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 以下に、「日日是労働」のダイジェスト版・第129弾を掲げます。直ぐ下の記事がこの「日日是労働セレク
ト129」の中では最も新しい日付のものです。つまり、読み進めるほど、古い記事になります。ただし、いち
いち明示しませんが、後日に行った加筆訂正を含んだ日があります。日誌ですから、少なくとも後日に加筆
することはご法度であるはずですが、「某月某日」ということもあり、記事内容の充実を優先させました。
ご了承ください。また、頑張って「辛口」の批評を展開しようと務めておりますので、本文に何かと読者の
お気に召さない表現等が散見されるやもしれませんが、特定の個人、団体等を誹謗中傷する目的は一切あり
ませんので、どうぞご理解ください。なお、ご感想は、muto@kochi-u.ac.jp までお寄せ下さい。


 某月某日

 DVDでドキュメンタリー映画の『全身小説家』(監督:原一男、疾走プロ、1994年)を観た。この映画の
存在を知ったときから観たいと思っていた作品で、念願が叶ったというわけである。そもそも、観たい映画
は山ほどあるが、鑑賞の契機は運任せである。したがって、あらゆる手段を尽くして鑑賞に及ぶということ
はない。この映画も、たまたまDVDを手に入れてからしばらく時間が経っている。作家の井上光晴の晩年を
追いかけた作品であるが、なかなかよく出来ており、飽きる場面もほとんどなかった。再現フィルムが組み
込まれているが、これは愛嬌というものであろう。
 例によって、<Movie Walker>を引用してみよう。執筆者に感謝したい。なお、一部改変したが、ご寛恕を
乞う。

   〔解説〕

  作家・井上光晴の〈虚構と現実〉を、彼が癌により死に至るまでの5年間を追い描いたドキュメン
 タリー。『ゆきゆきて、神軍』(1987年)の原一男監督作品。『地の群れ』、『虚構のクレーン』な
 どで知られる戦後派の作家・井上光晴は、昭和52年に佐世保で文学伝習所を開いた。以後全国13ケ所
 に広がったその伝習所を中心に、彼は各地方で体当たりの文学活動を実践してきた。映画はその伝習
 所に集った生徒たちとの交流や、そして特に伝習所の女性たちが語るエピソード、文壇で数少ない交
 友を持った埴谷雄高、瀬戸内寂聴らの証言を通して、井上光晴の文学活動、〈生〉そのものを捉えて
 いく。撮影準備直後、井上にS字結腸癌が発生し、いったん手術は成功するもののやがて肝臓へ転移
 していく。カメラは彼がその癌と戦う姿も生々しく撮り続けるが、平成4年(1992年)5月、遂に井上
 光晴は死を迎える。映画はさらにその井上自身の発言や作品を通して語られた彼の履歴や原体験が詐
 称されていたということ、つまり、文学的な虚構であったという事実を、親族や関係者への取材を通
 してスリリングに明らかにしていく。そしてその虚構の風景を、映画はモノクロームのイメージシー
 ンによって再現する。フィクションの映像をドキュメンタリーの中に取り入れることによって、まさ
 に〈虚構と現実〉を生きた文学者の全体像に迫ろうとした、渾身の作品となった。1994年度キネマ旬
 報日本映画ベストテン第1位、同読者選出日本映画ベストテン第4位。

 主な出演者で名前の挙がっている人を以下に記しておこう。

 井上光晴、井上郁子(光晴の妻)、埴谷雄高(作家)、瀬戸内寂聴(同)、野間宏(同)、土方鐡(同)、
岡下田鶴子(光晴の実妹)、中橋実郎(母の実弟)、横内正典(医師)、など。

 再現フィルムの出演者は以下の通りである。

 金久美子(たか子=母)、山本与志恵(サカ=祖母)、磯春陽(崔鶴代=光晴が思いを寄せた女性)、窪
田匡章(光晴=少年時代)、杉山裕哉(同じく幼年時代)、大矢玲美衣(田鶴子)、小田木美聡(母が再婚
した先の子ども)、小田木嘉寛(同)、金泳三(清津亭の人)、趙裕美(同)、河玉蓮(同)、李淑子(同)、
鄭榮寿(同)、禹智允(同)、黒田明美(同)、山木さゆり(同)、小川夏代(同)、勝村ゆり〔燐光群〕
(同)、山口柚香(同)、北岡秋津(同)、北邨和恵(同)、など。

 特典映像として、監督の原一男と精神科医の斎藤學〔さとる〕が対談を行っている。その中で、斎藤が、
井上光晴に対して「空想虚言(pseudologia phantastica)」という言葉を遣っているが、経済事犯(虚言
を用いて人から金品を巻き上げること)でなければ犯罪ではないし、また病気でもないと語っている。つま
り、人を楽しませるためのウソは、人間界における許容範囲に入るというわけである。小生は、即座に、宇
野浩二の『苦の世界』の登場人物(津田沼の半田)や、夢野久作の『少女地獄』所収の「何んでも無い」の
ヒロインである姫草ユリ子を思い出した。とくに、ユリ子は小生の関心を大いに惹く人物で、是非誰かが映
画化をしてほしい作品の登場人物でもある。なお、同じく斎藤が、例証として挙げた三浦和義には、「演技
性パーソナリティ障害」という一種の病名を与えているのと対照的ある。小生は井上光晴の詩を「花摘みの
頁オルドゥーヴル」に引用しているが、彼には以前から興味があり、注目していたので、今回の当該映画の
鑑賞は役に立った。時間ができれば、あまり読んでいない彼の作品を繙いてみたい。とくに、『紙咲道生少
年の記録』(当該映画の中にも登場する)に触手が動いたことを記しておこう。ちなみに、井上光晴原作の
映画『地の群れ』(監督:熊井啓、えるふプロ=ATG、1970年)や、同じ原一男監督の『ゆきゆきて、神軍』
(監督:原一男、疾走プロダクション、1987年)は、ともにかなりショッキングな映画である。


 某月某日

 DVDで邦画の『吶喊』(監督:岡本喜八、喜八プロ=ATG、1975年)を観た。幕末を描いた「青春時代劇」
とも言える作品で、岡本色がはっきり出ている。ちなみに、幕末前後を描いた主な邦画には以下のものがあ
る。岡本作品には、○で印をつけておく。

  『維新の京洛 竜の巻・虎の巻』、監督:池田富保、日活太秦、1928年〔筆者、未見〕。
  『新撰組悲歌』、監督:益田晴夫、大都映画、1934年〔筆者、未見〕。
  『新選組』、監督:木村荘十二、PCL=前進座、1937年〔筆者、未見〕。
  『維新の曲』、監督:牛原虚彦、大映京都、1942年〔筆者、未見〕。
  『花の生涯・彦根篇/江戸篇』、監督:大曾根辰夫、松竹京都、1953年〔筆者、未見〕。
  『夜明け前』、監督:吉村公三郎、近代映画協会=劇団民藝、1953年〔筆者、未見〕。
  『近藤勇 池田屋騒動』、監督:池田菁穂、新東宝、1953年〔筆者、未見〕。
  『新選組鬼隊長』、監督:河野寿一、東映京都、1954年〔筆者、未見〕。
  『月形半平太 花の巻 嵐の巻』、監督:衣笠貞之助、大映京都、1956年。
  『幕末太陽傳』、監督:川島雄三、日活、1957年。
  『壮烈新撰組・幕末の動乱』、監督:佐々木康、東映京都、1960年〔筆者、未見〕。
  『維新の篝火』、監督:松田定次、東映京都、1961年〔筆者、未見〕。
  『新選組始末記』、監督:三隅研次、大映京都、1963年。
  『新選組血風録 近藤勇』、監督:小沢茂弘、東映、1963年〔筆者、未見〕。
  『暗殺』、監督:篠田正浩、松竹京都、1964年。
  『幕末残酷物語』、監督:加藤泰、東映京都、1964年〔筆者、未見〕。
  ○『侍』、監督:岡本喜八、三船プロ=東宝、1965年。
  『燃えよ剣』、監督:市村泰一、松竹、1966年〔筆者、未見〕。
  『幕末・てなもんや大騒動』、監督:古沢憲吾、東宝=東宝映画=渡辺プロ、1967年〔筆者、未見〕。
  ○『赤毛』、監督:岡本喜八、三船プロダクション、1969年。
  『日本暗殺秘録』、監督:中島貞夫、東映京都、1969年。
  『人斬り』、監督:五社英雄、フジテレビジョン=勝プロ、1969年〔筆者、未見〕。
  『コント55号・宇宙大冒険』、監督:福田純、東宝、1969年〔筆者、未見〕。
  『新選組』、監督:沢島忠、三船プロ、1970年〔筆者、未見〕。
  『幕末』、監督:伊藤大輔、中村プロダクション、1970年〔筆者、未見〕。
  『沖田総司』、監督:出目昌伸、東宝映画、1974年〔筆者、未見〕。
  『竜馬暗殺』、監督:黒木和雄、映画同人社=ATG、1974年。
  ○『吶喊』、監督:岡本喜八、喜八プロ=ATG、1975年。
  『徳川一族の崩壊』、監督:山下耕作、東映京都、1980年〔筆者、未見〕。
  『ええじゃないか』、監督:今村昌平、松竹=今村プロ、1981年。
  『炎のごとく』、監督:加藤泰、大和新社、1981年〔筆者、未見〕。
  『蒲田行進曲』、監督:深作欣二、松竹=角川春樹事務所、1982年。
  『必殺! ブラウン館の怪物たち』、監督:広瀬襄、松竹=朝日放送、1985年〔筆者、未見〕。
  ○『ジャズ大名』、監督:岡本喜八、大映、1986年。
  『幕末青春グラフティ Ronin 坂本竜馬 』、監督:河合義隆、東京放送=電通、1986年〔筆者、未見〕。
  『竜馬を斬った男』、監督:山下耕作、アルマンス企画、1987年〔筆者、未見〕。
  『ゴルフ夜明け前』、監督:松林宗恵、東宝、1987年〔筆者、未見〕。
  『幕末純情伝』、監督:薬師寺光幸、「幕末純情伝」製作委員会〔松竹=東急エージェンシー=日本衛星
   放送=ニッポン放送出版=パイオニアLDC=IMAGICA=江崎グリコ=北斗塾=角川書店〕、1991年。
  『福沢諭吉』、監督:澤井信一郎、東映、1991年〔筆者、未見〕。
  『動天』、監督:舛田利雄、トーメン、1991年〔筆者、未見〕。
  ○『EAST MEETS WEST』、監督:岡本喜八、松竹=Feature Film Enterprise III=喜八プロダクション、
   1995年〔筆者、未見〕。
  『幕末のスパシーボ』、監督:出崎哲、東和ビデオ〔配給〕、1997年〔筆者、未見〕。
  『新選組』、監督:市川崑、フジテレビジョン、1999年〔筆者、未見〕。
  『御法度』、監督:大島渚、松竹=角川書店=IMAGICA=BS朝日=衛星劇場、1999年。
  『壬生義士伝』、監督:滝田洋二郎、松竹=テレビ東京=テレビ大阪=電通=衛星劇場=カルチュア・
   パブリッシャーズ=IBC岩手放送、2002年。
  『竜馬の妻とその夫と愛人』、監督:市川準、東宝映画、2002年〔筆者、未見〕。
  『隠し剣 鬼の爪』、監督:山田洋次、松竹=日本テレビ=住友商事=博報堂 DYメディアパートナーズ=
   日本出版販売=衛星劇場、2004年。
  『長州ファイブ』、監督:五十嵐匠、映画「長州ファイブ」製作委員会、2006年〔筆者、未見〕。
  『武士の一分』、監督:山田洋次、「武士の一分」製作委員会〔松竹=テレビ朝日=住友商事=博報堂
   DYメディアパートナーズ=日本出版販売=Jドリーム=エムエフ東京=読売新聞東京本社=ヤフー=
   マガジンハウス=朝日放送=名古屋テレビ放送〕、2006年。
  『憑神』、監督:降旗康男、「憑神」製作委員会、2007年〔筆者、未見〕。
  『桜田門外ノ変』、監督:佐藤純彌、「桜田門外ノ変」製作委員会〔一般社団法人 いばらき映像文化
   振興協会=映画「桜田門外ノ変」製作組合=ユニークブレインズ〕、2010年。
  『武士の家計簿』、監督:森田芳光、「武士の家計簿」製作委員会〔アスミック・エース エンタテイン
   メント=松竹=北國新聞社=電通=ティー ワイ リミテッド=テレビ朝日=衛星劇場=ヤフー・
   ジャパン=住友商事=金沢経済同友会=エース・プロダクション〕、2010年。
  『半次郎』、監督:五十嵐匠、『半次郎』製作委員会、2010年〔筆者、未見〕。
  『柘榴坂の仇討』、監督:若松節朗、「柘榴坂の仇討」製作委員会、2014年〔筆者、未見〕。
  『幕末高校生』、監督:李闘士男、「幕末高校生」製作委員会、2014年〔筆者、未見〕。
  『新選組オブ・ザ・デッド』、監督:渡辺一志、クロックワークス〔配給〕、2015年〔筆者、未見〕。

 このうち、岡本喜八作品は当該作品を含めて5作品あり、ある意味では題材として好んでいた時代なのか
もしれない。彼の作品は二十数本観ているが、当該作品はとくに特徴が際立っているわけではない。平均的
な出来と言えようか。
 物語を確認しておこう。例によって、<Movie Walker>のお世話になる。執筆者に感謝したい。なお、一部
改変したが、ご寛恕を戴きたい。

   〔解説〕

  幕末の「戊辰戦争」にまきこまれた若者たちの生きざまを通して、明治維新という変革の意味、そ
 して変革の姿を浮き彫りにした青春喜活劇。なおタイトルの「吶喊」とは、突貫する時にあげるとき
 の声のこと。脚本・監督は『青葉繁れる』の岡本喜八、撮影も同作の木村大作がそれぞれ担当。

   〔あらすじ〕

  今から百年程前の話である、と語り部の老婆(坂本九)が語りはじめる。奥州・安達ケ原で、貧乏
 で嫁も貰えない千太(伊藤敏孝)という若者が旅の女を追いかけている。その時、銃声が轟き、万次
 郎(岡田裕介)という官軍の密偵見習の青年に、その女、官軍参謀の情婦・お糸(伊佐山ひろ子)を
 奪われてしまった。戊辰の戦いは薩長雄藩の会津への憎しみから始まり、奥羽戦争は奥羽列藩の世良
 修蔵参謀(村松克巳)への怒りから始まった。仙台藩有志による、尊大横暴の奥羽鎮撫総督・世良修
 蔵捕縛の夜、同じ妓楼で、千太はテル(千波恵美子)という妓、万次郎はお糸の手で筆下ろしをした。
 その頃、奥羽の玄関口、白河城は官軍の手に落ち、奥羽列藩組は敗走していた。ことに仙台藩軍の弱
 腰に怒った、仙台藩下級武士の細谷十太夫(高橋悦史)は、博徒、百姓、土方など五十七名を集めて、
 からす組というゲリラ隊を組織した。千太もからす組に参加したが、時勢に詳しい万次郎は、時の流
 れに無知な彼らを鼻の先で笑った。弱い奥羽同盟軍の中で官軍から一番恐れられたからす組ではある
 が、増援もなく孤立無援の戦いのなかで、死傷者が増え、奥羽街道最後の拠点である二本松城も落城
 した。しかし、縄張り意識に目覚めた千太の働きは目を見張るものがあった。からす組が藩境死守の
 任についていた時、仙台藩は戦いを止めた。そうとは知らず斥候に出ていた千太たち五名は、敵の猛
 射を浴び、千太の目前で仲間の四人が死んだ。錦旗に一矢を報いたいという千太を、万次郎は軍用金
 一万両を狙うために仲間に誘った。この計画にお糸が加わった。千太が錦旗を襲撃している間に、万
 次郎は軍用金奪取に成功した。そして、つかまって、打ち首寸前の千太を助けた。万次郎に利用され
 たことを知った千太は怒った。殴り合う二人。その近くを鶴ケ城へ帰る会津の一隊が通った。二人は
 官軍の群れの中を彼岸獅子の舞を踊りながら、一隊の先頭に立った。その頃、お糸は、万次郎の隠し
 た金を捜し廻っている。落城寸前の鶴ケ城に辿りついた二人の股間は縮み上っていた。そこへ現われ
 たのが、負傷者の手当を手伝っていたテルだ。砲煙弾雨の中で抱き合う二人、息をはずませて千太は
 叫んだ。「あった! 俺のキンタマあった! あったぞ!」、と。

 他に、仲代達矢(土方歳三)、岩崎智江(千太の母親)、今福将雄(太平=からす組の長老)、堺左千夫
(二枚橋ノ伍助=地元の親分)、伊吹新(掛田ノ善兵衛=同)、小川安三(桑折ノ和三郎=同)、長谷川弘
(桜井ノ百蔵=同)、丹波義隆(市=からす組の若者)、粕谷正治(紋次=同)、藤田漸(弥太=同)、天
本英世(与作=猟師)、樋浦勉(勝見善太郎=世良の用心棒)、小野寺昭(松田精造=官軍の赤毛)、岸田
森(仙田勇之進=仙台藩参謀)、大木正司(瀬尾斗介=仙台藩大隊長)、田中邦衛(山川大蔵=会津藩士)、
木村博人(板垣退助)などが出演している。テル役の千波恵美子はなかなか魅力的な女優だと思ったが、当
該作品を含めて3本ほど映画出演を果たした後、その消息は不明である。
 首が飛ぶシーンや、斬殺された二本松少年隊の隊士の死骸が晒されているシーンなど、けっこうエグイ映
像が散見されるが、この時代の日常だったのだろう。小生の血統のルーツをたどると、福島県二本松市に行
き着く。そのせいか、二本松少年隊は会津白虎隊ほど有名ではないが、子どものころよりさんざん聞かされ
ている。念のために、<ウィキペディア>の記事を以下に引用しておく。執筆者に感謝したい。なお、ほぼ原
文通りである。


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  二本松少年隊とは、幕末の二本松藩において戊辰戦争に出陣した12歳から17歳の少年兵部隊のこと。
 ただし、会津藩の白虎隊と違い当時は隊名がなく、二本松少年隊と名づけられたのは戊辰戦没者五十
 回忌に刊行された『二本松戊辰少年隊記』からである。
  戊辰戦争への出陣は12歳や13歳では不可能なのだが、二本松藩には危急の際には年齢を2歳加算す
 るという入れ年(実年齢より高い年齢として出兵の許可を出す)の制度があり、最少年齢の隊士の年
 齢は12歳となってしまった。二本松少年隊は藩内各地に出陣した62名を指すが、藩の西洋流(高島流)
 砲術師範(元は同じ砲術の武衛流師範で後に江戸留学の際に西洋流(高島流)砲術を習得した木村銃
 太郎指揮下の25名がとくに有名で、大壇口での戦いにおいて木村をはじめその多くが戦死した。負傷
 して称念寺に運ばれた者もいたが、やがては息絶えてしまった。これらの出来事は、戊辰戦争におけ
 る悲劇のひとつとして知られている。
  地方の本では、三浦行蔵は倒れていたところを農民に助けられたが、仲間も戦死し、隊長も死んで
 しまったのに生き残った自分が情けないと悔やみ、その農民が少し目を離したすきにいなくなってい
 たという。
  二本松藩主・丹羽氏の菩提寺でもある大隣寺に戦死者16名の墓所がある。また二本松城跡である霞
 ヶ城公園には群像彫刻や顕彰碑が立っている。

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 小生は、二本松少年隊に福島県民の気質みたいなものを感じるが、単なる誤解だろうか。なお、ATG(日
本アート・シアター・ギルド)が企画に絡む映画を久しぶりに観たが、商業主義とは一線を画さなければ作
れない映画があることを、改めて感じた。このようなウェーヴが再び日本で勢力を得ることは見果てぬ夢だ
が、どこかでそれを望んでいる自分がたしかにいること確認した。


 某月某日

 DVDで邦画の『不知火海』(監督:土本典昭、青林舎、1975年)を観た。2時間33分に及ぶ長尺のドキュメ
ンタリー映画である。内容を以下に記しておこう。なお、ナレーターを務めているのは、伊藤惣一である。

  1.タイトル
  2.明水園の日常
  3.豊かな海の漁
  4.医師への質問
  5.対岸の島・御所浦へ
  6.毛髪水銀量920ppm
  7.知られざる患者さんたち

 いわゆる「水俣病」を取材した映画である。小生も若い頃から「四大公害」のひとつとして何度耳にした
か分からないほど有名な病名である。ただし、小生は「水俣病」という言葉に少し引っかかる。完全な人災
なのだから、「水俣災害」もしくは「水俣人災」と呼ぶべきではないのか。チッソが垂れ流したメチル水銀
が生物濃縮した結果、多くの人々を苦しませることになったことは反論の余地のない事実である。しかも、
かなり疑われた段階になっても、チッソはメチル水銀の海洋投棄をやめなかった。関係者に刑事罰が科せら
れたかどうかははっきりしないが(<ウィキペディア>によれば、「1988年3月1日に行われた水俣病の刑事裁
判の上告審で、最高裁がチッソ元社長と元工場長の上告を棄却し、禁固2年・執行猶予3年の有罪判決。刑
事訴訟後から12年ぶりで、患者の公式確認以来では32年ぶりの決着である」との由)、もし因果関係を知り
ながら廃液を垂れ流しつづけていたのならば、とても赦されることとは思えない。当該映画は、水俣病がメ
チル水銀による中毒性の神経系疾患であることには触れておらず、患者とチッソとの関係も曖昧なままであ
る。むしろ、水俣病を発症したと思われる人々に寄り添い、その症状や苦しみを取材しているに留まってい
る。病気の苦しみとは他に、差別の問題なども微妙に絡んでおり、権利意識の希薄な昔の日本人が浮き彫り
にされているように見えた。
 例によって、<Movie Walker>に記述を引用してみよう。執筆に感謝したい。なお、一部改変したが、ご海
容いただきたい。

   〔解説〕

  前作『水俣一揆』から一年半ぶりで土本典昭監督が発表した二時間三三分の長編記録映画。『水俣 
 患者さんとその世界』以来四年間にわたる土本典昭と青林舎の水俣病とのかかわりあいは、『不知火
 海』で一つのサイクルを終わったといえよう。土本典昭とカメラマンの大津幸四郎は、魚と共に生き
 死んでゆく不知火海の漁民たちが、水俣病になることがわかっていながらも海に執着し、漁をして魚
 を食べてゆかざるをえない──その姿を、自分たちも有機水銀に汚染された美味い魚を食べながら、
 淡々と撮り続ける。チッソからの補償金で豪邸を建てたある患者の一家は、働く喜びを奪われた毎日
 を、敗戦後の高度経済成長の象徴である最新式の電気器具に囲まれながら、空しく過ごしている。と
 りわけ悲惨なのは胎児性水俣病の子供たちである。子供といっても、彼らはすでに青年と呼ぶべき肉
 体をもつようになってきている。ある少女は、泣きながら医者に頭を切って自分の脳を手術してほし
 いと言う。しかし、この映画は決して暗くはない。『不知火海』を撮り終えた大津幸四郎は次のよう
 に語っている。「私達がいつの間にか、切り捨ててしまった生活の記憶、人々のやさしさと生活から
 にじみ出る音色が不知火の海には溢れている。水俣の海は殺された。しかし、水銀毒にじわじわと侵
 されながらも、不知火の海は生きている。人々は生きている。水銀毒に身を侵されながら、必死に生
 き抜こうとしている」(16ミリ)。

 水俣病に関連する勉強をほとんどしたことのない小生にとって、水俣病は無知なる対象である。有名な石
牟礼道子の『苦海浄土 わが水俣病』(1969年)も読んでいない。大学で倫理学を講じている身としては恥
ずかしい限りである。もっとも、少し時間ができたら、日本の公害問題を少しずつ勉強していこうとは思っ
ている。手始めに、2学期開講の「核時代の倫理」の教科書である『民を殺す国・日本 足尾銅山事件から
フクシマへ』(大庭健 著、筑摩書房、2015年)から着手するつもりである。


 某月某日

 DVDで邦画の『はやぶさ 遥かなる帰還』(監督:瀧本智行、「はやぶさ 遥かなる帰還」製作委員会〔東
映=住友商事=木下グループ=東映アニメーション=東映ビデオ=ティー ワイ リミテッド=アスミック・
エース エンタテインメント=朝日放送=メーテレ=朝日新聞社=TOKYO FM=WOWOW=北海道テレビ=九州朝
日放送〕、2012年〔「メーテレ」の「ー」は波線の代用〕)を観た。先日鑑賞した『はやぶさ HAYABUSA』
の別バージョンである。競作と言ってもよいだろう。後者が子ども向けに作られているとすれば、当該作品
はいくらか大人向けか。少し重厚な感じがする。しかし、しょせん、この手の映画の常套であるが、上手に
まとめられているところが逆に興醒めだった。もっとも、つまらないわけではけっしてない。それなりに楽
しめた。
 物語を確認しておこう。例によって<Movie Walker>のお世話になろう。執筆者に感謝したい。なお、一部
改変したが、ご寛恕を乞う。

   〔解説〕

  小惑星イトカワから岩石サンプルを持ち帰るという世界初のミッションを成功させ、2010年6月に
 地球に帰還した小惑星探査機はやぶさ。歴史的偉業に挑んだ人々の姿を、プロジェクトマネージャー
 と、それを追う女性新聞記者の目を通して描き出す人間ドラマ。主人公を演じた渡辺謙ら豪華俳優陣
 による重厚な世界観が見どころだ。

   〔あらすじ〕

  2003年5月9日、小惑星探査機“はやぶさ”を搭載したロケットが鹿児島県内之浦観測所から飛び立
 つ。その最大の目的は、小惑星“イトカワ”へ行き、太陽系の起源、地球の起源を探る手がかりとな
 る石や砂を持ち帰ること。しかしそれは、世界でも例のない困難なミッションへの挑戦でもあった。
 ロケットを見守る“はやぶさ”プロジェクトマネージャーの山口駿一郎教授(渡辺謙)や新聞記者の
 井上真理(夏川結衣)たち。2004年5月、“はやぶさ”は地球の重力と交点速度を借りて方向転換と
 スピードアップを行なう“地球スウィングバイ”、7月には“イトカワ”の撮影に続けて成功。真理
 はカプセル担当の鎌田悦也(小澤征悦)や広報担当の丸川靖信(藤竜也)などプロジェクトチームの
 取材を続ける一方で、疎遠になっていた町工場を営む父、東出博(山崎努)と会う。妻を亡くして仕
 事も減った父を心配しながらも、シングルマザーとして働く真理は、父との距離を埋められずにいた。
 その後もさまざまな困難を乗り越えた“はやぶさ”は、2005年11月に“イトカワ”のサンプル採取に
 成功。だが、化学エンジンの燃料が漏れ、姿勢制御も不能になる。藤中仁志(江口洋介)と森内安夫
 (吉岡秀隆)は、イオンエンジンの燃料噴射によって姿勢制御に成功。危機を脱したものの、姿勢制
 御に時間を要したことで地球への期間が予定より3年延びてしまう。さらに通信途絶やイオンエンジ
 ンのトラブルなどが重なり、2009年11月に最後のイオンエンジンが停止。最大の危機に直面した時、
 山口はリーダーとして決断する。“はやぶさ”を地球へ帰す。決意を同じくした藤中と森内は、イオ
 ンエンジンに最後の指令を送った。満身創痍になりながらも地球へ帰還しようとする“はやぶさ”の
 ため、チームの技術と想いがひとつになる。そして真理と父親に間にも、“はやぶさ”の帰りを願う
 気持が絆を結ぼうとしていた……。

 他に、石橋蓮司(大下治夫=JAXA幹部)、中村ゆり(松本夏子=JAXA学生当番)、嶋田久作(岸本)、近
藤芳正(米川)、モロ師岡(浜井)、増田修一朗(目黒正典)、長嶋一茂(三雲=臼田の職員)、ピエール
瀧(平河)、Ricco Ross(ダニエル・クラーク博士=NASA所属)、菅原大吉(文部科学省の課長)、田中要
次(笠原=朝日新聞記者)などが出演している。
 かりんとうが物語の中でアクセントになっているが、もちろん「イトカワ」の形状に似ているからだろう。
山崎努と渡辺謙がそのかりんとうを食べるシーンは、意外な組み合わせでちょっと面白かった。


 某月某日

 DVDで邦画の『はやぶさ HAYABUSA』(監督:堤幸彦、「はやぶさ/HAYABUSA」フィルムパートナーズ〔フ
ォックス・インターナショナル・プロダクションズ=20世紀フォックス映画=20世紀フォックスホームエン
ターテインメントジャパン=角川書店=アグン・インク=ソニー・ミュージックエンタテイメント=電通=
オフィスクレッシェンド=毎日新聞社〕、2011年)を観た。この手の子ども向けのプロパガンダ映画は小生
の好みとするところではなく、同年に製作された『奇跡』(監督:是枝裕和、映画「奇跡」製作委員会〔ジ
ェイアール東日本企画=バンダイビジュアル=ギャガ=白組=衛星劇場=毎日放送=RKB毎日放送=Yahoo!
JAPAN=ジェイアール西日本コミュニケーションズ=ディーライツ=西日本新聞社=エフエム福岡=中国放
送=熊本放送=南日本放送=J-WAVE=ジェイアール九州エージェンシー〕、2011年)ほどではないにせよ、
やはりあまりよい印象を抱くことはできなかった。だいいち、竹内結子の大袈裟な演技は全篇を通して鼻に
ついた。もちろん、子ども向けということもあるのだろうが、あそこまでメリハリをつける必要があったの
だろうか。たしかにあのようなタイプの女性は広い世の中には存在するだろうが、いかにも「オタク」では
白けてしまう。それは、他の役者にも言えることで、鶴見辰吾を除いて、ほとんどの役者の演技が不自然に
見えた。ぎりぎり、高橋長英がまともだったか。
 物語を確認しておこう。例によって<Movie Walker>のお世話になろう。執筆者に感謝したい。なお、一部
改変したが、ご寛恕を乞う。

   〔解説〕

  『20世紀少年』シリーズの堤幸彦監督が、竹内結子、西田敏行ら豪華キャストを迎え、日本が世界
 に誇る小惑星探査機はやぶさの7年間にわたる軌跡を映画化。JAXA(宇宙航空研究開発機構)の全面協
 力のもと、最新鋭のVFXで再現された超リアルな宇宙映像が展開。どんな困難に遭おうとも決してあ
 きらめない精神が見る者に勇気を与える。

   〔あらすじ〕

  2010年6月13日。小惑星“イトカワ”調査を目的に、2003年5月に日本から打ち上げられた小惑星探
 査機“はやぶさ”が地球に帰還した。月以外の天体からサンプルを採取して持ち帰るというミッショ
 ンは、NASAでさえ成し得なかった人類初の快挙だった。わずか1-2メートル四方の小さな“はやぶ
 さ”の7年間、60億キロにも及ぶ旅は、通信途絶による行方不明やエンジン停止など、絶体絶命のピ
 ンチの連続。その危機を乗り越えたのは、坂上健一(高嶋政宏)や川渕幸一(佐野史郎)といった専
 門家と、プロジェクトの広報を担当した的場泰弘(西田敏行)、その下で働く水沢恵(竹内結子)な
 ど、ユニークな経歴を持つメンバーで結成されたプロジェクトチームだった。大きなプレッシャーと
 次々と降りかかるトラブルに、メンバーたちはどのように立ち向かっていったのか。彼らの“諦めな
 い”という強い想い、その原動力となった信念や夢、勇気と自信を描き出す。

 他に、山本耕史(田嶋学)、鶴見辰吾(喜多修)、筧利夫(矢吹豊=役人)、市川実和子(小田島加那子)、
甲本雅裕(平山孝行)、マギー(福本哲也)、正名僕蔵(永島浩二)、六角慎司(高岡宗太郎)、高橋長英
(萩原理教授)、生瀬勝久(はやぶさファンのオタク)、松金よね子(スーパーの店員)、蛭子能収(はや
ぶさファンのおじいちゃん)、戸田恵子(ニュースキャスター)、佐藤二朗(磯村英樹)、木野花(和代=
恵の母)、桂ざこば(中和神社の宮司)、大石吾朗(内之浦打ち上げ統括)、野添義弘(自治会の田中)、
清水宏(島田=高知・漁連会長)、諏訪太朗(田辺=宮崎・漁連会長)、河原さぶ(佐川=内之浦・漁連会
長)などが出演している。


 某月某日

 DVDで、互いにかなり味わいの異なる邦画を2本観たので報告しよう。1本目は、『ギャラクシー街道』  
(監督:三谷幸喜、フジテレビ=東宝、2015年)である。小生は、三谷監督の監督デビュー作である『ラヂ
オの時間』が日本喜劇の最高峰ではないかと思っているが、残念ながらこれまでデビュー作を凌駕した作品
にはお目にかかっていない。むしろ、だんだんネタが尽きて来ているように感じる。とりあえず、小生の鑑
賞済みの三谷作品(全7篇)を以下に掲げてみよう。

  『ラヂオの時間』、監督:三谷幸喜、フジテレビジョン=東宝、1997年。感想を記したブログなし。
  『みんなのいえ』、監督:三谷幸喜、フジテレビ=東宝、2001年。感想を記したブログなし。
  『THE 有頂天ホテル』、監督:三谷幸喜、フジテレビ=東宝、2006年。
   「日日是労働セレクト6」に感想が記されていたが、現在はネット上から削除されている。念のため
   に、以下に再録しておこう。

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  某月某日

 3本目は『THE 有頂天ホテル』(監督:三谷幸喜、フジテレビ=東宝、2006年)である。『東京ゾンビ』
以来の映画館における鑑賞だった。期待通りの作品でそれなりに面白かったが、少し通俗に流れたか。文法
通りで、やや意外性に欠けていたせいだと思う。佐藤浩市が武藤田勝利という政治家の役を演じているが、
「武藤田」という名字は実際に存在するのだろうか。おそらく「後藤田」のもじりだとは思うが、「武藤だ」
というふうにも聞こえ、何となく居心地が悪い。政治家と言えば、伊丹十三作品(多分『あげまん』だった
と思う)で宝田明が巧演していたのを連想したが、あのくらいアクが強くてもよかったのではないか。もっ
とも、「クリーンなイメージの政治家」という設定なので、それはお門違いかもしれない。『殺し屋1』や
『SURVIVE STYLE 5+』でもそうだったが、パンフレット等で登場人物の相関関係を図示した資料を提供し
ているので、その辺りも愉しめる。なお、小生が何かの役をやらせてもらえるとすれば、唐沢寿明演じると
ころの芸能プロ社長である赤丸寿一の役がやりたい。

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  『ザ・マジックアワー』、監督:三谷幸喜、フジテレビ=東宝、2008年。
   「日日是労働セレクト65」、参照。
  『ステキな金縛り』、監督:三谷幸喜、フジテレビ=東宝、2011年。
   「日日是労働セレクト101」、参照。
  『清須会議』、監督:三谷幸喜、フジテレビ=東宝、2013年。
   「日日是労働セレクト109」、参照。
  『ギャラクシー街道』、監督:三谷幸喜、フジテレビ=東宝、2015年。

 小生の見立てでは『ラヂオの時間』に次ぐのは『清須会議』だが、両者に共通の項目は、監督・脚本の他
に原作も兼ねている点である。また、監督こそ別人に委ねてはいるが、彼が原作・脚本を担当している『12
人の優しい日本人』(監督:中原俊、ニューセンチュリー・プロデューサーズ=サントリー=日本テレビ、
1991年)と『笑の大学』(監督:星護、フジテレビ=東宝=パルコ、2004年)は頗る面白いので、彼の力は
原作まで及ばないと発揮されないのではないかという仮説が成り立つ。つまり、自由な発想は脚本執筆以前
の段階で練られていなければならないことを意味している。なお、『清須会議』(本人の小説)以外の原作
は、すべて舞台用に書き下ろされた戯曲である。
 さて、本作であるが、まずその着想の裏に、『宇宙家族ジェットソン(The Jetsons)』があるのではな
いかと思った。この作品は、<ウィキペディア>に簡単な解説があるので、以下に引用してみよう。執筆者に
感謝したい。なお、多少改変したが、ご寛恕を乞いたい。

   『宇宙家族ジェットソン』(うちゅうかぞくジェットソン、原題:The Jetsons):アメリカ合
  衆国のテレビアニメ。ハンナ・バーベラ・プロダクション制作。1962年から1963年までABC放送で
  24話まで放送された後、1985年から1987年にかけて75話まで製作され、シンジケーション番組とし
  て放送された。幾度も再放送されている。日本では単に『宇宙家族』というタイトルで、NHK総合
  の毎週土曜18:00-18:25に放送された。全49回(再放送を含む)。同じハンナ・バーベラのホーム
  コメディー『原始家族フリントストーン(The Flintstones)』〔日本版では『恐妻天国』という
  題名が印象的〕の未来版といえる作品。

 さらに、ムタとイルマの指と指を合わせるシーンは、『バーバレラ(Barbarella)』(監督:ロジェ・ヴ
ァディム、伊国=仏国、1968年)や『E.T.(E.T. The Extra-Terrestrial)』(監督:スティーヴン・スピ
ルバーグ、米国、1982年)を連想させ、その下品な描写も相俟って、かなり白けた。配役も平凡で、賞味期
限の過ぎた、つまり鮮度の落ちた俳優ばかり使っているので、本当にがっかりした。加えて、大竹しのぶが
演じたハナの「電気バリバリ」は、1967年、NET〔現 テレビ朝日〕で放送されたTVアニメの『ピュンピュン
丸』の登場人物であるチビ丸(ピュンピュン丸の弟)の「ビエー」を連想せざるを得ない。キャプテンソッ
クスというキャラも最悪だし、クローロン人やアンゲルス人の設定も陳腐そのものであった。三谷幸喜よ、
こんな作品を作っていると、「老い耄れたのか」とファンをがっかりさせるぜよ。厳しいようだが、猛省を
促したい。ただし、以上のことを差し引いてもけっこう面白かった。腐っても鯛である。
 ともあれ、物語を追ってみよう。例によって<Movie Walker>のお世話になる。執筆者に感謝したい。なお、
一部改変したが、ご海容いただきたい。

   〔解説〕

  ヒットメーカーの三谷幸喜監督が、香取慎吾、綾瀬はるかといった豪華キャストを迎えて描く、自
 身初となる宇宙が舞台のコメディ。木星と土星の間に浮かぶスペースコロニー、うず潮と地球を結ぶ
 スペース幹線道路にあるハンバーガーショップにやってくる、それぞれに悩みを抱えた宇宙人たちが
 繰り広げるユニークな物語がつづられる。

   〔あらすじ〕

  2265年。木星と土星の間に建設された人工居住区であるスペースコロニー『うず潮』と地球とを結
 ぶ幹線道路ルート246666、通称『ギャラクシー街道』は、開通してから150年が経ち、かつてのにぎ
 わいをよそに今や老朽化が目立つようになっている。このギャラクシー街道沿いに、ノア(香取慎吾)
 が営む小さなハンバーガーショップ『サンドサンドバーガー・コスモ店』があった。ノアがまだ思い
 を寄せる元恋人のレイ(優香)やノアの妻ノエ(綾瀬はるか)に近付こうとするリフォーム業者のメ
 ンデス(遠藤憲一)、怒られるとすぐにパニックに陥るパートタイマーのハナさん(大竹しのぶ)を
 はじめ、人間味溢れる宇宙人たちがさまざまな星からこの店にやってくる。

 他に、小栗旬(ハトヤ=KBC綜合警備保障の隊員)、阿南健治(トチヤマ=同じく隊長)、秋元才加(マ
ンモ=同じく隊員)、西川貴教(ズズ=クローロン人)、段田安則(ハシモト=スペース国土交通省の役人)、
石丸幹二(ムタ=歯科医)、梶原善(ババサヒブ=レイの夫、アシヌス人)、田村梨果(イルマ=ウェヌス
人の娼婦)、浅野和之(道化師)、山本耕史(ゼット=ゲヌス人) 、西田敏行(堂本博士)、久世浩(ダ
ニー=郵便配達員)、シルビア・グラブ(イボンヌ=ゲヌス人)、佐藤浩一(村田大樹=ゼットの客)、吉
田ボイス(サリバン先生)、矢崎大貴(キャプテンソックス)などが出演している。
 2本目は、『十九歳の地図』(監督:柳町光男、プロダクション群狼、1979年)である。こちらは、打っ
て変わって、70年代の暗くジメジメした作品である。80年代に入りかけているのに、まるで70代初期の頃の
ような閉塞感がある。中上健次の原作は読んでいないが、その存在は以前から知っていた。映画化作品もい
ずれ観たいと思っていたので、念願は叶ったことになる。期待通りの出来で、昭和色の強い作品に仕上がっ
ている。とくに、蟹江敬三と沖山秀子の個性は抜群で、彼らを見るだけでも価値があると思う。
 物語を確認しておこう。以下、上と同様である。

   〔解説〕

  青年が大人になっていく過程の中で、人生や人間というものの孤独や哀しみを知っていく姿を描く。
 脚本・監督は『ゴッド・スピード・ユー! BLACK EMPEROR』の柳町光男、撮影は榊原勝己がそれぞれ
 担当。

   〔あらすじ〕

  吉岡まさる(本間優二)は十九歳、和歌山県の新宮市から上京してきて、新聞配達をしながら予備
 校に通っている。三百軒以上もの玄関に新聞を入れる単調な肉体労働の上に、集金に行けば、どこの
 家からも胡散臭さがられ無視される。吉岡は配達区域の地図をつくり、各家々の名を書き込み、犬が
 いるから×印一つ、花があるから×印二つなどとランクをつけ、それぞれの家に嫌がらせの電話をか
 けたりしている。吉岡の同室には三十六歳になる独身男、紺野敏明(蟹江敬三)がいる。ホラばかり
 吹いていて何も出来ないダメ男の紺野に、吉岡は反吐が出るような思いがする。そんな紺野の前に、
 自殺未遂の末、片足が不自由になった女「かさぶたのマリア」(沖山秀子)が現われる。男と寝ては
 生活の糧にしている娼婦であるその女は、紺野に輪をかけて、醜く、汚なく、そして孤独だ。そんな
 女を紺野は“マリア”と呼んで慕う。吉岡には、二人は大人の人間の汚なさの象徴に見える。やがて
 女は身籠り、はじめて幸福な気持になった紺野は、女のために、生まれてくる子どものために、その
 幸せを完成させようとするが、生来の世渡りの不器用さからうまくいかず、強盗傷害を犯して逮捕さ
 れてしまう。吉岡は女をなじった。女は「死ねないのよ……」と悲痛な言葉を吐き続ける。吉岡のや
 り場のない怒りは、すべての人間に向っての脅迫電話となった。東京駅や街のガスタンクの爆破予告
 を続ける。「のうのうと生きてる皆んなを吹っとばしてやる! 殺してやる! ほんとだぞ!」……
 電話を終えたあと、吉岡はただ泣くばかりだ。その涙は、人間とは、人生とは、社会とは、その最深
 部を見、知ったことの代償なのだ。

 他に、山谷初男(新聞店店主)、原知佐子(和子=その妻)、西塚肇(斎藤=紺野と諍う若者)、うすみ
竜(小沼=キックボクサーを夢みたが、緒戦で敗れてしまう男)、鈴木弘一(原=吉岡の新聞配達仲間のひ
とり)、白川和子(安田久代=宗教に嵌っている中年女)、豊川潤(森隆男=新聞代を3カ月分溜めたのに、
支払いに応じない男。後に、紺野が刺青をちらつかせて集金に成功する)、友部正人(他社の配達員)、津
山登志子(相沢里子=新聞購読者のひとり)、中島葵(久美子=隣りの女)、川島めぐ(美智子=女子高生)、
竹田かほり(まゆみ=同)、中丸忠雄(警察の取調官)、清川虹子(酒の店「かおる」のママ)、柳家小三
治(タクシーの運転手)、楠侑子(西村智子=偽善的な主婦)などが出演している。


 某月某日

 DVDで邦画の『あん』(監督:河瀬直美、映画『あん』製作委員会〔名古屋テレビ放送=イオンエンター
テイメント=ポプラ社=組画(くみえ)=博報堂=エレファントハウス=毎日新聞社〕、2015年)を観た。
河瀬作品は久し振りの鑑賞で、今まで当該作品を含めて、

  『萌の朱雀』、監督:河瀬直美、WOWOW=バンダイビジュアル、1997年。
  『沙羅双樹』、監督:河瀬直美、日活=よみうりテレビ=ビジュアルアーツ=リアルプロダクツ、2003年。
  『殯(もがり)の森』、河瀬直美、組画=Celluloid Dreams Productions=ビジュアルアーツ専門学校
   大坂、2007年。
  『あん』、監督:河瀬直美、映画『あん』製作委員会〔名古屋テレビ放送=イオンエンターテイメント=
   ポプラ社=組画(くみえ)=博報堂=エレファントハウス=毎日新聞社〕、2015年。

の4本を観ている。<ウィキペディア>によれば、以下のように、主な監督作品だけでも23の作品があり、そ
の一部を観ているにすぎないことになる。

  ○は鑑賞作品。

  につつまれて(1992年)
  白い月(1993年)
  かたつもり(1994年)
  天、見たけ(1995年)
  陽は傾ぶき(1996年)
  ○ 萌の朱雀(1997年)
  杣人物語(1997年)
  万華鏡(1999年)
  火垂(2000年)
  きゃからばあ(2001年)
  追臆のダンス(2002年)
  ○ 沙羅双樹(2003年)
  影-Shadow(2004年)
  垂乳女 -TARACHIME-(2006年)
  ○ 殯の森(2007年)
  七夜待(2008年)
  狛-Koma(2009年)
  美しき日本・奈良 (日本アーカイブス)(2010年 - )
  玄牝 -げんぴん-(2010年)
  朱花の月(2011年)
  塵 (2012年)
  2つ目の窓(2014年)
  ○ あん(2015年)

 河瀬監督は題名に凝るタイプのようで、当該作品もあえて平仮名の「あん」を選んでいる。さて、本作で
あるが、大物もの俳優を起用して、商業映画に徹したように感じる。その分通俗的で、面白いことは面白い
が、河瀬監督独特の「退屈な時空間」がどこにもない。すべての場面に意味を盛りすぎており、その分暑苦
しく感じる。設定にもリアリティが希薄で、辻褄が合っていないところも散見できる。しかし、「ハンセン
病」という難しいモチーフをこれまでにはないかたちで描き切っており、その点では成功している作品だと
思う。樹木希林はともかくとして、その友人に市原悦子を用いたことにキャスティングの妙を見ることがで
きるだろう。河瀬監督のさらなる飛躍があったのだと思われる。
 物語を確認しておこう。例によって、<Movie Walker>のお世話になる。執筆者に感謝したい。なお、一部
改変したが、ご海容いただきたい。

   〔解説〕

  『萌の朱雀』でカンヌ国際映画祭カメラドール(新人監督賞)を、『殯の森』では同グランプリを
 獲得した河瀬直美監督が、作家やパフォーマーとして活躍するドリアン助川が人はなぜ生きるのかと
 いう根源的な問いに迫った同名小説を映画化。小さなどら焼き屋で粒餡作りを任された元ハンセン病
 患者の女性の姿を、四季の情景を織り交ぜながら描く。偏見にさらされ続けても精一杯生きようとす
 る女性を『わが母の記』で第36回日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞した樹木希林が、人生に
 つまずいた雇われ店長を『KANO 1931海の向こうの甲子園』の永瀬正敏が、女性の良き理解者を『黒
 い雨』の市原悦子が演じる。

   〔あらすじ〕

  縁あってどら焼き屋「どら春」の雇われ店長として単調な日々をこなしていた千太郎(永瀬正敏)
 のもとに、ある日、求人募集の張り紙を見た吉井徳江(樹木希林)がやってくる。彼女の勢いにのま
 れどら焼きの粒餡作りを任せたところ、餡の味が評判となりあっという間に店は大繁盛。つぶれたど
 ら焼きをもらいにくる女子中学生・ワカナ(内田伽羅)もだんだんと徳江に馴染んでいく。しかしか
 つて徳江がハンセン病患者だったことが広まり、客が一気に離れていった。この状況に徳江は店を去
 り、千太郎やワカナの前から消えてしまう。それぞれの思いを胸に、二人は徳江を探す……。

 他に、市原悦子(桂子=徳江の友人)、浅田美代子(どら春のオーナー)、兼松若人(若人=その甥)、
水野美紀(ワカナの母)、太賀(陽平=ワカナの部活の先輩)、村田優吏愛(どら春の客の中学生)、高橋
咲樹(同)、竹内海羽(同)などが出演している。
 ハンセン病が登場する邦画としては、以下のように、4本の映画を思い出した。

  『ここに泉あり』、監督:今井正、中央映画=松竹、1955年。「日日是労働セレクト57」、参照。
  『私が棄てた女』、監督:浦山桐郎、日活、1969年。
  『砂の器』、監督:野村芳太郎、松竹=橋本プロ、1974年。
  『愛する』、監督:熊井啓、日活、1997年〔筆者、未見〕。* 原作は『私が棄てた女』と同じ。

 ハンセン(氏)病〔癩病・レプラ〕は、感染病であること、身体の一部が損傷することがあること、大昔
は「天刑病」と呼ばれて忌み嫌われていたことなどから、差別的な扱いを受けることが多かった。<コトバン
ク>に簡潔な記述があるので、以下に引用してみよう。執筆者に感謝したい。なお、若干の改変を施したが
意味に変わりはない。ご寛恕されたし。


 ********************************************

  【ハンセン病(レプラ) Hansen Disease, Leprosy】

   [どんな病気か]

  ハンセン病は、らい菌の感染によっておこる慢性感染症です。らい菌は、皮膚、粘膜(ねんまく)、
 末梢神経(まっしょうしんけい)、目を好んでおかしますが、その毒力は弱く、感染しても発症する
 ことはまれです。また、後述する多剤併用療法によって現在、世界中で患者数は減少しつつあります。
 日本のハンセン病患者数も年々減少し、2007年5月末現在、全国のハンセン病療養所の入所者数は約
 2,890名になりました。新患者の発生数は年10名以下です。これに対し、在日外国人の新患者数が毎
 年10名前後発生しており、注目されています。
  これまでハンセン病患者は、強制隔離を骨子とした「らい予防法」により管理されてきましたが、
 1996年4月1日に同予防法は廃止され、「らい」という病名も「ハンセン病」と読みかえることになり
 ました。
  今後の課題は、ハンセン病への偏見や差別の撲滅、ハンセン病の教育、在日外国人のハンセン病患
 者への対応、らい予防法廃止後の対策です。

   [原因]

  らい菌は桿菌の1つで、結核菌と同じ抗酸菌の仲間です。チール・ニールセン染色法で赤く染まり
 ますが、培養しても増殖しません。感染経路はおもに皮膚や粘膜の傷で、菌自体の感染力は弱いもの
 の、家族内に病人がいると菌との接触が濃厚になり、感染しやすくなります。

   [症状]

  らい菌は、おもに末梢神経と皮膚に病巣をつくります。そのため、知覚麻痺(温・冷・痛・触覚麻
 痺)、末梢神経肥厚、神経痛などの神経症状がおこります。また、指が曲がったり、顔面神経の運動
 麻痺もおこります。
  菌におかされた組織から、つぎのように分類されます。

  ○ らい腫型(L型)

  らい菌に対する抵抗力が弱く、病巣組織内でらい菌が多数増殖しているものです。黄褐色から赤褐
 色の多少湿った発疹や隆起した結節が全身に左右対称性に現われます。好発部位は顔で、頭髪、眉毛、
 睫毛の脱毛もおこります。重症では、顔の変形がおこります。

  ○ 類結核型(T型)
 
  病巣内での菌の増殖が末梢神経組織内だけに限られるものです。赤褐色の乾いた紅斑が生じますが、
 紅斑の中心は、多くはふつうの皮膚の色をしています。

  ○ その他の病型

  L型とT型の中間の境界群(B群)と、頻度は低いのですが、未分化群(I群)があります。

   [治療]

  一般の感染症として、外来治療が主体となり、入院・隔離されることはありません。薬物治療が中
 心で、ジアフェニルスルホン、リファンピシン、クロファジミンの併用療法が行なわれます。3剤は、
 オフロキサシンとともに保険適用薬剤です。
  これまで療養所に入所していた患者さんは、国の保護を受け、入所したままで治療が続けられます。
 病状が進んだ人にみられるさまざまの変形などは薬剤では治らず、整形外科、形成外科的治療が必要
 です。

  ********************************************


 以上である。かつて、宮原昭雄がハンセン病患者の特別学級に取材した『誰かが触った』(1972年)で芥
川賞を受賞したとき、「純文学一筋」、「苦節十年」などと言われていたことを思い出す。あるいは、北條
民雄の『いのちの初夜』(1936年)〔当該映画にも少しだけ登場する〕もハンセン病との関連で多くの人が
言及していたことを覚えている。最近、これらの作品は読まれているのだろうか。さらに、2003年の出来事
である「ハンセン病元患者宿泊拒否事件」もそれほど昔のことではない。小生はこの病気についてほとんど
無知と言ってよいが、当該映画の舞台となったところが、かつて実家のあった東村山市の「国立療養所多磨
全生園」であることを知り、少し驚いた。東村山市にそういった施設があることをこれまでまったく知らな
かったからである。おそらく、そういった施設は人里離れた場所に位置しており、一般社会から隔離されて
いたと考えられる。この映画を鑑賞する人が増えれば、「治癒した患者さんは他者にこの病気をうつすこと
はない」ということを、広めることができるだろう。そういう意味で、鑑賞者が増えれば……と思う。
 なお、原作者のドリアン助川については、『バカボンのパパと読む「老子」』(角川SSC新書、2011年)
という本を読んだことがあり、機会があれば、この原作も読んでみたいと思う。なお、小豆を煮ることが難
しいのはよく知られているが、ドリアン助川が親しんだと思われる『老子』に、「大国を治むるは、小鮮を
烹るが若し」(大国を治めるのは小魚を煮るようなもので、引っかき回したら頭も尻尾もみな取れてしまう
から、そっと煮なければならない)〔第六十章〕とあるので、その辺りのことがこの映画のヒントになって
いるのかもしれない。ちなみにた、『めがね』(監督:荻上直子、めがね商会〔日本テレビ=バップ=シャ
シャ・コーポレイション=パラダイス・カフェ=日活〕、2007年)〔「日日是労働セレクト35」、参照〕
に、小豆を煮る重要なシーンがある。


 某月某日

 DVDで邦画の『杉原千畝 Persona Non Grata』(監督:チェリン・グラック〔Cellin Gluck〕、「杉原千
畝」製作委員会〔日本テレビ放送網=東宝=D.N.ドリームパートナーズ=読売テレビ放送=電通=ポニーキ
ャニオン=読売新聞社=小学館=小学館集英社プロダクション=JTBグループ=中日新聞社=BS日テレ=シ
ネバザール=札幌テレビ=ミヤギテレビ=静岡第一テレビ=中京テレビ放送=広島テレビ=福岡放送=福井
放送〕、2015年)を観た。「日本のシンドラー」として、ひところ話題になった人物を描いた映画である。
なお、副題の《Persona Non Grata》は、ラテン語で「好ましからざる人物」という意味である。当該人物
に関しては、<ウィキペディア>に詳細な記述があるので、興味のある人はそちらを参照してほしい。ただし、
簡単な略歴だけは引用しておこう。

  杉原 千畝(すぎはら ちうね、1900年〔明治33年〕1月1日 - 1986年〔昭和61年〕7月31日):日本の官
 僚、外交官である。
  第二次世界大戦中、リトアニアのカウナス領事館に赴任していた杉原は、ナチス・ドイツの迫害により
 ポーランド等欧州各地から逃れてきた難民たちの窮状に同情。1940年7月から8月にかけて、外務省からの
 訓令に反して、大量のビザ(通過査証)を発給し、およそ6,000人にのぼる避難民を救ったことで知られ
 る。その避難民の多くが、ユダヤ系であった。「日本のシンドラー」などと呼ばれることがある。 早稲
 田大学高等師範部英語(教育学部英語英文学科)科予科中退、日露協会学校特修科修了。

 小生もその名前を知っていたが、戦時中多くのユダヤ人を救ったということしか知らず、無知に近い人物
である。当該映画がどれほど史実に忠実かどうかは分からないが、これに似たような出来事があったことは
間違いないだろう。ただし、第二次世界大戦を描いた映画にありがちなことであるが、主要な出来事をさら
っと駈足で描いており、その点では物足りない。また、分かりやすさをモットーとしているようで、先が見
える展開は平凡でさえあった。さらに、ドラマチックに描くことを意識してか、少し大袈裟な表現も散見し
た。もっとも、主演の唐沢寿明と主要な外国人俳優との絡みには違和感がなく、唐沢の英語も聞き取りやす
かった。とくにペシュ役のボリス・シッツ(Borys Szyc)は好漢で、とても魅力的に映った。最近になって、
ポーランドに興味を抱いているので、それも加味したのであろう。
 物語を確認しておこう。例によって、<Movie Walker>のお世話になる。執筆者に感謝したい。なお、一部
改変したが、ご寛恕を乞う。

   〔解説〕

  第2次世界大戦時、リトアニア領事として、日本政府に背いて6,000人ものユダヤ難民にビザを発
 給し、その命を救った杉原千畝。“日本のオスカー・シンドラー”と呼ばれた彼の、インテリジェン
 ス・オフィサー(諜報外交官)としての知られざる一面にも迫る歴史ドラマ。唐沢寿明が千畝を演じ、
 ワルシャワほかポーランド各地で撮影を敢行した。

   〔あらすじ〕

  1934年。語学力と情報網を武器に外交官・杉原千畝(唐沢寿明)はソ連北満州鉄道譲渡の交渉を成
 立させる。その一方で仲間を失い、千畝自身彼を警戒するソ連から『ペルソナ・ノン・グラータ(歓
 迎されざる人物)』に指定され入国拒否されてしまう。千畝は在モスクワ大使館への赴任を希望して
 いたものの叶わず、外務省よりリトアニア・カウナスにある日本領事館での勤務を命じられる。1939
 年、千畝は新たな相棒ペシュ(ボリス・シッツ)とリトアニアで諜報活動を開始。情報を収集し激動
 のヨーロッパ情勢を分析、日本に発信していく。やがてナチスドイツがポーランドに侵攻し第二次世
 界大戦が勃発。ナチスの迫害から逃れようと通過ビザを求めるユダヤ難民がカウナスの日本領事館へ
 大挙する。その数は日に日に増していき、彼らの置かれた状況を知る千畝は日本政府からの了承がな
 いまま難民たちに通過ビザを発給するが……。

 他に、小雪(杉原幸子=千畝の妻)、アグニエシュカ・グロホウスカ〔Agnieszka Grochowska〕(イリー
ナ=千畝の諜報活動の相棒のひとり)、ミハウ・ジュラフスキ(ニシェリ=千畝に命を救われたユダヤ人)、
ツェザリ・ウカシェヴィチ(グッジェ=カウナス領事館員)、塚本高史(南川欽吾=関東軍少尉)、濱田岳
(大迫辰雄=JTB〔当時は「東亜旅行社」〕客船乗務員)、二階堂智(根井三郎=ウラジオストク日本領事
館総領事代理)、板尾創路(菊池静男=千畝の親友で、妻幸子の兄)、滝藤賢一(関満一朗=外務省官僚/
昭和30年当時の外務省官僚の二役)、石橋凌(大橋忠一=満州国外交部次長)、小日向文世(大島浩=駐独
大使)、アンナ・グリチェヴィチ(ユダヤ人母)、ズビニェフ・ザマホフスキ(ガノール社長)、アンジェ
イ・ブルメンフェルド(ローゼンタール)、ヴェナンティ・ノスル(ヤン・ズヴァルテンディク)、マチェ
イ・ザコシチェルニ(マラット)などが出演している。
 始終冷静な千畝が激昂して叫ぶシーンがある。「国力乏しい国が、無節操に逸ると、どんなことになるの
かを!」……ドイツのソ連侵攻を暴挙と捉えた彼の叫びである。それは、ひいては、日米開戦がどんなに無
謀なことかを熟知していた彼の偽らざる本音であろう。すなわち、日本が戦争に突入していく以前に、その
後の「敗戦」を予知していたとも言える。彼はビザの大量発行などを理由に外務省を追われるが、1985年、
イスラエル政府より「諸国民の中の正義の人賞」を受賞している。そして、2000年、外務省が公式に杉原千
畝の功績を顕彰している。正しい行いは、報われたのである。もっとも、彼が学んだハルピン学院の「自治
三訣」には、「人のお世話にならぬよう、人のお世話をするよう、そして報いを求めぬよう」とあるので、
彼としては当然のことをしたまでであろう。どんなに割り引いて考えても、彼が敢行したビザ発行が「麗し
い行為」であったことは疑いない。当該映画の掉尾を飾る「杉原千畝の発行したヴィザで救われた人々の子
孫は現在世界中に4万人以上生存している」という言葉が、そのことを力強く立証している。


 某月某日

 DVDで邦画の『リアル鬼ごっこ』(監督:園子温、「リアル鬼ごっこ」フィルムコミッティ〔NBCユニバー
サル・エンターテイメント=高尾=松竹=アスミック・エース〕、2015年)を観た。同じタイトルの映画は  
第一作の『リアル鬼ごっこ』(監督:柴田一成、「リアル鬼ごっこ」製作委員会〔ジェネオン エンタテイ
ンメント=電通〕、2007年)を含めて本作の他に5本あり(第一作以外、小生は未鑑賞)、6本目に当る作
品である。もっとも、山田悠介の原作とは懸け離れており、監督の園子温はそのタイトルにインスパイアさ
れただけで、原作を読んでさえいないとの由。すなわち、自ら書き下ろした脚本によるオリジナル作品であ
る(ウィキペディアより)。たしかに、園子温の世界が展開されており、最初の印象では『自殺サークル』
に近いかと思ったが、中身はまったく異なるが、むしろ『夢の中へ』の流れの作品かもしれない。さらに、
『地獄でなぜ悪い』のノリともどこかつながっているような気がした。ともあれ、小生が鑑賞したことのあ
る彼の作品は以下に挙げるように18本あり、当該作品はその最新作である。

  『うつしみ』、監督:園子温、アンカーズプロダクション、1999年。
  『性戯の達人 女体壺さぐり』、監督:園子温、大蔵映画、2000年。
  『自殺サークル』、監督:園子温、「自殺サークル」製作委員会〔オメガ・プロジェクト=
   ビッグビート=フォーピース=フューズ〕、2002年。
  『奇妙なサーカス』、監督:園子温、セディックインターナショナル=中央映画貿易、2005年。
  『夢の中へ』、監督:園子温、Moving Pictures Japan=T.artist、2005年。
  『紀子の食卓』、監督:園子温、マザーアーク、2006年。
  『HAZARD/ハザード』、監督:園子温、「HAZARD Project」〔エレン=MOTHER ARK=フィルムトラスト〕、
   2006年。
  『愛のむきだし』、監督:園子温、オメガ・プロジェクト、2008年。
  『ちゃんと伝える』、監督:園子温、「ちゃんと伝える」製作委員会〔ユーズフィルム=CIRCUS=
   ネイション=グランマーブル=マイサイド〕、2009年。
  『冷たい熱帯魚』、監督:園子温、日活、2010年。
  『恋の罪』、監督:園子温、「恋の罪」製作委員会=日活=キングレコード、2011年。
  『ヒミズ』、監督:園子温、「ヒミズ」フィルムパートナーズ〔ギャガ=講談社〕、2011年。
  『希望の国』、監督:園子温、「希望の国」製作委員会〔キングレコード=鈍牛倶楽部=ビターズ・
   エンド=RIKI プロジェクト=グランマーブル=ピクチャーズデプト=マーブルフィルム〕、2012年。
  『地獄でなぜ悪い』、監督:園子温、「地獄でなぜ悪い」製作委員会〔キングレコード=ケー・エイチ・
   キャピタル=BizAsset=テイ・ジョイ=ガンジス〕、2012年。
  『トーキョー・トライブ』、監督:園子温、TOKYO TRIBE FILM PARTNERS〔フロム・ファーストプロダク
   ション=日活〕、2014年。
  『新宿スワン』、監督:園子温、「新宿スワン」製作委員会〔講談社=トライトーン・エンタテイ
   メント=ジャパン・ミュージックエンターテインメント=ハピネット〕、2015年。
  『ラブ&ピース』、監督:園子温、「ラブ&ピース」製作委員会〔キングレコード=アスミック・
   エース=GYAO=フィールズ〕、2015年。
  『リアル鬼ごっこ』、監督:園子温、「リアル鬼ごっこ」フィルムコミッティ〔NBCユニバーサル・エン
   ターテイメント=高尾=松竹=アスミック・エース〕、2015年。

 「R15」指定になっているが、大人でも眉を顰めるかもしれない冒頭のシーンである。真っ先に、『悪の
教典』(監督:三池崇史、「悪の教典」製作委員会〔東宝=電通=文藝春秋=OLM=エー・チーム=日本出
版販売〕、2012年)や『寄生獣』(監督:山崎貴、「寄生獣」製作委員会〔東宝=日本テレビ放送網=講談
社=電通=読売テレビ放送=バップ=ROBOT=白組=阿部秀司事務所=日本出版販売=KDDI=CyaO!=札幌テ
レビ=ミヤギテレビ=静岡第一テレビ=中京テレビ放送=広島テレビ=福岡放送〕、2014年)を連想した。
なお、関連映画について、小生の感想が載っているブログの所在を下に挙げておこう。

  『リアル鬼ごっこ』:(柴田一成版、2007年)「日日是労働セレクト51」
  『自殺サークル』:「日日是労働セレクト82」
  『夢の中へ』:「日日是労働セレクト97」
  『地獄でなぜ悪い』:「日日是労働セレクト102」
  『悪の教典』:「日日是労働セレクト98」
  『寄生獣』:「日日是労働セレクト119」 * ただし、この作品については、記載のみ。

 園子温がヒントを得たかどうかは知らないが、最初の殺戮は<風>が行うもので、「かまいたち」の大掛か
りなものといった印象を受けた。もちろん、度肝を抜くような光景であるが、想像することは案外簡単で、
直ぐに慣れた。もっとも、その正体は不明のままである。「シュール」という綽名の主人公の同級生が登場
し、「人生はいつだってシュール、シュールに耐えられなくなったら負けだ」といったニュアンスの台詞を
吐くが、この台詞の方がリアルに思えた。さらに、最後の主人公の言葉である「わたしたちで遊ぶな」も、
けっこう腹に応えた。いずれにせよ、ゲームの世界や遺伝子操作などを強引に組み込んだ奇想天外の映画で
はある。
 物語を確認しておこう。例によって、<Movie Walker>のお世話になる。執筆者に感謝したい。なお、一部
改変したが、ご寛恕を乞う。

   〔解説〕

  全国の“佐藤さん”が謎の存在である鬼に追われるという不条理な鬼ごっこを描いた山田悠介の小
 説『リアル鬼ごっこ』。これまでにも複数回に渡って映像化されてきたベストセラーを園子温監督が
 映画化。小説の設定を一新し、ミツコ、ケイコ、いづみという3人のヒロインを軸に、命を狙われる
 女子高生たちの逃亡劇が描かれる。

   〔あらすじ〕

  得体のしれない何者かに追われ逃げていた女子高生のミツコ(トリンドル玲奈)は、気付くと学校
 の教室に来ていた。そこにいるはずのないクラスメイトたちに囲まれ、唖然とするミツコ。いつもと
 変わらぬ光景が繰り広げられるが……。一方、見知らぬ女性にウェディングドレスを着させられたケ
 イコ(篠田麻里子)やマラソン大会に出た陸上部のいづみ(真野恵里菜)も、理由がわからないまま
 に追いつめられる……。

 他に、桜井ユキ(アキ)、高橋メアリージュン(ジュン)、磯山さやか(むつこ)、平岡亜紀(タエコ)、
冨手麻妙(シュール)、堀口ひかる(トモコ=婦警)、斎藤工(男子高校生/老爺)、秋月三佳(さやか)、
宮原華音(ちひろ)、安田聖愛(ユキ)、緒沢あかり(マリ)、佐野光来(ミホ)、IZUMI(パイプオルガ
ンを不気味に演奏する女)、ほのかりん(ハツ)、屋敷紘子(映子=教師)、三田真央(美代=同)などが  
出演している。
 「現代の寓話」ともいえる作品で、かなり難解だが、JK(女子高校生)の実態と虚像を巧みに扱ってい
る点で、園子温が以前の園子温に回帰した感がある。はっきり言って「悪趣味」だが、このように描くこと
で、混沌とした現代を表現しているのだろう。羽毛のふわふわ感と、それが赤に染まるイメージが、詩的と
言えないこともない。最後に、アキを演じた桜井ユキとシュールを演じた冨手麻妙が、主役のトリンドル玲
奈、篠田麻里子、真野恵里菜を凌いで印象的だったことを付け加えておこう。

                                                  
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