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驢鳴犬吠1805
 月が替わりましたので、「日日是労働スペシャル」の続篇をお届けします。「日日是労働スペシャル
LXXXI(東日本大震災をめぐって)」が正式名称ですが、通称を用いることにしましたので、「驢鳴犬
吠1805」となります。そういうわけで通称を用いますが、内容に変わりはありません。主として、
今回の大災害(原発の過酷事故を含む)に関係する記事を掲げますが、特定の個人や団体を誹謗中傷す
る目的は一切ありません。どうぞ、ご理解ください。人によっては、多少ともショッキングな記事があ
るかもしれませんので、その点もご了承ください。なお、読み進めるほど記事が古くなります。日誌風
に記述しますが、後日訂正を載せるかもしれません。あらかじめ、ご了解をいただきたいと存じます。
 また、ご質問、ご意見等のおありの方は、muto@kochi-u.ac.jp 宛にメールをいただければ幸甚です。

                                              
 2018年5月21日(月)

 一昨日、昨日と、用事があったので、大学には来ませんでした。今日から仕事の再開です。とりあえず、
40分後に、1限目の「(共)大学基礎論」にオブザーバー参加します。

                                                 
 2018年5月18日(金)

 今日は2コマ・デー。45分後に最初の「(共)福島原発事故を考える」を開講します。午後のコマは16時半
からの「倫理思想史」ですが、その前にやるべき雑務が山積しています。少しだけ、頭が痛いです。
 以下は、本日の「日日是労働1805」に掲載したブログです。こちらのブログにも転載しておきます。


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 一昨日、講義の中で、「良心の呵責」という言葉を遣った。あるいは、「良心の呵責に苛まれる」という
表現を用いたのかもしれない。そこで、学生に質問してみた。「この良心を英語にするとどんな単語に当る
のか」というものである。最初に当てた学生は、《parents》と発音したようである。聞き取りにくかった
ので、何度も言ってもらって、やっとその学生が「両親」と勘違いしていることに気づいた。もちろん、小
生のほしかった答えは《conscience》である。語源的には、ラテン語の《con-》(共通する)+《scientia》
(知識)に由来する言葉で、「良心」=「人々の間で共通する知識」という等式を学生に見出させたかった
のである。思惑は見事に外れ、学生の一部はこの一連の「悲喜劇」を直ちに理解したと思うが、多くの参加
学生は、何が問題になっているのかさえ分からないような顔を浮かべていた。少々がっかりしたが、どうに
も仕方がない。
 また、ある講義で、「第二次世界大戦後、民族が分断した国にはどんな国があるか」と質問したところ、
辛うじて大韓民国と朝鮮民主主義人民共和国の分断に気づいた学生はいたのだが、ベトナム、ドイツ、大陸
中国と台湾などについては、こちらが答えを用意しても、何のことか分からないといった顔をされた。まさ
に、隔世の感とはこのことである。ベルリンの壁が崩壊したとき(1989年)、世界史の一端に触れていると
いった感慨があったが、30年も経てば風化してしまうようだ。ともあれ、小生と歴史を共有していない学生
に、どうしたらその内実を伝えることができるのか……これは教師としていつも悩ませられる課題である。

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 日常生活において、意気阻喪させられる事柄が多いのですが、以上は最近の出来事に対する愚痴です。
 現在、22時10分。そろそろ店仕舞いにします。

                                                 
 2018年5月17日(木)

 今日は3コマ・デー。20分後に、「グローバル社会と地域」が開講されます。小生はサポーター参加ですが、
学部の目玉科目なので、少し緊張しています。
 現在、19時45分。今日できる業務は済ませましたので、溜まっている雑用は明日以降に回そうと思います。
それらに着手する気力が湧いてこないからですが、そんな日もあります。仕方がないですね。

                                                
 2018年5月16日(水)

 本日、授業は1限しかありませんが、会議が2件あります。その他、雑用も数件あるので、気が抜けない
です。現在、7時50分。ちょうど1時間後に、「(共)課題探究実践セミナー」を開講します。
 現在、13時50分。授業と会議1件は終了していますので、あとは16時から始まる会議を残すのみとなりま
した。さて、その会議の準備をしようと思います。
 現在、20時45分。ほぼノルマは片づいています。

                                                  
 2018年5月15日(火)

 午前中の看護学校出向から帰任しました。5限までだいぶ時間がありますので、最後のノート作りに励み
ます。さっそく、『ルポ 貧困女子』(飯島裕子 著、岩波新書、2016年)の抜書とコメントに着手しましょ
う。本日は、「終章 一筋の光を求めて」に言及します。


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  終章 一筋の光を求めて

  「プア充」に潜む罠

p.204 ・『日経ウーマン』の特集が、「出世するための仕事術」や「仕事で使える英語」(90年代)から、
     「節約法」や「お金の貯め方」(最近)といったものに変化している。

p.205 ・恋人がいる、友人や仲間に恵まれているなど、実際の生活が充実していることを表現する言葉とし
     て、「リア充」が登場した。
      → 筆者がはじめてこの言葉に出遭ったのは、居酒屋だった。その店の壁に「リア充お断り」と
       いう貼紙がしてあった。そこで、店の人に「リア充って何ですか」と訊ねて、知ったのである。
   ・この「リア充」という言葉が、貧困の実態を隠してしまうことがある。
   ・「プア充」女子の登場。

    参考文献:鈴木大介 著、『最貧困女子』、幻冬舎新書、2014年。

p.205-206 ・引用:「鈴木は取材を通して、地方都市に住み、年収一〇〇万円程度の低所得だが、地元の仲
           間が大勢いるプア充女子に会い、「彼女たちは“最貧困女子”だろうか?」という疑
           問がわき上がってきたという」。

p.206 ・プア充女子のあれこれ。野菜の皮を干してキンピラをつくる/100円ショップの商品を使って小物
     を作る/節約も兼ねてベランダで野菜作り/ディズニーランドだけは行きたいので、卵かけご飯だ
     けで生活する……である。

p.207 ・前向きに生きることは大切だが、貧困の実態を不可視化させる「プア充」の語りに惑わされてはい
     けない。

  貧困とは何か?

   ・「実家暮らしのパラサイト女性は貧困ではない」は本当か?
   ・もし貧困ならば、主婦も貧困と隣り合わせである。
   ・引用:「夫がどんなに高収入でも、夫と離別した後、仕事も、頼ることができる家族もなければ、
        たちまち貧困に陥る可能性がある」。

p.208 ・引用:「そもそも貧困とは何なのか? 近年、所得の多寡だけではなく、家族や友人など頼れる人
         間関係はあるのか、教育を受ける機会があったか、健康で社会参加をすることができるか
         など、人や社会との関係に着目して貧困を捉える「社会的排除」という概念が一般化され
         つつある」。

    参考文献:岩田正美 著、『社会的排除』、有斐閣、2008年。

   ・引用:「とりわけ不可視化されやすい女性の貧困を見る時は、社会的排除概念に基づき、過去と未
        来の生きづらさ、働きづらさも視野に入れた指標が必要であるように思う」。

p.209 

  労働への包摂と脱労働

   ・先ず雇用を見てみよう。
    男性一般労働者の賃金を一〇〇とした時、女性一般労働者の賃金は七〇・九、女性短時間労働者の
    賃金は五〇・五にしかならない。この男女間の賃金格差を縮小していくことは喫緊の課題である。
   ・低学歴の女性は、就職戦線においておおいに不利を被る。学歴要件をなくす採用へ。

p.210 ・引用:「接客に求められるのは、机上で得た知識ではなく、話しやすさや親しみやすさ、機転など
         ではないか」。

p.210-211 ・引用:「正規雇用を目指すのではなく、非正規雇用を自立して生きるに足る働き方にしていく
           ほうが現実的であるかもしれない。そのためにはまず同一労働同一賃金が必須条件に
           なる。また複数の仕事を掛け持ちしている非正規女性や自営業者のために、年金を一
           元化すること、家族形態による不公平感をなくすため、社会保険を個人単位にしてい
           くことも必要であると考える。さらに健康診断を受信しづらい非正規や無業の女性た
           ちに機会を作ることも必要だろう」。

p.211 ・「週三日労働で生きさせろ」という主張……しかし、休日も出勤して目一杯働いている人間からす
     ると、それはあまりにも虫がいいのでは、と思ってしまう。

p.212 ・人間らしく生きること=ディーセントワーク。

  家族による包摂と脱家族

   ・引用:「日本は家族による包摂が強固な国だ。しかし女性にとってそれは諸刃の剣になり得る。経
        済的に自立できない若年シングル女性は家族に頼るべきという価値観が根強くある。それ
        ゆえ、たとえ実家は針のむしろでも、家を出られない場合が少なくない」。

p.213 ・ホームレス女子、生活保護女子、精神不安定女子の増加。

p.214 ・引用:「家族による呪縛から離れ、ようやく安心して暮らすことができる女性たちもいるのだ。
         だからと言って、何がなんでも“独立すべき”“自立すべき”と考えているわけではない」。

p.215 ・欧米でも、「ブーメラン族」や「アコーディオン・ファミリー」の増加。

    ブーメラン族:不況等の理由から就職できずに実家に戻って親と一緒に住む若者達のこと。主
           にアメリカ合衆国で急増している。同国のシンクタンクの調査によると、25歳
           から34歳の若者のうち、3人に1人がブーメラン族とされている(2012年現在)。

    アコーディオン・ファミリー:成人した若者が安定した雇用に就くことができず、親元で暮ら
                  すことを余儀なくされる。長引く不況の中で、先進諸国で広が
                  っているこの現象を、キャサリン.S.ニューマンは「アコーデ
                  ィオン・ファミリー」と名付けた。アコーディオンのように、
                  家族は蛇腹を広げて舞い戻ってきた子どもたちを受け入れ、彼
                  らが出て行くと蛇腹を縮める。

    参考文献:山田昌弘 著、『家族難民 中流と下流──二極化する日本人の老後』、朝日文庫、
         2016年、87頁。

   ・ただし、アコーディオン・ファミリーが成立するのも、経済力が充実し、家族間の関係が良好な場
    合に限ることを忘れてはならない。
   ・日本的な包摂ルールには見直しが必要。

p.216 

  「男性稼ぎ主モデル」の崩壊と意識のズレ

   ・引用:「結婚前の女性は父親に、結婚した女性は夫に、夫と死別した女性は息子に頼るべきだとい
        う「男性稼ぎ主モデル」は、終身雇用制の崩壊や非正規雇用の増大によってもはや風前の
        灯火である」。

p.217 ・引用:「“専業主婦”への羨望であるのだろう」。共稼ぎでなければやっていけないから。

p.218 ・引用:「しかし、この「多様な選択肢」という考え方がくせ者ではないかと私は思っている。結局  
         のところ選択肢の多くは、「結婚」もしくは「将来するであろう結婚」を前提としたもの
         であるからだ。さらにこの場合の結婚は男性が主な稼ぎ主となる結婚である。そうでなけ
         れば、専業主婦やパートタイムは選べないからだ」。

p.219 ・引用:「私は女性が貧困から脱する一つの方法は、この「多様な選択肢」という考え方、すなわち
         結婚を前提とした意識を捨て、「世帯主」としての意識を身につけることだと思っている」。

  貧困女子を超えて

p.222 ・引用:「今の世の中、経済的(働いて税金を払う)、社会的(子どもを産み育てる、介護を担うな
         ど)に活躍(国に貢献)していない人は“ダメ人間”のレッテルを貼られ、沈黙を余儀な
         くされる。仮にそうした立場から「苦しいのは社会のせいだ」と発言しようものなら、た
         ちまち袋だたきに遭ってしまう」。
   ・引用:「彼女(=障害者枠で就職した女性)は「救われるべき弱者」となってはじめて、自己責任
        論から解放されたに過ぎない」。

p.222-223 ・引用:「しかしこの「救われるべき貧者、弱者」という価値観は非常に危うく、移ろいやすい。
           さらにそれに値するかどうか、衆人の監視に晒される。具体例を挙げるなら、貧困状
           態であるとテレビに映し出された人の持ち物を逐一チェックして「○○を持っている
           のだから貧困ではない」と言ってみたり、生活保護を受給しているくせに××をして
           いるなんてけしからん」と非難したりする。時にこのバッシングの先頭に政治家が立
           つことすらある」。
   ・引用:「困難な状況にあるある人を救済することは、憐れみでも何でもなく、国家の当然の義務な
        のだ」。

p.224 ・引用:「政府は引き続き少子化対策や女性活躍推進の名の下、さまざまな政策を打ち出すことが予
         想される。しかし正社員の給料が過去最高を記録した背景で、雇用者数に占める非正規雇
         用者の比率は過去最高を記録。女性活躍推進法が成立した年に、派遣労働者を期限なく使
         える改正労働者派遣法が成立していることはこれまでにも書いたとおりだ」。

  あとがき

p.225 ・引用:「貧困男性を記事にする際、外見に関してそこまで細かい描写をするだろうか? 付き合っ
         た彼女について詳細に聞くだろうか?」

p.226 ・引用:「衝撃的な物語が展開されるほど、「女性の貧困」は特殊なものとして捉えられ、個人に起
         因した問題として処理されてしまう傾向にある」。

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 女性ゆえの苦しみや悲しみは、男性にはなかなか理解できないと思います。したがって、いくら想像力を
働かせて、女性の困難を捉えようとしても、完全に把握できるとは到底思えません。さらに、女性を甘やか
せれば済む問題でもないでしょう。女性が男性とは独立に、ものを考え、行動できる場を構築することが大
切なのです。その上で、パートナーに成り得る男性とともに生きればいいのです。飯島裕子の調査は周到で、
その議論も明確でした。これを契機にして、生きづらさを抱えた女性を一人でも減らすことができれば、少
しはましな世界の実現に近づくことでしょう。
 間違いがいくつかありましたので、それを以下に示しておきます。

 p.83,l.5 (誤)非正社員 → (正)非正規社員
 p.115,l.10-11 (誤)相方 → (正)双方
 p.132,l.12 (誤)先伸ばし → (正)先延ばし
 p.143,l.12 (誤)第三次安部内閣 → (正)第三次安倍内閣
 p.183,l.10 誤りではないが、「片手落ち」という言葉は注意を要する

 もちろん、著者の責任もありますが、200頁ちょっとの本でこれだけあると、少し興醒めです。「編集者よ、
もっとしっかりしなさい」と言いたくなりますね。もっとも、「校正畏るべし」(「後生畏るべし」のもじ
り)とも言われますので、あまり責められませんね。ともあれ、とても興味深い本でした。
 現在、22時30分。そろそろ店仕舞いにします。

                                                  
 2018年5月14日(月)

 昨日は雨が降っていたこともあり、お休みにしました。久し振りの寝て曜日でした。その代りに、今日は
早朝出勤です。やるべきことが山積しているからです。
 現在、8時40分。10分後に、「(共)大学基礎論」が開講されます。小生はコース長としてオブザーバー参
加します。
 現在、16時25分。5分後に、「倫理学演習 I」を開講します。それが終われば、本日の義務は終了します。
 さて。現在、19時20分。夕食を済ませたので、終盤戦です。気力を振り絞って、『ルポ 貧困女子』(飯島
裕子 著、岩波新書、2016年)の抜書とコメントに着手しましょう。本日は、「6章 女性の分断」のつづき
に言及します。


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 6章 女性の分断(つづき)

  募る孤立感

p.188 ・高卒後、短期パートを転々としてきた草刈さんの事例。父親がリタイア寸前。経済的に苦しい状況
     が続いており、一家が住んでいる家賃が払えなくなるのではという不安が襲う。
   ・「女性には多様な選択肢がある」と言われるが、それは恵まれた女性限定である。
   ・このまま年を取ってゆくだけと考えると、シングルマザーでさえ羨望の対象となる。
   ・短大中退後、アルバイトを転々としてきた大隅さんの事例。

p.189 ・コンビニ、クリーニング店、スーパー、ペットショップ、配送業、レジャー施設、旅館、大手雑貨
     店、データ入力……経験した仕事は数知れずある。
   ・人間関係に苦手意識があるので、それがマイナスに働いて、ストレスから拒食症になる。
   ・小学校を卒業するころまではうまく行っていたが、中学校でイジメに遭って、それが契機となって
    すっかり性格まで変わってしまったという大隅さん。
   ・短大を直ぐに中退した後、ひきこもりを経験して、精神科の診断を受ける。「社会不安障害」とい
    う診断であった。

p.190 ・仕事ができるまでには回復した。大隅さんの母親は非婚シングルマザー。工場で働きながら、娘を
     懸命に育ててきたのである。
   ・しかし、二人のささやかな生活は、母親の自己破産によってあっけなく終了。バラバラで暮らすこ
    とに。

p.191 ・今のところ、母と伯父と三人で暮らしているが、それもいつまで続くか。
   ・友人もいない、相談できる知り合いもいない、仕事仲間もいない。
   ・引用:「所属感が欲しいと思うことがあります。短大中退後、自分の所属先と言えるようなものが
        ずっとない状態が続いています。無職でも結婚していれば主婦として家庭があるし、学生
        なら学校があるでしょう。でもアラフォー近くて未婚で無職だと、自分の所属先はどこに
        もない。世の中から一人取り残されてしまったように感じるんです」。
   ・辛くなると、<アラフォー・独身・無職>というキーワードをネットに入れて検索。そこで、同じよ
    うな立場のブロガーに出遭うと、少しほっとする。不安で孤独なのは、私一人じゃない。

p.192 ・友人関係の糸が切れてしまうと、改めて紡ぐことが困難になる。

  存在しないもの

   ・血縁、社縁、地縁からの離脱。社会の中で、「所属感がない」や「居場所がない」と感じるのは、
    彼女たちだけの問題ではない。

p.193 ・引用:「たとえば、国や地方自治体には女性に対するさまざまな支援がある。子育て支援講座、
         DV被害女性に対する相談窓口やカウンセリング、シングルマザー向け求職支援、子育
         てが一段落した女性向けの再就職支援などだ。しかし、シングル女性に的を絞った講座
         はほとんど開催されていない。貧困、孤立など、シングル女性が抱える悩みが見えづら
         いため、「支援」の必要性に気づかないのだ」。
   ・30代半ばのシングル女性向けの「出会いの場」としての雑誌がない。
   ・引用:「女性誌は、細かい年代設定や可処分所得、家族構成など、さまざまな要素から読者をカテ
        ゴライズしている。広告収入がなければ多くの雑誌は成立しないため、広告を見れば、ど
        の層を読者層にしているかは明確だ。可処分所得の低いアラフォーシングル女性たちが、
        広告主である企業と発行主であるメディアから“無視”されるのは当然のなりゆきなのだ
        ろう」。

p.194 ・発行部数30万部を誇る『VERY』のターゲットは、30代以降の子育て中の女性である。コンセ
     プトは、「基盤(=家庭)のある女性は美しい」である。仕事、子育て、自分磨き……いずれも
     うまくいっている、美しく賢いママさんたち。
   ・もっとも、『VERY』に登場するママさんたちは、ある意味で“幻想”かもしれない。
   ・可処分所得が高めのアラフォー・シングル女性をターゲットにした『DRESS』は、早々と休刊
    に追い込まれている。

p.195 

  上方へ押し上げる圧力

   ・引用:「(格差が拡がる社会で)男性の場合、ひきこもりという形で現れることが多いのに対し、
        女性はメンタルの問題として出る。うつ、リストカット、パニック障害、摂食障害などに
        陥るケースがとても多いように思います」と、元立正大学教授の金井淑子は言う。
   ・男性には「下方へ排除する圧力」が働き、女性には「上方へと押し上げる圧力」が働く。

p.196 ・女性への追い風は、すべての女性に平等に吹くわけではない。
   ・マルチキャリアパスモデルの擡頭。以下、「コトバンク」より引用。

    マルチキャリアパス(E:multi-career path)

   従来の正社員を想定したキャリアパスのみでなく、多様な人材に対応した複数のキャリアパス
  (複線型キャリアパス)を設定し人材の処遇、キャリアを実現していく仕組みのこと。
   外部労働市場や内部労働市場における人材の流動化が進み、中途採用者の増加だけでなく、契
  約社員、パート・アルバイト、派遣社員等従来の基幹社員の範疇に属さない多様な雇用形態の発
  生を促している。この結果、これまでの人事制度等で想定している昇進制度では処遇しにくい人
  材が増加している。この結果、企業としても多様化した人材を適切に処遇することでモチベート
  し、コア戦力として最大限活用することが必要になってきている。
   したがって、雇用形態等にとらわれない、複数の昇進コースや昇進ルールを設定することによ
  って、多様な人材を本人の能力や希望に沿って管理・処遇する制度を実現していく必要性が高ま
  っている。

   ・引用:「「働け」と「産め」というダブルバインドの中、そこからこぼれ落ちた女性たちがアイデ
        ンティティ・クライシスに見舞われても何の不思議もありません」(金井の指摘)。
   ・「自立不全感」、「展望のなさ」がキーターム。

  頻発するメンタル系トラブル

p.198 ・こころを病む多くの女性。

p.199 ・引用:「貧困、孤独、暴力、セクハラなど、さまざまなトラブルに直面すると、女性は男性に比べ、
         メンタル系の疾患として表れやすいことは事実のようだ」。

p.200 ・引用:「それぞれのインパクトが強いだけに、その行為をした女性個人にスポットライトをあてが
         ちになるが、職場のトラブルに背景には雇用の問題が、家族不和の背景には貧困と家族福
         祉に依存し過ぎる社会システムの問題がある。しかし、メンタル系の疾患として病名がつ
         いてしまうことで、背景に潜む問題を一蹴し、彼女たちの個人の問題、ひいては精神的に
         弱い人間の自己責任へと帰結させてしまいがちだ」。

  分断を超えて繋がるには

   ・時代は変わった。

p.201 ・引用:「現在積極的に進められている女性活躍推進の動きは、こうした女性間に拡がる格差を固定
         化し、分断の谷間をさらに深いものにしている」。
   ・女性の分断は、女性自身が望んだことではけっしてない。
   ・引用:「さらに明らかな不平等や理不尽には、声を上げていかなければならない。とかく弱い立場
        にあると人は声を上げづらい。分断を超えて生きるために、想像力を働かせること、互い
        に排除しない、排除されない社会を作っていくことが大切であると考える」。

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 世の中にはさまざまな立場の人がいて、相互に理解することを困難にさせています。境遇が著しく違うと、
考えることも行動原理もまったく異なり、否が応でも互いに共感できない構造を生み出してしまいます。階
層ごとに連帯すればいいのでは、という意見も成立するでしょうが、そもそも連帯のきっかけさえつかめな
い人もいるのです。人は独りでは生きていけません。孤立、病気、貧困……これらが複合的に人間を襲った
場合、誰であれどこかで壊れてしまいます。そうならないうちに予防するシステムが必要なのに、社会はそ
れを生み出す努力さえ放棄しているかのようです。「貪欲」を肯定し、落ちこぼれは「自己責任」で捨て去
るような世の中が、果たしてよい世の中なのか。誰もが虚心坦懐に反省する必要があるでしょう。少なくと
も、ここで紹介されている女性の困難を「他人事」と考えないことが第一歩ではないでしょうか。
 さて、次回は、「終章 一筋の光を求めて」に言及します。すなわち、次回が最終回となります。
 現在、21時25分。ほぼ今日のノルマは完了しました。明日は看護学校の出向日です。午後は雑用に当て、
5限の「倫理を考える」の講義までが最低義務です。明日も忙しそうです。したがって、そろそろ店仕舞い
としましょう。

                                                 
 2018年5月12日(土)

 今日は正規の休日出勤日です。午後からのイベントですので、午前中は自由裁量です。
 イベントが終了しましたので、『ルポ 貧困女子』(飯島裕子 著、岩波新書、2016年)の抜書とコメント
に着手しましょう。本日は、「6章 女性の分断」に言及します。


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 6章 女性の分断

  キャリア、夫、子ども、何もない

p.166 ・優等生だった川口さんの事例。努力しても報われるわけではないということを知る。

p.167 ・阪神大震災や地下鉄サリン事件があった1995年、世の中は売り手市場から超氷河期へと様相を変え
    ていた。
   ・大学卒業後、アルバイトを続けながら就職先を探す。その後、性別に関わりなく活躍できる職場を
    得る。

p.168 ・仕事がハードだったために、その会社を3年で退職。
   ・非正規の仕事を、3年毎や5年毎に大学と契約し直して続けている。

p.169 ・ところが、川口さんが契約社員として働いてきた10年間の間に、大学側の雇用条件は悪化の一途を  
    たどっていた。
   ・国立大学は国立大学法人となり、非常勤職員が増加した。「官製ワーキングプア」という言葉も生
    まれた。

p.170 ・正規の仕事に替わる機会は何度もあったが、自らそのチャンスを潰してきたという思いが強い。
   ・安定した仕事も家庭もない。将来に対する安心材料が何一つない状況が辛いという川口さん。
   ・しかも、そのような苦しい状況を打ち明けて相談できるような人が一人もいない。

p.171 ・友人と会っても、ディープな話題は避ける。
   ・さらに、40歳を間近にしたころから、結婚していないことや出産していないことに、コンプレック
    スのようなものを感じるようになった。
   ・“イタイ存在”という言葉。自分の立場に対して気を遣われることがよほど辛い。

p.172 ・引用:「仕事も、結婚も、出産も普通にできるものだと思っていたけれど、“普通”がこれほど難
         しかったとは……」。

  分断の一九八五年

p.173 ・女性間の格差の拡がり。高学歴層の中でも内部分化が起こっている。
   ・引用:「女性間に拡がる格差を「女女格差」と最初に言ったのは、人材派遣会社社長奥谷禮子であ
        ると言われる」。

    参考文献:橘木俊詔(たちばなき としあき) 著、『女女格差』、東洋経済新報社、2008年。

   ・女性間の格差の尺度
    (1)所得、(2)教育、(3)結婚、(4)子ども、(5)仕事、(6)容姿
  ・女性の分断元年は、「男女雇用機会均等法」が成立した1985年である。

p.173-174 ・引用:「均等法によって誕生したのが、男並みに働く女性総合職だった。均等法成立により、
           「総合職」と「一般(事務)職」というコース別に分けられたが、実際、「総合職」
           を志望したのはごく一部の女性に過ぎず、転勤がなく、、補佐的な業務中心の「一
           般職」を希望する女性が圧倒的多数であったため、女性の分断や二極化はすぐには
           起らなかった」。

p.174 ・引用:「均等法成立時の一九八五年における女性の大学進学率は一四%、短大進学率は二一%。
         大学に進学する学力があっても、女性が高学歴過ぎるとかえって就職や結婚の邪魔にな
         るからと、あえて短大に進学する女性が多い時代だった」。
          → さらに付け加えると、都会の難関大学に入学できる学力があっても、地元の地方
           国立大学に進学する女性が少なからずいた。
   ・引用:「とりわけ一九八〇年代後半のバブル全盛期、短大卒、大卒の女性たちの多くは一部上場企
        業への就職を次々に決めていき、仕事も遊びも謳歌する可処分所得の高い彼女たちは社会
        の注目を集めた」。

p.175 ・女性の大学進学率は1990年代半ばに男性のそれを上回り、進学先も短大から4年制大学にシフトし
     てゆく(1996年)。
   ・引用:「均等法成立以降、総合職女性をはじめ、企業で活躍する女性たちが増加したが、しかしそ
        れは女性の活躍を社会が認めたわけではなく、単にバブルで経済が上向きだったからに過
        ぎなかったとうことは、その後の若年女性の厳しい就職状況を見れば明らかだろう」。
   ・とくにシワ寄せを食ったのは、短大卒の女性たちである。90年代前半まで90%近くを維持してきた
    就職率が、2000年には57%にまで落ち込んでいる。

p.176 ・バブル崩壊のみならず、グローバル化やオフィスのIT化によって、「一般事務職」が担ってきた
    仕事が減少したので、短大卒の女性の仕事場が減ったといえよう。しかも、その傾向はさらに進み、
    一般職は「契約」や「派遣」などの非正規に置き換えられていった。
   ・引用:「(労働者)派遣法(の)成立によって、「一般職」の派遣への置き換えは徐々に始まって
        おり、「男性並みに働く総合職女性」と「非正規貧困女性」という二極分化の萌芽が、こ
        の時すでに存在していたということができるだろう」。
   ・引用:「同時にこの年は第三号被保険者制度が創設された年でもある。法政大学准教授の藤原千沙
        は一九八五年を「雇用分野の男女平等を標榜しつつ、他方で家族責任の分断・性別分業の
        強化・非正規雇用の拡大への道を開いた“貧困元年”である」と揶揄している」。

p.177 ・キャリア志向ではない女性たちの受け皿であった「一般職」の採用は減少し、短大卒女性は行き場
    を失ったのである。

   ・四つに分かれた女性の分断
    (1)総合職を選ぶ者
    (2)狭き門となった一般職に就く者
    (3)やむを得ず、非正規を選ぶ者
    (4)資格を取得して専門職に就く者
      → さまざまに分化して、同学歴間での格差が次第にあからさまになっていく。

  一般職削減がもたらしたもの

p.178 ・引用:「たとえ「一般職」であっても、正社員である以上、“腰掛け”的働き方は許されない時代
         になったのだ」。
   ・引用:「しかしいずれの職場でも、事務的、補佐的業務は派遣など非正規社員に任される傾向にあ
        り、正社員の責任や負担は増し、非正規社員以上に際立ったパフォーマンスを求められる
        ようになっている点は共通している」。


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 「日日是労働セレクト64」より

 某月某日

 DVDで邦画を2本観たのでご報告。1本目は、定番の『釣りバカ日誌7』(監督:栗山富夫、松竹、1994
年)である。ハマちゃん(西田敏行)の奥さんのみち子さんが、石田えりから浅田美代子に代わっており、
秘書の草森役も定番の園田裕久から角野卓造にチェンジ(園田裕久ではなく、沼田爆<4>や石丸謙二郎<S>
だった作品もある)している。ハマちゃんと営業三課における名コンビだった木村恵(戸川純)も寿退社と
いった具合で、長期に亙って公開されるシリーズものに付物の交代劇である。物語は他愛のないもので、越
前若狭で知り合った美人歯科医の田上彩子(名取裕子)との絡みがメインで、相変わらずスーさん(三國連
太郎)が「ウソをこいて」、ハマちゃんが激怒するという筋書である。仲直りにファックスが使われたり、
「セクハラ防止マニュアル」や「女子の総合職」といった話題が時代を表現している。他に、谷啓(佐々木
課長)、山岡久乃(彩子の母)、寺尾聰(彩子の元夫)、上野友(浜崎鯉太郎)、中本賢(太田八郎)、加
藤武(秋山専務)、前田武彦(堀田常務)、竜雷太(原口三郎人事部長)、笹野高史(前原社長付運転手)、
中野浩一(越前若狭の人)、羽賀研二(彩子の患者)、松崎しげる(ギターの男)などが出演している。患
者の羽賀が「誠意をもって治療に当たってくれ」と歯科医の彩子に迫るシーンがあるが、あの頃の騒動を知
っている人は苦笑するだろう。なお、中野浩一は元競輪選手である。ハマちゃんが酔っ払うシーンがあるが、
本当に酔っ払っているように見えた。酒を飲んで臨んだシーンだろうか。そうでないとすれば、名演技と言
えよう。

 (以下、割愛)

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 上記の、1994年に公開された『釣りバカ日誌7』では、「女子の総合職」が話題になっている。

p.179 ・引用:「男女雇用機会均等法の最大の問題点は、深夜労働の解禁など、婦人保護規定を撤廃し、
         女性が長時間労働が当たり前という男性の働き方に合わせた点にあるということは、
         しばしば指摘されるところだ。男性の長時間労働が可能な背景には、家事、育児など
         の家庭責任を担う妻の存在があったからにほかならない」。
   ・体力的・精神的に限界を超え、脱落してゆく女性も多い。

p.180 ・引用:「コンサルタントの海老原嗣生は、『女子のキャリア』(ちくまプリマ?新書、二〇一二年)
         の中で、働く女性の理想的なモデルとして“体育会系女子”を挙げている」。
         → サバサバ系、姐御肌。

p.181 ・引用:「とはいえ、“体育会系女子”も出産後、長時間労働が当たり前の職場に復帰することは
         容易ではなく、仕事を辞めるか、“マミートラック”と呼ばれる時間的融通は利くが、
         出世街道から外れたキャリアを選ばざるを得なくなる場合が少なくないことも記してお
         く必要があるだろう」。

     マミー・トラック(「コトバンク」より) 人事労務用語

   「マミー・トラック」とは、子どもを持つ女性の働き方のひとつで、仕事と子育ての両立はでき
  るものの、昇進・昇格とは縁遠いキャリア・コースのことです。職場の男女均等支援や仕事と育児
  の両立支援が十分でない場合、ワーキング・マザーは往々にして補助的な職種や分野で、時短勤務
  を利用して働くようなキャリアを選ばざるをえなくなり、不本意ながら出世コースから外れたマミ
  ー・トラックに乗ってしまうことが少なくありません。

  女性活躍推進の光と影

p.182 ・引用:「アメとムチのような法律によって、「活躍が期待される女性」と「使い捨てにされる女性」
         の間の分断は拡がっていった」。

p.183 ・引用:「女性活躍推進法はごく一部のエリート女性のみを対象としており、中小企業に働く女性は
         もとより、女性労働力の六割を占めている非正規雇用に従事する女性たちは無視された形
         となっているのが現実だ」。
   ・引用:「社会を動かす立場になる女性が増えることは重要だ。しかし、女性活躍推進の動きが一部
        のエリート女性の活躍を推進するだけで、貧困と不安定雇用がデフォルトの多くの女性た
        ちの状況が何も変わらないのだとしたら、片手落ち(ママ)もいいところだ」。

p.184 ・実際、自分とは立場の違う女性が職場にいると、彼我の違いに思わず落ち込んでしまうこともある。

  産みかつ働き続ける女性たち

p.185 ・「キャリアか、子どもか」の二者択一から、「キャリアも、子どもも」の二者両立へ。
   ・「バリキャリ」女性たち。それは、特別優秀な人に限られる。

p.186 参考文献:衿野未矢(えりの みや) 著、『「子どもを産まない」という選択』(講談社、
         二〇一一年)。

p.187 ・引用:「未婚/既婚、子どもの有無、専業主婦か働く女性かなどなど、女性の人間関係は、微妙な
         立場の違いによって隔絶されやすい。相手の状況が見えない分、「なぜ自分だけ」と考え
         てしまいがちだ」。

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 今日はこの辺りで打ち切ります。次回は、このつづきに言及します。
 現在、22時50分。少し疲れましたので、帰宅します。

                                                 
 2018年5月11日(金)

 今日は2コマ・デー(2限と5限)です。その他、雑用がいろいろあって、忙しくなりそうです。
 現在、16時。30分後に「倫理思想史(I)」を開講します。雑用は少し片付きました。
 現在、21時40分。明日も仕事がありますので(正規の休日出勤)、今日はもう店仕舞いです。

                                              
 2018年5月10日(木)

 今日は3コマ・デー。1時間後に2限の「グローバル社会と地域」にサポーターとして参加します。
 さて、『ルポ 貧困女子』(飯島裕子 著、岩波新書、2016年)の抜書とコメントに着手しましょう。本日  
は、「5章 結婚・出産プレッシャー」のつづきに言及します。


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 5章 結婚・出産プレッシャー(つづき)

  全方位的少子化対策

p.148 ・これまでの少子化対策は、その対象が既婚男女に限られていたが、近年では、その対象が未婚男女  
    に拡大されている。

p.149 ・引用:「政府は「結婚→妊娠→出産→育児」の“切れ目のない支援”を推進するとし、妊娠前段階
         の「結婚」支援にも、積極的に取り組み始めた」。
   ・さまざまな取り組みが各都道府県や市町村で始められている。「地域少子化対策強化交付金」が、
    交付されるようになったからである(2013年から)。

p.150 ・引用:「さらに“切れ目のない支援”として盛り込まれたのが、「妊娠・出産等に関する情報提供、 
         啓発普及」である」。

   ・引用:「二〇一五年三月に閣議決定された「少子化社会対策大綱」では、「学校教育段階において、
        妊娠・出産等に関する医学的・科学的に正しい知識を適切な教材に盛り込む」ことが示さ
        れた」。

p.150-151 ・意図的なデータ改竄によって若い女性を誘導しようとする文部科学省や自治体の方針には、さ
       まざまな疑問が寄せられている。

p.151 ・引用:「しかしこうした啓発運動には、結婚・出産という“ライフイベント”が当然のごとく組み
         込まれており、選択の権利や多様性に対する配慮は一切、見られないように思われる」。


p.152 ・引用:「全方位的ともいえる少子化対策が進められる中、「婚活」「妊活」のプレッシャーを感じ  
         つつ、自分の努力ではどうしようもならない状況に、苦しんでいる若年シングル女性もい
         る」。

  無理にでも産んでおけば良かった

   ・同棲生活が長かった野口さんの事例。

p.153 ・経済的・精神的自立の困難さ。

p.154

  非正規は婚活でも不利に

   ・引用:「実際、男性の収入と婚姻率の高さは正の相関を示している」。
   ・つまり、年収が増えれば、それだけ結婚に踏み切り易いというわけ。
   ・引用:「また同パネル調査(家計経済研究所)で、女性に対し「理想の結婚相手」についてたずね  
        た項目では、「経済的に頼れる人」を挙げている人が、結婚した人よりも未婚継続者に多
        いという結果が出ている」。

p.155 ・男性の意識も変わった。
   ・引用:「かつては、「妻には専業主婦として家にいてほしい」と考える男性は多かったが、正社員
        であっても、給与は上がらず、先行き不安定な現在では、「妻に働いて欲しい」と考える
        男性のほうが圧倒的に多い」。
   ・引用:「婚活市場で勝ち残りたいなら、女性も安定した仕事に就きなさい」というのが、白河(桃
        子)の主張だ」。

  貧困女子でも産む

   ・女性にはリミットがある。

p.156 ・お金も男も要らないが、子どもだけは欲しいという女性。七尾ゆずさんの事例。
   ・引用:「未婚、貧困、アラフォーという厳しい状況の中、“女のタイムリミット”を強く意識する
        ようになった当時三八歳の七尾さんは、“おひとりさま”で出産することを決意する」。
   ・養育費や認知を求めないことを条件に彼氏の協力を取り付け「妊活」に励む七尾さん。

p.157 ・「非婚の母」になることは、とてつもなくハードルが高い。女性が非婚かつ貧困で子どもを産むこ
    との困難。さまざまな助成金が受けられない。出産費用をどうするのか。理解者も現れない。

  極端に低い婚外子出生率

p.158 ・引用:「七尾さんのように非婚シングルマザーを選択する人の数は日本では極端に少なく、婚外子
         出生率は二%に留まっている。これは国際的に見ても非常に低い数字だ」。
         → フランスやスェーデンでは、新生児の二人に一人は婚外子。その他の欧米でも、
          四割を超えている。
   ・引用:「婚外子出生率は少子化に影響を与えていることがわかる」。
   ・フランスのPACS(連帯市民契約)や、スェーデンのサムボ法……相続権は認められないが、年金の
    受給謙の他、税制面での優遇も受けられる。
   ・引用:「一方、日本では、婚外子に対する差別的取り扱いがいまだに続いているのが実情だ。少子
        化対策をするのであれば、まずは婚外子差別をなくし、非婚シングルマザーに対する支援
        を積極的におこなうべきであろう」。

p.159 ・大月あすかさんの事例。彼女は、非婚シングルマザーという生き方を選んだ一人。6歳の女児と3
    歳の男児の母親をしている。

p.160 ・困ったら、いきなり「生活保護」というセーフティネットしかない現実。そもそも働きたくても働
     けない仕組みになっている。

p.161 ・引用:「政府が目指す、結婚→妊娠→出産→育児という“切れ目のない支援”は、各段階を踏まな
         い家族、たとえば「結婚」を経ない非婚の母などは、望ましい「家族」と認めないという
         発想の現れに思われてならない」。
   ・引用:「家族の形が多様化しているにもかかわらず、いまだに“古い家族像”に拘泥した少子化対
        策を行っている日本は時代に逆行していると言えるだろう」。

  少子化という大義名分

   ・女性の価値観が変容しつつあった時代、キャリア・ウーマンの登場の先に、リーマンショックや震
    災などが待っていた。

p.161-162 ・引用:「そして今、家族や絆が重視される社会の中で、シングルであることはリスクが高い生
           き方として認識されるに至っている」。

p.162 ・「女性活躍推進」政策の裏側には、必ず少子高齢化対策がリンクされている。
   ・引用:「かつて“女性は産む機械”というストレートな発言をし、集中砲火を浴びた大臣がいた。
        しかし経済的功利と少子高齢化対策のため、女性活躍を推進するという発想は、女性を
        “モノ扱い”するのと同じであり、この発言と同根ではないか」。

p.162-163 ・引用:「「家族」「絆」「子ども」──誰もが否定しづらいものだ。こうした言葉にシングル
           女性たち自身も囚われ、悩みを深めている」。
           → 不敗の論理は腐敗する!

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 この章では、「ディーセントワーク(decent work)」という言葉が出てきますが、人間らしさを失った働
き方などいいわけがありません。ブラック企業が蔓延りながら、どうしようもない現実。遵法精神を諄々と
説く(たとえば、コンプライアンスを必要以上に重視する)同じ人間が労働基準法などまったく無視してい
るのですから、何をかいわんやです。ここまで捻じ曲がった世の中を元に戻すことは困難ですが、少しずつ
でも改善していかなければ、誰もが不愉快になる世の中が出現してしまいます。さて、どうしたらよいので
しょうか。次回は、「6章 女性の分断」に言及する予定です。
 現在、21時40分。今日のノルマはほぼ果しましたので、帰ります。明日は2コマ・デー。溜まっている雑
用を片付けたいと思っています。

                                                 
 2018年5月9日(水)

 現在、7時50分。今日は早めに大学に来ました。1限があるからですが、すでに準備はできています。さて、
1時間あります。何をしましょうか。
 現在、17時少し過ぎ。教授会も終り、のんびりしています。18時半から雍睦会の歓迎会に参加します。

                                                
 2018年5月8日(火)

 5分後に、看護学校に出向します。今日はあいにくの雨。少し憂鬱です。
 現在、21時35分。ほぼ今日のノルマは片付けました。帰り支度です。明日は、1限に「(共)課題探究
実践セミナー」があります。午後は教授会などの会議があり、夜は歓迎会です。

                                                  
 2018年5月7日(月)

 連休が終了して、今日から通常モードです。少しずつピッチを上げてゆきたいと思います。
 会議が1件終わりまして、10分後に演習が始まります。それが終われば自由裁量ですが、雑用がどのくらい
あるのか、少しだけ心配です。
 現在、22時20分。今日のノルマは果たしたので、帰ります。明日は看護学校出向の日。プラス、5限目に講
義があります。

                                               
 2018年5月6日(日)

 今日も昨日のつづきです。のんびりと仕事をします。
 さて、『ルポ 貧困女子』(飯島裕子 著、岩波新書、2016年)の抜書とコメントに着手しましょう。本日
は、「5章 結婚・出産プレッシャー」に言及します。


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 5章 結婚・出産プレッシャー

  子どもが欲しい

p.130 ・シングル女性の悩みの一つが結婚や出産に関すること。
   ・アラフォーの寺本さんの事例。
   ・朝起きるたびに、「これで私の卵子が一日老化してしまった」という感慨を抱く。
   ・“丸高”のプレッシャー。

p.131 ・仕事にかまけて、いつの間にか30代半ば。パートナーも結婚する気はまるでなし。仕事は順調だ
     ったが、出版不況のあおりを受けて、年収200万円を切ることもあった。結局、家賃すら払えなく
     なって、実家にUターン。

p.132 ・引用:「高齢出産に対しては否定的な意見も少なくない。胎児の健康へ与える影響や、体力的に
         育てられるのか、成人まで経済的な責任を負えるのかなどさまざまな批判だ。一〇代で
         産んでも、四〇代まで先延ばし * にしても、否定される世の中」。
         * 原文では「先伸ばし」になっているが、「先延ばし」に替えた。
   ・引用:「子どもが欲しいシングル女性にとって、卵子の凍結保存という方法も未来の出産可能性
        を拡げる選択肢の一つだろう。寺本さんも卵子の凍結について調べたことがあるという」。

p.133 ・卵子の凍結保存に対して助成金が出る世の中。
   ・引用:「「産んでいない女性」「産む努力をしていない女性」に対する社会からのまなざしは、
        さらに厳しいものになっていくのではないだろうか」。

  「おひとりさま」の登場

p.134 ・他者の婚姻歴やパートナーの有無、家族構成などはプライベートな事柄に属し、他者が立ち入る
     ことはできない。
   ・引用:「そういう意味においては、生きやすい時代になったということができるかもしれない」。
   ・結婚することが当たり前ではなくなった日本。

p.134-135 ・引用:「その背景には、女性の社会進出にともなう労働人口の上昇がある。八〇年代に入ると
           バブル景気や男女雇用機会均等法成立などの追い風によって、働く女性の存在が脚光
           を浴びた。結婚しても仕事を続ける女性たちが増え、DINKS(double income no kids)
           という夫婦共働きで子どもがいない生き方を選ぶカップルも出てきた。バブル経済真
           っ盛りの時代、男女ともバリバリ働き、豊かな生活を享受する──。結婚し、子を育
           てるというだけではない。多様な女の生き方が少しずつ認められてきたかに見えた」。

p.136 ・仕事か出産かの二者択一しかなかった時代に、自由で豊かな生活を謳歌していたシングル女性が、
     結婚・出産に対して二の足を踏むのも当然だろう。
   ・おひとりさまは、「お局」や「いきおくれ」に取って替わって、ポジティヴなイメージをもっている。

  「負け犬」にすらなれない

p.137 ・酒井順子 著、『負け犬の遠吠え』(講談社、2003年)の登場。「三〇代以上、未婚、子ナシ」に
     与えられた呼称である。もっとも、酒井順子は、自分を少しも「負け犬」とは看做していないよう
     である。

p.138 ・元首相の森喜朗の発言(子ナシの女性が、自由を謳歌して、年を取れば税金で面倒をみてもらう、
     はおかしい)も話題をさらった。
   ・引用:「とんでもない発言だが、森元首相を含む“オジサマ世代”を中心とした人々が、結婚して
        子どもをつくるという社会規範から逸脱し始めた女性たちのことを理解不能と考え、その
        正体を知りたいと同書(=『負け犬の遠吠え』)に関心を持ったことは事実だろう」。
   ・引用:「中身を見ればわかることだが、酒井は「負け犬」という立場を否定しているわけではない」。

p.138-139 ・引用:「現在、「負け犬」は若い女性にとって「ああはなりたくない存在」という否定的な意
           味で使われることが多くなっている」。

p.139 ・「負け犬キャリアウーマン」VS[勝ち犬専業主婦」といった構図が定石で、キャリアも経済力も
     ない「負け犬」の存在は無視されている。
   ・選択的「負け犬」ではない、社会のお荷物と化した「負け犬」は、否定的な対象とならざるを得ない。

   無縁社会、震災、絆

p.140 ・「負け犬」ブームと並行して、雇用の不安定化と格差社会の進行がある。
   ・NHKスペシャルでは、2005年に「フリーター漂流」、2006年に「ワーキングプア」、2010年に
    「無縁社会」を放映した。
   ・引用:「地縁、血縁、社縁が崩れゆく中、年間三万人を超える人たちが、誰にも看取られずに孤
        立死しているという内容は、大きな衝撃を持って受け止められた」。

p.141 ・引用:「一方で、“無縁社会”という言葉は、「有縁であること」「頼るべき家族がいること」
         を是とし、「無縁であること」「頼るべき家族がいないこと」を否とするような印象を
         与えてしまいかねないと感じる」。
         → 筆者は、自分と似たような心の動かし方をする人を見出し、その人と「心縁」を
          結べばいいと考えている。もちろん、「心縁」は筆者の造語である。
   ・無縁社会と前後としてブームになったのが、「婚活」である。2009年の流行語にもなっている。
   ・引用:「「婚活」を最初に用いたのは、社会学者の山田昌弘と少子化ジャーナリストの白河桃子
        であり(中略)、誰でも結婚できた時代は終わり、「就活」同様、結婚するため、みず
        から活動しなければいけないという主張は、多くの若者と親世代に受け入れられた」。

p.142 ・1965年以来、長期にわたって恋愛結婚全盛だったが、婚活ブーム以降、その傾向は徐々に変わって
     きている。「負け犬」の先に待っている無縁社会への恐怖もその背景にはあるのではないか。
   ・さらに、2001年の東日本大震災が、この傾向に追い打ちをかけた。

p.143 ・「家族回帰」に向かう若者の価値観。

  一億総活躍社会の目指す“子育て支援”

p.143-144 ・2015年9月、第三次安倍内閣の打ち出した政策「一億総活躍社会」の“三本の矢”
      (1)夢を紡ぐ子育て支援(希望出生率一・八)
      (2)希望を生み出す強い経済(GDP六〇〇兆円)
      (3)安心につながる社会保障(介護離職ゼロ)

p.145 ・引用:「「出産」「国家」「貢献」といったキーワードが結びつき、戦前の「産めよ殖やせよ国の
         ため」を連想させられる。日本の存亡をかけて、少子化対策に取り組まなければならない
         という機運が、確実に高まっていることは否定できないだろう」。

  優等生でなかった妹が今では女として上

   ・アラフォーの黒木さんの実例。
   ・小学2年生の姪が発した言葉「四〇歳を過ぎると子どもを産めなくなる」に過剰反応。
   ・営業職として、バリバリ働いてきた若き時代。

p.146 ・バブル期のツケで、後輩のできない時代に突入。
   ・アロマセラピストの厳しさを経験。

p.147 ・妹と自分は違う。自分は親にとって“いい子”だが、妹は自由の申し子。彼氏が途絶えないタイプ。
   ・妹は青年実業家と結婚。子どもをふたり出産。

p.148 ・母親から、「結局、あなたは妹に負けた」と言われ、張りつめていた糸が切れる。
   ・黒木さんは親離れを決意するが、果たして自立できるだろうか。

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 今日はこの辺で打ち切ります。このつづきは、明日以降に。

                                                 
 2018年5月5日(土)

 怒濤のワンパターンで、大学に来ています。今日も講義ノート作りに精を出します。
 さて、『ルポ 貧困女子』(飯島裕子 著、岩波新書、2016年)の抜書とコメントに着手しましょう。本日
は、「4章 非正規という負の連鎖」に言及します。


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 4章 非正規という負の連鎖

  学歴と非正規雇用率

p.98 ・働く人の非正規化が進み、三人にひとりは非正規という時代になった。とくに若者の非正規化は
    目立っており、最も著しいのは若年女性である。
   ・引用:「かつて一割程度だった若年女性(一五-二四歳)の非正規雇用率は今や四割にまで達して
        いる」。
   ・高卒の六割に比べれば、大学の三割は低く、ここでも学歴の差が現われている。
   ・引用:「非正規であるがゆえに賃金が安く、解雇もされやすい。一五-三四歳の女性の完全失業率
        はここ一〇年ほど四%程度を続けているが、高卒までの学歴の場合、八%程度に高止ま
        りいしている」。

p.98-99 ・引用:「また最初に就いた仕事が非正規であると、経験やキャリアを積み重ねることができず、
          正規雇用へ転換することが難しい場合が多い」。

  高卒女性の困難

p.99 ・高卒の有明さんの事例。

p.100 ・資材会社の社長のパワハラ、電気店の奥さんの過干渉など、わずかな給料を死守するために、耐
     えなければならなかった有明さん。結局、体調不良を契機に退職。生活保護を受給しながら、職
     業訓練へ。精神科に通っている状態なので、ギリギリの生活すら維持できるかどうか。

p.101-102 ・引用:「非正規雇用に従事する女性(一五-三四歳)の八割が、平均年収二〇〇円未満とい
           う統計があるように、有明さんの置かれた状況は決して特別なものではない」。
p.102 ・「非正規なら気楽で辞めやすい」と考えるのは、間違いである。

  中退はさらに厳しい

   ・引用:「学歴が非正規雇用率に大きな影響を与えていることを裏付ける結果であると言える」。
   ・大学進学率の上昇。1991年には39%(短大含む)→2015年には55%(短大含む)。

p.102-103 ・ちなみに、1991年に高卒女性の正規雇用率は60%台を維持していたが、2015年には、30%台
       にまで落ちこんでいる。

p.103-104 ・引用:「高卒女性の非正規率が高いことについて、若者の非正規雇用問題に詳しい労働政策
           研究・研修機構の小杉礼子さんは、次のように分析する」。
          「高卒男性は、たとえば自動車工場のラインなど、生産工程の仕事の正規雇用に就く
           人が多い。この仕事なら技術を積み重ねて行かれますし、賃金上昇が期待できます。
           一方、高卒女性の需要が多いのは販売員やウェイトレスなど、雇用の非正規化が進
           んでいるサービス系の職種。かつて高卒女性には事務職の需要が多くありましたが、
           今、事務職は大卒女性で占められるようになっています。結果として高卒女性の仕
           事は非正規がメインになってしまうのです」。

p.104 ・なかでも、高校中退者は90%近くが非正規雇用である。
   ・引用:「学校を中退すると社会との接点が切れてしまうことが少なくない」。
   ・学校の紹介などは期待できず、正規の求人など探し辛いのが中退者の置かれている立場。
   ・また、家庭の事情(主に経済的に余裕がない)で高校を中退した人も少なくない。
   ・久保田さんの事例。コンビニとトンカツ屋の掛け持ち。

p.105 ・バイトの掛け持ちをしている女性も多い。収入は増えるが、社会保険には入りにくい。

   ・勤務時間が増えると社会保険加入の対象になるから、シフトを増やさないのである。

p.106 ・引用:「勤務を二〇時間以下にすることで社会保険逃れをしようとする悪質な雇用主が増えている」。
   ・引用:「社会保険加入対象者の拡大はパート労働者の処遇改善に繋がるはずだ。しかし労働時間を
        制限する雇用主が増えれば、パート労働者は複数の仕事を掛け持ちしなければならなくな
        り、状況は悪化しかねない」。

p.107 ・引用:「現在、子どもの貧困対策の一つとして、公立高校の学費の無償化が実施されているが、
         これだけで皆が学校に通えるようになると考えるのは甘いのだということが、久保田さ
         んのケースを見ているとよくわかる」。

p.107-108 ・引用:「高校を卒業した方が、将来の可能性が拡がることは明らかだが、その日の暮らしに
           追われると、子どもも親も将来に対する青写真が描けなくなる」。

p.108 ・子どもへの支援も大切だが、もはや親への支援も必要な時代となっている。
   ・われわれは、低学歴が非正規や貧困の連鎖につながる理不尽な現実を変えていかなければならない。

  高学歴ワーキングプア

   ・「学歴が高ければ、正規雇用に就けるのか」といえば、そう簡単には行かない。

p.108-109 ・資格や専門知識が必要であるにも拘らず、非正規や短期契約での募集しか行っていない職種や、
       賃金が非常に低く抑えられている仕事もある。これらの仕事は、女性の数が多い。
        前者:図書館司書、非常勤講師
        後者:保育士、介護士

p.109 ・引用:「インタビューした女性たちの中にも、大学職員や小学校教員、図書館司書、保育士として
         非常勤で働く人がいた。いずれも高学歴で資格を持っているのに、収入は低く、生活も厳
         しい状態だという」。
   ・学芸員の資格を有する竜田さんの事例。博物館で働く傍ら、スーパー等で日雇いのバイト。
   ・引用:「収入は多いときで月一四万円ほど。大学と大学院の時に日本学生支援機構から借りた奨学金
        七〇〇万円の返済が月五万円弱あるため、実家に頼らざるを得ない状況だという」。

p.110-111 ・二者択一の社会
       A.ブラック企業を厭わず、プライベートを犠牲にするか
       B.時間はあるけれども、貧困がけっぷちのワーキングプアになるか

  官製ワークングプア

p.111 ・非常勤の養護教員として働く牧さんの事例。
   ・引用:「ここ一〇年ほどの間に、国家公務員や地方公務員などが、非常勤職員に置き変えられ
        ている」。
   
p.112 ・引用:「安定した雇用条件の下で働いているイメージが強い公務員の中に、非常勤で働く職員
         が増えており、働いても生活が立ち行かない“ワーキングプア”状態を強いられてい
         る人々がいる──こうした状況は“官製ワーキングプア”と呼ばれている。求職者の
         相談に乗っているハローワークの職員が、一か月後にはカウンターのこちら側で求職
         者として相談をする立場になっているかもしれないのだ」。
   ・いつの間にか、図書館司書の仕事は、官製ワーキングプアの代名詞となった。

p.113 ・引用:「公務員の非正規化は小泉政権時代にさかのぼります。三位一体の構造改革の流れで、
         地方自治体への交付金が削減された結果、人件費を抑えようと公務員定数がどんどん
         削減されていきました」(竹信三恵子和光大学教授)。
   ・非常勤化された公務員
    ○ ケア的公務、○ 介護、○ 窓口対応、○ 図書館司書
    その特徴は、住民と直接接することが多い公務で、どちらかと言えば、女性が担うことが多い仕事
   ・引用:「さらに“官製ワーキングプア”を巡る状況は劣悪化、不可視化してきている」。
   ・しかも、自治体と直接雇用契約を結ぶのではなく、業務全体を企業等に委託し、委託された企業等
    が、非正規を含めたスタッフを雇用する形態が増えている。

p.114 ・引用:「慢性的な人手不足は、行政サービスの劣化を招くことになります。ここ十数年の間に公的
         なサービスの需要は急増しています。グルーバル化の中での雇用の不安定化、社会の貧困
         化、家族福祉の弱体化などにより、保育、介護、生活保護、就労相談など、行政サービス
         の需要は高まる一方です。仕事量は増えるばかりなのに、人件費は減る一方──その矛盾
         をすべて受け止めているのが、非正規公務員なのです」(上記、竹信教授)。

  果てしない求職活動

p.114-115 ・引用:「運やタイミングの良し悪しがその後の人生に影響を及ぼし続けるとしたら、それは理不尽
           な話と言えるだろう」。

p.115 ・就職活動をする時期が就職氷河期に重なってしまった安藤さんの事例。
   ・1995年、女子の「総合職」が誕生したとはいえ、それはごく限られており、肝心の一般職も派遣
    などの非正規に置き換えられていった。
   ・引用:「同時期、「就職先がない女子大生」と「正規はいらないが、若い女性は欲しい大手企業」、
        双方 * のニーズに目を付けた派遣会社パソナによって一九九五年に始められたのが、
        「新卒派遣」だ」。* 原文では「相方」となっているが、「双方」に替えた。
   ・新卒派遣:実務経験のない新卒者に対し、派遣会社が研修を実施し、ある程度のスキルを積ませた
         上で、企業へ派遣する。現在、「新卒派遣」は、「紹介予定派遣」として、派遣期間満
         了後、派遣先と労働者の合意があった場合、派遣先に直接雇用されるという形になって
         いるが、スタート時はそのような仕組みはなかった。

p.116 ・引用:「安藤さんはそんな「新卒派遣」として、大学を卒業した後、働き始めた」。
   ・二年が経過した後、「四月から正社員として働かないか」との打診を受ける。しかし、その話は幻に。

p.117 ・辞める際に、「声をかけたのに本人が断ったことにされた」という話のすり替え。人間不信になる。
   ・派遣社員を続ける間、簿記二級検定に合格。IT企業の正社員になるが、なかなかうまく行かない。

p.118 ・その後、原因不明の高熱で寝込む。休職後、退職。

p.119 ・すでに、三五歳になっていた安藤さんは、リーマンショック後のこともあり、「年越し派遣村」
     に群がる失業者が自分のことのように見えた。
   ・理解のない父母は、事情を汲まずに愚痴ばかりこぼす。したがって、家にいるとストレスが溜ま
    る一方である。
   ・結局、正規の仕事が見つからないという状況になった。

p.120 ・果てしなく続く転職活動。手取りも七万円に満たない。
   ・引用:「振り返れば、新卒で派遣社員となって以来、常に自分のキャリアと向き合ってきた安藤さん。
        不安定な立場だからこそ、人の何倍も努力を重ね、専門性を高め、自身のキャリアパスに自
        覚的であったはずだ。ただ、生まれた年や大学を出た年、転職活動をした年などの巡り合せ
        によって、たまたま安定した職場にたどり着いていないだけであり、それは決して自己責任
        などではない」。

p.121 ・引用:「飛び抜けたキャリアや資格などがない限り、一度非正規の仕事に就いてしまうと正規に戻
         ることは難しく、三五歳を過ぎるころから、派遣等でも仕事がなかなか見つからない状態
         に陥っていた」。
   ・「女性の価値=若さ」という考えが厳然と存在している。

  繋がる場をつくる

p.122 ・非正規シングル女性たちのための集い。キャリアカウンセラー錦戸さんの試み。
   ・自己肯定の気持を失わせる言葉の数々。「なぜ非正規を続けてきたのか?」、「転職回数が多い理
    由は?」、「どうして独身を通しているのか?」等々。

p.123 ・自分を肯定する機会をつくることの大切さ。

  突然の病気と非正規シングル

   ・非正規という働き方は、自分のペースで働ける利点もあるが、病気や怪我といった不測の事態に
    直面したとき、非常に危うい側面がある。シングルの場合、なおさら事態は深刻化する。

   ・長年非正規で働いてきた栗原さんの事例。

p.124 ・市役所の清掃局のリサイクル化で働く(委託職員)。年収は税込みで280万円ほど。職場は家から
     徒歩五分。仕事は定時に終わるため、プライベートな時間も確保できる。一人暮らしのささやかな
     日常は、それなりに充実。

   ・その間に取得した資格の数々。
    (1)大型二種免許、(2)牽引、(3)フォークリフト、(4)危険物取扱者、(5)ワープロ
    二級、(6)ビジネスコンピュータ検定、(7)ヘルパー一級、等々。

p.124-125 ・ところが、リサイクル課が廃止となり、転職を余儀なくされる。

p.125 ・せっかく、介護の仕事を得たのに、自らが「癌」であることを告知される。
   ・病気になると、つらい独り身。

p.126 ・幸いなことに、病気が判明した時点で、幼馴染みが一緒に住んでくれることになる。

p.127 ・今では、手取り月13万円程度の仕事に就いているが、身体を労わりながらなので、割り切っている。
   ・引用:「そんなつかず離れずな仲間との繋がりをこれからも大切にしていきたい」。

  非正規雇用の闇

p.128 ・引用:「正社員にしがみつきボロボロになって働くか、非正規採用として貧困と隣り合わせで働
         くか、極端な二択しかない現実が明らかになってきた。能力が低いわけでも、努力が足
         りないわけでもない、むしろ病気になるほど自分を追い込み、必死で働いている人もい
         る」。

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 自分がうまく行っているからと言って、他者がうまく行かないのをなじることはよくないと思います。こ
の本でも、自分があっさり公務員となって長年働いてきているために、なかなか仕事が安定せず、結婚もし
ない娘を説教する父親が登場しますが、父親たるもの、そういうときこそ鷹揚に構えるべきでしょう。親が
責め立てれば、娘は逃げ場を失うからです。いずれにせよ、一度非正規の仲間入りをすると、正規に鞍替え
することは困難です。非正規の職場や職種そのものを減らす努力を企業や役場に求めたいのですが、それも
ままならないのが現実です。せめて、非正規の人々が安心して暮らせるシステムを作らないと、これからま
すます生きることさえ困難な人々が増えるでしょう。言うまでもないことですが、政治はこういう人々こそ
救わなければならないでしょう。
 さて、次回は、「5章 結婚・出産プレッシャー」に言及する予定です。

                                                  
 2018年5月4日(金)

 今日も大学に来ています。行くところもないしね。少しだけ仕事をします。
 さて、『ルポ 貧困女子』(飯島裕子 著、岩波新書、2016年)の抜書とコメントに着手しましょう。本日
は、「3章 正社員でも厳しい」に言及します。


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 3章 正社員でも厳しい

  倒れるまで働く女性たち

p.68 ・2008年のワタミフードサービスで働いていた26歳の女性の過労自殺事件。
   ・2009年には、クロスカンパニー(現ストライプインターナショナル)で、入社後わずか5カ月
    で店舗責任者にさせられた女性が極度の過労・ストレスによって死亡している。

p.68-69 ・引用:「かつて過労死や過労自殺は、猛烈に働く男性サラリーマンの象徴のように捉えられ、
          若い女性にとっては縁遠いイメージがあった。それなのに彼女たちはなぜ自殺にま
          で追い詰められてしまったのだろう」。

p.69 ・NPO法人のPOSSEによれば、男女いずれも長時間労働と残業代未払いに関する問い合わ
    せが最も多い由。
   ・ブラック企業まがいの雇用契約で苦しむ谷さんの事例。

p.69-70 ・引用:「研修期間を経て雇用契約書に署名する段階になって初めて、給与に固定残業代が含
          まれていることを知ったのだという。固定残業代とは残業代をあらかじめ設定し、
          それを上回った場合も支払わないというもの。人件費を安く抑え、長時間労働の事
          実を隠蔽するブラック企業によくある手だ」。

p.70 ・「月給20万円以上」という好条件に引かれたが、実際は残業代込みだし、手取りは15万円程度。
    話が違うと思ったが、引き返すこともできず、サインせざるを得ない現実。
   ・自分の行動を自覚できなくなったら、危ない。

  新人を使い潰すブラック企業

p.71 ・引用:「すでに一般化した「ブラック企業」という言葉。過重な労働を強い、労働者の心身を危
        険にさらす企業を指すが、狭義では、主に新興産業において、若者を大量に採用し、長
        時間労働によって使い潰し、離職に追い込む企業を指す」。

    参考映画:『ブラック会社に勤めているんだが、もう俺は限界かもしれない』、監督:佐藤祐市、
          ブラック会社限界対策委員会〔アスミック・エース エンタテインメント=パルコ=
          アミューズソフトエンタテインメント=関西テレビ放送=共同テレビジョ=Yahoo!
           JAPAN〕、2009年。

    参考文献:『ブラック企業』、今野晴貴 著、文春文庫、2012年。

   ・ブラック企業のやり口の2パターン

    (1)選別型:入社後サービス残業を強いることで、長時間労働に耐え得る従順な社員を選ぶやり口。
    (2)使い捨て型:短期間で辞めていくことを前提に過酷な条件で働かせるやり口。

p.71-72 ・引用:「小田ゆきさん(二八歳)が大学を卒業後、転勤がない地域限定総合職として入社した
          大手通信会社は、まさにその典型的な“選別型ブラック企業”だった。新入社員は全
          国で二〇〇人ほど。しかしその多くは入社数年で辞めていくという」。

p.72 ・「“個性”を潰すことが研修の目的だ」という言葉。まるで、旧帝国陸軍の内務班のような雰囲気
    が漂っている。

    参考映画:『真空地帯』、監督:山本薩夫、新星映画、1952年。

p.72-73 ・入社1ヶ月で転籍(事実上のリストラ)を命じられる小田さん。会社の対応(自宅待機、連絡
      なし)の冷たさが身に沁みる。やがて、退社。「転職活動もうまくいかず」のお定まりのコース
      をたどる。

p.73 ・新卒で入った会社を3ヶ月で辞めれば、「辛抱が足りない」とか「ワガママだ」と評価される現実。
   ・第二新卒:大学を卒業後、短期間で退職する人は多く、「第二新卒」と呼ばれる。都市部では、第
         二新卒の転職市場は拡大されつつあるが、地方都市では、そもそも求人自体が少ない。
   ・大学の就職課で紹介されたのに、ブラック企業だということが予め分かったいたような職員の口ぶ
    りに驚かざるを得ない。

p.74 ・大学にまで行ったのに、結局実家でアルバイト生活。都心へ行くための資金作りもままならない
    現実が小田さんを意気阻喪させる。

  滑り台で一直線に

   ・引用:「入社した会社が「ブラック」だとわかった時──この仕事を続けていたら、身体的、精
        神的にまずいことになると気づいた時──辞めるという選択ができるかどうかは、重要
        なポイントだ。実家に頼ることができる、貯金があるなど、“セーフティネット”があ
        ればいいが、一人暮らしで、経済的に頼ることができる家族がいない場合、滑り台で貧
        困に一直線という事態に陥ってしまう」。
   ・パワハラに遭い、解雇された後、生活保護を受給するところまで追い詰められた田口さんの事例。

p.75 ・解雇をめぐるワンマン社長との遣り取りは、田口さんの心身を疲弊させた。
    
    参考:筆者の知っている限りであるが、あまりに組合が強いせいで、経営者が嫌気を差し、会社
       そのものを解散した例もある。労使の関係が常に良好というわけにはいかないだろう。

p.75-76 ・違法行為を平気でやらせる病院。待遇は悪くなかったが、結局退社。

p.76 ・日雇い派遣の理不尽なシステム。2時間かけて職場へ出かけ、さらに遠方に給料を受け取るだけの
    目的で行かなければならない。しかも、交通費は自腹。生活困窮とはまさにこのこと。

p.77 ・引用:「成人した女性が一人、自立して生きていくことさえままならない日本社会。会社でのパワ
        ハラ、病気、人間関係の行き詰まりなど、ちょっとした出来事が引き金となり、一気に滑
        り台の下まで急降下する。若年女性の場合、“頼れる家族”というセーフティネットがな
        ければ、生活保護しか残されていない現実がある」。

    参考文献:『NHKスペシャル 生活保護3兆円の衝撃』、NHK取材班 著、宝島SUGOI文庫、2013年。

  家賃を払うためデリヘルへ

p.77-78 ・川内さんは、上司のパワハラに遭遇。四国出身で関西の大学を経由しての上京。地元に戻るよう
      に母に説得されたが押し切った。

p.78 ・親の反対を押し切っただけに、背水の陣を敷いたのだが、世間はそんなに甘くない。直ぐにも経済
    的な困窮が襲ってきた。
   ・キャバクラも考えたが、女ばかりの職場での失敗もあり、デリヘルを選んだ。しかし、踏ん切りが
    つかない。風俗産業に何の抵抗もなく参入できる女性など、そんなに多くはないと思われる。

p.79 ・川内さんが入ったのは、無店舗型のデリバリーヘルス。店舗がないため、仕事が入るまでは車の中
    で待機。客が決まると車でホテルまで向うが、危険な目に遭うリスクも高い。

    参考映画:『月とチェリー』、監督:タナダユキ、「ラブコレクション」製作委員会〔ヒューマックス
          コミュニケーションズ=ジャム・ティービー=カルチュア・パブリッシャーズ〕、
          2004年。
         『ストロベリーショートケイクス』、監督:矢崎仁司、ストロベリーショートケイクス・
          パートナーズ 〔アップリンク=エス・エス・エム=コムストック=TOKYO FM〕、2006年。

p.80 ・働き始めて半年を過ぎたころ、川内さんは心身のバランスを崩す。

p.81 ・今の職場よりもデリヘルの方が恵まれていたという皮肉。
   ・引用:「風俗産業のスタッフが女性に対して、非常に親切であることはよく知られている。それは
        “商品”である彼女たちに逃げられたくないという下心があってのことなのだが……悩み
        事の相談にとことん乗ってくれる、病気の時は家まで訪ねてくれる、そんなやさしさが女
        性たちの“セーフティネット”になっていることは紛れもない事実だろう」。

  増加する精神障害とイジメ

   ・引用:「「氷河期世代三〇人」のうち、正社員経験がある人は一四人だった。そのうち、一一人が
        過労にともなう心身疾患、パワハラやイジメなどが理由で正社員を辞めるに至っている」。
        → 実に、八割近い割合である。

p.82 ・引用:「労災補償の請求件数のうち、精神障害によるものは、一九九九年以降、大幅な上昇を続け
        ている」。1998年(42件)→2012年(1,257件)。30倍近くまで膨れ上がっている。
        → 2007年を境にして、過労自殺(精神障害等)>過労死(脳・心臓疾患等)へ

p.83 ・女性の電話相談も、解雇・雇い止めなどの「雇用関係」から、イジメと職場での「人間関係」に関
    する相談にシフトしている。
   ・引用:「同僚の間でストレスをぶつけ合い、傷つけ合っている状況」。
   ・労働基準法の女子保護規定の撤廃、成果主義への関心の高まりが、労働者の精神障害を増やす契機
    となっている可能性は否定できない。
   ・引用:「その後、景気が後退する中、非正規雇用が増加し、職場は、正規、契約、派遣、パート、
        日雇いなど、雇用形態による分断が進んでいった。“ゆるい職場”はなくなり、誰もが目
        に見える成果を求められる。自分もギリギリの状態だから、他人の“やらない”“できな
        い”が許せない──このようにして職場でのパワハラやイジメが蔓延していった」。

  余裕のない職場で

p.84 ・職場でパワハラとイジメを経験した浅賀さんの事例。

p.85 ・明らかな左遷、リストラ人事にあった浅賀さん。

p.86 ・試用期間で馘首の連続。結局、仕事の覚えが悪い人は「使えない人」の烙印が捺される。

p.87 ・余裕のある職場ならば本領を発揮できるのに、そういう職場は少ないので、いつもマッチングに失
    敗する浅賀さん。

  障害者枠で働く

   ・引用:「草柳明子さん(四七歳)は、地方公務員として安定した立場にあったものの、職場のスト
        レスから働けなくなり、今は障害者用の非正規枠で働いている」。

p.88 ・バブル期は人気がなかった公務員。四度の異動を経て29歳のときに配属されたのが、水道課。

p.89 ・「心因反応」という診断を受けた草柳さん。

    心因反応(ネット記事「ココロの病気について」より)

  心因反応とは、心理的原因によって反応性(精神的ストレスやショックによって引き起こされること)
 に生じた精神障害をいいます。比較的最近の直接的な心理的原因によって生じた、神経症よりは重症の精
 神病状態をさして用いられます。

  特徴

   1)発症の原因となりうる明かな心理的情動的体験があること。
   2)症状は神経症より重く、精神病状態といえるほど重症であること。
   3)原因となった心理的情動的体験と精神症状の発現と内容との間に、ある程度関連のあること。
   4)症状は原因がなくなるか、時間的経過により希薄になるにつれ軽快すること。
   5)症状は原則として可逆性であり完全に元に戻ること。

  しかし、これらはあくまでも一つの標識であって、上記のことはすべての例に当てはまるとは限りません。

  症状

   ・原始反応(驚愕反応)
     大災害や戦場などその人の生命が脅かされるような突発的状況に直面して、あまりにも強い感情
    体験のために、精神機能全体の統制が失われ、一過性に原始的な生物学的反応を示す場合をいいま
    す。極度の興奮や錯乱、無目的な運動乱発や逆に茫然自失として周囲からの働きかけにまったく反
    応しない昏迷状態、あるいは反応性すべての感情が起こらなくなる常道麻痺や意識混濁など。身体
    症状として、動機、発汗、ふるえ、けいれん、呼吸困難、脱力など。

   ・感応精神病
     ある精神病者の精神病的症状が、その人と情緒的な結びつきを持った人に取り込まれることによ
    って、同じ症状が現れることをいいます。感応しやすい精神症状は、被害妄想、宗教妄想、憑依妄
    想、好訴妄想、誇大妄想などの妄想がもっとも多く、ときに錯乱状態や幻想、幻覚、恍惚状態など
    もみられることがあります。

   ・拘禁精神病
     刑務所や拘置所、あるいは強制収用所や人質としてある場所に拘禁されることによって生じる精
    神障害です。突発的な怒りや叫び泣き笑うなどの感情の爆発、壁や扉を乱打し器物を破壊するなど
    の運動乱発がみられたり、逆に周囲の刺激にまったく反応せず、食事もとらずに寝たきりになる昏
    迷状態がみられることもあります。

   ・祈祷性精神病
     加持祈祷、まじないなどの際に、その場の雰囲気や祈祷師の言葉などに暗示されて反応性に生じ
    る精神病状態をいいます。自分が神や動物あるいは別の人物に変換してしまったり(人格変換)、
    キツネやイヌ、神などのとりつかれたり(憑依妄想)、言わされる行動させられる(させられ体験)
    などが特徴的ですが、奇異な行動や興奮状態をしめしたり、動きが止まり周囲に反応しない昏迷状
    態になることもあります。

   ・統合失調症性反応、抑うつ反応
     統合失調症性反応というのは、発病の契機となるような明確な心理的原因や環境の負荷があって
    急性に幻覚や妄想、不安や興奮状態あるいは昏迷状態などの統合失調症状態を現すものをいいます。
    統合失調症と比較して感情的接触がよいこと、また病状は完全に回復するとされています。抑うつ
    反応は、反応性うつ病ともいわれるもので、近親者との離別やその他の喪失体験などの情動体験に
    引き続いて抑うつ状態におちいるものをいいます。

   ・妄想反応
     敏感関係妄想・・・敏感性格(一方では内気、控えめ、対人関係に敏感で傷つきやすいが、他方
    では強い道徳心や名誉心、自己主張をもつ安定度のよくない性格)の人がある困難な状況に置かれ、
    その状況から長期間逃れることができないとき、関係妄想を生じ、その病状は統合失調症の妄想型
    やパラノイア(妄想症)と区別しにくいとされています。
     好訴妄想
     難聴者の迫害妄想
     海外渡航者の急性妄想反応

   ・解離性障害
     解離性健忘……最近の苦痛をともなう不快な体験や心的外傷的出来事についての記憶喪失のこ
            とで、通常は部分的で選択的ですが、完全な健忘もあります。
     解離性遁走……耐え難い現実から逃れ数日から数ヶ月間家庭や職場を捨てて意図的に放浪する
            場合で、その遁走期間中、解離性健忘が存在しますが、基本的な自己管理がで
            き対人関係ももてることが特徴的です。健忘から改善されたあとで、逆にその
            間のことはまったく思い出せなかったり、部分的にしか思い出せないのが普通
            です。
     解離性もうろう状態……強い情動体験の際に解離症状としてみられる意識障害です。意識野が
                狭くなった意識狭窄を主としたもうろう状態です。

  家族や周囲の人の対処法

  周囲の人たちが直面するのは、さまざまな精神病状態におちいっている人に向かい合い世話しなければ
 いけないという現実です。実際周囲の人たちは、原因となった出来事や置かれている状況からその人がな
 ぜそうなったかを十分理解でき、共感できることが多く、つきっきりで世話をやきながら慰めたり励まし
 たりして何とか本人を立ち直らせようとつとめます。
  しかし、現在起こっている異常な興奮や極度の不眠、摂食拒否などの異常行動、働きかけに対する無反
 応、あるいは幻覚や妄想に振り回されている人を、どうしてあげたらいいかわからないという状況におち
 いることが多いと思います。本人は病識をもてないのが普通ですし、また周囲の働きかけを受け入れ理解
 できる状態にないのが精神病状態だからです。
  したがって、ます第一にするべきなのはしかるべき精神科の診察を受けさせるように努力することです。
 たとえ、反応性だとしても他の精神病のときの対処の仕方と同じに考えるべきです。本人の身体状態を改
 善し、生命身体の安全を確保するとともに精神病状態を改善し、さまざまな働きかけが可能となるように
 するためには、薬物療法を欠かすことができません。
  それと同時に、できるかぎり原因となった心因の除去あるいは環境の調整につとめることが大切です。

   ・その後、職場復帰。

p.90 ・公務員バッシングの影響で、草柳さんは「職場イジメ」のターゲットとなる。
   ・結局、詰め腹を切らされる草柳さん。

p.91 ・「なぜ、公務員を辞めたのか」という負のイメージ。
   ・即戦力と見られながら、対応できない辛さ。

p.92 ・正社員に向けての努力もなかなか報われない日々。
   ・草柳さんは実家暮らしだが、父親は80代、母親は70代で、頼りにならない。

p.93 ・あえて、障害者枠で仕事。できる人なのに、間が悪かったのか。

  正社員にはなったけれど

   ・非正規雇用の実態が過酷だということをさんざん聞かされた世代にすれば、「正社員」という立場
    は、まさに金バッジなのである。

p.94 ・「新卒非正規」や「新卒無業」よりも、条件や待遇に多少気になる点があっても、正社員として入
    社することを選ぶのが一般的である。とりあえず、「内定」を得ることが大事というわけである。
   ・引用:「学卒後切れ目なく就職する新規学卒一括採用によって、日本の若年雇用はある意味安定し
        ていた。しかし、長引く不況のため、新規学卒者の就職率は下がり続け、就職氷河期の底
        と言われた二〇〇三年の就職率は五五・一%(文部科学省「学校基本調査」)と過去最低
        を記録している。
         こうした中で、大学もまた、就職内定率を上げることに躍起になり、“ブラック”の疑
        いのある企業に学生を送り出しているとしたら、その罪は重い」。
   ・もちろん、厚生労働省はブラック企業対策を疎かにしているわけではない。

p.95 ・大学などの学校もお座なりの対応ではなく、学生の将来がかかっていることを忘れてはならない
    だろう。

p.96 ・働く能力がある人が働けないというのは、本人にとっても、社会にとっても大いなる損失である。

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 恵まれた職場にいる人間からすれば、とても直視できない現実でしょう。とくに、本領を発揮できないま
まイジメに遭ったり、リストラされたりする人は、憤懣やるかたない思いを抱えて、奈落の底に突き落とさ
れた気分でしょう。「何とかならないのか」と誰もが思いながら、なかなか見えて来ない解決策。日本の構
造的な欠陥を指摘することは簡単ですが、なかなかその後が続かないようです。諦めないで、粘り強くこの
現実に対応することが大切ですが、さて何をどうしたらよいのでしょうか。
 さて、次回は、「4章 非正規という負の連鎖」に言及する予定です。

                                                 
 2018年5月3日(木)

 連休初日ですが、大学に来ています。もっとも、のんびりムードなので、苦になりません。いろいろやり
たいこともありますし……。
 さて、『ルポ 貧困女子』(飯島裕子 著、岩波新書、2016年)の抜書とコメントに着手しましょう。本日
は、「2章 家事手伝いに潜む闇」に言及します。


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 2章 家事手伝いに潜む闇
     
  中退を引き金に接点を失う

p.46 ・引用:「長年、社会との接点を失ったまま、実家で暮らしている女性も少なくない」。
   ・拒食症と婦人科系の病気が不登校の原因となり、その結果高校を中退した田川さんの例。

    不登校の主な8つの原因とその対応方法(不登校サポートナビより。一部改変した)

     参照元データ:平成24年度の「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」

  1.学校生活によるトラブル(いじめ、集団生活が苦手、教師と合わないなど)

  社会問題にもなっている“いじめ”ですが、実際にはいじめが原因で不登校になる児童は0.5-2%
 程度とされており、友人間のトラブル(8-15%)といった出来事のほうが、不登校の原因となりやす
 いというデータが出ています。しかし、学校側でいじめと認定されていないだけで、実際当事者であ
 る子どもは「いじめられた」と思っている場合もあるので、実際は2%よりも多い数の生徒が、いじめ
 により不登校になっている可能性があります。
  不登校の傾向が出てきたからといってむやみに心配するよりも、子どもの話をゆっくりと聞き、合
 わない人もいれば合う人もいる、自分が疲れない適度な距離で接しても大丈夫といった言葉で、子ど
 もの心にある負荷を取り除いてあげることが大切です。特にいじめだった場合、それを両親に話すこ
 とも非常に勇気がいることですから、優しく受け止めて欲しいと思います。
  その上で、特別教室や保健室登校といったところから復学を目指す、別の学校に転校して環境を変
 えるという選択を考えていくと良いでしょう。

  2.無気力

  不登校の原因で最も多いのがこの無気力です。小中学生では25.9%、高校生では30.1%もの児童が不
 登校の理由に無気力をあげています。受験で燃え尽きてしまった、学校での生活が理想と違った、期
 待に応えようと頑張りすぎて疲れてしまったなど、子どもによって理由はさまざまです。
  無気力になっているところに、「学校へ行け!」、「勉強しろ!」と言ったり、無理やり保健室登
 校などをさせたりしても復学に至ることは難しいでしょう。まずは本人を休ませ、無気力から前に進
 みたい気持ちを取り戻してもらうことが先決です。
  ただし、ただ家にいて昼過ぎに起きて朝方に眠り、ネットやマンガ漬けになってしまうと、更に無
 気力が加速してしまいますので、生活リズムを家族に合わせる、おつかいやお出かけに付き合わせる
 といったように、メリハリのある生活と外の世界との接触は継続するようにしましょう。

  3.非行や遊び

  非行や遊びといった理由も不登校の原因の9-13%を占めており、決して少ない割合ではありません。
 こちらも、原因はひとつではありませんが、家庭での問題が影響していることが多いようです。

  ・家庭内の不和から居場所を無くし、悪い友人と一緒にいるようになった
  ・勉強やスポーツなど、自分自身ではなく成果しか褒められないのが嫌になった
    → 意味が通りにくいので、以下にように解釈してみた。
      勉強やスポーツなど、自分では努力している様子を見てもらいたいのに、芳しい成果しか
      親から褒められないのが嫌になった
  ・友人関係、勉強、将来についてなどに対し、親の干渉が厳しすぎたため
  ・親が自分に無関心であると感じ、意識を向けさせたい

  このように問題行動は、“理想の子ども”でいることへの反発であることが多いのです。親の都合
 の“いい子”であることや、頭の“いい子”でいることを評価するのではなく、健康で元気に過ごせ
 ているだけで十分だと伝えたり、思いやりを見せてくれた時には感謝を伝える、といったことで、子
 ども自身を認め、愛情を示すことが大切です。

  4.学業不振

  学業不振も、不登校の原因のうち8-9%を占めています。
  思ったように成績が伸びない、勉強が難しくてついていけないといった理由から、授業や試験が辛
 くなり学校に行かなくなるのです。
  対策としては、やはり学力を上げることが必要となってきます。
  小学生であれば、家庭で親が教師代わりを務めてあげることが有効でしょう。子どもの興味がある
 ことや、好きな教科を中心に勉強を進めてみましょう。ただし、「なんでこんな問題もわからないん
 だ」といったように子どもを責めてしまうと、更に勉強嫌いを助長させてしまいます。
  中学生や高校生でのつまづきは、分からなくなった部分から勉強することが大切です。個別指導の
 塾や家庭教師を利用して、しっかりと学び直しましょう。
  このように学力のサポートを行うことで復学に備えた環境を作ることが大切です。

  5.甘えたがり・精神が未熟

  小学生の児童に多いのが、親と離れることによる不安や自立心が育っていないという理由です。
  内面が未熟であるため、運動や試験などの苦手なことがあると学校を休みたがったり、生活習慣が
 身につかない傾向があります。
  また、落ち込んでいるように見えても、学校へ行くと楽しそうに過ごしているため親は安心するの
 ですが、またすぐに学校へ行かなくなるということを繰り返します。
  このようなタイプは、急に改善することが難しいため、先生や家族、専門機関の継続的なサポート
 を通して、子どもの内面が成長していくことを長期的に見守っていくことが大切です。

  6.家庭環境(金銭的問題、介護、家庭内不和など)

  両親の離婚や、リストラによる生活の困窮といった家庭環境の変化をきっかけに不登校となる子ど
 もも3-5%程度存在します。
  しかし、実際はその事実が辛くて……というよりは、離婚やリストラといったストレスで親自身が
 余裕のない生活となってしまうことから、子ども自身もストレスを感じ、学校や家族と関わることを
 避けるようになる場合も多いのです。
  ここで夜遊びなどの非行に走る子どももいれば、自室にこもって出てこないというように、子ども
 が見せる反応はさまざま。
  親も、子どもに心配をかけないようにと必死になりますが、それは子どもにも伝わっています。ま
 た、親自身のストレスが大きい場合、自分はこんなに子どものために頑張っているのに、なぜ子ども
 は自分を困らせるようなことをするのか? ……と無意識に子どもを責めてしまいがちです。
  しかし、子どもも苦しい気持ちを親に打ち明けられず、心配をかけたくないため、お互いにすれ違
 いが生まれてしまいます。
  子どもには楽しんだり、勉強をしていいことを伝え、辛い気持ちをお互いに話し合うことが親子の
 溝を埋めてくれるかもしれません。

  7.発達障害

  教科によって極端に学習の遅れが見られる、同じ年齢の子どもたちと遊ばない、文章の理解に普通
 よりもあきらかに時間がかかるなどの特徴がみられます。
  知的能力には問題がなくても、「聞く」、「話す」、「読む」、「書く」が出来ない場合(LD:学習
 障害)や、静かにしなければならない場面でどうしても出来ないといった注意欠陥多動症(ADHD)も、
 発達障害の一部です。
  こういった子どもには、専門的な知識をもったカウンセラーや、担任の教師と一緒に継続的なサポ
 ートを行っていく必要があります。個別指導を取り入れながら、子どもにとって最も良い学習環境を
 整えてあげることが大切です。

  8.神経症

  強いこだわりがある、理由もなく不安になる、気分的な落ち込み、対人恐怖症になるなど、ストレ
 スによって何らかの精神的負担や行動ができなくなるなどの症状を、神経症といいます。
  神経症と思われる、不安などの情緒的混乱を不登校の原因とする児童は16-26%程度おり、高い割合
 を占めています。
  他の原因から二次的に派生することも多いのですが、中には精神疾患の初期症状としてこの神経症
 が出ている場合もありますので、上記した傾向が強いようであれば、まずは医者などの専門機関に相
 談してみることも大切です。

   ・コンプレックスが最初の引き金になっている。

p.47 ・父親からの体罰と罵倒。
   ・引用:「厳しい現状を何とかしたいと思っても、金銭的にも精神的にも余裕がなく、抜け出す
        ことができない」。
   ・「相談できる人がない」ということも問題を深めている。

  ニート・ひきこもりは男性ばかり!?

p.48 ・理由はさまざまであるが、いわゆるニートや引きこもりを「経験したことがある」と答える若
    い女性は多い。
   ・引用:「しかし、私たちは「ニート」「ひきこもり」という言葉から、男性を連想することが
        多いのではないだろうか」? 
   ・「ニート」や「ひきこもり」は、21世紀になってから広く用いられるようになった言葉である。
   ・当時は、就職氷河期が続き、非正規雇用の若者が急増したが、その要因として「社会構造上の
    問題」を差し置いて、「怠惰で働く意欲のない若者の問題」として認識されていた。
   ・引用:「その後、彼らに対する調査研究等も進み、働くことができないのは、若者の“自己責任”
        ではなく、雇用の非正規化、不安定化を含む問題なのだと理解されるようになってきた」。

p.49 ・しかし、ニートやひきこもりの当事者として扱つかわれるのはあくまで男性が中心である。これ
    は、“一家の大黒柱となるべき若年男性”が働かないことは一大事という、「男性稼ぎ主モデル」
    的な価値観がまだまだ支配的だからである。
   ・2013年の調査(総務省統計局「労働力調査」)によれば、若年無業者の数は63万人で、男性40万
    人、女性23万人の由。
   ・しかし、この数字には落とし穴がある。「家事手伝い」は含まれないからである。

p.50 ・引用:「若年女性の場合、「家事手伝い」という名の下、ニートやひきこもりの問題が隠されて
        いるということができる」。

  家族も無関心

p.51 ・どうしたいのか、傍からはよく分らない本間さん(19歳)の事例。

p.52 ・引用:「若い男性が就職せずに家にいれば、家族、親戚、ご近所等で“大問題”となり、世間か
        ら犯罪者扱いされかねないが、女性の場合はそうはならないだろう」。
   ・社会との接点がないまま成人した31歳の女性が餓死。

    参考映画:『おくりびと』、監督:滝田洋二郎、「おくりびと」製作委員会〔TBS=セディック
          インターナショナル=松竹=電通=アミューズソフト エンタテインメント=小学館=
          毎日放送=朝日新聞社=テレビユー山形=TBSラジオ〕、2008年。
         『子宮に沈める』、監督:緒方貴臣、paranoidkichen、2013年。

p.53 ・引用:「学校や職場から疎外されると友人や知人を作ることは難しく、社会との接点は見出しづ
        らい。また、「働いていない」「学校を出ていない」「結婚していない」「友だちがい
        ない」などの状況が自信を喪失させ、それがさらに外に出ていく気力を奪い、社会的に
        孤立していくという悪循環を生み出していく」。

  父の死で暗転

   ・イジメを契機にして不登校になって以来、20年近く自宅に引きこもる武井さんの事例。

p.54 ・長続きしないバイト。体力的にも精神的にも他の人々についていけない。自分の無能さに自己
    嫌悪を感じてしまう。
   ・ひきこもってからは、極度の潔癖症に。1日にトイレットペーパーを24ロール使い果たしたこ
    ともある。
   ・27歳になったある日、頭が爆発しそうになって「お願いだから助けてください!」と一一九番。
    強迫神経症という診断。

p.55 ・引用:「「病名がついてある意味、ホッとした」と武井さんは言う」。
     → 自分の正体が判明して、安堵感をもたらすことになった。
   ・父が亡くなり、母と妹と三人暮らし。しかし、誰もが家計を支えられない状況で、母はパニッ
    ク障害まで発症している。妹も、大学こそ卒業したが無職。いずれこの家族は餓死するのでは
    ないかと不安でたまらない。

p.56 ・「いつまでもあると思うな親と金」……まさに金言である。
   ・ひきこもり経験のある人には、障害が隠れている場合がある。
     → 解離性人格障害、アスペルガー症候群、不安性障害など。

   解離性障害(ウィキペディアより)

  解離性障害(英: Dissociative Disorders; DD)とは、自分が自分であるという感覚が失われてい
 る状態が主となる個々の精神障害のためのカテゴリ(分類)である。『精神障害の診断と統計マニュ
 アル』第5版 (DSM-5、アメリカ精神医学会、2013年)では、解離症群と解離性障害が併記される。
  解離性健忘では、ストレスに満ちた出来事の記憶が欠落しており、離人症性障害(離人感・現実感
 消失障害)では自分を外から見ているような感覚であり、解離性同一性障害では人格が複数となるが
 DSM-IV編纂委員長によれば医原性である。これらの症状は他の精神障害や身体疾患でも見られるため、
 鑑別は必要とされる。解離性障害の人は、防衛機制の解離を無意識的に使用しているとされる。
  1994年のDSM-IVと並ぶ診断基準、1990年の世界保健機関 (WHO) のICD-10において、解離性障害に該
 当するものは「解離性[転換性]障害」であるが、名称にも現れているように、含まれる範囲は異なる。

   アスペルガー症候群(ウィキペディアより)

  ICD-10におけるアスペルガー症候群(英:Asperger Syndrome)、DSM-IVにおけるアスペルガー障害  
 (Asperger disorder)とは、知的障害を伴わないものの、興味・コミュニケーションについて特異性
 が認められる、ヒトの発達における障害。2013年のDSM-5、および後のICD-11では、本診名はなく自閉
 症スペクトラム障害の中に位置づけられる。
  特定の分野への強いこだわりを示し、運動機能の軽度な障害が見られたりすることもある。しかし、
 古典的自閉症に見られるような知的障害および言語障害はない。DSM-IVへのアスペルガー障害の診断
 の追加は過剰な診断の流行をもたらした。
  発生原因は不明である。効果が示されたと広く支持される治療法はない。放っておくとうつ病や強
 迫性障害といった二次障害になることがあるとの指摘もある。

    参考映画:『音符と昆布』、監督:井上春生、「音符と昆布」製作委員会〔エピックレコード
          ジャパン=読売広告社=キューブ=ボイス&ハート=tvk=テレ玉=チバテレビ=
          三重テレビ=KBS京都=サンテレビ〕、2008年。

   不安障害(ウィキペディアより)

  不安障害(英:Anxiety disorder)とは、過剰な反芻や心配、恐怖の特徴を有するいくつかの異な
 る種類の一般的な精神障害を含んだ総称である。不安は、身体と精神の健康に影響を及ぼす可能性が
 ある不確かで現実に基づかないか、あるいは想像上の将来についてである。
  不安障害は、さまざまな心理社会的要因を有し、遺伝的素因を含む可能性もある。不安障害の診断
 は2つの分類に分けられ、それは持続しているか、一時的な症状かどうかに基づく。たびたび全般性
 不安障害として誤診される、不安障害に類似した症状を有する甲状腺機能亢進症のような医学的疾患
 も存在する。
  不安障害は、全般性不安障害、特定の恐怖症、およびパニック障害に分けられ、各々が特徴と症状
 を持ち、異なる治療を要する。不安障害が発現させる感情は、単なる緊張から恐怖による発作までに
 わたる。
  テイラー不安検査やツング不安自己評価尺度のような標準化された検査用の臨床アンケートを、不
 安症状の検出に用いることが可能で、不安障害の正式な診断評価のために必要であることが示唆され
 る。

  就労以前からの困難

   ・引用:「政府は高止まりしているニート・ひきこもりの若者に対して支援事業を実施してきた。
        二〇〇三年には「若者自立・挑戦プラン」が打ち出され、職業紹介や就労相談などさ
        まざまな支援が受けられる「地域若者サポートステーション」(通称、サポステ)が
        全国に展開されたほか、二〇一〇年には「子ども・若者育成支援推進法」が施行され
        るなど、さまざまな取り組みが見られる」。

p.56-57 ・サポステは全国160カ所(2014年現在)。若者の社会的自立に向けた中心的な存在として機
     能している。

p.57 ・しかし、このサポステも、その利用者は男性中心である。利用者の男女比率は、64対36である。
   ・そもそもサポステのプログラム自体が男性向きに作られている。
   ・男性に対して恐怖心や苦手意識のある女性に対するケアが乏しい傾向にある。

  ガールズ講座

p.57-58 ・引用:「横浜市男女共同参画推進協会は、二〇〇九年、全国に先駆け、若年無業女性のため
          の「ガールズ支援事業」をスタートさせた。二〇一四年末までに延べ二六〇人近く
          の女性たちが受講している」。

p.58 ・相談スタッフも参加者もみな女性という場を作ることの大切さ。
   ・「ガールズ講座」の目的……(1)安心感を体験すること、(2)自己肯定につながる気づきを
                  得ること、(3)孤立から脱出すること。
   ・最上さんの実例。

p.59 ・「一番良かったのは、人との出会いです」という言葉に込められた最上さんの気持。

p.60 ・ハードルを自分自身の力で乗り越えることの大切さ。自信につながる。たとえば、料理の勉強を
    始めてみるなど、身近なところから着手してみる。

p.61-62 ・引用:「女性無業者は比較的高学歴であるが、学齢期に不登校やイジメを経験している割合
          が高い。大半の女性が実家に暮らしているが、家族からの過干渉や暴力、虐待を受
          けたことがある人もおり、実家が安心できる場であるとは限らないようだ。またこ
          うした経験ゆえか、人間関係に苦手意識を抱えている人が多く、それが就労に影響
          を及ぼしていることが見受けられる」。

p.62 ・しかし、現実は厳しく、誰でもスムーズに就労できるわけではない。

p.63 ・ニートの高齢化問題。
   ・引用:「四〇歳以上の女性への支援となると子育て支援や再就職支援、シングルマザー支援と
        いうものはあるけれど、未婚無業女性を想定したものはほとんどありません」。

  さいたまでの取り組み

   ・引用:「埼玉県男女共同参画推進センター(with you さいたま)では、二〇一二年から四〇歳    
        以下の働きづらさ・生きづらさに悩む女性、経済的に困難な状況にある女性を対象と
        した就労支援講座を定期的に開催してきた」。
         → ビジネスマナー、パソコンスキル、就労体験、面接相談など。

p.64 ・強迫神経症を患ったことのある阪口さんの実例。
   ・国も個人も「家族福祉」をあてにしないくて済む社会的システムの必要性。

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 人は、自分にできることを他者ができないと、なぜできないのか不思議がります。しかし、自分にとって
はるかに低いハードルが、とてつもなく高く感じる人もいることに気づかなければならないでしょう。その
人の潜在能力を少しずつでも引き出して、やがては自立できるまで、長い目で見なければならないのです。
人は、案外、やればできることが多いのです。もちろん、どうしても無理なことは、別の支援を用意しなけ
ればならないでしょう。人々の間で「助け合い」の気持が消えていったら、どれだけ嫌な生き難い世の中が
現出することでしょう。人によっては、たしかに甘えが目立つこともあるでしょう。しかし、甘えるものの
ない世の中など、何の意味があるのでしょうか。「弱肉強食」を否定した人類に未来はありますが、その反
対の方向に進めば、誰もが苦しまなければならないでしょう。現代の日本には、不安を抱えて怯えて生きて
いる若い女性はたくさんいるでしょう。そういう女性がひとりでもいなくなるように、一層の対策が必要で
しょう。
 さて、次回は、「3章 正社員でも厳しい」に言及する予定です。
 現在、21時35分。帰り頃ですね。

                                                 
 2018年5月2日(水)

 1限が終わったので、今日はもう義務がありません。さて、何に着手しましょうか。……と思っていたら
雑用がいくつか舞い込みました。とりあえず、それらに着手します。
 現在、21時20分。そろそろ店仕舞いにします。明日から連休ですが、講義ノートを作っておきたいので、
たぶん大学に来ます。

                                               
 2018年5月1日(火)

 月が替わりました。早いもので、もう5月です。薫風爽やかな天候ですが、仕事は待ってくれません。
今日は2コマ・デー。30分後には看護学校に出向します。
 現在、21時35分。明日の準備ができたので、帰ります。明日は1限の「(共)課題探究実践セミナー」か
ら始まります。

                                                 
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