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 以下に、「日日是労働」のダイジェスト版・第120弾を掲げます。直ぐ下の記事がこの「日日是労働セレク
ト120」の中では最も新しい日付のものです。つまり、読み進めるほど、古い記事になります。ただし、いち
いち明示しませんが、後日に行った加筆訂正を含んだ日があります。日誌ですから、少なくとも後日に加筆
することはご法度であるはずですが、「某月某日」ということもあり、記事内容の充実を優先させました。
ご了承ください。また、頑張って「辛口」の批評を展開しようと務めておりますので、本文に何かと読者の
お気に召さない表現等が散見されるやもしれませんが、特定の個人、団体等を誹謗中傷する目的は一切あり
ませんので、どうぞご理解ください。なお、ご感想は、muto@kochi-u.ac.jp までお寄せ下さい。


 某月某日

 DVDで邦画の『好きだ、』(監督:石川寛、「好きだ、」製作委員会〔アンデスフィルム=レントラック
ジャパン〕、2005年)を観た。『ペタル ダンス』の味わいをもう一度感じたかったので、同じ監督の前作
を観たというわけである。やや作り過ぎのところはあるが、総じて切ない物語に仕上がっている。このよう
な話をわざわざ映画化するには及ばないとは思うが、細部が生きているので十分に鑑賞に堪える。加えて、
映像が素晴らしく、無駄なカットも少ないと思う。もう少しポエジーがあったらもっとよい作品になっただ
ろうと思う。
 物語を確認しておこう。例によって〈Movie Walker〉のお世話になる。執筆者に感謝したい。なお、一部
改変したが、ご寛恕を乞う。

   〔解説〕

  一組の男女の17年越しの思いをつづるラブ・ストーリー。宮崎あおい、西島秀俊ら魅力的なキャス
 トの、言葉にできない思いを伝える繊細な演技が光る好編だ。

   〔あらすじ〕

  互いに好意を持っていながら、「好きだ」の一言が言い出せないでいる17歳のユウ(宮崎あおい)
 とヨースケ(瑛太)。そんな中、半年前に大切な人を事故で亡くしたユウの姉(小山田サユリ)が、
 ヨースケと会うようになった。ヨースケと会っている時の姉は、少し元気を取り戻したように見えた。
 ところがある日、ヨースケに会いに行く途中、姉は交通事故に遭ってしまう……。それから、17年の
 歳月が流れた。東京のレコードメーカーに勤務するヨースケ(西島秀俊)は、偶然、ユウ(永作博美)
 と再会する。事故以来、意識不明の姉は今も病床で眠り続けていた。やがて、互いに向き合うことを
 決意したふたりは、想いを伝える。「好きだ、」と。

 他に、野波麻帆(虎美)、加瀬亮(通りすがりの男)、大森南朋(ふたりの担任の先生)などが出演して
いる。
 『ペタル ダンス』以外に似ている作品は何かと思いめぐらしたところ、『音符と昆布』(監督:井上春
生、「音符と昆布」製作委員会〔エピックレコードジャパン=読売広告社=キューブ=ボイス&ハート=
tvk=テレ玉=チバテレビ=三重テレビ=KBS京都=サンテレビ〕、2008年)〔「日日是労働セレクト77」、
参照〕や『ゼラチン シルバー LOVE』(監督:操上和美、オニマクリスプラナ製作委員会〔ピラミッドフィ
ルム=ファントム・フィルム=博報堂DYメディアパートナーズ=東北新社=ジェネオン エンタテインメン
ト〕、2008年)〔「日日是労働セレクト76」、参照〕が頭に浮かんだ。前者はアスペルガー症候群の女性
が登場する映画であり、後者はある男が謎の女を撮影し続けるというシチュエーションがモチーフの映画で
ある。物語の点では似ても似つかぬ構造を互いに有しているが、登場人物同士のコミュニケーション不全が
全篇を覆っているという点と、映像美において優れているという点で似通っている。この手の映画はともす
れば退屈に陥りやすいが、細部に磨きがかけられていれば、そのゆったりと動く時間が心地よくなる。いず
れも目立たない「小品」の類に属する作品であるが、上質なワインのような味わいの短篇小説を読んだとき
のような快感がある。石川寛の才能であろう。


 某月某日

 DVDで邦画の『ペタル ダンス』(監督:石川寛、「ペタル ダンス」製作委員会〔ギークピクチュアズ=  
バップ=ビターズ・エンド=BS日テレ=グランドファンク=リンダパブリッシャーズ〕、2013年)を観た。
四人の若い女性のさまざまな思いや、海がひとつのモチーフになっているところから、『ストロベリーショ
ートケイクス』(監督:矢崎仁司、ストロベリーショートケイクス・パートナーズ 〔アップリンク=エス・
エス・エム=コムストック=TOKYO FM〕、2006年)を連想した。後者ではもっと生々しい生活の澱が描かれ
ていたが、当該作品ではそれを削ぎ落しており、鑑賞者の想像力に委ねられている。ジンコと川田との関係、
素子と元夫との関係、原木とキョウコとの関係、ミキはなぜ海に飛び込んだのか……それらはほとんど描か
れていない。ただ、風の中で、四人の女が、それぞれの思いにふけっている。つながっていそうで、ばらば
ら、ばらばらのようで、つながっている。生きて、笑って……それだけでいい。危うい生の綱渡りを描写し
ながら、彼女たちはたしかに生きている。たしかに、海を感じ、風を感じているのである。ともすれば退屈
に陥りそうな題材を見事に拾い上げている作品である。なお、始終吹きすさぶ風の音から、『津軽じょんが
ら節』(監督:斎藤耕一、斎藤プロ=ATG、1973年)を少しだけ思い出した。
 物語を確認しよう。例によって<Movie Walker>のお世話になる。執筆者に感謝したい。なお、一部改変し
たが、ご海容いただきたい。

   〔解説〕

  CMディレクターとして知られる石川寛が『好きだ、』以来7年ぶりに手がけた長編作。大学時代の
 友人に会うべく、車を走らせる3人の女性が、旅を通して自分を見つめなおしていく姿を描く。『好
 きだ、』でも主演を務めた宮崎あおいのほか、安藤サクラ、忽那汐里、吹石一恵という若手実力派女
 優が顔を揃えた。

   〔あらすじ〕

  ジンコ(宮崎あおい)と素子(安藤サクラ)の耳に、大学時代の友人で地元に残っていたミキ(吹
 石一恵)が海で溺れたとの噂が入ってきた。どうやらミキは自ら海に飛び込んだらしい。ジンコと素
 子は休みを合わせて、ミキのもとへ向かうことにする。ジンコの勤める図書館で知り合った原木(忽
 那汐里)に運転を任せ、ミキの住む北の果ての風の町を目指した旅が始まる……。

 他に、風間俊介(川田=ジンコの恋人)、後藤まりこ(原木の同僚=洋装店「ネコライ」の店員)、韓英
恵(キョウコ=原木の友人)、安藤政信(直人=素子の元夫)、高橋努(「ネコライ」の店長)などが出演
している。十二湖や椿山海岸という道路標識が見えたので、北の果ての町は青森県の津軽であることが分か
る。ちなみに、題名の『ペタル ダンス』の「ペタル」は英語の《petal》のことで、「花びら」という意味。
したがって、日本語に訳せば「花びらの舞い」くらいの意味か。


 某月某日

 DVDで邦画を2本観たので報告しよう。1本目は、『利休にたずねよ』(監督:田中光敏、「利休にたず
ねよ」製作委員会〔東映=木下グループ=キングレコード=東映ビデオ=テレビ東京=東急エージェンシー=
ギルド=テレビ大阪=クリエイターズユニオン=日本出版販売=PHP研究所=読売新聞社=東映チャンネル〕、
2013年)である。山本兼一の同名歴史小説が原作であるが、小生は未読である。なお、千利休が重要な役を
担う映画は、以下のものが有名である。もちろん、小生も鑑賞している。

  『利休』、監督:勅使河原宏、勅使河原プロ=松竹映像=伊藤忠商事=博報堂、1989年。
  『千利休 本覺坊遺文』、監督:熊井啓、セゾングループ、1989年。

 どちらもこのブログを始める前に観ているので、感想文はない。なお、前者の利休は三國連太郎、後者の
それは三船敏郎が演じている。同年に同じ利休が映画化されたのは偶然だろうか。小生は寡聞にして知らな
いが、当時けっこう話題になったことは覚えている。残念ながら、両者ともにさほど印象は残っておらず、
記憶のかなたに消えている。縁があればもう一度観てみたい気はするが……。
 当該作品の眼目は、利休の若き日に光を当てたことであろう。史実か虚構かは判然としないが、晩年の利
休からは想像だにできない利休像である。市川海老蔵が原作者の山本兼一に出演を懇望されたのも、その辺
りに理由がありそうである。亡くなる前の父親(市川團十郎)との共演もあって、海老蔵にとっては忘れら
れない作品であろう。
 物語を確認しておこう。例によって<Movie Walker>のお世話になる。執筆者に感謝したい。なお、一部改
変したが、ご寛恕を乞う。

   〔解説〕

  織田信長、豊臣秀吉に仕えながらも、その圧倒的な美意識が人々から認められた、希代の茶人・千
 利休。彼の知られざる若き頃の恋にスポットを当てた、山本兼一による直木賞受賞小説を市川海老蔵
 主演で映画化したラブストーリー。利休が実際に使用したとされるものなども含め、数々の茶の名器
 がスクリーンを彩る。

   〔あらすじ〕

  織田信長(伊勢谷友介)の茶頭として仕えた千利休(市川海老蔵)。利休は信長にへつらうことな
 く美を徹底的に追い求め、その美意識はやがて信長の家臣だった豊臣秀吉(大森南朋)をも魅了。秀
 吉の庇護のもと、利休は茶の湯を芸術の域にまで高め、茶聖と謳われるほどになる。しかし彼の名声
 が高まるにつれ秀吉は心を乱していき、利休を窮地に追い詰め、ついには切腹を命じる。三千もの兵
 が利休の屋敷を取り囲み、自刃のときが迫っていた。妻・宗恩(中谷美紀)の、ずっと想い人がいた
 のではないかとの問いかけに、利休は胸に秘めていた遠い記憶を蘇らせる。若い頃利休は色街に入り
 浸り、遊び呆けていた。そんな中ある女と出会い、彼女の気高さや美しさにすっかり心を奪われる。
 茶人・武野紹鴎(市川團十郎)の指導を受け、骨身を惜しまず彼女の世話をする利休。彼女は高麗か
 らさらわれてきた、一国の王への貢ぎ物だった。いくら彼女と気持を通わせても、恋が叶うはずもな
 かった。別れの時が近づき、利休はやむにやまれぬ思いである事件を起こす……。

 他に、成海璃子(おさん=利休の娘)、クララ(高麗の女)、川野直輝(山上宗二)、福士誠治(石田光
成)、袴田吉彦(細川忠興)、黒谷友香(細川ガラシャ)、檀れい(北政所)、大谷直子(たえ=遊廓の女
将)、中村嘉葎雄(古渓宗陳=大徳寺の住持)、伊武雅刀(千与兵衛=与四郎〔利休の若い頃の名前〕の父)、
柄本明(長次郎=瓦職人)、六平直政(久阿弥)、笠兼三(蒔田淡路守)、福本清三(帝)などが出演して
いる。なお、蒔田役を演じた笠兼三は笠智衆の孫の由。また、斬られ役専門の福本清三が帝を演じているが、
どことなく味があった。
 2本目は、『ドライブイン蒲生』(監督:やむらまさき、キングレコード、2014年)である。ある一家の
来し方行く末を坦々と描いている作品である。現代日本のどこにでも転がっていそうな話で新味はないが、
ある家族の姿を偽りなく描いていると思う。
 物語を確認しておこう。以下、上と同様。

   〔解説〕

  『萌の朱雀』を始め、数々の作品でカメラマンとして活躍してきたたむらまさきが、75歳にして初
 監督に挑戦。芥川賞作家、伊藤たかみの短編小説を原作に、ドライブインを経営する実家で育った姉
 弟の不器用な生き様を描く。出演は『WOOD JOB!(ウッジョブ) 神去なあなあ日常』の染谷将太、『横
 道世之介』の黒川芽以など。

   〔あらすじ〕

  街道沿いの寂れたドライブインに生まれ育った姉の蒲生〔岸本〕沙紀(黒川芽以)と弟の蒲生俊也
 (染谷将太)。ロクデナシの父・蒲生三郎(永瀬正敏)のせいで、物心ついた時から“バカの家の子
 ども”と蔑まれてきた2人の人生にはロクなことがない。周囲に対する反発からヤンキーになった沙
 紀は、挙句の果てに妊娠して家を飛び出していたが、数年後、夫のDVが原因で出戻ってきた。ヨリを
 戻すのか別れるのか? 決断すべく、幼い娘の亜希子(平澤宏々路)と俊也を引き連れ、夫の元へ向
 かう沙紀。その道中、沙紀と俊也の胸に去来するのは、意外にもあの亡父のことだった……。2人は
 父から受け継いだ何かを胸に抱いて今、決戦の場に赴く……。

 他に、猫田直(蒲生しのぶ)、小林ユウキチ(須田満=俊也の友人)、吉岡睦雄(岸本博志=沙紀の夫)、
黒田大輔(くびなし=小岩紙業の従業員)、鈴木晋介(パン屋のおじさん)、足立智充(沙紀の担任教師)、
田村愛(ドライブインのウェイトレス)などが出演している。蒲生一家は「喰らわんか舟」の末裔で、昔か
ら食い物を売って暮らしてきたと父は言う。どちらでもいいのだが、この姉弟はそれを密かに誇りにしてい
るように見える。カットバック(時系列を往ったり来たりすること)を多用する編集方法を採っているが、
うまくつながっている。さすがヴェテランの技である。なお、このドライブイン蒲生のメニューは以下の通
りである。

  カレーライス 400円
  ビール    600円
  焼酎     350円
  お酒     350円
  ライス    100円
  スパゲッティ・イタリアン(=ナポリタン)  650円 

 蛇足ながら、一言付け加えよう。「かすけてる」(「ちぢこまる」、「しおれる」、「やつれる」、「萎
縮する」、「かじかむ」などの意か。<Yahoo! 知恵袋>より)という言葉が出てくるが、この一家に相応し
い表現に見えた。なお、原作は読んでいないので、機会があれば読んでみたいと思う。


 某月某日

 DVDで邦画の『ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃』(監督:金子修介、東宝映画、2001年)を
観た。物語はハチャメチャであるが、映像には迫力があった。自衛隊の宣伝映画のような筋書だが、映画の
中では「防衛軍」となっている。国防の増強を目論む人たちにとっては、こんな映画を観ると興奮するのだ
ろう。小生はと言えば、「可もなし不可もなし」が妥当なところかと思っている。
 物語を確認しておこう。例によって<Movie Walker>のお世話になる。執筆者に感謝したい。なお、一部改
変したが、ご寛恕を乞う。

   〔解説〕

  平成「ガメラ」シリーズの金子修介監督が、ゴジラ映画に初挑戦。新たな設定をもとにゴジラを脅威
 の存在に徹しさせ、怪獣たち、そして人類との壮絶な戦いを描く最新作。

   〔あらすじ〕

  グァム島沖で消息を絶った米原子力潜水艦の捜索に向かった防衛海軍が、海底でゴジラと思われる
 生物を発見した。50年前、ゴジラの上陸で家族を失った防衛軍の立花泰三准将(宇崎竜童)は、ゴジ
 ラ襲来を警戒するよう軍上層部に促すも、平和に慣れきった軍は自らの兵力を過信し、立花の言葉を
 黙殺する。同じ頃、日本各地で若者たちが何物かに襲撃されるという事件が起こっていた。BS放送
 局「デジタルQ]のB級オカルト番組のリポーターで、立花の娘である由里(新山千春)は、友人で
 サイエンス・ライターの武田光秋(小林正寛)が持って来た『護國聖獣傳記』にあるバラゴン(婆羅
 護吽)、モスラ(最珠羅)、ギドラ(魏怒羅)の日本古来の怪獣が眠っている場所と事件発生現場が
 一致していることをつかみ、調査を開始。謎の老人・伊佐山嘉利(天本英世)からゴジラは太平洋戦
 争で命を散らした人々の「残留思念=怨念の集合体」であること、ゴジラから大和の国を護るべく聖
 獣たちが永く深い眠りから覚醒するであろうことなどを聞き出すのであった。そんな矢先、ゴジラが
 焼津に上陸。さらにバラゴンが地中から出現し、ふたつの怪獣が箱根で激突する。だがバラゴンは以
 前よりパワーアップしているゴジラの敵ではなく、バラゴンを倒したゴジラは東京へ移動を始めた。
 やがて、ゴジラは横浜に出現した。迎え撃つモスラとギドラは、壮絶なバトルを展開。しかし、ギド
 ラもモスラの力を借りてキングギドラへと姿を変えるも、遂に力尽きてしまう。ところがその時、三
 聖獣が光となってゴジラを海中へと引きずり込んだ。ゴジラを撃退するには聖獣とともに戦うしかな
 いと考え、D-03ミサイルを搭載した特殊潜航艇「さつま」に乗り込んでいた立花准将は、この時をチ
 ャンスとばかりさつまもろともゴジラの体内へと突っ込んで行く。そんな父親の姿に心打たれた由里
 は、報道へのプロ意識に目覚めゴジラとの戦いを最後まで放送することを決意し、レポートを続けた。
 そして、ゴジラの体内でD-03を発射し、ゴジラを倒すことに成功した立花准将は、無事、生還を果
 たす。だが、海の底では死んだ筈のゴジラの心臓がまだ鼓動を続けていたのである。

 他に、吉田瑞穂(ゴジラ/モスラを見上げる男)、大橋明(キングギドラ/漁協の職員)、太田理愛(バ
ラゴン/漁協の職員)、佐々木俊宣(バラゴン)、佐野史郎(門倉春樹=デジタルQのプロデューサー)、  
仁科貴(丸尾淳=同じくAD)、モロ師岡(同じくディレクター)、南果歩(江森久美=防衛隊の隊員)、
渡辺裕之(広瀬裕中佐=「さつま」搭乗員)、大和田伸也(三雲陸将)、村井国夫(日野垣真人=防衛隊の
書記官)、津川雅彦(官房長官)、葛山信吾(小早川時彦=防衛隊隊員)、布川敏和(宮下中佐=同)、中
原丈雄(崎田大佐=同)、村田雄浩(F-7Jパイロット)、角田信朗(本城=横浜・地上部隊隊長)、かとう
かずこ(小学校の先生)、中村嘉葎雄(初老の漁師)、加瀬亮(マサ=若い猟師)、鈴木ひろみ(民宿「鯨
見」の女将)、篠原ともえ(民宿の女)、竹村愛美(同)、温水洋一(民宿の客=小用中にゴジラに踏み潰
される)、高橋昌也(自転車屋老店主=由里に自転車を売る)、河原さぶ(トラックの運転手=バラゴンの
目撃者)、螢雪次朗(自殺志願の男=ギドラの発見者)、上田耕一(和泉村村長)、山崎一(同じく助役)、
松尾貴史(本栖署のウェブ担当の警察官)、近藤芳正(大涌谷の記念写真カップル)、奥貫薫(同)、笹野
高史(静岡のタクシー運転手)、木下ほうか(暴走族のヘッド)、徳井優(報道ヘリのリポーター)、山寺
宏一(TVプロデューサー)、佐伯日菜子(ロープウェイの女)、翁華栄(その連れの男)、杉山彩子(杉
野=「さつま」の搭乗員)、チューヤン(中国系住民)、峯村リエ(中国系住民)、前田愛(モスラを見上
げる姉妹)、前田亜季(同)、種子(田舎のホステス=和泉村村長の愛人)、水木薫(スーパーの客)、村
松利史(清水港の釣り人)、玄海竜二(囚人)、金子奈々子(長野気象台の職員)、森麻緒(お天気お姉さ
ん)、真由子(富田=管制官)、笠井信輔(臨時ニュースのアナウンサー)などが出演している。
 聖獣伝説や残留思念など、オカルト色満載の映画なので、原爆や原発や放射能についてはわずかしか触れ
ていない。最後の場面で、立花父娘が無事に再会を果たすが、そのとき准将が「残留放射能」を口にして、
近づくことを拒んでいる。あの状況では死んでいてもおかしくないのだが、この人だけは戦死させたくなか
ったのだろう。なお、小学教員の役を演じたかとうかずこの目の前にキノコ雲が湧きあがり、彼女が「原爆」
と発音するシーンがあるが、その後のフォローがない。あれはどういう意味だったのか。いずれにせよ、初
期のゴジラ映画とは大きくかけ離れていると思う。


 某月某日

 DVDで邦画の『悲しき小鳩』(監督:瑞穂晴海、松竹、1952年)を観た。『悲しき口笛』(監督:家城巳
代治、松竹大船、1949年)と『泣くな小鳩よ』(監督:毛利正樹、新東宝=青柳プロ、1950年)を合体させ
たような題名だが、もちろん物語は独自のものである。「サーカス」を舞台にして、親子の情とそこから生
じる葛藤を描いている。この頃のひばりの映画は同工異曲が多く、先の先まで筋書が見えるような物語であ
った。それでも、彼女の歌声は大人びており、貫録十分なので、当時の観客はそれを目当てに映画館に通っ
たのであろう。
 物語を確認しておこう。例によって<Movie Walker>のお世話になる。執筆者に感謝したい。なお、一部改
変したが、ご寛恕を乞う。

   〔解説〕

  製作は『母の山脈』の山口松三郎が担当、『母の願い』の伏見晁の脚本で、『お景ちゃんと鞍馬先
 生』の瑞穂春海が監督に当っている。撮影は同じく布戸章。出演者の主なものは、『月形半平太(19
 52年)』の美空ひばり、『父帰る』の徳大寺伸、『郷愁』の三宅邦子、岸恵子、『華やかな夜景』の
 佐田啓二のほか、清水一郎、堺駿二、磯野秋雄、阿南純子などで、川田晴久が特別出演している。

   〔あらすじ〕

  小野まり子(美空ひばり)は信州の小都市のミッション・スクールに預けられて勉強していた。学
 校の聖歌隊の一員だが、かくれて唄う流行歌に天才的なひらめきを見せていた。農林技師とばかり思
 っていた父隆太郎(徳大寺伸)がサーカスの道化師だったことがわかると、まり子は学校をやめて父
 とともにサーカスの巡業に加わった。そのうちにまり子の唄が人々の注意をひき、彼女は象使いの河
 多(川田晴久)の伴奏で観客の拍手を浴びるようになった。まり子は父との生活に満ち足りていたが、
 唯一つ母が一緒でないことが淋しかった。母信子(三宅邦子)はサーカス暮しに愛想をつかし、隆太
 郎と別れ、パトロンを見つけて熱海で旅館を経営していた。まり子の学資はその信子から出ていたが、
 まり子がサーカスの父の許にいるときくと、まり子の将来のために、自分の許へひきとりたいといい
 出した。しかし、隆太郎はそれをきっぱりはねつけた。ある日若い猛獣使いの杉村健吉(佐田啓二)
 が恋人の春江(岸恵子)のことで仲間と争い、怪我をさせられたので隆太郎が昔に帰って出演し、致
 命的な負傷した。父の容態があぶないと知って、まり子は初めて母の居所を知らされ熱海まで迎えに
 行くが、母に他の男があると知って失望して帰って来た。しかし、息を引きとる父の手をにぎってま
 り子は、母が心配してすぐに後から来ることになっていると、慰めるのだった。

 他に、清水一郎(柴山=赤林猛獣サーカス団の団長)、堺駿二(三平=道化師)、磯野秋雄(栄吉=春江
に横恋慕する団員)、高松栄子(吉岡みさを=ミッション・スクールの院長)、北竜二(森永=信子の再婚
相手)、水上令子(花田=マドレ)、比良多恵子(玉井=シスター)、青木放屁(新吉=浮浪児)、トラッ
クの運転手(長尾寛)などが出演ている。
 なお、この頃のひばりは、14、5歳と思われる。大人びてはいるが、あどけなさも残している。ちなみに、
マドレはスペイン語の《madre》で、「母」という意味。おそらく、英語の《sister》とともにカトリック
における修道女の呼び名である。もちろん、英語でいえば、《mother》に相当し、シスターよりも位階が上
位なのだろう(ネット記事よりの推測)。


 某月某日

 DVDで邦画を2本観た。どちらも女の悲しい半生を描いた作品である。前者は戦前の昭和、後者は明治が
舞台であるが、平成の若い女性はこれらの映画を観てどんな感慨を抱くのだろうか。
 1本目は、『実録阿部定』(監督:田中登、日活、1975年)である。いわゆる「阿部定事件」をモチーフ
にした日活のロマンポルノである。この題材は何度か映画化されているが、当該作品と『愛のコリーダ』
(監督:大島渚、アルゴスフィルム=オセアニック=大島渚プロ、1976年)がとくに話題になったのではな
いか。なお、『SADA』(監督:大林宣彦、松竹、1997年)という作品が存在することは知っていたが、
小生は未見である。『四畳半襖の裏張り』(監督:神代辰巳、日活、1973年)〔「日日是労働セレクト
111」、参照〕の二番煎じという観もあるが、実話を下敷にしているので、それなりのリアリティがある。
なお、『愛のコリーダ』も『四畳半襖の裏張り』の影響を受けていることを、大島監督自身が認めている由
(ウィキペディアより)。
 阿部定という女性をどう見るかは人によってまちまちだと思うが、小生は一種の「ストレイ・シープ」だ
と思っている。つまり、いろいろな要因が重なって、世間では猟奇事件として扱われることを一連の流れの
中で思わずしてしまったのだ、と。ともあれ、どう解釈しようとも、他人には窺い知れない気持が動いたの
であろう。なお、当時の精神鑑定の結果では、「残忍性淫乱症(サディズム)」と「節片淫乱症(フェチズ
ム)」という診断が下されたそうである(ウィキペディアより)。
 物語を確認しておこう。例によって<Movie Walker>のお世話になる。執筆者に感謝したい。なお、一部改
変したが、ご寛恕を乞う。

   〔解説〕

  昭和十一年五月十八日に起った“阿部定事件”を、男を想う中年女の哀しい性(さが)の立場から描
 く。脚本は『十代の性典'75』のいど・あきお、監督は『マル秘 色情めす市場』の田中登、撮影は『実
 録・元祖マナ板ショー』の森勝がそれぞれ担当。

   〔あらすじ〕

  東京・荒川の尾久の待合「満左喜」に居続けている中年男女の客があった。男は中野・新井の料理
 屋「吉田屋」主人・石田吉蔵(江角英明)で、連れの女はその店の女中・阿部定(宮下順子)であっ
 た。二人が知り合ったのは、一カ月前、定が吉蔵の店で働くようになってからで、間もなく互いに惹
 かれ合い、関係を持つようになった。“床上手”の二人の仲は次第に深くなっていき、やがて、吉蔵
 の女房(橘田良江)に知られてしまった。ある日、二人は、しめし合せて店を出ると、待合や旅館を
 転々として、「満左喜」へやってきたのだった。それからというもの二人は床を敷っ放しで情事にふ
 けり、女中(千草蘭)もあきれる程だった。三日目になって、さすがに疲れたのか、二人の眼のふち
 は黒くなっていた。定は金策のために、名古屋時代の知り合いで、今でも面倒をみてもらっている大
 里先生〔実名は大宮〕(坂本長利)を訪ねた。先生は人間的には素晴らしいと思っているのだが、肉
 体的には満足したことがなく、定には不満だった。そして久しぶりに先生に抱かれた定は、金をもら
 うと、「満左喜」へ帰った。四日目、五日目が過ぎても二人は飽きることなく肉欲に浸り続けた。芸
 者、酌婦、妾、女中として、数多くの男を知っていた定にとっても、吉蔵のように、自分を喜悦の絶
 頂へ誘ってくれた男は初めてだった。一週間目の夜、情事の果てに、吉歳がグッタリしていた。定は、
 そんな吉蔵の上に股がると、腰紐を彼の首に巻きつけて力一杯絞めあげた。店へ戻りそうな気配の見
 せた吉蔵を、誰の手にも渡さずに済むのだと思いながら……。そして愛する吉蔵の“男性自身”を斬
 り落とした。これで吉蔵は完全に自分のものになった……。

 他に、大谷木洋子(「品川館」の女中)、水木京一(古着屋の店員)、五條博(按摩)、小泉郁之助(刑  
事)、久松洪介(定の父親)、庄司三郎(用心棒)、花柳幻舟(芸者)などが出演している。
 定は、現代であれば「相思相愛」というところを、「相惚れ(あいぼれ)」という言葉を遣っていた。変
名や偽名も数多く、吉蔵には「加代」と呼ばれている。さらに、逮捕されたときは「大和田直」という偽名
を用いている。映像として「定・吉二人キリ」という血文字が印象的だが、実際には、血で、シーツと石田
の左太ももに「定、石田の吉二人キリ」と、石田の左腕に「定」と刻んだ由(ウィキペディアより)。実話
に基づくフィクションとして虚々実々は仕方ないが、鑑賞者に対して「けっこう事実に近いのではないか」
と思わせるところがミソであろう。
 ところで、2学期の「基礎倫理学 II」のテーマは「パニックとパンデミック」(居場所XIII)であるが、
この映画を観ようと思ったきっかけの一つに、「阿部定パニック」がある。その概要を<ウィキペディア>か
ら引用してみよう。執筆者に感謝したい。一部改変したが、ご海容いただきたい。

  阿部定パニック:この事件はすぐに国民を興奮させた。そして彼女の捜索について引き続いて起こ
          る熱狂は「阿部定パニック」と呼ばれていた。瓜実顔で髪を夜会巻きにした細身
          の女性を、定と勘違いし通報を受けた銀座や大阪の繁華街は一時騒然としてパニ
          ックになった。定が現れたという情報が流れるたびに、町はパニックになり、新
          聞はそれをさも愉快に書きたてた。この年に起こって失敗した二・二六事件クー
          デターの引用で、目撃例の犯罪が「試みイチ-ハチ」(「5-18」または「5月18日」)
          と諷刺的に呼ばれた。国民は美しいこの猟奇殺人者を二・二六事件で暗くなった
          世相を吹き飛ばす女神のような扱いをして歓迎した。「上野動物園クロヒョウ脱
          走事件」、「二・二六事件」とあわせて「昭和11年の三大事件」と呼ばれている。

 以上である。なお、当該映画は以下のような文字で幕を閉じている。

   押収証拠品

     腰紐一本
     肉切庖丁一挺
     局部

 2本目は、『雁』(監督:豊田四郎、大映東京、1953年)である。もちろん、原作は森鴎外(「鴎」の字
の偏は正しくは「區」。ただし、部首は「鳥」。以下、同じ)の名作であるが、原作に劣らないほど素晴ら
しい作品であった。「傑作」と言ってよいだろう。原作はおそらく高校生のころ読んだきりなので、細かい
ことは覚えていない。それでも、お妾さんが学生に懸想することと、蛇が小鳥を襲う場面くらいは覚えてい
る。ただし、当該映画で主人公のお玉を演じる高峰秀子のようなしっかり者ではなく、もっと大人しい感じ
の女性であったような印象がある。機会があれば、読み返してみようと思う。
 物語を確認しておこう。以下、上と同様。もっとも、あらすじに関しては大幅に改稿した。許されたし。

   〔解説〕

  明治末期から大正初期にかけて雑誌“スバル”に連載された森鴎外原作の映画化で、『続馬喰一代』
 の成澤昌茂の脚本を、『春の囁き』の豊田四郎が監督している。撮影は『愛情について』の三浦光雄、
 音楽は『獅子の座』の団伊玖磨。出演者は『明日はどっちだ』の高峰秀子、宇野重吉、『煙突の見える
 場所』の芥川比呂志、『刺青殺人事件』の東野英治郎、『あにいもうと(1953年)』の浦辺粂子、山田
 禅二など。

   〔あらすじ〕

  下谷練塀町の裏長屋に住む善吉(田中英三)、お玉(高峰秀子)の親娘は、子ども相手の飴細工を
 売って、わびしく暮らしていた。お玉は妻子ある男とも知らず一緒になり、騙された過去があった。
 今度は呉服商だという末造(東野英治郎)の世話を受けることになったが、それは嘘で末造は大学の
 小使いから成り上った高利貸しで世話女房〔=お常〕(浦辺粂子)もいる男だった。お玉は大学裏の
 無縁坂の小さな妾宅に囲われた。末造に欺かれたことを知って口惜しく思ったが、ようやく平穏な日
 日にありついた父親の姿をみると、せっかくの決心もくずれた。その頃、毎日無緑坂を散歩する医科
 大学生たちがいた。偶然その中の一人岡田(芥川比呂志)を知ったお玉は、いつか激しい思慕の情を
 つのらせていった。末造が留守をした冬のある日、お玉は今日こそ岡田に言葉をかけようと決心をし
 たが、叶わなかった。蛇を退治してくれたお礼として、食事を用意していたのである。しょんぼり帰
 宅したお玉の前に、千葉に出かけたはずの末造がいた。お玉を試したのである。その末造の口から、
 岡田が試験にパスしてドイツへ留学することになったことを耳にする。お玉は、せめて岡田が質入れ
 した洋書を渡しに駆けつけたが、岡田だと思って声をかけた相手は彼の友人の木村(宇野重吉)であ
 った。ちょうどその日送別会が催されることになっており、木村の一目会うかという誘いにも拘らず、
 岡田との再会を断念した。お玉は帰宅の途中魚屋で鯛を注文するが、岡田の下宿に届けるもらうこと
 を躊躇し、結局自宅に届けてくれるように頼んだ。「高利貸しの妾の家ですよ」と、自虐的な台詞と
 ともに。その鯛を末造に足蹴にされて、ついに堪忍袋の緒が切れたお玉は、妾宅を飛び出した。不忍
 の池の畔でもの思いにたたずむお玉の傍を、馬車の音が近づいてきて、その中で楽しそうに談笑する
 岡田の顔が、一瞬見えたかと思うと風のよう通り過ぎて行った。夜空に、一羽の雁がせわしなく飛び
 立っていった。

 他に、小田切みき(お梅=妾宅の女中)、三宅邦子(お貞=隣家に住む仕立物の師匠)、飯田蝶子(おさ
ん=お玉を末造に周旋した女。その功績で、末造に借りた金が棒引きになる)、直木彰(石原=末造に借金
のある学生)、姫路りえ子(おしげ=反物を借金のかたにとられて、末造を恨んでいる女)、伊達正(飴売
りの老人)、渡辺鉄弥(酒屋の小僧)、浜路真千子(お竹)、山田禅二(太助)、宮田悦子(おみつ)、若
水葉子(お針子)、立山美雪(おちよ)などが出演している。
 岡田がドイツの医者の助手に雇われてドイツ行きをする際の旅費は4,000マルク、月給は200マイルである。
岡田が末造から借りた金は3円。十日で一割の高利だから、返すときには3円30銭ということになる。善吉
の「金がないのは、首がないのと同じ」という台詞は悲しい。かたちだけは真似ができても、現在ではけっ
して作れない映画だと思った。これは蛇足であるが、『雁』(監督:池広一夫、大映、1966年)というリメ
イク作品が存在する由〔筆者、未見〕。


 某月某日

 DVDで邦画を2本観たのでご報告。ともに韓国人が登場し(そのうちの1本は、日韓共同制作)、昨今の
「韓流ブーム」を反映している。
 1本目は、『中学生円山』(監督:宮藤官九郎、「中学生円山」製作委員会〔ポニーキャニオン=フジテ
レビジョン=ジェイ・ドリーム=大人計画=関西テレビ放送=シネバザール=博報堂=博報堂DYメディアパ
ートナーズ〕、2013年)である。「彼でなければ撮れない、否、彼でなければ撮らないような作品」と言っ
たらよいだろうか。発想も平凡、内容もパクリだらけ、役者の演技も適当、数え上げれば欠点は山ほど挙げ
られるだろうが、それでいて全体的には「クドカン映画」に仕上がっている。ちなみに、彼が監督を務めた
作品は以下の3作品である。

  『真夜中の弥次さん喜多さん』、監督:宮藤官九郎、アスミック・エース エンタテインメント=
   ジェイ・ストーム=カルチュア・パブリッシャーズ=ティー・ワイ・オー=大人計画、2005年。

   * この映画の感想文は「日日是労働セレクト6」に収録されていたが、今では消去されてネット上
    には存在しないので、以下に再録することにする。

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 某月某日

 『真夜中の弥次さん喜多さん』(監督:宮藤官九郎、アスミック・エース エンタテインメント他、2005
年)を観た。クドカン初の映画ということだが、新人らしからぬ出来である。大概の場合、このような素材
の映画は大失敗になることが多いと思うのだが、うまくまとめている。トキオの長瀬智也と中村勘三郎(本
人も出演しているので、親子共演である)の息子の中村七之助の掛け合いである「てやんでえ」と「べらん
めえ」がとても新鮮に聞こえたし、冒頭の浴衣にも書かれていた「おいら」と「おめえ」の対句がよく似合
っていた。彼らコンビは、「てめえ探し」と同時に「リアル探し」を敢行するわけであるが、あたかもメー
テルリンクの名作『青い鳥』のように、「弥次さんにとっての喜多さん、喜多さんにとっての弥次さんがそ
れだった」という落ちは、約束されていたとは言え、物語を収束させる上で成功していると思う。ホモセク
シャルをこんなにカラッと描いた作品は果たしてあるだろうか。『おこげ』、『きらきらひかる』、『御法
度』などを思い浮かべたが、いずれとも違うタイプの映画である。阿部サダヲが狂言回しの役を演じている
が、うまくはまっている。荒川良々(あらかわよしよし)の涙が三途の川の源流であるという着想も面白い。
なお、この人は『SURVIVE STYLE 5+』で強烈な個性を発揮していた。松尾スズキの「髭の花魁」に対して
は、どうすればそんな発想が出てくるのだろうと思った。また、小技としてヘルメットに髷をつけたところ
など、遊び心が活きていてよい。富士山が破ける映像も、寺山修司の演出のようで面白かった。しかも、寺
山と違って底抜けに明るいのだ。ところで、あのバイクは『イージーライダー』のパクリか。「バイクで旅
に出る」……恥ずかしながら小生の高校生の頃の夢である。『さすらいのライダー・ロビンソン』(そんな
題名だったか)なんていうアメリカのテレヴィ番組を思い出した。原作のしりあがり寿は、小生の記憶をた
どれば、相原コージが発掘した逸材ではなかったか。まさか朝日新聞に連載するまでになるとは思ってもみ
なかったが、その独特の感性には心惹かれる。

 註:あとで判明したことであるが、この時点では中村勘三郎はまだ襲名しておらず、中村勘九郎として
   出演している。お詫びして訂正したい。

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  『少年メリケンサック』、監督:宮藤官九郎、「少年メリケンサック」製作委員会〔東映=テレビ
   東京=小学館=バップ=木下工務店=東映ビデオ=大人計画=吉本興業=ミュージック・オン・
   ティーヴィ=ViViA=ディーライツ=テレビ大坂=ヒラタオフィス〕、2009年。
   〔「日日是労働セレクト60」、参照〕
  『中学生円山』、監督:宮藤官九郎、「中学生円山」製作委員会〔ポニーキャニオン=フジテレビ
   ジョン=ジェイ・ドリーム=大人計画=関西テレビ放送=シネバザール=博報堂=博報堂DY
   メディアパートナーズ〕、2013年。

 ほぼ4年おきに製作しているが、それぞれクドカン・ワールド全開である。嫌いではないが、好きかと訊
かれると躊躇するようなタイプの監督である。今回の作品も悪乗りの部類であり、観ていて白ける箇所もけ
っこうあったが、クドカンだから許せるといったところか。人徳なのかもしれない。
 物語を確認しておこう。例によって〈Movie Walker〉のお世話になる。執筆者に感謝したい。なお、一部
改変したが、ご寛恕を乞う。

   〔解説〕

  奇才・宮藤官九郎の『少年メリケンサック』以来4年ぶりとなる監督第3作は、団地に住む妄想癖
 のある中学2年生と謎のシングルファーザーとの交流を描く、青春ストーリー。中学生なら誰もが抱
 くようなエッチな妄想シーンをCGやアクションを駆使して描き出す。草なぎ(弓偏に旁の上が前、下
 が刀。文字化けするので平仮名にする。以下、同様)剛が『任侠ヘルパー』から一転、平凡な中年男
 を好演している。

   〔あらすじ〕

  定時で帰ってくる父・克之(仲村トオル)、韓流ドラマにはまっている母・ミズキ(坂井真紀)、
 デリカシーのない妹・あかね(鍋本凪々美〔なべもと・ななみ〕)といったごく普通の家庭に育った
 中学2年生の円山克也(平岡拓真)。団地と学校を往復するだけの日々を過ごす克也だが、思春期ら
 しく頭の中ではエロいことばかり考えている。最近は、ある目的のために「自主トレ」と称して身体
 を柔らかくする努力をしている。ついには限界まで背中を折り曲げて妄想の世界へトリップするよう
 に。その頃、上の階に下井辰夫という男(草なぎ剛)が引っ越してくる。シングルファーザーで、仕
 事をしている様子はないが、なぜか団地の主婦たちの間にうまく溶け込んでいる。そんなある日、団
 地の近所で殺人事件が起こる。克也は謎が多い下井が殺し屋ではないかという妄想に取りつかれてし
 まう……。

 他に、遠藤賢司(井上のおじい)、ヤン・イクチュン(パク・ヒョンホン=東亜デンキの従業員。元俳優)、
刈谷友衣子(清水ゆず香=克也のガール・フレンド)、YOU(ゆず香の母)、原史奈(三浦=近所の主婦)、
家納ジュンコ(同)、皆川猿時(細野=団地の厄介者)、三宅弘城(梅田=レスリングの先生)、宍戸美和
公(村田=団地の自治会長)、田口トモロヲ(パク・ヒョンホンの上司)、岩松了(大谷=刑事)、少路勇
介(黒田=同)、野波麻帆(下井の亡妻)などが出演している。小生も中学校2年生ぐらいの頃は、さまざ
まな妄想をたくましくしたものである。もっとも、その妄想癖は、今もさほど変わらないのではないかと思
っている。「三つ子の魂百まで」の類であろう。韓流ドラマに嵌っている主婦が登場するが、1960年代から
始まったTVの「昼ドラ」のかたちを受け継いでいるのだろう。「昼メロ」という言葉もあるように、ドロ
ドロとした男女の愛憎劇が放映されることもあり、主婦層の人気を集めているらしいが、韓流ドラマもその
線を継承しているのだろう。『冬のソナタ』が大流行したが、小生は観たことがないので、機会があれば観
てみたいと思っている。クドカンは、この現象をもちろん「喜劇」と捉えており、坂井真紀に過剰な演技を
要求している。しかし、これに近い主婦は日本にいくらでも存在するような気がするが、これは小生の偏見
であろう。
 2本目は、『ゲノムハザード ある天才科学者の5日間』(監督:キム・ソンス、日本=韓国(配給:アス
ミック・エース)、2013年)である。日韓共同制作作品らしいが、これまでこの手の作品は「家族研究への
布石(映像篇)」に登録しなかった(例外は、大島渚監督の『戦場のメリークリスマス』)が、当該作品を
機に登録することにした。今回追加した作品は以下の5篇である。

  『家族シネマ』、監督:パク・チョルス(朴哲洙)、配給:日活(日韓合作)、1999年。
  『力道山』、監督:ソン・へソン、韓国=日本(ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント)、
   2005年。
  『単騎、千里を走る。』、監督:張芸謀/降旗康男、中国=日本(東宝)、2006年。
  『さそり』、監督:馬偉豪〔ジョー・マ〕、日本〔アートポート〕=香港、2008年。
  『サヨナライツカ』、監督:李宰漢(イ・ジェハン)、韓国=日本〔フジテレビジョン=アスミック・
   エース エンタテインメント=関西テレビ放送=ソニー・ミュージックエンタテインメント〕、2009年。

 よって、これからは、日本が制作に絡む作品は登録する方針である。
 さて、当該作品であるが、サスペンスに先端生命科学を味つけした映画で、『パラサイト・イヴ』(監督:
落合正幸、フジテレビジョン=角川書店、1997年)〔「日日是労働セレクト16」、参照〕を連想した。な
かなか凝ったつくりではあるが、主人公を支える「運命の証人」が都合よく登場するたびに、だんだん白け
てきた。「どうやって現れたんだ」という思いが強く、「何か裏があるのでは」とも思ったが、そうではな
かった。この手の映画が陥りやすい致命的欠陥である。ただし、観ている間は流れに乗りやすいので、あま
り気にしなくて済むかもしれない。揚げ足取りが映画鑑賞の目的ならば別だが、そうでない限り監督の演出
に「なるほどね」と頷いていた方が無難だからである。
 物語を確認しておこう。以下、上と同様。

   〔解説〕

  第15回サントリー・ミステリー大賞読者賞に輝いた司城志朗の同名小説を、西島秀俊主演で映画化
 したサスペンス・アクション。何者かによって記憶を上書きされ、日本人として暮らしていた韓国人
 の天才科学者が、自らに降りかかった出来事の真相に迫っていく姿を描く。監督は『美しき野獣』の
 韓国の俊英、キム・ソンス。

   〔あらすじ〕

  ごく普通の会社員、石神武人(西島秀俊)はある日、自宅で殺害されている妻(中村ゆり)を発見
 する。呆然としているところに突然鳴り響いた電話に出ると、受話器の向こうから聞こえてきたのは、
 傍らで冷たくなっている妻の声だった……。この日を境に、彼には別の記憶が混在するようになる。
 そして辿り着いたのは、本当の彼が日本人の会社員ではなく、韓国人科学者オ・ジヌだという真実だ
 った。彼の記憶は“上書き”されていたのだ。そしてなぜか、警察を騙る男たちが彼を捕えようと追
 ってくる。その追跡をかわしながら、正体不明の女性記者カン・ジウォン(キム・ヒョジン)ととも
 に真実を追ううちに、妻を装う女・美由紀(真木よう子)と出会う。誰が何のために記憶を奪ったの
 か? なぜ追われているのか? すべての記憶が消えるまであと5日。最後に待ち受けるのは、衝撃
 の真実……。

 他に、伊武雅刀(佐藤英輔博士)、浜田学(伊吹克彦=石神の友人)、パク・トンハ(警察を騙る男)、
イ・ギョンヨン(黒幕)などが出演している。オ・ジヌが、さまざまな薬品を混ぜ合わせて、ニトログリセ
リンなどの危険物質を短時間で合成するシーンは新鮮だった。また、ウィルスに人間の記憶を移し、そのウ
ィルスを媒介にして別のある人間に乗り移るという発想も斬新だった。もう少しサスペンスの部分が洗練さ
れていたら、もっと上質の作品に仕上がっていただろうと思う。


 某月某日

 DVDで邦画の『ゴジラ FINAL WARS(ファイナルウォーズ)』(監督:北村龍平、東宝映画、2004年)を観
た。1954年に始まった「ゴジラ」シリーズの第28弾である。以下にその全容を掲げてみよう。

  1.『ゴジラ』、監督:本多猪四郎、東宝、1954年。
  2.『ゴジラの逆襲』、監督:小田基義、東宝、1955年。
  3.『キングコング対ゴジラ』、監督:本多猪四郎、東宝、1962年。
  4.『モスラ対ゴジラ』、監督:本多猪四郎、東宝、1964年。
  5.『三大怪獣 地球最大の決戦』、監督:本多猪四郎、東宝、1964年。
  6.『怪獣大戦争』、監督:本多猪四郎、東宝、1965年。
  7.『ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘』、監督:福田純、東宝、1966年。
  8.『怪獣島の決闘 ゴジラの息子』、監督:福田純、東宝、1967年。
  9.『怪獣総進撃』、監督:本多猪四郎、東宝、1968年〔筆者、未見〕。
  10.『ゴジラ・ミニラ・ガバラ オール怪獣大進撃』、監督:本多猪四郎、東宝、1969年〔筆者、未見〕。
  11.『ゴジラ対へドラ』、監督:板野義光、東宝、1971年〔筆者、未見〕。
  12.『地球攻撃命令 ゴジラ対ガイガン』、監督:福田純、東宝、1972年。
  13.『ゴジラ対メガロ』、監督:福田純、東宝映像、1973年。
  14.『ゴジラ対メカゴジラ』、監督:福田純、東宝、1974年。
  15.『メカゴジラの逆襲』、監督:本多猪四郎、東宝映像、1975年。
  16.『ゴジラ』、監督:橋本幸治、東宝、1984年〔筆者、未見〕。
  17.『ゴジラVSビオランテ』、監督:大森一樹、東宝、1989年〔筆者、未見〕。
  18.『ゴジラVSキングギドラ』、監督:大森一樹、東宝、1991年〔筆者、未見〕。
  19.『ゴジラVSモスラ』、監督:大河原孝夫、東宝映画、1992年。
  20.『ゴジラVSメカゴジラ』、監督:大河原孝夫、東宝、1993年〔筆者、未見〕。
  21.『ゴジラVSスペースゴジラ』、監督:山下賢章、東宝、1994年〔筆者、未見〕。
  22.『ゴジラVSデストロイア』、監督:大河原孝夫、東宝映画、1995年。
  23.『ゴジラ2000 ミレニアム』、監督:大河原孝夫、東宝映画、1999年。
  24.『ゴジラ×メガギラス G消滅作戦』、監督:手塚昌明、東宝映画、2000年。
  25.『ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃』、監督:金子修介、東宝、2001年〔筆者、未見〕。
  26.『ゴジラ×メカゴジラ』、監督:手塚昌明、東宝映画、2002年〔筆者、未見〕。
  27.『ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS』、監督:手塚昌明、東宝映画、2003年。
  28.『ゴジラ FINAL WARS』、監督:北村龍平、東宝映画、2004年。

 以上である。六割以上観ていることになる。残り10本なので、機会があれば全部観てみたい。ウィキペデ
ィアによれば2016年に12年ぶりに新作(題未定)が予定されている由。やはり、ゴジラは東宝の至宝である。
もっとも、当該作品は最近観たゴジラ映画の中で一番荒唐無稽だった。面白くないこともないが、ゴジラの
他に、ミニラ、モスラ、アンギラス、ラドン、マンダ、エビラ、カマキラス、クモンガ、へドラ、キングシ
ーサー、ジラ、ガイガン、カイザーギドラといった具合に、14頭もの怪獣が登場し、まるで在庫一掃セール
のようだった。怪獣が増えれば増えるほどそれぞれの怪獣の個性は薄まり、ゴジラの引き立て役にしかなら
なかった。X星人のキャラもありきたりで、ただひとり北村一樹の怪演が小生を苦笑させただけであった。
生物を形成するDNA塩基には、アデニン、グアニン、シトシン、チミンの他に「M塩基」が存在し、怪獣
とミュータントとの間に共通しているという話は少し新鮮だった。また、カンフー映画まがいの格闘シーン
もあり、欲張った物語ではある。「ゴジラ生誕50周年記念作品」だそうだが、もう少し練り上げた物語にし
て欲しかった。なお、この作品は、田中友幸、本多猪四郎、円谷英二に捧げられている。
 物語を確認しておこう。例によって<Movie Walker>のお世話になる。執筆者に感謝したい。なお、一部改
変したが、ご寛恕を乞う。

   〔解説〕

  『あずみ』の北村龍平監督が、スタイリッシュな映像で魅せるシリーズ28作目。4か国の海外ロケ
 を敢行し、異星人の脅威と人類の命運を賭けた死闘が展開する。日本語に吹き替えられた外国人キャ
 ストのセリフを、オリジナル言語のまま日本語字幕付で公開した「ワールドプレミア・ヴァージョン」
 もあり。

   〔あらすじ〕

  20XX年。突如、世界各地で一斉に怪獣たちが暴れ始めた。地球防衛軍及び新人類ミュータント兵士、
 通称・M機関は迎撃を開始するが、事態を収めたのは、地球に飛来したX星人と名乗る異星人であっ
 た。友好的な彼らに、歓迎ムードの地球人。しかし、X星人の真の目的は地球の支配、人類の家畜化
 であった。それをいち早く見破ったM機関兵士の尾崎真一(松岡昌弘)と、分子生物学者・音無美雪
 (菊川怜)、彼女の姉でテレビ・キャスターの杏奈(水野真紀)は、X星人の計画を阻止すべく立ち
 上がる。ところが、本性を現したX星人の統制官(伊武雅刀)は、サイボーグ怪獣・ガイガンを目覚
 めさせると、次々に他の怪獣も投下、地球侵略に乗り出した。そこで、尾崎たちは地球防衛軍が誇る
 海底軍艦・「新 轟天号」の艦長・ゴードン大佐(Don Frye)の下、あるとんでもない作戦に打って
 出る。それは、地球の最終兵器とも言える南極の氷海に眠るゴジラを蘇らせ、怪獣たちと戦わせるの
 だ! 果たして、海底より復活したゴジラは、ガイガンを倒すと、立ち塞がるジラ、クモンガ、カマ
 キラス、アンギラス、ラドン、キングシーサー、エビラ、ヘドラを次々に撃破。更に、パワーアップ
 したガイガンやモンスターX=カイザーギドラをもやっつけ、最後にX星人を倒した尾崎たちと対峙
 するが、現れたミニラの制止によって海へと帰って行くのだった。

 他に、北村一輝(参謀・後に統制官)、喜多川務(ゴジラ)、中川素州(モンスターX/キングシーサー/
カイザーギドラ)、小倉敏博(カイザーギドラ/アンギラス/エビラ)、吉田和宏(ガイガン/ヘドラ)、
神尾直子(ミニラ/ラドン)、ケイン・コスギ(風間勝範=ミュータント)、宝田明(醍醐直太郎=国連事
務総長)、國村隼(小室=ゴードン大佐の部下)、水野久美(波川玲子=司令官)、佐原健二(神宮寺八郎=
博士)、泉谷しげる(田口左門=富士山麓の猟師)、須賀健太(田口健太=左門の孫)、船木誠勝(熊坂)、
長澤まさみ(インファント島の小美人)、大塚ちひろ(同)、四方堂亘(国木田少将)、中尾彬(初代轟天
号艦長)、上田耕一(初代轟天号副艦長)、橋爪淳(国連事務総長秘書官)、高杉亘(李翔大佐=火龍艦長)、
榊英雄(エクレール副艦長)、羽鳥慎一(TVリポーター)、小橋賢児(小橋賢児改めX)、マイケル富岡
(テレビ討論会パネラー)、大槻義彦(同)、韮澤潤一郎(同)、篠原ともえ(同)、角田信朗(同)、木
村大作(同)、松尾貴史(同)、佐野史郎(神父姿の刺客)、谷原章介(東京の男)、さとう珠緒(その彼
女)、レイ・セフォー(グレン)、ゲーリー・グッドリッジ(ニック)、田中要次(懲罰房棟の警備兵)な
どが出演している。宝田、佐原、水野(久美)など、かつての東宝スターが出演していたが、だいぶ老けて
みえた。致し方がないが……。尾崎のライバルである風間がX星人の宇宙船に特攻攻撃をかけるが、『イン
デペンデンス・デイ(Independence Day)』(監督:ローランド・エメリッヒ〔Roland Emmerich〕、米国、
1996年)の1シーンを連想した。影響を受けているのだろうか。いずれにせよ、詰め込みすぎて、収拾がつ
かなくなった観は否めないだろう。少し惜しい気がした。


 某月某日

 DVDで邦画の『リアル -完全なる首長竜の日-』(監督:黒沢清、映画「リアル -完全なる首長竜の日-」
製作委員会〔TBSテレビ=東宝=電通=ホリプロ=アミューズ=ツインズジャパン=CBC=WOWOW=Amazon
Japan=MBS=烏龍舎=朝日新聞社=HBC=RKB=GyaO!〕、2013年)を観た。黒沢清といえば「ホラー映画」
というイメージがあるが、これまでの作品とは一味違った不思議な味わいの映画である。『トータル・リコ
ール(Total Recall)』(監督:ポール・バーホーベン〔Paul Verhoeven〕、米国、1990年)や『マトリッ
クス(The Matrix)』(監督:ラリー・ウォシャウスキー〔Larry Wachowski〕/アンディ・ウォシャウス
キー〔Andy Wachowski〕、米国、1999年)を連想した。いわゆる「仮想現実(Virtual Reality)」を題材
にしている。さらに、首長竜を絡ませるところがミソで、映像的にはかなりの迫力であった。ちなみに、小
生がすでに鑑賞済みの黒沢清の作品を以下に掲げてみよう。当該作品を含めて13本観ている。

  『ドレミファ娘の血は騒ぐ』、監督:黒沢清、EPiCソニー=ディレクターズ・カンパニー1985年。
  『スウィートホーム』、監督:黒沢清、伊丹プロダクション、1989年。
  『地獄の警備員』、監督:黒沢清、アテネ・フランセ文化センター、1992年。
  『DOOR III』、監督:黒沢清、彩プロ、1996年。
  『CURE』、監督:黒沢清、大映、1997年。 
  『カリスマ』、監督:黒沢清、日活=キングレコード=東京テアトル、1999年。
  『回路』、監督:黒沢清、大映=日本テレビ放送網=博報堂=IMAGICA、2001年。
  『アカルイミライ』、監督:黒沢清、アップリンク=クロックワークス=デンタルサイト、2002年。
  『ドッペルゲンガー』、監督:黒沢清、東芝=ワーナー・ブラザーズ=日本テレビ放送網=アミューズ
   ピクチャーズ=日本テレビ音楽=ツインズジャパン、2002年。
  『LOFT(ロフト)』、監督:黒沢清、「LOFT」製作委員会〔日本テレビ放送網=Mirovision=SDP=
   ジェネオン エンタテインメント=ツインズジャパン=日活=C&S International〕、2005年。
  『叫』、監督:黒沢清、TBS=Entertainment FARM=エイベックス エンタテインメント=オズ=日活、
   2007年。
  『トウキョウソナタ』、監督:黒沢清、Fortissimo Films=「TOKYO SONATA」製作委員会〔博報堂DY
   メディアパートナーズ=ピックス=Entertainment Farm〕、2008年。
  『リアル -完全なる首長竜の日-』、監督:黒沢清、映画「リアル -完全なる首長竜の日-」製作
   委員会〔TBSテレビ=東宝=電通=ホリプロ=アミューズ=ツインズジャパン=CBC=WOWOW=Amazon  
   Japan=MBS=烏龍舎=朝日新聞社=HBC=RKB=GyaO!〕、2013年。

 発表作品のうち7割くらい観ている監督だから、当然評価の方も高い。たぶん、当該映画もかなり印象に
残ると思う。脳とか、意識とか、現実とか、非現実とか、それらをいろいろ錯綜させる試みはあまたあるだ
ろうが、この厄介な題材を無難にまとめているところはさすがヴェテランである。小生と同世代(彼の方が
ひとつ下)のせいか、表現に違和感を感じることはほとんどない。その辺りが彼を支持する理由のひとつで
あろう。
 物語を確認しておこう。例によって<Movie Walker>のお世話になる。執筆者に感謝したい。なお、一部改
変したが、ご海容いただきたい。

   〔解説〕

  第9回「このミステリーがすごい!」大賞に輝いた、乾緑郎の小説を佐藤健&綾瀬はるか主演で映
 画化したミステリー。自殺未遂で昏睡状態になった恋人を救うため、最新技術で彼女の意識の中へ入
 っていく主人公が、“現実”と“仮想”が混沌する世界で新たな事実に遭遇する姿を描く。監督は、
 『トウキョウソナタ』の鬼才・黒沢清。

   〔あらすじ〕

  和淳美〔かず・あつみ〕(綾瀬はるか)が自殺を図り、一命を取り留めたものの昏睡状態となる。
 彼女と幼い頃から一緒に過ごしいつしか恋人となった藤田浩市(佐藤健)でも淳美が自殺を図った理
 由がわからない。彼女を救うために、浩市は<センシング>と呼ばれる眠り続ける患者と意思疎通が
 できる手法を用い、淳美の意識内へ潜り込む。<センシング>を繰り返すうちに、浩市の脳と淳美の
 意識が混線するようになり、二人は現実と仮想が入り乱れる意識の迷宮を彷徨う。そして二人がかつ
 て過ごした飛古根島へ向かった浩市は、記憶を封印していた15年前の事件に触れる……。

 他に、中谷美紀(相原栄子=精神科医)、オダギリジョー(沢野=漫画雑誌の編集者)、染谷将太(高木  
真悟=淳美のアシスタント)、堀部圭亮(米村=脳神経外科医)、松重豊(和晴彦=淳美の父)、小泉今日
子(宮内真紀子=浩市の母)、浜野謙太(飛古根島署・生活安全課の警察官)などが出演している。「フィ
ロソフィカル・ゾンビ」(非現実の世界で妄想が作り出す人物)が少しだけ面白かった。小生は、いわゆる
「ゾンビもの」が嫌いであるが、このゾンビは面白い。ただし、現実にいたら怖い。もっとも、「フィロソ
フィカル・ゾンビみたいな人」は現実にいるので、やはり怖い。


 某月某日

 DVDで邦画の『シルクハットの大親分 ちょび髭の熊』(監督:鈴木則文、東映京都、1970年)を観た。前
作以上に工夫が凝らされており、分かりやすい展開となっている。前作で亡くなった伊庭新二郎の弟・新吾
役に、新二郎役だった伊吹吾郎が再登板している。大映の「悪名」シリーズにおける田宮二郎(兄:モート
ル貞、弟:清次)のケースと同様である。日本初上陸の「自動車〔自力運行機械〕(automobile)」をめぐ
る物語であるが、耳には「大友ビル」に聞こえた。シリーズ化されてもよかったのに、この第二作で完結し
ている。映画界全体が斜陽化した頃でもあり、興行成績が振るわなかったせいかもしれない。
 物語を確認しておく。今回は、<映画.com>の記事を引用させていただく。執筆者に深謝。なお、一部手を
加えたが、ご寛容あれ。

   〔解説〕

  「シルクハットの大親分」シリーズ第二作。脚本は『人斬り観音唄』の高田宏治、監督は『関東テ
 キヤ一家 天王寺の決斗』の鈴木則文。撮影は『札つき博徒』の塚越監二がそれぞれ担当。

   〔ストーリー〕

  四国道後の大親分、熊坂虎吉(若山富三郎)は道後温泉発展のためにと、一家をひきつれて熱海に
 やってきた。この地は源田産業や農商務次官の芦沢正文(須賀不二男)、それに東京の顔役、剣持隆
 之(名和広〔宏〕)をバックにもつ横川組の縄張りであった。熊虎はさっそくくつろいだ宿の女将お
 幸(白木マリ)を横川組の魔手から救って、貫禄を示すのだった。その熊虎の度胸にゾッコン惚れ込
 んでしまったのは小栗子爵(北竜二)だった。彼は日本で最初に自動車の輸入に成功した人物で、天
 皇陛下に献上する第一号車の運搬と警備役を熊虎に頼んだ。剣持、横川益蔵(守田学哉)らは妨害の
 秘策を重ねた。しかし熊虎は技師クラウス(オスマン・ユセフ)や小栗の部下、伊庭新吾(伊吹吾郎)
 とともに無事大任を果し終えた。ところが、小栗は「輸入許可」を正式に得ると、熊虎との関係をた
 ちきることを伝えた。源田産業の源田光義(安部徹)たちは、妨害をあきらめず、自動車爆破を計画
 した。行動を開始した横川に襲われた新吾を救おうとした熊虎は源田の銃弾を太腿にうけ、危機に瀕
 した。だが、その時颯爽と登場した兄弟分の緋牡丹のお竜の助力でことなきを得た。一難去ってまた
 一難。自動車は整備中のクラウス(オスマン・ユセフ)とともにダイナマイトで吹き飛んだ。小栗と
 小栗家の家令である一色重兵衛(石山健二郎)も横川組の刃に襲われた。熊虎とお竜の我慢もそれま
 でだった。喧嘩仕度に身を固めた兄弟は、源田、剣持、横川、芦沢と、悪の根源を葬り去った。

 他に、橘ますみ(小栗梓=子爵の娘。新吾の許婚者)、大島昭彦(藤村有弘=大島銀行の副頭取)、疋田
泰盛(小ヒゲ=熊虎一家の代貸)、長谷川弘(忠市=同じく身内)、広瀬義宣(ボテ八=同)、志賀勝(ガ
リ松=同)、北川俊夫(鹿蔵=同)、松原健司(壺吉=同)、畑中伶一(暗闇竹=同)、池田謙治(河ウソ=
同)、丸平峰子(熊坂清子=虎吉の妹)、汐路章(馬沢銀平=横川組の代貸)、平沢彰(宇之助=同じく子
分)、川谷拓三(竜造=同)、白川浩二郎(太吉=同)、ルーキー新一(呑海=破戒坊主)、永田光雄(小
松)、山田みどり(春江)、浅松三紀子(おさだ)、小田真士(小栗家の召使)、前川良三(新聞記者)、
山下義明(同)、古閑達則(同)、木谷邦臣(巡査)などが出演している。


 某月某日

 DVDで邦画を2本観たのでご報告。重い映画の後は軽い映画というわけで、お気楽な喜劇映画を続けて選
択した。
 1本目は、『俺はまだ本気出してないだけ』(監督:福田雄一、「俺はまだ本気出してないだけ」製作
委員会〔日活=ハピネット=テレビ東京=電通=松竹=ソニーミュージックエンタテインメント=小学館=
Yahoo! JAPANグループ〕、2013年)である。主演の堤真一はこの手の映画に似つかわしく、無難にまとめて
いる。
 物語を確認しておこう。例によって<Movie Walker>のお世話になる。執筆者に感謝したい。なお、一部改
変したが、ご寛恕を乞う。

   〔解説〕

  青野春秋のデビュー作にして、「このマンガがすごい!2009」にランキングされるなど話題を呼ん
 だコミックを、堤真一主演で映画化したコメディ。42歳でバツイチ子持ちの中年男がいきなりマンガ
 家になろうとするも、ダメダメすぎて空回りし続ける姿が笑いを誘う。監督・脚本を手がけたのは、
 『コドモ警察』などの福田雄一。

   〔あらすじ〕

  42歳、バツイチの大黒シズオ(堤真一)は、高校生の一人娘・鈴子(橋本愛)、父親の志郎(石橋
 蓮司)と3人暮らし。「本当の自分を見つける」と勢いで会社を辞めてから1ヵ月経つが、朝から寝
 転んでゲーム三昧、志郎はそんなシズオに毎日怒鳴り散らしている。ある日、本屋で立ち読みをして
 いたシズオは突然ひらめき、「俺、マンガ家になるわ」と宣言。根拠のない自信をもとに出版社に持
 ち込みを続け、担当編集者の村上政樹(濱田岳)に励まされつつ雑誌掲載を目指すも、原稿はすべて
 ボツ。バイト先のファーストフード店でのあだ名は“店長”だが、新人に叱られ、バイト仲間と合コ
 ンに行ってもギャグは不発。さらには鈴子に2万円の借金、何かと理由をつけて幼馴染の宮田修(生
 瀬勝久)と飲みに行ってしまう。そんな中、バイト先に金髪の新人・市野沢秀一(山田孝之)がやっ
 てくる。初日からやる気がない彼をシズオは飲みに誘うが、宮田の奢りで自分は泥酔。シズオを送っ
 た市野沢は大黒家に泊まり付き合いが始まる。しばらく後、市野沢はバイトを辞めてキャバクラで働
 き始めるが、何かと揉め事が多い様子。シズオも自信作の自伝マンガを持ち込むが結果はボツ。家で
 は志郎と取っ組み合いの大ゲンカになり、シズオは家出。宮田には断られ、市野沢の家に転がり込む。
 「マンガは本気か、趣味か」……悩んだシズオは改めて「デビューしたい」と思い直す。「俺には運
 がないだけ」と考えたシズオは、占い師(佐藤二朗)に運気の上がるペンネームを付けてもらい“中
 村パーソン”の名前で描いたマンガが新人賞の佳作に引っかかる。一コマだけ小さく掲載された雑誌
 を買い占めたシズオ。果たしてシズオにデビューの日は訪れるのか……。

 他に、水野美紀(宮田の元妻)、秋元黎(宮田正男=宮田元夫婦の息子)、指原莉乃(宇波綾=シズオの  
新担当者)、賀来賢人(本物の店長)、ムロツヨシ(不動産屋)、川久保拓司(田中=シズオのバイト仲間)、
ドナルド・アッシュ(ボブ=同)、蛭子能収(クニさん=居酒屋「楽酒亭」の店主)、尾上寛之(キャバク
ラのヒゲ)、小柳心(同じく黒服)、村松利史(ホクロ=同じく新人)、池田成志(小室武士=人気漫画家)
などが出演している。
 「日活創立100周年記念作品」だそうだが、もっと別の企画を日活単独で作れなったのかと思う。余計なお
世話だろうか。「シズオが原稿を持ち込んだ出版社の名前は<中学館>」、「徹夜の開始は午前2時から」、
「海鼠腸(このわた)→若い女の子にはキモい」、「サブ・リーダーに昇進すると時給30円アップ」、「宮
田が始めたパン工房の名前が<ミ・ヤータ>」等々、笑えるような笑えないようなユルイ「ギャグ」が溢れて
いた。もっとも、全体としてそれなりに「面白かった」とは言える。
 2本目は、『メッセンジャー』(監督:馬場康夫、フジテレビ=小学館=ポニーキャニオン、1999年)で
ある。さすがホイチョイ・プロダクションが絡むだけに、まったく隙がない。とくに、戸田山雅司の脚本が
いい。現実にはあり得ないことを見事に現実化しているからである。テイストとしては、『波の数だけ抱き
しめて』(監督:馬場康夫、フジテレビジョン=小学館、1991年)〔脚本は一色伸幸〕に近いか。当該作品
の他に小生が鑑賞した馬場監督の作品を以下に挙げてみよう。

  『私をスキーに連れてって』、監督:馬場康夫、フジテレビジョン=小学館、1987年。
   〔「日日是労働セレクト47」、参照〕
  『彼女が水着にきがえたら』、監督:馬場康夫、フジテレビジョン=小学館、1989年。
   〔「日日是労働セレクト47」、参照〕
  『波の数だけ抱きしめて』、監督:馬場康夫、フジテレビジョン=小学館、1991年。
   〔「日日是労働セレクト63」、参照〕

 小生の好みからすれば、『波の数だけ抱きしめて』が一番なので、当然のごとく当該作品の評価も高くな
る。俳優としての飯島直子や草なぎ(弓偏に旁は上が「前」下が「刀」。文字化けするので、平仮名にする。
以下、同様)剛に関して言えば、それほど強い印象をもっているわけではないが、この作品に限り非常に輝
いていると思う。おそらく、旬だったのだろう。この映画は「自転車便」がテーマのひとつだが、その仕事
に坂が大敵であることは言うまでもない。東京にはその坂が多いが、その坂の名称を標した標識が14本も登
場する。正確ではないかもしれないが、面白いので以下に掲げてみよう(登場順)。

  鳥居坂/江戸見坂/大黒坂/霊南坂/狸坂/一本松坂/鼠坂/御組坂/汐見坂/丹羽谷坂/狸穴坂/
  植木坂/寄席坂/行合坂

 以上である。名称の由来を想像して楽しむこともできるだろう。また、シャンパンの銘柄がいくつか出て
くる。「クリュッグ・ビンテージ/グラン・キュヴェ」や「ヴーヴクリコ」などである。高級シャンパンと
言えば「ドン・ペリニヨン(ドンペリ)」を連想するが、上のシャンパン名は知らなかった。安酒専門の小
生としては仕方ないか。また、「ファッション・プレス」という職業も知らなかった。基本的には、高級ブ
ランドとメディアとをつなぐコーディネーターのような仕事らしい。興味のある人は自分で調べてほしい。
 物語を確認しておこう。以下、上と同様。

   〔解説〕

  自転車便業界を背景に、その仕事に従事することになったバブルをひきずる女の奮闘ぶりを描いた
 コメディ。監督は『波の数だけ抱きしめて』の馬場康夫。脚本は『シャ乱Qの演歌の花道』の戸田山
 雅司。撮影を『激しい季節』の長谷川元吉が担当している。主演は、『Zero WOMAN 警視庁0課の女』
 の飯島直子と『アンネの日記』の草なぎ剛。

   〔あらすじ〕

  清水尚実(飯島直子)は、イタリアの服飾ブランド“エンリコ・ダンドロ”のプレスをしているバ
 ブリーなキャリアウーマン。ところがある日、エンリコ・ダンドロ本社が倒産。全てを失ってしまっ
 た彼女は、よそ見運転ではねとばした自転車便の横田重一(矢部浩之)に代わり、“Tokyo Express”
 という自転車便の会社で働くことを余儀なくされる。プレスの仕事とは違い、体と汗で金を稼ぐ自転
 車便の仕事が尚実に合う筈はなく、横田の相棒の鈴木宏法(草なぎ剛)とも相性は最悪。しかし、横
 田と別れて田舎へ帰ろうとする恋人の阿部由美子(京野ことみ)に横田から預かった携帯電話を届け
 感謝されたことをきっかけに、彼女の気持は少しずつ変わり始めていくのであった。さて、仕事を増
 やそうとエンリコ・ダンドロの商品を輸入していた安宅物産の太田量久(小木茂光)の許へ赴いた尚
 実は、居合わせたバイク便“セルート”の細川孝之(京晋佑〔きょう・しんすけ〕)とどちらが早く
 配達できるかを競うことになる。そして、鈴木の走りで見事勝利した Tokyo Express は安宅物産の
 仕事を独占することに成功する。由美子やバイク便をクビになった服部宣之(赤木伸輔)、警察を定
 年退職した島野真(加山雄三)らが加わり、Tokyo Express はにわかに活気づく。そんな最中、ニュ
 ーヨークのナンバーワン・デザイナーであるティム・グレイ(マット・レーガン)の契約を纏めてい
 た尚実の元愛人で安宅物産の岡野博(別所哲也)から、尚実に連絡が入った。ティム・グレイが尚実
 を気に入っており、契約には是非尚実をプレスにと言っているというのだ。尚実自身は自転車便にや
 りがいを見出していた矢先なのだが、横田が退院したのと鈴木との気持のすれ違いから、結局彼女は
 プレスの仕事に戻ることになる。そんな折、バイク便の細川は安宅物産の仕事を賭けて再び Tokyo
 Express にレースを申し込んできた。レースの日、Tokyo Express の面々はバイク便と壮絶な配達合
 戦を展開。細川が仕掛けた汚い手に苦戦を強いられるが、プレスの仕事を捨てて参戦した尚実のお陰
 で Tokyo Express は勝利を収める。安宅物産の仕事を独占し、尚実と鈴木の恋も成就するのであった。

 他に、伊藤裕子(前川万美子=実際に存在するファッション雑誌『Oggi』の編集者)、江原達怡〔えはら・
たつよし〕(バー<P's DINER>のバーテンダー)、田中要次(細川の配下)などが出演している。江原達怡
と言えば、加山雄三(田沼雄一役)主演の大ヒット作である「若大将」シリーズの「江口」役(田沼雄一の
友人)で有名であるが、久しぶりに見た。おそらく、加山が出演しているところからの縁であろう。まった
く台詞はないが、存在感はあった。自転車便の価格は10キロ以内ならば1便1,200円だそうだが、高いのか
安いのか、小生には見当がつかない。なお、馬場康夫監督の映画(自主制作以外)には、他に『バブルへ
GO!! タイムマシンはドラム式』(監督:馬場康夫、フジテレビ=電通=東宝=小学館、2007年)〔筆者、
未見〕という作品が存在する由。機会があれば是非観てみたいと思う。これは蛇足であるが、岡野がエンリ
コ・ダンドロの在庫品(2,000着)を一掃しようとする際、「バタく」という言葉を使用している。おそら
く、売り急ぐ必要のある商品を捌くことだと思う。例の「バッタもん」から派生した動詞ではないだろうか。
「バッタもん」に関しては、ネットの「語源由来辞典」に詳しい記述があるので、それを以下に引用してお
く。執筆者に感謝したい。少し改変したが、意味に変わりはない。ご寛恕を乞う。

  バッタもん:「バッタ」は「投げ売り」を意味する古道具商の隠語であった。そこから、商品を格安で
        売る店を「バッタ屋」と呼ぶようになり、正規ルートを通さず仕入れた商品を売る店もそ
        う呼ぶようになった。さらに、そこで売られている物を「バッタもん」と呼ぶようになっ
        た由来は、バタバタ勢いよく落ちたりするさまを表す「バッタバッタ」や「バッタリ」な
        どの擬態語からと考えられる。バナナの叩き売りが板やハリセンを叩いて値を下げていく
        ことから、叩く音に由来するといった説もあるが、この場合の擬音は「パンパン」や「ペ
        ンペン」が近いことや、叩き売りを「バッタ屋」と呼ばないことから考え難い。

 以上である。高級ブランドも、倒産すれば「バッタもん」に成り下がるしかないだろう。シビアな商売の
世界では、当然の帰結である。


 某月某日

 DVDで邦画の『捨てがたき人々』(監督:榊英雄、「捨てがたき人々」製作委員会〔ファミリーツリー=
P-ARTS=アークエンタテインメント=幻冬舎〕、2012年)を観た。題名、原作者、主演の三要素から興味を
もって鑑賞に及んだ。ジョージ秋山の原作であるが、映画化された作品は10本近く存在するらしい。いずれ
も人気漫画の映画化で観ていてもよさそうなものだが、初物である。当該作品以外に、8本ほど存在するら
しい。以下に、掲げてみよう。<映画.com>を参照した。なお、『ピンクのカーテン』には、劇場公開版の他
に、Vシネマ版やAV版がある由(ウィキペディアより)。

  『銭ゲバ』、監督:和田嘉訓、近代放映、1970年。
  『浮浪雲』、監督:真崎守、東映動画、1982年(アニメーション)。
  『ピンクのカーテン』、監督:上垣保朗、にっかつ、1982年。
  『ピンクのカーテン2』、監督:上垣保朗、にっかつ、1982年。
  『ピンクのカーテン3』、監督:上垣保朗、にっかつ、1983年。
  『うれしはずかし物語』、監督:東陽一、にっかつ、1988年。
  『恋子の毎日』、監督:和泉聖治、東映東京、1988年。
  『アシュラ』、監督:さとうけいいち、「アシュラ製作委員会」〔創通=東映アニメーション=バンダイ
   ビジュアル=木下工務店=フィールズ〕、2012年(アニメーション)。

 ジョージ秋山と言えば、子どもの頃『パットマンX』や『ほらふきドンドン』で馴染んだ漫画家で、『ア
シュラ』や『銭ゲバ』で物議を醸した人というイメージがある。もちろん、今も連載中の『浮浪雲』はかな
り読んでいる方の漫画で、マンネリとはいえ悪いイメージはない。作風は違うが、永井豪と重なり合う部分
を感じる。たぶん、型破りなところが似ていると感じるからだろう。あるいは、どちらも「有害図書」の指
定を受けたことがあるからかもしれない。ともあれ、凡百の漫画家とは一線を画していることは間違いない。
当該映画の題名にも惹かれたが、ジョージ秋山がこんな漫画を描いていることは知らなかった。主演の大森
南朋もいい。彼は、『殺し屋1』(監督:三池崇史、オメガ・プロジェクト=オメガ・ミコット=EMG=
STARMAX=スパイク=アルファグループ=エクセレントフィルム、2001年)で注目した俳優だが、あとで麿
赤兒の息子であることを知り、どうりでと思ったことを覚えている。
 物語を確認しておこう。例によって<Movie Walker>のお世話になる。執筆者に感謝したい。なお、一部改
変したが、ご寛恕を乞う。

   〔解説〕

  ジョージ秋山の同名コミックを原作に『誘拐ラプソディー』の榊英雄監督が映画化。生きているこ
 とに苦悩しながらも“愛”と“幸せ”の形を見つけ出そうともがく男の姿を描く。出演は『ハゲタカ』
 の大森南朋、『モルモット』の三輪ひとみ、『春との旅』の美保純、『サッドティー』の内田慈、
 『愛の渦』の滝藤賢一、『フィギュアなあなた』の伊藤洋三郎。第26回(2013年)東京国際映画祭上
 映作品。

   〔あらすじ〕

  金も仕事もなく、不細工で無愛想、怠け者の狸穴勇介(大森南朋)は、生きることに飽きてしまっ
 ていた。そんな彼が最後に向かったのは、両親が自分を捨てた生まれ故郷だった。しかし、そこで勇
 介を知る者はなく、目つきの悪い勇介を人は怪訝そうな表情で見るばかり。ある日、勇介は、顔に痣
 のある女・岡辺京子(三輪ひとみ)と出会う。京子はその痣がコンプレックスで恋愛を諦めていたが、
 勇介にとって彼女は笑顔で接してくれる唯一人の女性であった。“生きている証”を快楽に求める勇
 介は、その欲望を京子に求め、強姦まがいに関係を持ってしまう。なし崩しに同棲し、京子は勇介に
 嫌悪感を持ちながらも、自分を女として接する勇介と関係を続けていくのだった。やがて二人は望ま
 れぬ子供を授かるが、勇介は“家族”として人並みの“幸せ”を感じていく。だがある日、笑顔なき
 家族に勇介の悲しみと怒りが爆発する……。

 他に、美保純(京子の叔母のあかね、小料理「あかね」の女将、勇介の愛人)、田口トモロヲ(丸吉水産
の社長)、内田慈(吉田和江=同じく社員、社長の愛人)、滝藤賢一(同じくチーフ、和江の夫)、伊藤洋
三郎(高橋=ツバキ不動産の社長、京子の不倫相手)、瀧まき(岡辺理江=京子の母)、諏訪太朗(西川=
理江の愛人)、小山颯(狸穴正義=勇介と京子の間に生まれた息子)、有希九美(丸吉水産の社長夫人)、
淵上泰史(コジマ=新興宗教「神我の湖」の信者、京子の浮気相手)、佐藤蛾次郎(じゅうさん=「小料理」
あかねの常連客)、寺島進(葬式の参列者のひとり)などが出演している。
 五島列島が舞台であるが、原作はただの漁港だったらしい。主題歌の「蜘蛛の糸」(作詞:榊いずみ、作
曲:榊いずみ/佐藤ワタル、編曲:佐藤ワタル、唄:榊いずみ)がなかなかいい。歌詞もメロディもこころ
に響いてくるものがある。なお、榊いずみは監督の配偶者の由(ウィキペディアより)。監督の榊英雄の作
品は、他に『誘拐ラプソディー』(監督:榊英雄、角川映画=NTTドコモ、2009年)〔「日日是労働セレクト
88」、参照〕を観ているが、力量十分な監督だと思う。ちなみに、俳優を兼ねているらしいが、そちらの
方の印象はない。日本のどこにでも転がっている物語であるが、大森と三輪の熱演に加えて、他の脇役も役
柄を全うしており、時間の流れもいい。性描写が過激なせいか、<R-18>指定にされているが、ポルノではな
い。しっかりと人間を描いていると思う。


 某月某日

 DVDで邦画の『ゴジラ2000 ミレニアム』(監督:大河原孝夫、東宝映画、1999年)を観た。20世紀末の日
本に出現したゴジラと、謎の宇宙生物との戦いを描いているが、相も変わらず「科学の暴走」批判を繰り返
しながら、根本的な問題には触れていない。今回も東海村の原発がゴジラに襲われかけるが、なぜか回避し
ている。「原子炉停止!」と叫ぶ内閣官房副長官兼危機管理情報局(CCI)局長(阿部寛)はいささかエキ
セントリックな人物だが、そう感じるのは日本人には少ないタイプの人間に見えるからであろう。村田雄浩
が「ゴジラ予知ネット」の主宰者役(主演)で登場しているが、『ゴジラVSモスラ』(監督:大河原孝夫、
東宝映画、1992年)〔「日日是労働セレクト113」、参照〕でいくつかの助演男優賞を受賞しているので、
ゴジラ俳優として一目置かれる立場だったからであろう。ウィキペディアによれば、ゴジラシリーズには、
主演から端役までのさまざまなポジションで合計5作品に出演している由。
 物語を確認しておこう。例によって<Movie Walker>のお世話になる。執筆者に感謝したい。なお、一部改
変したが、ご寛恕を乞う。

   〔解説〕

  ハリウッドに進出したゴジラが、2000年の日本に復活し未知の地球外生命体と壮絶なバトルを繰り
 広げる怪獣パニック映画のシリーズ23弾。監督は『誘拐』の大河原孝夫。脚本は『あぶない刑事フォ
 ーエヴァー THE MOVIE』の柏原寛司と『天才えりちゃん金魚を食べた』」の三村渉の共同。撮影を
 『修羅がゆく8 首都血戦』の加藤雄大が担当。特殊技術に『モスラ3 キングギドラ来襲』の鈴木
 健二。主演は『プライド 運命の瞬間』の村田雅浩と『ナビィの恋』の西田尚美。

   〔あらすじ〕

  北海道・根室にゴジラが出現した。現場にいたゴジラ予知ネット(GPN)を主催する篠田雄二(村
 田雄浩)と小学生の娘・イオ(鈴木麻由)、そして取材で同行していた雑誌『オーパーツ』の記者・
 一ノ瀬由紀(西田尚美)は、間近に見たゴジラに人間の作り出すエネルギーに対する憎悪を感じるが、
 果たしてゴジラは根室近郊に建つ巨大発電所を破壊する。同じ頃、茨木県沖の日本海溝では巨大な岩
 塊が発見されていた。危機管理情報局(CCI)局長で、内閣官房副長官でもある片桐光男(阿部寛)
 は、科学者・宮坂四郎(佐野史郎)を使って調査に乗り出すが、それは6千万年から7千万年前に地
 球に飛来したUFOだったことが判明する。ところがその時、東海村の原発を狙って再びゴジラが現
 れる。しかも、ゴジラに向かってUFOが飛行を開始。対峙したゴジラとUFOは一戦交えるが、互
 いの力は五分と五分。ゴジラは海中に飛ばされ、UFOも墜落してしまう。しかし、先に蘇ったのは
 UFOだった。その後、新宿に飛んだUFOは由紀の会社のあるシティ・タワーの屋上に到着する。
 地球を侵略すべくコンピューター・ネットに侵入し、地球改造計画を開始する。だが、そこへ復讐に
 燃えるゴジラが登場した。壮絶なバトルが再び展開され、ゴジラはUFOを叩き壊すが、その残骸か
 らゴジラの細胞組織であるオルガナイザーG1を吸収した怪獣オルガが出現する。またもやオルガと
 激しく戦い、みごとオルガを倒すゴジラ。しかし、ゴジラの人間に対する攻撃は終わっていなかった。
 高層ビルが林立する新宿で暴れ回るゴジラを止められるものは、もはや誰もいない。

 他に、喜多川務(ゴジラ)、伊藤慎(オルガ)、中原丈雄(高田=自衛隊実働部隊の指揮官)、大林丈史
(権野)、並樹史朗(塩崎)、木村栄(大川)、ベンガル(園田=福島在在住のゴジラ予知ネット情報提供
者)、なぎら健壱(篠田酒造の番頭)、石井愃一(石井)、中村方隆(稲垣)、篠塚勝(皆川)、榊原利彦
(『オーパーツ』の記者)、近藤芳正(灯台の係員)、西村雅彦(戦車隊隊長)、二瓶鮫一(パーティの客)、
新納敏正(後藤)、木澤雅博(佐々木)、大森嘉之(CCIスタッフ)、中沢青六(下町のオヤジ)、大久保
運(高田付幹部)、児玉徹(同)、本田大輔(松島の若者)、阿知波悟美(居酒屋「ちぃちゃん」の女将)、
でんでん(漁師、「ちぃちゃん」の客)、有薗芳記(同)、村松利史(列車の客)、温水洋一(同)、安斎
肇(同)、吉田照美(アナウンサー)、小俣雅子(同)、笠井信輔(レポーター)、こはたあつこ(同)、
松重豊(マスコミクルー)、デンジャラス(新宿の野次馬)、上田耕一(東海村原発所長の声)などが出演
している。


 某月某日

 DVDで邦画の『暴力街』(監督:五社英雄、東映東京、1974年)を観た。五社監督が東映で極道映画を撮
っていたことは知らなかった。ちなみに、彼が監督した作品のうち、小生が鑑賞済みのものを以下に掲げて  
みよう。都合12本ある。

  『丹下左膳 飛燕居合斬り』、監督:五社英雄、東映東京、1966年。
  『暴力街』、監督:五社英雄、東映東京、1974年。
  『雲霧仁左衛門』、監督:五社英雄、松竹=俳優座、1978年。
  『闇の狩人』、監督:五社英雄、俳優座=松竹、1979年。
  『鬼龍院花子の生涯』、監督:五社英雄、東映=俳優座映画放送、1982年。
  『陽暉楼』、監督:五社英雄、東映京都=俳優座映画放送、1983年。
  『薄化粧』、監督:五社英雄、松竹=五社プロダクション=映像京都、1985年。
  『櫂』、監督:五社英雄、東映、1985年。
  『極道の妻たち』、監督:五社英雄、東映京都、1986年。
  『吉原炎上』、監督:五社英雄、東映、1987年。
  『肉体の門』、監督:五社英雄、東映京都、1988年。
  『226』、監督:五社英雄、フィーチャーフィルムエンタープライズ、1989年。

 当該作品にテイストが近いのは、もちろん『極道の妻たち』(監督:五社英雄、東映京都、1986年)だが、
それでも色合はずいぶん違うような気がする。『仁義なき戦い』シリーズ(監督:深作欣二)が1973年に開
始されているので、その影響があるのかもしれない。安藤昇、小林旭、丹波哲郎、菅原文太の4大スター共
演と謳ってはいるが、丹波は重要な役ではあるがカメオ出演のようなもので、少しがっかりした。悪役の鑑
ともいうべき山本昌平が、赤坂のゲイ・バーのマダムだったマダム・ジョイと組んで殺し屋を演じている点
が最大の見所か。もちろん、主演の安藤は貫禄十分であった。
 物語を確認しておこう。例によって<Movie Walker>のお世話になる。執筆者に感謝したい。なお、一部改
変したが、ご寛恕を乞う。

   〔解説〕

  東京進出を図る関西のやくざ組織と、それを阻止しようとする関東のやくざの烈しい抗争を描く。
 脚本は『恐怖女子高校 アニマル同級生』の掛札昌裕と中島信昭、監督は『出所祝い』の五社英雄、
 撮影は『ボディガード牙 必殺三角飛び』の山沢義一がそれぞれ担当。

   〔あらすじ〕

  もと関東東菊会幹部江川組組長・江川紘一(安藤昇)は、今では足を洗い銀座のクラブ「マドリッ
 ド」を経営し、情婦の晃子(川村真樹)と平穏な生活を送っていた。関西西日本連合会が全国制覇の
 最後の拠点、東京・銀座に乗り出して来た。銀座の中心「マドリッド」に目をつけた西日本連合会だ
 が、東菊会の剛原(高田繁司)も同幹部・矢崎竜二(小林旭)を指し向けて、「マドリッド」買収に
 乗り出した。しかし、江川はあくまで「マドリッド」を守る態度を示した。一方、東菊会たちの仕業
 に腹をすえかねた江川の配下の望月邦弘(室田日出男)たちは、江川に内密で江川組再建を企てた。
 望月はチンピラ数人で、東菊会経営の新興企画の新人歌手・中津川みなみ(中津川みなみ)を誘拐し、
 それを西日本連合会の仕業にみせかけ一億円の恐喝を行なった。そして、数日後、みなみが死体で発
 見され、マスコミはこの事件の背後に関東・関西の暴力団の抗争がからんでいると騒ぎたてた。望月
 は一億円を手に入れ、元江川組組員・浜勇喜(夏八木勲)に金を託した。そして望月、浜は江川に組
 再建を打診するが、江川は拒否する。一方、みなみ誘拐が望月たちの仕業だと知った東菊会は、殺し
 屋(山本昌平/マダム・ジョイ)を雇い、望月たち江川の配下を殺した。今まで沈黙を保っていた江
 川は、配下の無残な死に様を見て、遂に剛原に喧嘩状をたたきつけた。さらに、武器調達の必要から、
 解体屋をしているギザゴロの辰(菅原文太)に久しぶりに会った。辰は解体屋をしながら、手製の銃
 を百挺余り作っていた。戦いの用意は整った。江川たちは、西日本連合会に対する作戦を練っている
 東菊会の幹部たち……諸木(小池朝雄)、二橋(葉山良二)、山岡(佐藤京一)、東松(八名信夫)、
 西田(土山登志幸)、そして矢崎の中に殴り込みをかけた。銃撃戦が繰り広げられ、江川と辰は山岡、
 東松、西田を殺し逃走する。ふたりは、剛原の妻で、もと恋人の悠子(赤座美代子)に助けられ逃げ
 のびる。一方、必死で江川を探す矢崎は、江川の情婦・晃子のアパートへ行き、江川をおびき出そう
 とした。江川は、罠にはまってしまったが一目散に逃げ、ある養鶏場に身を隠す。矢崎は、江川の逃
 げ場所を察知するが、単身で江川に対決を挑んだ。一方、剛原は江川の銃弾で倒れてしまったために、
 幹部の諸木が東菊会の会長に納まり、西日本連合会会長・島村(丹波哲郎)と手を組んだ。そして、
 島村たちにとって邪魔な江川、矢崎の二人を殺す相談を秘かに進めていた……。

 他に、平泉征〔現 平泉成〕(治夫=晃子の弟)、広瀬義宣(藤田=望月の配下)、藤山浩二(仙川=西
日本連合会の身内)、松井康子(みなみの母)、安岡力也(ジョージ=矢崎の配下)、誠直也(タケシ=
同)、田中浩(みなみのマネージャー)、関山耕司(辰の身内)、潮健児(玉木=西日本連合会の身内)、
日尾孝司(同)、佐藤晟也(同)、太古八郎(東菊会のチンピラ)などが出演している。
 治夫がみなみを襲おうとしてみなみは急死するが、あまりに唐突だった。あのシーンはいただけない。ギ
ザゴロの辰役に扮した菅原文太は、『仁義なき戦い』の広能昌三役とはかなり異なる洒脱なキャラだったの
で、むしろ気楽に演じていたのではないか。言い換えれば、息抜きのような演技に見えた。上でも書いたが、
山本昌平とマダム・ジョイの殺し屋コンビの怪しい魅力は捨て難いと思う。

                                                 
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