兵であることを見破られ、追わ
 れた。コサック騎兵隊も追跡してきた。沼田一等兵(石井竜一)が落馬した。敵弾にのぞけるのが
 チラと見えた。包囲されたまま夜がきた。雪の中で睡魔に苦しんだ。五人は別々に包囲を突き破る
 ことにした。一人でも生還して報告せねばと、集合地点に集った時、豊吉軍曹(北原義郎)には馬
 がなかった。彼は敵弾に馬を射たれ、よろめき歩いてきたのだ。仕方なく彼を残して建川らが出発
 しようとした時、死んだ沼田の馬が現われた。それに乗った豊吉とともに、一行は本部をめざして
 駈けた。何度も露軍陣地を駈け抜け、苦難の末、日本の馬賊軍のもとへ着いた。それからはもう大
 丈夫。彼らは無事本部へ着き、報告を終え、重大な使命を果した。

 他に、高松英郎(大竹斥候隊員・上等兵)、浜口喜博(野田斥候隊員・同)、原田げん〔言遍に玄〕(神
田斥候隊員・同)、根上淳(橋口特務機関長・少佐)、品川隆二(村上守備隊長)、八木澤敏(光岡馬賊隊
長)、柳永二郎(大山総司令官)、中村伸郎(児玉総参謀長)、伊東光一(松川参謀)、高村栄一(土井参
謀)、伊澤一郎(田中参謀)、川崎敬三(騎兵中尉)、南部彰三(平佐聯隊長)、船越英二(聯隊副官)、
荒木忍(桂総理大臣)、伊達三郎(小村外務大臣)、見明凡太朗(長岡参謀本部次長)、小山内淳(伝令)、
米沢富士雄(郵便係の兵)、川島祥二(当直士官)、島照彦(七台子村の歩哨)、高見貫(守備兵A)、杉
森麟(同じくB)、広川雅英(同じくC)、黒須光彦(同じくD)、毛利敏夫(同じくE)、川井脩(同じ
くF)、飛田喜佐夫(同じくG)、中田勉(同じくH)、志保京助(同じくI)、伊藤直保(同じくJ)、
伊達正(大蛇子村の支那人の老爺)、小杉光史(大蛇子村のもう一人の支那人)、藤山浩一(馬賊呉)、黒
川清司(同じく李)、湊秀一(同じく朱)、谷謙一(唄う馬賊)、若松健(鉄嶺駅の機関手)、ジョー・オ
ハラ(支那軍の将校)、高田宗彦(露軍の将校)、大山健二(馬車屋の主人)、夏木章(電柱の下の支那人)、
此木透(支那家屋の支那人)、潮万太郎(陳)、杉田康(衛兵長)、宮島城之(寺田陸軍大臣)、南方伸夫
(山縣参謀総長)、遠藤哲平(伊集院軍令部次長)、永井柳太郎(支那人)などが出演している。
 上等兵の身分で閲兵式を支那軍にさせたことを喜ぶシーンがある。兵隊ならば、さもありなんか。また、
「捧げ、筒」ならぬ「捧げ、刀(とう)」というシーンがあった。これも初めて耳にした。さらに、「敵は、
ロシア兵のみならず、馬賊や雪に気をつけろ」や「地図は不完全なので、磁石と時計を頼りにしろ」という
言葉もあった。かくて、明治38年2月20日、日本軍は奉天に総攻撃をかけたのである。建川は中国語やロシア
語に堪能だが、この時代においても、エリート軍人だったのであろう。なお、大山総司令官とは、西郷隆盛
の従弟の大山巌のことであろう。写真を見ると、どことなく柳永二郎に似ていた。ベスト配役であろう。

                                                  
 某月某日

 DVDで邦画の『細雪』(監督:島耕二、大映東京、1959年)を観た。谷崎潤一郎原作の四姉妹の物語である。
以下に挙げるように、都合3回映画化されているが、最初の作品は未見である。

  『細雪』、監督:阿部豊、新東宝、1950年〔筆者、未見〕。
  『細雪』、監督:島耕二、大映東京、1959年。
  『細雪』、監督:市川崑、東宝、1983年〔「日日是労働セレクト14」、参照〕。

 配役等の詳細は、<ウィキペディア>を参照してほしい。小生としては、より時代が近い本作の方が、市川
作品よりもリアルに感じた。ちなみに、フラフープが登場するが、あの描写は時代を感じさせる。ただし、
ケイボンはともかくとして、妙子の恋人である板倉や三好の人物像には、あまりリアリティを感じなかった。
もちろん、ミスキャストという意味ではない。あくまで妙子の引き立て役だからであろう。実を言うと、小
生は原作を読了していない。何度か読みかけたが、長いので飽きてしまうのである。夏目漱石の『明暗』な
どは、30年ぐらいかけて読了しているので(作品そのものは未完、後に引き継いで完成させた人がいるはず
だが、それは未読)、この谷崎の代表作もいずれは読み切ってみたいと思う。これは蛇足であるが、原作は
昭和天皇に献上され、通常は小説を読まない天皇が、この作品は全部読了したと言われている(ウィキペデ
ィアより)。
 物語を確認しておこう。例によって、<Movie Walker>のお世話になる。執筆者に感謝したい。なお、一部
改変したが、ご寛恕いただきたい。

   〔解説〕

  大阪の旧家に生れた、美しい四人姉妹の運命を描いた、谷崎潤一郎の小説『細雪』を、『つづり方
 兄妹』(東宝)の八住利雄が脚本化したもの。『娘の冒険』のコンビ・島耕二と小原譲二が、監督と
 撮影を担当した。音楽は『嵐を呼ぶ友情』(日活)の大森盛太郎。四人姉妹を、『赤い波止場』(日
 活)の轟夕起子・『あなたと私の合言葉 さようなら、今日わ』の京マチ子・『人肌牡丹』の山本富
 士子・『男十九の渡り鳥』の叶順子が競演し、ほかに根上淳・川崎敬三らが出演。

   〔あらすじ〕

  蒔岡家は大阪の船場の旧家だった。鶴子(轟夕起子)・幸子(京マチ子)・雪子(山本富士子)・
 妙子(叶順子)の四女があった。鶴子の婿養子・銀行員の辰雄(信欣三)が家督を譲られたのち、父
 は死んだ。借金が残っていた。家はその穴埋めに他人の手に渡った。次女の幸子は婿養子に公認会計
 士の貞之助(山茶花究)を迎え、芦屋に分家している。三女の雪子はそろそろ婚期を逸しかけていて、
 本家と芦屋の姉の家を行ったり来たりして暮している。おとなしそうだが、芯は強い。心にきめた相
 手を事故で失った傷手がまだ癒えぬようだ。末娘の妙子は雪子と正反対の行動的な近代娘だ。二十歳
 の頃、船場の宝石商のぼんぼん・奥畑〔啓三郎=ケイボン〕(川崎敬三)と駈け落ちした。幸子の看
 視でアパートに住む。近頃、姉の目をかすめて奥畑と会っている。彼は店の品物を持ち出して、彼女
 に貢いでいる。鶴子が夫の転任で東京へ移ることになった。妙子が自作の人形展覧会を開き、奥畑が
 板倉(根上淳)というカメラマンを連れてきた。彼はアメリカで苦労して写真を勉強した男だ。雪子
 に、関西電車の社長の従弟・野村(船越英二)との縁談が起きた。見合いはしたが、雪子は断り、東
 京の兄の家へ去った。妙子は板倉の裸一貫から叩きあげた魅力にひかれていった。奥畑が嫉妬し、板
 倉愛用のカメラを叩きこわしたが、板倉は昔の主人にさからわなかった。妙子は板倉と結ばれて本家
 の預っている父の残した婚礼支度金を、洋裁店を開く資金にしたかった。しかし、一方では、奥畑を
 なだめ、指輪をせしめたりする。それを板倉から諭され、彼にすがって女の本当の幸せをつかもうと
 決意した。支度金について本家から返事は来なかった。上京した妙子は雪子に結婚の決意を打ち明け、
 励まされた。そこに、板倉危篤の報せがきた。即刻、妙子は帰阪した。病人は急性中耳炎から脱疽に
 なった。手術後の少康も束の間、板倉は死んだ。雪子は製薬会社の重役・橋寺(菅原謙二)とまた見
 合いした。先方が断ってきた。理由は妙子のことだ。板倉が死んでから生活が乱れ、柄のわるい所へ
 出入りしていたのだ。奥畑が勘当されると、妙子は彼を見限った。彼の婆や(浦辺粂子)がぼんぼん
 の貢物を取りかえしにきた。妙子にはバーテンの三好(北原義郎)という男がいた。彼の子を身籠っ
 た。妙子はその子を死産した。雪子が東京から来て、徹夜で看病した。雪子は妙子の寝顔を見ている
 うちに彼女のしたことを何でも赦せる気になった。妙子は誠実な三好と結婚し一緒に苦労して行くこ
 とを、姉たち全部(幸子はやや反対であったが)に祝福された。本家の鶴子までが東京の生活で、家
 柄も門地も財産も蒔岡家にないことを悟ったのだ。妙子は姉たちにひき会わせるため三好を呼びに駅
 へ向った。彼女を待つ幸子の居間の窓辺にささめ雪が降りかかった。

 他に、志摩多佳子(悦子=貞之助と幸子の娘)、三宅邦子(玉置洋裁学園の校長)、春本冨士夫(陣馬=
雪子の見合の肝煎り役)、村田知栄子(その婦人)、川上康子(光子=板倉の妹)、穂高のり子(チャイカ
のマダム)、藤田佳子(お春=幸子の家の女中)、滝花久子(おさく)、リンダ・ビーチ(メリー)、村田
扶実子(妙子の住んでいるアパートの女主人)、八潮悠子(看護婦)、竹里光子(丹生夫人)などが出演し
ている。
 やや駆け足の描き方ではあるが、雰囲気は出ていると思う。大嵐のシーンで特撮が嵌め込まれてあったが、
けっこう迫力があった。東京五輪(1964年)以前の物語であるから、小生の見立てのように「女の幸せ=結
婚」がほとんど疑われていない。ただし、内心はともかくとして、雪子の結婚に拘らない姿勢は、凛として
清々しかった。
 なお、妙子から見て、幸子は「なかあんちゃん」、雪子は「きあんちゃん」、そして、妙子自身は「こい
さん」と呼称されている。別称の「とうさん」や「いとさん(=いとはん)」は登場しなかった。ちなみに、
新潟では次男坊のことを「もしかあんにゃ」と呼ぶらしいが、仮に長男が亡くなったとき、当主になるかも
しれないからである。
 最後になるが、幸子役の京マチ子が、今年の5月12日に亡くなっている。享年95歳である。合掌。
                                                                                                   
 某月某日

 DVDで邦画の『光』(監督:大森立嗣、映画「光」製作委員会〔ファントム・フィルム=ハピネット=集英
社=アービング=テンカラット=吉田工業=ハーモニープロモーション=アーツプロダクション〕、2017年)
を観た。大森監督の作品は、以下に掲げるように、当該作を含めて5本観ている。いずれも不可解な印象を
抱いた作品で、彼の映画におけるメイン・テーマは「不条理」なのではないだろうか。

  『まほろ駅前多田便利軒』、監督:大森立嗣、「まほろ駅前多田便利軒」製作委員会〔フィルム
   メイカーズ=アスミック・エース エンタテインメント=ハピネット=日活=TSUTAYAグループ=
   Yahoo! JAPAN=ヨアケ=リトルモア〕、2011年。
  『さよなら渓谷』、監督:大森立嗣、「さよなら渓谷」製作委員会〔スターダストピクチャーズ=
   キングレコード=ファントム・フィルム〕、2013年。
  『ぼっちゃん』、監督:大森立嗣、アパッチ、2013年。
  『まほろ駅前狂騒曲』、監督:大森立嗣、「まほろ駅前狂騒曲」製作委員会〔ポニーキャニオン=東京
   テアトル=パパドゥ音楽出版=文藝春秋=オフィス作=Gyao!=ぴあ=ヨアケ=フィルムメイカーズ=
   リトルモア〕、2014年。
  『光』、監督:大森立嗣、映画「光」製作委員会〔ファントム・フィルム=ハピネット=集英社=
   アービング=テンカラット=吉田工業=ハーモニープロモーション=アーツプロダクション〕、
   2017年。

 さて、当該作品であるが、枕となる25年前の出来事の描き方が稚拙と言ってもよいような出来なので、そ
れが少し残念であった。登場人物のキャラももう少し錬った方がよかったのではないだろうか。ともあれ、
どうしてこんな暴力的な作品を作りたがるのだろうか、たぶん一部の人たちには受けるのだろうが、小生に
は退屈だった。
 物語を確認しておこう。例によって、<Movie Walker>のお世話になる。執筆者に感謝したい。なお、一部
改変したが、ご寛恕を乞う。

   〔解説〕

  本屋大賞を受賞した『舟を編む』などで知られる三浦しをんの同名作を、『まほろ駅前』シリーズ
 の大森立嗣監督が映画化した人間ドラマ。平穏な日常を過ごす男女の前に、25年前に離島で起きた悲
 惨な事件を知る男が現れ、運命を狂わせていくさまがつづられる。事件の加害者である中学生のその
 後を井浦新、彼を脅す幼なじみを瑛太が演じる。

   〔あらすじ〕

  東京の離島、美浜島。記録的な暑さが続くなか、中学生の信之は閉塞感を抱きながら日々を過ごし
 ている。だが、同級生の恋人・美花がいることで、毎日は彼女を中心に回っていた。一方、信之を慕
 う年下の輔〔たすく〕は、父親から激しい虐待を受けているが、誰もが見て見ぬふりをしていた。そ
 んなある夜、美花と待ち合わせをした場所で、信之は美花が男に犯されている姿を目撃。美花を救う
 ため、信之は男を殺してしまう。次の日、理不尽で容赦ない自然の圧倒的な力、津波が島に襲いかか
 り、全てが消滅。生き残ったのは、信之のほかには美花と輔とろくでもない大人たちだけだった……。
 それから25年。島を出てバラバラになった彼らのもとに過去の罪が迫ってくる。妻(橋本マナミ)と
 一人娘とともに暮らしている信之(井浦新)の前に輔(瑛太)が現れ、過去の事件の真相を仄めかす。
 封じ込めていた過去の真相が明らかになっていくなか、信之は、一切の過去を捨ててきらびやかな芸
 能界で貪欲に生き続ける美花〔=女優の篠浦未喜〕(長谷川京子)を守ろうとするのだが……。

 他に、南果歩(未喜のマネージャー)、平田満(輔の父親)などが出演している。ヴェテランの平田は、
さすがの演技を披露していた。あんな親父がいたら、小生も「消えてほしい」と思うだろう。

                                                  
 某月某日

 DVDで邦画の『団地』(監督:阪本順治、「団地」製作委員会〔キノフィルムズ〕、2016年)を観た。坂本
監督の作品ならば外れはないだろうと思ってTSUTAYAから借りたが、期待以上の作品だった。さらに、キノフ
ィルムズということで、けっこう凝った作りだろうと予想したが、案の定上質の「大人のファンタジー」に
仕上がっていた。先ずは、小生がすでに鑑賞している、キノフィルムズ(木下工務店/木下グループ)関連
の映画を以下に掲げてみよう。全部で58篇あった。相当な数である。特別面白い作品は少ないが、同時に外
れも少ない。つまり、商売上手と言ってよいだろう。

  『I am 日本人』、監督:月野木隆、「I am 日本人」製作委員会〔エム・シー・コーポレーション=
   インディーズ エンタテインメント=森田事務所〕、2006年。* 配給に関わったか?
  『築地魚河岸三代目』、監督:松原信吾、「築地魚河岸三代目」製作委員会〔松竹=三井物産=小学館=
   衛星劇場=木下工務店=小学館プロダクション=大広=コアプロジェクト=Yahoo! JAPAN〕、2008年。
  『少年メリケンサック』、監督:宮藤官九郎、「少年メリケンサック」製作委員会〔東映=テレビ東京=
   小学館=バップ=木下工務店=東映ビデオ=大人計画=吉本興業=ミュージック・オン・ティーヴィ=
   ViViA=ディーライツ=テレビ大坂=ヒラタオフィス〕、2009年。
  『鴨川ホルモー』、監督:本木克英、「鴨川ホルモー」フィルムパートナーズ、2009年。
  『ゼロの焦点』、監督:犬童一心、「ゼロの焦点」製作委員会〔電通=東宝=テレビ朝日=木下工務店=
   朝日新聞社=日販=Yahoo! Japan=TOKYO FM=朝日放送=メーテレ=IMJエンタテインメント=TSUTAYA
   グループ=FLaMme=九州朝日放送=北海道テレビ=北陸朝日放送=広島ホームテレビ=愛媛朝日
   テレビ〕、2009年。
  『カムイ外伝』、監督:崔洋一、「カムイ外伝」製作委員会〔松竹=トータル=小学館=衛星劇場=
   ホリプロ=木下工務店=小学館集英社プロダクション=Yahoo! JAPAN=オブトロム〕、2009年。
  『真夏のオリオン』、監督:篠原哲雄、「真夏のオリオン」パートナーズ〔テレビ朝日=東宝=博報堂
   DYメディアパートナーズ=バップ=小学館=木下工務店=デスティニー=日本出版販売=朝日放送=
   メーテレ=朝日新聞社〕、2009年。
  『さまよう刃』、監督:益子昌一、「さまよう刃」製作委員会〔東映=テレビ朝日=オニオン=東映
   ビデオ=エイベックス・エンタテインメント=木下工務店=読売新聞=角川書店=ViViA=メーテレ=
   北海道テレビ=広島ホームテレビ=九州朝日放送=愛媛朝日テレビ=テレビ朝日サービス〕、2009年。
  『のんちゃんのり弁』、監督:緒方明、「のんちゃんのり弁」製作委員会〔木下工務店=キング
   レコード=中部日本放送〕、2009年。
  『孤高のメス』、監督:成島出、「孤高のメス」製作委員会〔東映=テレビ朝日=木下工務店=
   アミューズソフトエンタテインメント=東映ビデオ=読売新聞=幻冬舎=博報堂DYメディア
   パートナーズ=朝日放送=メーテレ=東映チャンネル=北海道テレビ放送=九州朝日放送〕、
   2010年。
  『行きずりの街』、監督:阪本順治、「行きずりの街」製作委員会〔セントラル・アーツ=東映=木下
   工務店=東映ビデオ=カートプロモーション〕、2010年。
  『今度は愛妻家』、監督:行定勲、「今度は愛妻家」製作委員会〔東映=木下工務店=テレビ東京=
   アミューズソフトエンタテインメント=電通=東映ビデオ=パルコ=読売新聞=ウエスト=テレビ
   大阪〕、2010年。
  『おとうと』、監督:山田洋次、「おとうと」製作委員会〔松竹=住友商事=テレビ朝日=博報堂DY
   メディアパートナーズ=衛星劇場=デンナーシステムズ=日本出版販売=FM東京=Yahoo ! JAPAN=
   読売新聞=朝日放送=名古屋テレビ放送=木下工務店〕、2010年。
  『探偵はBARにいる』、監督:橋本一、「探偵はBARにいる」製作委員会〔東映=テレビ朝日=
   木下工務店=東映ビデオ=アミューズ=クリエイティブオフィスキュー=東映チャンネル=北海道
   新聞社=北海道テレビ=メーテレ=朝日放送=広島ホームテレビ=九州朝日放送〕、2011年。
  『小川の辺』、監督:篠原哲雄、「小川の辺」製作委員会〔バンダイビジュアル=東映=東映ビデオ=
   木下工務店=アサツー ディ・ケイ=シネスパーク=山形新聞社=山形放送=山形テレビ=テレビユー
   山形=さくらんぼテレビ=ケーブルテレビ山形=東北ケーブルテレビネットワーク=デスティニー〕、
   2011年。
  『ツレがうつになりまして。』、監督:佐々部清、「ツレがうつになりまして。」製作委員会〔東映=
   木下グループ=キングレコード=テレビ朝日=東映ビデオ=ギャンビット=朝日放送=IVSテレビ制作=
   シネブーム=幻冬舎〕、2011年。
  『セイジ -陸の魚-』、監督:伊勢谷友介、キノフィルムズ、2011年。
  『苦役列車』、監督:山下敦弘、「苦役列車」製作委員会〔東映=木下工務店=キングレコード=東映
   ビデオ=東映チャンネル=Yahoo! Japan=日本コロンビア=マッチポイント=ビターズ・エンド=
   東京スポーツ新聞社=ソニーPCL=niconico=CGCGスタジオ〕、2012年。
  『愛と誠』、監督:三池崇史、「愛と誠」製作委員会〔角川書店=ハピネット=東映=テレビ朝日=
   OLM=NTTドコモ=木下工務店=エクセレントフィルムズ=コンセプトフィルム=ホリプロ〕、2012年。
  『莫逆家族(バクギャクファミーリア)』、監督:熊切和嘉、「莫逆家族」製作委員会〔東映=吉本
   興業=木下工務店=ベストライフ=東映ビデオ=CAJ=小椋事務所=ユニバーサル ミュージック=
   ステアウェイ〕、2012年。
  『僕達急行 A列車で行こう』、監督:森田芳光、「僕達急行」製作委員会〔東映=木下工務店=バンダイ
   ビジュアル=東映ビデオ=フィールズ=WOWOW=アサツー デイ・ケイ=東映アニメーション=テレビ
   朝日=朝日放送=イノベーションデザイン=メーテレ=北海道放送=九州朝日放送=読売新聞社=
   長崎文化放送=熊本朝日放送=大分朝日放送=鹿児島放送〕、2012年。
  『北のカナリアたち』、監督:阪本順治、「北のカナリアたち」製作委員会〔東映=テレビ朝日=木下
   グループ=博報堂=博報堂DYメディアパートナーズ=加賀電子=朝日放送=セントラル・アーツ=
   メーテレ=イノベーションデザイン=TOKYO FM=アマゾン ジャパン=北海道テレビ=朝日新聞社=
   読売新聞社=幻冬舎=日本出版販売=東映ビデオ=北海道新聞社=九州朝日放送=東日本放送=
   新潟テレビ21=静岡朝日テレビ=広島ホームテレビ=愛媛朝日テレビ=瀬戸内海放送〕、2012年。
  『はやぶさ 遥かなる帰還』、監督:瀧本智行、「はやぶさ 遥かなる帰還」製作委員会〔東映=住友
   商事=木下グループ=東映アニメーション=東映ビデオ=ティー ワイ リミテッド=アスミック・
   エース エンタテインメント=朝日放送=メーテレ=朝日新聞社=TOKYO FM=WOWOW=北海道テレビ=
   九州朝日放送〕、2012年。
  『探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点』、監督:橋本一、「探偵はBARにいる2」製作委員会〔東映=
   テレビ朝日=木下工務店=東映ビデオ=アミューズ=クリエイティブオフィスキュー=東映チャンネル=
   北海道新聞社=北海道テレビ=メーテレ=朝日放送=広島ホームテレビ=九州朝日放送=早川書房〕、
   2013年。
  『草原の椅子』、監督:成島出、「草原の椅子」製作委員会〔東映=木下工務店=ティーワイ
   リミテッド=ホウショウ=東映ビデオ=テレビ朝日=プレジデント社=フィールズ=キングレコード=
   読売新聞社=VIZ Media=博報堂=博報堂DYメディアパートナーズ=東映チャンネル=北日本新聞社=
   エース・プロダクション〕、2013年。
  『ルームメイト』、監督:古澤健、「ルームメイト」製作委員会〔TOKYO MX=木下グループ=東映=
   ポニーキャニオン=東映ビデオ=ぴあ=讀賣新聞社=GyaO!=中央公論新社=WARNER MUSIC JAPAN=
   niconico〕、2013年。
  『利休にたずねよ』、監督:田中光敏、「利休にたずねよ」製作委員会〔東映=木下グループ=キング
   レコード=東映ビデオ=テレビ東京=東急エージェンシー=ギルド=テレビ大阪=クリエイターズ
   ユニオン=日本出版販売=PHP研究所=読売新聞社=東映チャンネル〕、2013年。
  『人類資金』、監督:阪本順治、「人類資金」製作委員会〔木下グループ=松竹=テレビ東京=講談社=
   ハピネット=ギークピクチュアズ=Cross Media International=GyaO!=КИНО〕、2013年。
  『二流小説家 シリアリスト』、監督:猪崎宣昭、「二流小説家」製作委員会〔東映=木下グループ=
   キングレコード=東映ビデオ=アサツー ディ・ケイ=ギルド=フィールズ=ドワンゴ=アップサイド=
   ゼロライトイヤーズ=ライクロ=ソニーPCL=早川書房〕、2013年。
  『イン・ザ・ヒーロー』、監督:武正晴、Team REAL HERO〔RESPECT=東映=木下グループ=讀賣テレビ
   放送=中央映画貿易=文響社〕、2014年。
  『真夜中の五分前』、監督:行定勲、“Five Minutes to Tomorrow” FILM PARTNERS〔アミューズ=
   東映=木下グループ=東映ビデオ=イノベーションデザイン=他〕、2014年。
  『喰女』、監督:三池崇史、「喰女 -クイメ-」製作委員会〔幸助=セディックインターナショナル=
   電通=東映=木下グループ=CELLULOID DREAM=オー・エル・エム=上海鵬錦影視文化〕、2014年。
  『偉大なる、しゅららぼん』、監督・水落豊、「偉大なる、しゅららぼん」製作委員会〔アスミック・
   エース=東映=キングレコード=木下グループ=ティー ワイ リミテッド=集英社=東映ビデオ=
   博報堂=KDDI=Gyao!〕、2014年。
  『醒めながら見る夢』、監督:辻仁成、「醒めながら見る夢」製作委員会〔木下グループ〕、2014年。
  『ソロモンの偽証/前篇・事件』、監督:成島出、「ソロモンの偽証」製作委員会〔松竹=木下
   グループ=博報堂DYメディアパートナーズ=朝日新聞社=GYAO!=KDDI〕、2015年。
  『ソロモンの偽証/後篇・裁判』、監督:成島出、「ソロモンの偽証」製作委員会〔松竹=木下
   グループ=博報堂DYメディアパートナーズ=朝日新聞社=GYAO!=KDDI〕、2015年。
  『日本のいちばん長い日』、監督:原田眞人、「日本のいちばん長い日」製作委員会〔松竹=
   アスミック・エース=テレビ朝日=木下グループ=WOWOW=巌本金属=読売新聞社=中日新聞社〕、
   2015年。
  『天空の蜂』、監督:堤幸彦、「天空の蜂」製作委員会〔松竹=木下グループ=講談社=ローソンHMV
   エンタテイメント=GYAO!〕、2015年。
  『母と暮らせば』、監督;山田洋次、『母と暮らせば』製作委員会〔松竹=テレビ朝日=博報堂DY
   メディアパートナーズ=ジェイ・ストーム=博報堂=日本出版=メーテレ=長崎新聞社=講談社=
   北海道テレビ放送=住友商事=木下グループ=松竹ブロードキャスティング=読売新聞社=朝日
   放送=GYAO=こまつ座=長崎文化放送=九州朝日放送〕、2015年。
  『おかあさんの木』、監督:磯村一路、「おかあさんの木」製作委員会〔東映=木下グループ=テレビ
   朝日=東映ビデオ=BS朝日=東映アニメーション=東海大学山形高校=朝日放送=メーテレ=
   クオラス=朝日新聞社=毎日新聞社=北海道テレビ=九州朝日放送=東映チャンネル=広島ホーム
   テレビ=KHB東日本放送〕、2015年。
  『悼む人』、監督:堤幸彦、「悼む人」製作委員会〔木下グループ=オフィスクレッシェンド〕、2015年。
  『深夜食堂』、監督:松岡錠司、映画「深夜食堂」製作委員会〔アミューズ=小学館=木下グループ=
   東映=ギークピクチュアズ=MBS=RKB〕、2015年。
  『家族はつらいよ』、監督:山田洋次、「家族はつらいよ」製作委員会〔松竹=住友商事=テレビ朝日=
   木下グループ=博報堂DYメディアパートナーズ=松竹ブロードキャスティング=読売新聞社=博報堂=
   朝日放送=日本出版販売=GYAO!=メ-テレ=講談社=九州朝日放送=北海道テレビ放送〕、2016年。
  『クリーピー 偽りの隣人』、監督:黒沢清、「クリーピー」製作委員会〔松竹=木下グループ=
   アスミック・エース=光文社=朝日新聞社=KDDI〕、2016年。
  『超高速!参勤交代 リターンズ』、監督:本木克英、「超高速!参勤交代 リターンズ」製作委員会
   〔松竹=木下グループ=テレビ東京=博報堂=ケイファクトリー=松竹ブロードキャスティング=
   講談社=キングレコード=BSジャパン=福島民報社〕、2016年。
  『日本で一番悪い奴ら』、監督:白石和彌、『日本で一番悪い奴ら』製作委員会〔日活=東映=木下
   グループ=カルチュア・エンタテインメント=ぴあ=GYAO=ポニーキャニオンエンタープライズ〕、
   2016年。
  『殿、利息でござる!』、監督:中村義洋、「殿、利息でござる!」製作委員会〔松竹=東日本放送=
   木下グループ=電通=テレビ朝日=朝日新聞社=朝日放送=メーテレ=九州朝日放送=北海道テレビ=
   河北新報社=ザフール=広島ホームテレビ=静岡朝日テレビ〕、2016年。
  『少女』、監督:三島有紀子、「少女」製作委員会〔東映=木下グループ=ポニーキャニオン=パルコ=
   ファインエンターテイメント=BS日テレ=双葉社=朝日新聞社=ユニバーサル ミュージック/Virgin
   Music=日本出版販売=アルマックスジャパン/ARMAX JAPAN〕、2016年。
  『続・深夜食堂』、監督:松岡錠司、『続・深夜食堂』製作委員会〔アミューズ=小学館=木下
   グループ=東映=MBS=ギークピクチュアズ=RKB=JR東日本企画=GYAO〕、2016年。
  『植物図鑑 運命の恋、ひろいました』、監督:三木康一郎、「植物図鑑」製作委員会〔松竹=
   ホリプロ=LDH=幻冬舎=木下グループ=ポニーキャニオン=ローソンHMVエンタテイメント〕、
   2016年。
  『団地』、監督:阪本順治、「団地」製作委員会〔キノフィルムズ〕、2016年。
  『家族はつらいよ2』、監督:山田洋次、『家族はつらいよ2』製作委員会〔松竹=住友商事=テレビ
   朝日=木下グループ=博報堂DYミュージック&ピクチャーズ=松竹ブロードキャスティング=読売
   新聞社=博報堂=朝日放送=BS朝日=メーテレ=講談社=九州朝日放送=北海道テレビ放送=その他〕、
   2017年。
  『探偵はBARにいる3』、監督:吉田照幸、「探偵はBARにいる3」製作委員会〔東映=テレビ朝日=
   木下グループ=東映ビデオ=アミューズ=クリエイティブオフィスキュー=東映チャンネル=北海道
   テレビ=メーテレ=朝日放送=北海道新聞社=イノベーションデザイン=広島ホームビデオ=九州朝
   日放送=早川書房〕、2017年。 
  『ちょっと今から仕事やめてくる』、監督:成島出、映画「ちょっと今から仕事やめてくる」製作委員会
   〔KADOKAWA=東宝=木下グループ=研音=シネバザール=パパドゥ音楽出版=朝日新聞社=GYAO=
   KDDI=WOWOW=アサツーデイ・ケイ〕、2017年。
  『武曲 MUKOKU』、監督:熊切和嘉、「武曲 MUKOKU」製作委員会〔TCエンタテインメント=TBSサービス=
   巖本金属=TBSラジオ=木下グループホールディングス=ひかりTV=ツインジャパン=ソニーPCL〕、
   2017年。
  『ピーチガール』、監督:神徳幸治、「ピーチガール」製作委員会〔松竹=講談社=木下グループ=
   ジェイ・ストーム=ファインエンターテイメント〕、2017年。
  『妻よ薔薇のように 家族はつらいよIII』、監督:山田洋次、「妻よ薔薇のように 家族はつらいよIII」
   製作委員会〔松竹=住友主事=テレビ朝日=木下グループ=松竹ブロードキャスティング=博報堂=
   博報堂DYメディアパートナーズ=朝日放送テレビ=BS朝日=読売新聞社=講談社=GYAO=日本出版
   販売=メーテレ=北海道テレビ放送=九州朝日放送〕、2018年。
  『孤狼の血』、監督:白石和彌、「孤狼の血」製作委員会〔東映=木下グループ=日活=山陽鋼業=
   電通=朝日新聞社=東映ビデオ=WOWOW=ダイバーシティメディア=報知新聞社=GYAO=トーハン=
   プルーク〕、2018年。

 ちなみに、製作「キノシタ映画」という作品があるが、木下工務店とは無関係のようである。小生は、以
下のように、2本観ている。

  『生きているうちが花なのよ 死んだらそれまでよ党宣言』、監督:森崎東、キノシタ映画、1985年。
  『つげ義春ワールド ゲンセンカン主人』、監督:石井輝男、キノシタ映画、1993年。

 さらに、阪本順治作品は、以下に挙げるように、18本観ている。

  『どついたるねん』、監督:阪本順治、荒戸源次郎事務所、1989年。
  『鉄〈TEKKEN〉拳』、監督:阪本順治、荒戸源次郎事務所、1990年。
  『王手』、監督:阪本順治、荒戸源次郎事務所=アポロン=毎日放送、1991年。
  『トカレフ』、監督:阪本順治、サントリー=バンダイビジュアル=荒戸源次郎事務所、1993年。
  『顔』、監督:阪本順治、松竹=衛星劇場=毎日放送=セディックインターナショナル=КИНО、
   1999年。
  『新・仁義なき戦い』、監督:阪本順治、東映京都、2000年。
  『ぼくんち』、監督:阪本順治、「ぼくんち」フィルムパートナーズ、2002年。
  『KT』、監督:阪本順治、「KT」製作委員会〔シネカノン=デジタルサイト コリア=毎日放送〕、
   2002年。
  『この世の外へ/クラブ進駐軍』、監督:阪本順治、松竹=衛星劇場=角川大映映画=朝日放送=
   エフ・シー・ビー・ワールドワイド=セディックインターナショナル=システム デ=КИНО、2003年。
  『亡国のイージス』、監督:阪本順治、日本ヘラルド映画=松竹=電通=バンダイビジュアル=ジェネオン
   エンタテインメント=IMAGICA=TOKYO FM=産経新聞社=デスティニー、2005年。
  『魂萌え!』、監督:阪本順治、シネカノン=ハピネット=朝日放送、2007年。
  『カメレオン』、監督:阪本順治、「カメレオン」製作委員会〔セントラル・アーツ=東映ビデオ=
   バップ=テレビ東京=EPICレコードジャパン=東映エージェンシー=アークエンタテインメント〕、
   2008年。
  『闇の子供たち』、監督:阪本順治、「闇の子供たち」製作委員会〔セディックインターナショナル=
   ジェネオン エンタテインメント=アミューズ〕、2008年。
  『行きずりの街』、監督:阪本順治、「行きずりの街」製作委員会〔セントラル・アーツ=東映=
   木下工務店=東映ビデオ=カートプロモーション〕、2010年。
  『大鹿村騒動記』、監督:阪本順治、「大鹿村騒動記」製作委員会〔セディックインターナショナル=
   パパドゥ=関西テレビ放送=講談社=TOKYO FM=KИHO〕、2011年。
  『北のカナリアたち』、監督:阪本順治、「北のカナリアたち」製作委員会〔東映=テレビ朝日=木下
   グループ=博報堂=博報堂DYメディアパートナーズ=加賀電子=朝日放送=セントラル・アーツ=
   メーテレ=イノベーションデザイン=TOKYO FM=アマゾン ジャパン=北海道テレビ=朝日新聞社=
   読売新聞社=幻冬舎=日本出版販売=東映ビデオ=北海道新聞社=九州朝日放送=東日本放送=新潟
   テレビ21=静岡朝日テレビ=広島ホームテレビ=愛媛朝日テレビ=瀬戸内海放送〕、2012年。
  『人類資金』、監督:阪本順治、「人類資金」製作委員会〔木下グループ=松竹=テレビ東京=講談社=
   ハピネット=ギークピクチュアズ=Cross Media International=GyaO!=КИНО〕、2013年。
  『団地』、監督:阪本順治、「団地」製作委員会〔キノフィルムズ〕、2016年。

 阪本監督と言えば、エンタメとしては一流の「ヴァイレンス映画」を撮る監督というイメージがあるが、
ときどき気が抜けたサイダーのような作品を撮る。たとえば、『ぼくんち』、『魂萌え!』、『大鹿村騒動
記』などがそれに該当する。当該作品も、その系列に属し、役者(藤山直美)との関係で言えば、『顔』も
少し近いか。さて、『団地』は、脱力系映画としては成功していると思うが、SFめいた場面に移ると、少し
テンションが落ちた。つまり、UFOを出しちゃ、少し興醒めである。もっとも、登場する役者が凄い。藤山
に加えて、岸部一徳、石橋蓮司、大楠道代と来ては、もう成功しない方がおかしい。助演の方々も、味があ
ってよろしい。とくに、大楠は小生の晩年の母親に少し似ており、母親に出逢ったような錯覚に陥らせてく
れる。とても嬉しかったことを特筆しておこう。
 物語を確認しておこう。例によって、<Movie Walker>のお世話になる。執筆者に感謝したい。なお、一部
改変したが、ご寛恕いただきたい。

   〔解説〕

  大阪のとある団地を舞台に、住民たちが繰り広げるおかしな騒動を描くコメディ。『顔』で数々の
 賞を受賞した阪本順治監督が同作でもコンビを組んだ藤山直美のためにオリジナルの脚本を執筆。さ
 まざま人生が交錯する団地で暮らすごく平凡な夫婦の普通じゃない日常を映し出す。夫の清治を岸部
 一徳が演じる。

   〔あらすじ〕

  山下ヒナ子(藤山直美)とその夫・清治(岸部一徳)は、とある事情で家業の漢方薬局を畳み、団
 地に引っ越してくる。そこには、自治会長の行徳正三(石橋蓮司)と妻の君子(大楠道代)、クレー
 マーで次期会長を狙う吉住将太(宅間孝行)に、暇を持て余した奥さま連中が暮らしていた。ある日、
 些細な出来事でヘソを曲げた清治が、「僕は死んだことにしてくれ」と床下に隠れてしまう。夫の姿
 が消えても淡々とパートに通い続けるヒナ子の言動に、隣人たちは妄想を膨らませる。さらに妙な立
 ち居振る舞いの青年・真城貴史(斎藤工)が山下家を訪ねて来て……。

 他に、小笠原弘晃(吉住喜太郎=将太の息子)、田井弘子(吉住百合子=同じく妻)、冨浦智嗣(宅配便
の男)、竹内都子(東)、濱田マリ(西)、原田麻由(南)、滝裕可里(北)、上ノ茗真(北の夫=マスコ
ミ関係の人)、三浦誠己(スーパーの主任)、麿赤兒(権藤=同じく客)、浜村淳(パーソナリティ〔ラジ
オの声〕)、堀内ひかる(真城の妻)、中山卓也(山下直哉=ヒナ子と清治の息子)、こばやしあきこ(佐
伯恭子=正三の浮気相手)、芳野史明(ヤクザ風の男)、川屋せっちん(警官)、笠松伴助(B棟の住民)、
山岡一(C棟の住民)、田谷野富次郎(ビデオ・カメラマン)などが出演している。
 ゲイコマなギャグ満載であることも付け加えておこう。言葉遊びではあるが、笑った。以下に、その一部
を記しておこう。

  〔真城貴史〕

  ごぶさたでした → ごぶがりでした
  効果覿面 → 効果きし麺
  脱水 → 泥酔
  捌いて下さい → しばいてください

  〔行徳君子〕

  ペースメイカー → ヘルスメーター

 その他、ガッチャマンやバルタン星人の名前が登場するのは、阪本監督(1958年生れ)だからか。漢方薬
を作っていくシーンも面白かった。上質の大人のメルヘンとして、「佳品」の称号を贈ろうと思う。

                                                 
 某月某日

 DVDで邦画の『体温』(監督、緒方貴臣、ALBATROS、2013年)を観た。題名に惹かれて借りてみたが、こん
な物語とは思わなかった。10年ほど前、要らなくなった「ラヴ・ドール」を別荘地の道路脇に廃棄した男性
がおり、一時「死体遺棄事件」として大騒ぎになったことがあったが、たしかにこの手のアイテムは始末に
困るものの代表と言えるかもしれない。当該映画にもこのアイテムが登場するが、コンセプトとしてはあま
り新鮮ではない。たとえば、以下のような映画ですでに扱われている。

  『いたずらロリータ 後からバージン』、監督:金子修介、にっかつ、1986年〔「日日是労働セレクト   
   31」、参照〕。
  『空気人形』、監督:是枝裕和、「空気人形」製作委員会〔エンジンフイルム=バンダイビジュアル=
   テレビマンユニオン=衛生劇場=アスミック・エース エンタテインメント〕、2009年〔「日日是労働
   セレクト68」、参照〕。

 人形のイブキを人間の桜木凛が演じているが、どう見ても人形には見えない。その点でも興醒めだった。
もっとも緒方監督は、問題作『子宮に沈める』(監督:緒方貴臣、paranoid kichen、2013年)〔「日日是労
働セレクト122」、参照〕の監督なので、女性のこころの痛みを繊細なタッチで描きたかったのだろう。
物語自体は単純なので、案外こころから共感する男女もそこそこいるのかもしれない。
 物語を確認しておこう。例によって、<Movie Walker>のお世話になる。執筆者に感謝したい。なお、一部
改変したが、ご海容いただきたい。

   〔解説〕

  人形を愛する男と自分を見失いかけた女の孤独と触れ合いを描くラブストーリー。「堀川中立売」
 の石崎チャベ太郎が世間から隔絶した自分だけの世界を生きる男を、セクシー女優として活動する他、
 恵比寿マスカッツの一員として歌手デビュー、テレビドラマ『嬢王 Virgin』に出演するなど多岐に渡
 って活躍する桜木凛が人形とキャバクラ嬢の二役に挑んでいる。監督・脚本は、自傷行為に肉薄した
 『終わらない青』で賛否両論を巻き起こした緒方貴臣。ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2011
 オフシアターコンペティション部門にノミネートされたほか、アメリカ・テキサスで開催されるファン
 タスティック映画祭2011に正式招待されるなど、国内外から注目を集める。

   〔あらすじ〕

  何も話さず身動きしないイブキ(桜木凛)と、外界をシャットアウトするかのように暮らす倫太郎
 (石崎チャベ太郎)は、ある日、イブキと瓜二つのキャバクラ嬢・倫子(桜木凛/二役)と出会う。
 倫子は、本名である倫子とキャバクラ嬢としての源氏名・アスカとの間でうまくバランスが取れず、
 自分を見失いかけていた。互いに孤独を抱える二人は少しずつ距離を縮めていく。しかし自分が思う
 ように自分だけを見つめてくれない倫子にどうしようもなさを感じる倫太郎。倫太郎はイブキにドレ
 スアップさせ化粧を施し、「倫子」と呼びかける。イブキは生身の人間から型を取った人形だった……。

 他に、山岡直人(アスカの彼氏)、高尾慎也(バーテンダー)、河原啓太(キャバクラのキャッチ)、星
由紀子(下着屋店員)などが出演している。

                                                
 某月某日

 DVDで邦画の『ノルウェイの森』(監督:トラン・アン・ユン〔Tran Anh Hung〕、「ノルウェイの森」パ
ートナーズ〔アスミック・エース エンタテインメント=フジテレビジョン=講談社=産経新聞社=WOWOW=
電通=住友商事〕、2010年)を観た。原作者の村上春樹は1949年生れであるから、小生(1954年生れ)と大
して変わらない世代である。したがって、『風の歌を聴け』(1979年)や『1973年のピンボール』(1980年)
からの付き合いであるが、同じ苗字の村上龍(1952年生れ)と比べると、どうもピンと来ない作家である。
面白くないこともないのだが、たぶん肌に合わないのである。ちなみに、『風の歌を聴け』は映画化されて
おり、小生も鑑賞している。題名も同じ『風の歌を聴け』(監督:大森一樹、シネマハウト=ATG、1981年)
〔「日日是労働セレクト30」、参照〕である。大森監督には悪いが、観たことを除いて、ほとんど何も覚
えていない。ただし、感想文では「70年代の雰囲気を残している作品で、予想以上に面白かった」とあり、
同世代としての共感が少しはあったのだろう。
 ところで、小生も文学に目覚めた頃、小説を書こうかなどと思ったこともあるが、村上龍の第三作である
『コインロッカー・ベイビーズ』(1980年)を読んで、その野望は粉々に打ち砕かれたことを記憶している。
その読後感は圧倒的だった。それに比べると、村上春樹の作品は微温的で、刺激に乏しく、かなり読んでい
る村上龍と対照的に、あまり手を出していない。ただし、嫌いというわけではない。自分とは違うエリアに
住んでいる人という感じである。当該作品も、現代人(もっとも1960年代から1970年代にかけて)の曖昧模
糊とした生態を描いているのだが、現実の世界がモザイクなのだから、せめてフィクションではくっきりと
した輪郭を示してほしいと思うからであろう。主人公と関わる何人かの女性も、ほとんど例外なく「面倒く
さそうな」女性ばかりで、「よくもまぁ、このようなお嬢様方と嫌がりもせずにお付き合いできるものだ」
と思ってしまう。村上春樹の人気の秘密は、このような重い空気を丹念に、しかも誤魔化さずに、じっくり
と書き込むことにあるのだと思う。だから、共感を呼ぶのだろう。しかしながら、小生のような人間とは合
わない。たぶん、それだけのことである。
 さて、この大ベストセラーを映画化すること自体、かなり冒険的な試みであろうが、原作を読んでいる人
には物足りず、読んでいない人には分り難い作品ではないだろうか。ただし、映像は素晴らしく、ロケーシ
ョンも抜群であった。もっとも、いわゆる「ラヴ・シーン」は何だこれで、原作を活かしてリアルに描く気
がないのならば、なくてもよかったのではなかろうか。
 物語を確認しておこう。例によって、<Movie Walker>のお世話になる。執筆者に感謝したい。なお、一部
改変したが、ご寛恕を乞う。

   〔解説〕

  87年に刊行された村上春樹の世界的ベストセラー小説を、20年以上の年月を経て実写映画化したラ
 ブストーリー。松山ケンイチ扮する大学生ワタナベが2人の女性のはざまで心を揺らすさまを、『青
 いパパイヤの香り』の名匠トラン・アン・ユンが、原作の持つ切ない世界観そのままに、みずみずし
 く映し出す。

   〔あらすじ〕

  高校時代に親友のキズキ(高良健吾)を自殺で喪ったワタナベ(松山ケンイチ)は、知っている人
 間が誰もいないところで新しい生活を始めるために東京の大学に行く。そこでワタナベは読み漁って
 いた本の余白と同じような空っぽな日々を送っていたが、ある日、偶然キズキの恋人だった直子(菊
 地凛子)と再会する。キズキはワタナベにとって唯一の友人だったので、高校時代にはワタナベと直
 子も一緒によく遊んでいたのだった。それからワタナベと直子はお互いに大切なものを喪った者同士
 付き合いを深めていき、ワタナベは透き通った目を持つ直子に魅かれていく。そして直子の二十歳の
 誕生日、二人は夜を共にする。だが、ワタナベの想いが深まれば深まるほど、直子の方の喪失感はよ
 り深く大きなものになっていき、結局、直子は京都の療養所に入院することになる。そんな折、ワタ
 ナベは大学で、春を迎えて世界に飛び出したばかりの小動物のように瑞々しい女の子・緑(水原希子)
 と出会う。直子とは会いたくても会えないワタナベは、直子とは対照的な緑と会うようになり、ある
 とき緑の自宅での食事に招かれて唇を重ねる。それはやさしく穏やかで、何処へいくあてもない口づ
 けだった。機を同じくして、直子から手紙が届き、ワタナベは直子に会いにいけることになる。そこ
 でワタナベは直子の部屋の同居人・レイコ(霧島れいか)のギターによるビートルズの「ノルウェイ
 の森」を聴く。それは、直子が大好きな曲であった。「この曲を聴くと深い森の中で迷っているよう
 な気分になるの。どうしてだかわからないけど。一人ぼっちで、寒くて、暗くて、誰も助けに来てく
 れなくて……。でも、本当にいちばん好きな曲なのよ」……「ノルウェイの森」を聴くといつも泣い
 てしまう直子は、ワタナベがいれば大丈夫と言っていたのだが、それでも結局直子は泣いてしまうの
 だった……。

 他に、玉山鉄二(永沢=ワタナベと同じ寮にいる秀才)、初音映莉子(ハツミ=永沢の恋人)、柄本時生
(「突撃隊」という綽名の寮生)、糸井重里(ギリシア悲劇を講じる大学教授)、細野晴臣(ワタナベのバ
イト先のレコード店の店長)、飯田孝男(緑の父親)、高橋幸宏(阿美寮〔直子やレイコのいる療養所〕の
門番)、平沢いずみ(緑の友人)、山中真理子(緑の姉〔声〕)YUSUKE(高校のクラスメイト)、伊藤祐輝
(セクト学生)、田村健太郎(同)、杉澤純(同)、吉野耕平(同)、大熊佐和子(女学生)、増田遥(同)、
東山結衣(同)、原慎一(学生寮の寮生)、大重わたる(同)、三宅知明(同)、小堀正博(同)などが出
演している。

                                                 
 某月某日

 DVDで邦画の『永すぎた春』(監督:田中重雄、大映、1957年)を観た。「日日是労働セレクト157」で
告知したように、今年(2019年)の映画鑑賞の中心ジャンルは「文芸映画」である。なかなかそれに該当す
る作品を観る機会がなかったが、当該映画は軽いタッチの作品とはいえ、文学作品を原作としている。言わ
ずと知れた三島由紀夫の原作を読んだのは、かれこれ50年近く前なので、ほとんど覚えていない。実際に鑑
賞してみて、こんな筋書だったのかと思った。原作とどれくらい違うかを検証するには、読み返してみれば
いいのだが、そんな時間的余裕もないし、その気もない。三島文学の中では、『潮騒』などと並んで「青春
文学」に属する作品であるが、当時としては、都会的でかつ煽情的な印象を与えたのであろう。もっとも、
現代人からすれば、古臭さも半端ではなく、今どき結婚前の純潔を尊ぶ風潮が残っているとも思えない。つ
まり、アナクロ二スティックな印象しか与えないのである。小生は、1964年(昭和39年)に開催された東京
オリンピック辺りを境にして、戦前の儒教的道徳観が徐々に後退し、戦後の民主主義的道徳観に取って代わ
られていったと考えているが、この作品は1957年製作なので、まだまだ儒教道徳が根強く日本人のこころの
底に根付いていると看て取っていいと思う。なお、結婚前の純潔をテーマにする作品としては、同じ主人公
同士の『愛河』(監督:田中重雄、大映東京、1958年)〔「日日是労働セレクト160」、参照〕がある。
 物語を確認しておこう。例によって、<Movie Walker>のお世話になる。執筆者に感謝したい。なお、一部
改変したが、ご海容いただきたい。

   〔解説〕

  『婦人娯楽部』連載の三島由紀夫の同名小説の映画化。結婚前の若き男女の恋愛とモラルを描く。
 『朝の口笛』の白坂依志夫が脚色、『駅馬車襲わる』の田中重雄が監督した。撮影は『朝の口笛』の
 渡辺公夫。主演は『満員電車』の川口浩、船越英二、『朱雀門』の若尾文子、『湖水物語』の八潮悠
 子、北原義郎。他に、川崎敬三、角梨枝子、見明凡太朗、沢村貞子など。色彩は大映カラー。

   〔あらすじ〕

  宝部郁雄(川口浩)と木田百子(若尾文子)は婚約した。父親の之一(見明凡太朗)がガス会社の
 重役をしている郁雄の家と古本屋の百子の家の格式の違いを郁雄の両親は最初問題にしていたが、大
 学を卒業してから結婚するという条件で郁雄は説き伏せた。二人は清い関係で、結婚まではそれで満
 足だった。しかし、二人の間柄が公認されすぎると、何か物足りなさを感じ出したのも事実である。
 そうした時、第一の危機が来た。試験が終ったある日、郁雄は友人の画家高倉竜二(川崎敬三)の個
 展で商業デザイナーの本城つた子(角梨枝子)と知り合った。初めのうちは郁雄も問題にしなかった
 が、やがて抑圧されている自分の性を、結婚までの間彼女によって満たそうと考えはじめた。ある夜、
 郁雄はつた子のアパートを訪れた。しかしそこに親友の宮内一平(北原義郎)が百子を連れて来た。
 宮内は郁雄にこの二者択一を迫る。むろん郁雄は百子を選んだ。百子は郁雄を赦しはしたが、自分を
 求めてくれなかったことが淋しかった。そして郁雄にいつでも許すと告げるが、郁雄はやはり恐しか
 った。百子の兄東一郎(船越英二)が盲腸で入院し、附添看護婦の浅香千鶴子(八潮悠子)と親しく
 なった。千鶴子の母あき(村田知英子)は貧困からすっかりひねくれてしまった女だった。ブルジョ
 ア階級への嫉妬から、百子に野望を抱いていた高倉に彼女を取り持って、百子を堕落させようと計っ
 たが、百子の機転で事なきを得た。その後、そのことが原因で東一郎と千鶴子の間は終りをつげる羽
 目になった。しかしこれは同時に、郁雄と百子をしっかり結びつけた。二人はもはや卒業までの半年
 を待たなかった。その結婚式の半ば、試験場に駈けつける郁雄と、ウエディング・ドレスのまま彼を
 送って行く百子の姿があった。

 他に、花布辰男(木田敬三=百子の父)、滝花久子(木田むつ=同じく母)、沢村貞子(之一の妻、郁雄
の母)、入江洋佑(木田一哉=百子の従兄)、伊藤直保〔三角八朗〕(春吉=木田夫婦が営む古本屋「雪重
堂」の使用人)、如月敏子(きくえ)、村田扶実子(おはま)、守田学(古本市の中座)、伊達正(出っ歯
の男)、早川雄二〔雄三〕(九州弁の学生)、岡村文子(山崎夫人)、耕田久鯉子(横山夫人)、志賀暁子
(藤田夫人)、香住佐代子(今井夫人)、楠よし子(辻夫人)、目黒幸子(森川夫人)、新宮信子(川田夫
人)、久保田紀子(眼鏡をかけた女の子=高倉の個展の受付嬢)、樋口登志子(多美子)、小田桐桂子(女
学生)、鍵山寿子(花作の女中)、丸山明宏〔三輪明宏〕(シャンソン歌手)、東郷たまみ(歌手)などが
出演している。
 木田家で飼われている犬のマイクはスピッツである。小生は噛まれたことがあるのでよく覚えているが、
昭和30年代に流行した犬種である。鳴き声がうるさいので廃れた。また、古本の競り市の場面があるが、
<BOOK・OFF>が席捲している現代とは隔世の感がある。なお、タクシーの初乗り料金は80円だった。

                                                 
 某月某日

 DVDで邦画の『沖縄健児隊』(監督:岩間鶴夫、松竹、1953年)を観た。アジア・太平洋戦争時の沖縄戦を  
描いた映画はいくつかあるが、少年部隊に焦点を合わせた作品の鑑賞は初めてである。以下に、小生が鑑賞
済みの「沖縄戦」を舞台にした邦画を挙げてみよう。都合4篇ある。

  『ひめゆりの塔』、監督:今井正、東映東京、1953年。
  『沖縄健児隊』、監督:岩間鶴夫、松竹、1953年。
  『あゝひめゆりの塔』、監督:舛田利雄、日活、1968年。
  『激動の昭和史 沖縄決戦』、監督:岡本喜八、東宝、1971年。

 その他、参考映画としては、以下の作品が挙げられる。これも4篇掲げよう。

  『戦艦大和』、監督:阿部豊、新東宝、1953年。
  『日本女侠伝 激斗ひめゆり岬』、監督:小沢茂弘、東映京都、1971年。
  『沖縄やくざ戦争』、監督:中島貞夫、東映京都、1976年。
  『男たちの大和/YAMATO』、監督:佐藤純彌、「男たちの大和/YAMATO」製作委員会(東映=角川春樹
   事務所=テレビ朝日=他)、2005年。

 いずれも印象に残っており、その他、『男はつらいよ』シリーズにも「沖縄もの」がある。さて、当該映
画であるが、松竹が作った映画とは思えないほど死屍累々たる場面の連続である。ただし、親子の情や師弟
愛、あるいは友情や淡い恋心なども描き込んでおり、さらに「天皇陛下」絶対だった時代の息吹も強く感じ
られ、その意味では貴重な映画だと思う。小生の印象では、1980年代以降の「アジア・太平洋戦争」ものは、
演出方も役者方も、リアリティを出そうと苦慮しているよりも、そもそも当時の戦争の雰囲気を体得してい
ないので、見かけだけ真似ているようにしか見えない。もちろん、戦争を知らないという点では小生も同じ
だから、非難しているわけではない。何ともならないのである。顔つきなども当時の少年兵らしく、その点
でももはや失われた世代と言えよう。
 物語を確認しておこう。例によって、<Movie Walker>のお世話になる。執筆者に感謝したい。なお、一部
改変したが、ご寛恕を乞う。

   〔解説〕

  元沖縄師範学校生太田昌秀、外間守善の記録をもとに、『暴力市街』の沢村勉が脚色し、『美貌と
 罪』の岩間鶴夫が監督した。『岸壁』の生方敏夫、『青春銭形平次』の黛敏郎が撮影、音楽を担当し
 ている。『まごころ』の石浜朗、『日本の悲劇』の田浦正巳、柳永二郎、『きんぴら先生とお嬢さん』
 の小園蓉子、東谷暎子、『あばれ獅子』の紙京子、『純潔革命』の大木実、他に俳優座の永田靖、小
 沢栄、本郷淳、創作座の前田正二、大塚憲、劇団若草の荻田洋巳、これに当時の沖縄軍参謀令嬢木村
 倭子が特別出演する。

   〔あらすじ〕

  太平洋戦争の末期、昭和二十年になると沖縄に戦雲は迫り、沖縄師範の生徒たちはペンをツルハシ
 に代えて軍司令部の洞窟陣地(=留魂壕)構築に協力していた。新垣良弘(石浜朗)は母親が九州へ
 疎開することになったので、三浦政美先生(大木実)は彼に母と一緒に行けと勧めたが、同級の金城
 幸作(南郷佑児)等に卑怯者と罵られ、母だけをやって自分は踏み止った。出張先の東京から危険を
 冒して帰島した津田良雄校長(永田靖)は、予科の生徒まで司令官直属隊として徴集されることに反
 対したが許されず、生徒と運命をともにする決心をした。三月二十五日、米軍は慶良間列島に上陸、
 この危急に備えて師範学校職員生徒は全員、鉄血勤王隊(=鐡血勤皇師範隊)として徴集され金城、
 山里等は斬込隊を編成し、新垣、上江洲勇(田浦正巳)等二十二名は情報宣伝隊員として千早隊を編
 成した。四月一日、ついに米軍は上陸、日本軍は次第に南におされ、天長節の大反撃も噂だけに終っ
 た。六月末、牛島司令官(柳永二郎)は生徒たちにそれとなく降伏を勧めて自決した。新垣の同級生
 である伊豆味守昭(本郷淳)も上江洲も比嘉昌一(前田正二)も識名良雄(大塚憲)も戦死した。そ
 して新垣は日本降伏も知らず洞窟に立てこもっていたが、三浦先生に探し出されて収容所へ向う。そ
 れまで同行した兵らはそれに応ぜず自決した。

 他に、水原真知子(三浦妙子=政美の妻)、紙京子(真玉橋アヤ)、草刈洋四郎(佐久本晃)、荻田洋巳
(喜屋武信男=予科の生徒)、小園蓉子(糸洲千草)、磯野秋雄(江口中尉)、沼尾均(松永大尉)、小沢
栄〔栄太郎〕(吉村軍曹)、東谷映子、木村倭子、夏川静江、三島耕、小林十九二などが出演している。
 アイテムとしては、米軍の「伝単」(戦時において敵国の民間人、兵士の戦意喪失を目的として配布する
宣伝謀略用の印刷物=ビラ)〔ウィキペディアより〕、同じく米軍の放棄したパイ缶(パイナップルの缶詰)
や蓄音機、恩賜の煙草などが印象に残った。物質的にも、日本は米国の敵ではなかったことを暗示している。
 対戦車特攻作戦として、「刺突爆雷」を背負って敵戦車に特攻隊員が対峙する映像があるが、『黒い雨』
(監督:今村昌平、今村プロ=林原グループ、1989年)を連想した。戦後、生き残ったその元特攻隊員が、
ジープのエンジン音に怯えるシーンがあったと思う。塹壕の中で生き残った兵隊(イギリス兵だったか)が、
戦争が終わった後もその恐怖が脳裏を去らず、ずっと打ち震えている映像を観たことがある。戦争の悲惨は
戦時中だけにあるのではない。戦争が終わって何十年経っても、体験者はその傷を癒し切れないのである。
ここで、ありきたりではあるが、エラスムスの名言のひとつである≪Dulce Bellum Inexpertis.≫「戦争は
体験しない者にこそ快し」を挙げておこう。想像力を欠いた「戦争論」は、しばしば勇壮さしか伝えないの
である。

                                                  
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