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日日是労働セレクト146
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驢鳴犬吠1808
日日是労働セレクト116
 以下に、「日日是労働」のダイジェスト版・第116弾を掲げます。直ぐ下の記事がこの「日日是労働セレク
ト116」の中では最も新しい日付のものです。つまり、読み進めるほど、古い記事になります。ただし、いち
いち明示しませんが、後日に行った加筆訂正を含んだ日があります。日誌ですから、少なくとも後日に加筆
することはご法度であるはずですが、「某月某日」ということもあり、記事内容の充実を優先させました。
ご了承ください。また、頑張って「辛口」の批評を展開しようと務めておりますので、本文に何かと読者の
お気に召さない表現等が散見されるやもしれませんが、特定の個人、団体等を誹謗中傷する目的は一切あり
ませんので、どうぞご理解ください。なお、ご感想は、muto@kochi-u.ac.jp までお寄せ下さい。


 某月某日

 DVDで邦画を2本観たのでご報告。1本目は、『関東テキヤ一家・喧嘩仁義(ごろめんつう)』(監督:
鈴木則文、東映京都、1970年)である。シリーズ第2弾であるが、なぜか小生の行きつけのTSUTAYAでは、
第4巻として登録されている。したがって、本来2番目に観るはずが3番目となった。また、「関東」とい
う看板を掲げているのに、これも関西が舞台の物語なので、不思議な企画ではある。
 その物語を確認しておく。例によって〈Movie Walker〉のお世話になる。執筆者に感謝したい。なお、一
部改変したが、ご寛恕を乞う。

   〔解説〕

  『現代任侠道 兄弟分』の村尾昭、『渡世人列伝』の志村正浩、『緋牡丹博徒 鉄火場列伝』の鈴木
 則文が脚本を共同執筆し、鈴木則文が監督した「関東テキヤ一家」シリーズ第二作。撮影は『極悪坊
 主 念仏人斬り旅』の増田敏雄が担当した。

   〔あらすじ〕

  関東のテキヤ「菊水一家」の国分勝(菅原文太)は弟分の佐貫五郎(南利明)とともに兄弟分浪花
 桝一家の結城義雄(葉山良二)を頼って大阪入りした。国分は風の便りでこの大阪にいるという将来
 を誓った臼井道子(桜町弘子)を捜し歩くうち、岡山観音寺一家四代目の花井清蔵(長門勇)から破
 門されている潮田鉄治(梅宮辰夫)と知り合い、意気投合した。そのころ、岡山山王一家の的場信之
 (天津敏)は、近づく西大寺はだか祭りの花井の庭場を奪うため、そのネタ元の浪花桝一家をつぶそ
 うと狙っていた。そして、その手先である石堂剛(今井健二)のため、国分と結城はまんまと危機に
 さらされた。だがこの時、同じ岡山で的場と縄張りを分け合う花井の男意気によって救われ、国分は
 花井に身柄をあずけられた。結城は、この策略にそそのかされた彼の弟である結城徹(金光満樹)の
 責を負って、自ら破門の身となった。的場は花井に御宝木(ごしんぎ)のネタ商いを手伝いたいと申
 し出て、断わられると挑発行為に出た。国分はその愚連隊の中に徹をみつけ、彼をいさめるために連
 れ込んだバー「絹」で道子と再会した。しかし、今は的場の女なので、そっけなく国分を追い返すの
 だった。もっとも、こころは離れておらず、国分も道子も苦しむがどうしようもない。的場はその後
 も花井の庭場に執念を燃やしつづけるが、花井はうけつけず、折りしも開かれた総会の席上、いざこ
 ざの罪を背負い指までつめた国分の姿に居並ぶ帳元衆もこぞって花井に同調を示すのだった。一方、
 国分を追って岡山に来た結城は的場に監禁された道子を救うため、花井を殺すことを引き受ける振り
 をするが、その言を翻して的場や石堂に斬りかかる。もっとも、多勢に無勢で返り討ちに遭う。幸い
 なことに、その場に居合わせた潮田に救い出されはしたが、やがて息を引き取る。花井も西大寺はだ
 か祭りの最中に刺客の手にかかって死出の旅に出ることになる。これらの一連の出来事で堪忍袋の緒
 が切れた国分と潮田は、山王一家へ殴り込み的場と石堂を成敗するのだった。

 他に、加藤嘉(倉成徳次郎=浪花桝一家三代目)、時美沙(芦沢エミ=徹の恋人)、田口計(杉浦=浪花
桝一家の幹部、結城の兄貴分)、若水やえ子(お万=五郎の相手の風俗嬢)、沼田曜一(瀬川=山王一家の
子分)、沢彰謙(高崎吉之助=徳島鳴門屋一家三代目)、小島慶四郎(犬飼=曽根崎署の刑事)、川谷拓三
(夜店の遊客)、志賀勝(的場もしくは石堂の子分)、中村錦司(御宝木製造工場の責任者)などが出演し
ている。劇中、「テキヤ三戒」が言及されて物語の中で活用される。いわく、「ネタ喰うな(=商品を私物
化するな)」、「垂れこむな(=警察等に密告するな)」、「バシタ取るな(=人の女房を寝取るな)」で
ある。その他、「権妻(ごんさい=妾のこと)」や「新面(あらめん=初対面のこと)」など、耳慣れない
言葉が登場したが、文脈から推察できた。
 2本目は『関東テキヤ一家・喧嘩(ごろめん)火祭り』(監督:鈴木則文、東映京都、1971年)である。
シリーズ第4弾であるが、予告篇では第5弾となっており、たぶんこれも間違いであろう。池上(岐阜県)
のみそぎ祭りや秩父(埼玉県)の夜祭りなどにスポット・ライトが当てられる。「東京孔雀団」という不良
グループがメイン・ストーリーに絡むが、錯綜するだけであまり活かされているとは思えなかった。もっと
も、時代の雰囲気はかなり伝わって来たが……。
 この作品も、上に倣う。

   〔解説〕

  岐阜の裸祭りと秩父の夜祭りを背景に描く「関東テキヤ一家」シリーズ第四作。脚本は『札つき博
 徒』の志村正浩。監督は脚本にも参加しているシリーズ第三作『関東テキヤ一家 天王寺の決斗』の
 鈴木則文。撮影は『(秘)女子大寮』のわし尾元也がそれぞれ担当。

   〔あらすじ〕

  岐阜の裸祭り(みそぎ祭り)の高市にやって来た国分勝(菅原文太)と佐貫五郎(南利明)は、途
 中東京の不良グループ孔雀団の一行と知り合うが、犬飼刑事(遠藤辰雄)に追われている彼らは、ど
 こへともなく姿を消してしまった。矢崎一家にわらじをぬいだ国分と五郎は、一家が裏で手を廻す秩
 父の槌田一家と岐阜の大薮興行のために、次の高市の開かれる秩父の梅ケ崎一家にネタを輸送するこ
 とができないでいることを知ると、そのネタの輸送を引き受けるのだった。秩父の夜祭りの高市を仕
 切る梅ヶ崎一家は、先代亡きあと娘の滝川静枝(野川由美子)が帳元代行として一家を守っていたが、
 新興の槌田一家がそれを乗っ取ろうと狙っていた。一方秩父へのネタ輸送を引き受けた国分と五郎は、
 途中、大薮一家にやとわれた孔雀団にネタを奪われてしまった。梅ヶ崎一家についた国分は、この一
 件に詫びを入れるとともに、ネタを取り戻そうと計り、同じくネタの行方を追っている槌田一家の用
 心棒の「ハートの卓」こと篠原卓(梅宮辰夫)とすさまじい争奪戦の末、ネタは国分の手に戻った。
 もちろん、槌田竜次郎(名和宏)はこのことを黙って見逃すはずはなかった。ある日、静枝は槌田一
 家の罠とも知らず、双方が庭場への出入りをやめることを条件に、夜祭りの全権を露天商たちに譲渡
 して、一家の金看板を下すのだった。槌田は、ここで一気に卑劣な手段で攻撃を加えて来た。梅ヶ崎
 一家の若衆である猪子健一(北村晃一)と彼の恋人の辻則子(上岡紀美子)を仕打ちにかけるなど、
 その目に余る悪事は、夜祭りの日静枝までも手にかけてしまった。狂奔する山車を煽り立てる花火。
 夜祭りは今や最高潮に達していた。熱狂する群集の中を黙々と槌田一家に向って歩く国分の姿があっ
 た。

 他に、渡瀬恒彦(巽鋭次)、賀川雪絵(ハイジャッキ)、佐々木梨里(デブ夫人)、小山陽子(テンコ)、
山口めばる(お雪)、汐路章(大門大五郎=金貸し)、高宮敬二(山崎卓治=槌田の弟分)、林彰太郎(権
藤義一=槌田の子分)、川谷拓三(同)、楠本健二(大薮幸次=大藪興業の社長)、岡八郎(同社の下っ端)、
中村錦司(国松源吉=組合長)などが出演している。
 ハートの卓は、国分と出遭った時、「エンコの国分はハクいゴロマキと聞いている」と持ち上げる。この
「エンコ」は東京・浅草のこと。「公園」を逆さに読んだのが語源と言われている。「ハクい」は、「良い」
とか「美しい」とかの意味だが、ここでは「かっこいい」ぐらいの意味だろう。「ゴロマキ」は、「喧嘩」
のこと。「語呂を巻く」から来ている。ここでは、喧嘩好きな国分自身のことを指している。つまり、「浅
草の国分はかっこいい喧嘩男だと噂に聞いている」ぐらいの意味になる(いくつかのネット情報を参照)。
 さて、「関東テキヤ一家」シリーズにはもう一つ作品がある(全5作)。近いうちに観ておきたい。


 某月某日

 DVDで邦画の『ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS』(監督:手塚昌明、東宝映画、2003年)を観た。 
例によって、子どもの頃観ていれば確実に魅了されたであろう怪獣映画である。自衛隊の宣伝臭が気になる
が、映像的にはそこそこの作品ではないだろうか。なお、メカゴジラは、本作では「機龍」と呼ばれている。
ちなみに、『借りぐらしのアリエッティ』(監督:米林宏昌、スタジオジブリ=日本テレビ=電通=博報堂
DYMP=ディズニー=三菱商事=東宝=ワイルドパンチ、2010年)〔「日日是労働セレクト114」、参照〕
に言及したブログで「掌サイズ」の人間が登場する映画をいくつか挙げたが、肝心の『モスラ』(監督:本
多猪四郎、東宝、1961年)、および、モスラが登場するその他の映画〔「日日是労働セレクト113」、参
照〕の「小美人」を見落としていた。迂闊であった。初代はザ・ピーナッツが務め、かなりのインパクトが
あった。本作では双子の姉妹は起用されていないが、それぞれヒオ(大塚ちひろ)とマナ(長澤まさみ)と
いう名前が付けられている。
 物語を確認しておこう。例によって〈Movie Walker〉のお世話になる。執筆者に感謝したい。なお、一部
改変したが、ご寛恕を乞う。

   〔解説〕

  大人気を博した前作『ゴジラ×メカゴジラ』の1年後を描く続編。首都・東京を舞台に、3大怪獣
 が壮絶な戦いを繰り広げる。東京タワーや六本木ヒルズなどの名所が登場するのも見ものだ。

   〔あらすじ〕

  一年前のゴジラとの戦いで、右腕と最大の武器“アブソリュート・ゼロ”を失った機龍(メカゴジ
 ラ)の修復に携わる整備士・中條義人(金子昇)と、彼の叔父で、43年前、言語学者として小美人を
 モスラに返すために尽力した信一(小泉博)のもとに、ある日、インファント島に住む妖精の小美人
 (大塚ちひろ/長澤まさみ)が現れ、機龍製造に使用したゴジラの骨を海に返せば、モスラはゴジラ
 の脅威に対して全力で立ち向かう用意があることを告げた。以来、義人は機龍の修復作業を続けなが
 らも小美人の言葉が頭から離れなくなる。そんな中、再びゴジラが東京へ上陸した。約束通り、日本
 に飛来したモスラはゴジラと壮絶なバトルを展開するも、その強大なパワーの前に倒れてしまう。こ
 の事態に五十嵐隼人首相(中尾彬)は修復不完全なまま機龍出動を決定、ゴジラを迎え撃つ。だが突
 然、機龍のコントロールが効かなくなってしまった。報を受け機龍修理に向かった義人は、小笠原諸
 島・曾孫島で生まれた双子のモスラの幼虫がゴジラを牽制する中、義人の気持ちを汲んでくれた小美
 人の協力もあって機龍修理に成功するが、出口を塞がれ機龍の中に閉じ込められる。義人を載せたま
 ま動き出す機龍。とその時、機龍が暴走を開始した。しかし、義人はそれが機龍の意志で動いている
 ことを感じ取っていた。「これ以上の戦いは望まない、ゴジラと共に海へ帰る……」。そして、機龍
 はモスラの繭でがんじがらめにされたゴジラを抱え日本海溝へと向かうと海底深く沈んで行き、特生
 自衛隊・機龍隊の如月梓(吉岡美穂)、秋葉恭介(虎牙光揮)両隊員の活躍によって無事機龍からの
 脱出を果たした義人は、その様子をいつまでも見守るのであった。もっとも、日本にはまだゴジラの
 DNAが保管されてていたことを彼らは知る由もなかった……。

 他に、喜多川務(ゴジラ)、中川素州(機龍〔=メカゴジラ〕)、釈由美子(家城茜=機龍のパイロット)、
高杉亘(富樫)、益岡徹(神崎)、中原丈雄(一柳)、上田耕一(土橋防衛庁長官)、清水紘治(秋葉功=
恭介の父親)、升毅(二階堂)、六平直政(菅野吾郎=博士)、本郷慎一郎(田所)、佐藤亮太(望月)、
大森樹(中條瞬=義人の甥)、渡辺典子(瞬の母親)、水野純一(関根健二=機龍のパイロット)、友井雄
亮(葉山進=同)、峰岸徹(TVのコメンテイター)、飯星景子(同)、朝岡聡(ニュース番組の司会者)、
山田辰夫(内局部員)、江連健司(同)、新藤栄作(自衛隊員)、彦麻呂(報道ヘリリポーター乗務員)、
並樹史朗(文部科学省の役人)などが出演している。未見の怪獣映画はまだまだあるので、今後も少しずつ
観ていきたい。


 某月某日

 DVDで邦画の『まむしの兄弟・二人合わせて30犯』(監督:工藤栄一、東映京都、1974年)を観た。シリ
ーズ第7弾である。いろいろマンネリを防ごうとしているが、そろそろネタが尽きてきた感じ。ただし、ヴ
ェテランの三宅くにこ〔邦子〕や若手の東三千の起用は新鮮だった。
 物語を確認しておこう。例によって〈Movie Walker〉のお世話になる。執筆者に感謝したい。なお、一部
改変したが、ご寛恕を乞う。

   〔解説〕

  “まむしの兄弟”シリーズ第7作目。まむしのような粘着力を持ち、クソ度胸と腕力は抜群だが、
 お人好しでへマばかりしている二人組が暴力団を相手にしての活躍を描く。脚本は『女番長 感化院
 脱走』の鴨井達比古、監督は『やくざ対Gメン 囮』の工藤栄一、撮影は『学生やくざ』のわし尾元
 也がそれぞれ担当。

   〔あらすじ〕

  久し振りに出所した「ゴロ政」こと政太郎(菅原文太)と、ゴロ政を迎えに来た舎弟分の不死身の
 勝(川地民夫)の二人は、神戸・新開地に舞い戻った。新開地は、新興やくざの加賀組が勢力を誇っ
 ており、見むきもされないゴロ政と勝は、腹いせに組長加賀(成田三樹夫)の経営する高級クラブで
 大暴れした末に、チンピラたちにつかまってしまった。だが二人は、不良少女ジュン(東三千)に救
 出された。一人ぼっちのジュンは、男になりたいばかりに、まむしの兄弟を救い、その代りに五分の
 兄弟分としてまむしの仲間に加えてもらおう、という魂胆だった。翌日、ジュンを仲間に入れたまむ
 しの兄弟が、加賀組への復讐戦の作戦を練っているところへ、加賀組の本家・神童会幹部・塚本(渡
 辺文雄)が現われた。その塚本は意外にも勝を捜しに来たのだった。というのは、勝の本名は尾澤勝
 彦といい、三歳の時両親と離れ離れになったのだが、現在、彼の父は死亡してはいるが母の弥生(三
 宅くにこ)が大へんな資産家で、病弱な彼女は是非我が子に会いたがっているとのことだった。勝は
 ゴロ政に引率してもらい恐る恐る弥生に会った。親子の対面に感激したのは勝よりもむしろゴロ政だ
 った。ゴロ政は勝のたっての頼みでしばらく居候することにした。だが、この話には裏があった。弥
 生の財産に目をつけた塚本は、勝に遺産を継がせてから、騙し取ろうとしていたのだ。ところが、弥
 生の体力か徐々に回復してきたのに慌てた塚本は、邪魔なゴロ政を尾澤家から追い出し、弥生を注射
 で殺そうとした。塚本の不穏な動きを察知した勝は、弥生を車椅子に乗せて逃げ出し、新開地へまぎ
 れ込んだ。ここでもジュンが大活躍して追手をまいた。しかし、翌日ゴロ政、勝、弥生、ジュンが隠
 れている家を、加賀組が包囲した。ゴロ政と勝はジュンが弥生を連れ出している間に、大暴れをして
 カモフラージュしたが、執拗な加賀組の追跡で、ゴロ政たちが駈けつけた時にはジュンは倒れていた。
 美しい少女のように笑みを浮べて息絶えるジュンを残して、ゴロ政と勝はショット・ガンを握りしめ、
 日本刀を振りかざして、加賀組の事務所へ突入していった。

 他に、三島ゆり子(花江)、女屋実和子(洋子)、松村康世(尾澤恵子=弥生の娘)、道井和仁(尾澤敏
彦=恵子の息子)、不破潤(恵子の夫=尾澤家の娘婿)、東竜子(あや=尾澤家の女中)、菅貫太郎(本間
忠雄=塚本が雇った悪徳弁護士)、有川正治(谷岡=鹿賀組の幹部)、成瀬正孝(若倉浩一=映画俳優)、
松平純子(浅川みゆき=その相手役)、川谷拓三(刑事)、藤ひろ子(婦人警官)、平参平(運転手)、汐
路章(商社の営業部長)、丘路千(加賀組組員)、片桐竜次(同)、笹木俊志(塚本の若い衆)、木谷邦臣
(同)、広瀬義宣(まむしの兄弟の舎弟のひとり)、西山嘉孝(弥生の主治医)などが出演している。加賀
が経営する高級クラブ「ハレム」のホステス募集の看板が見えた。ホステス50名、日給¥5,000-15,000円、
バニーガール5名、ウェイター・カウンター……。なお、挿入歌として「赤色エレジー」(作詞・編曲:あ
がた森魚、作曲:八洲秀章〔実際には、あがた自身〕、唄:あがた森魚、1972年)が使われている。ちなみ
に、東三千は『悪太郎伝・悪い星の下でも』(監督:鈴木清順、日活、1965年)〔筆者、未見〕から当該作
品まで、全7本の映画に出演している由〔Movie Walkerより〕。魅力的な女優であるが、この後引退したの
かもしれない。


 某月某日

 DVDで4本の邦画を観たので報告しよう。いずれも日常の文脈をかなり逸脱しているので、この手の映画
が苦手の人は眉を顰めるかもしれない。もっとも、小生はむしろ逆で、日常を考えるためにもこの手の映画
を観るに越したことはないと考えている。さして新しい知見に出遭ったわけではないが、それでもだいぶ勉
強になったことを最初に記しておこう。
 さて、1本目は、『女番長(すけばん)ブルース・牝蜂の逆襲』(監督:鈴木則文、東映京都、1971年)
である。「女番長」のことを「すけばん」と呼ぶようになったのはいつごろからだろうか。ウィキペディア
を引用してみよう。

   スケバン(女番、スケ番):中学校、高等学校において不良行為をする女子生徒のこと。不良少女、
         ヤンキー、ツッパリの事を指す俗語。1970年代初頭-1980年代後半、不良行為少年の態
         様の一つとして使用された言葉である。

   〔概要〕

  スケバンという言葉の由来は幾つかあるが、「スケ(女)」の「番長」(「女番長」)からという説が  
 最も流布されている。 不良少女・不良女子学生を指し、ツッパリ(不良少年)と共に行動したり、女子
 学生間における番長的な存在(女番長)であった。また、ツッパリ、番長(不良少年のリーダー格)の彼
 女である場合もあった。女性により構成された暴走族グループはレディースと呼ばれ、スケバンが構成員
 である場合もあった。
  スケバンを主人公とした映像作品や漫画もあり、1970年代の東映映画『女番長』シリーズや、実際にス
 ケバンだったと公言している和田アキ子を主役に据えた日活映画『野良猫ロック』シリーズ、1980年代に
 は漫画の『スケバン刑事』及び、それを実写化したテレビドラマシリーズが人気を博した。
  “スケバン”という言葉を映像作品で用いたのは、東映の『女番長』シリーズ第1作『女番長(すけば
 ん)ブルース 牝蜂の逆襲』(1971年10月27日公開)で、“すけばん”と平仮名表記で用いられたのが最
 初の使用例。本作の監督・鈴木則文が当時の取材中に耳にした“すけばん”という言葉の鮮度は捨てがた
 いと“女番長”と書いて“すけばん”と読ませることを発案し、岡田茂プロデューサー(のち、同社社長)
 が付けたタイトル『牝蜂の逆襲』に「女番長(すけばん)ブルース」という言葉をくっつけて、ここで初
 めて“すけばん”という言葉が映像作品で使用された。“すけばん”という言葉はそれまでまだ一般的に
 は知られていなかったという。“すけばん”を片仮名表記の“スケバン”に変更したのは、同シリーズ三
 作目の『女番長(スケバン)ゲリラ』(1972年8月公開)だった。日活の『野良猫ロック』シリーズの方
 が、東映の『女番長』シリーズより早く始まったが、第一作の『女番長 野良猫ロック』(1970年5月2日
 公開)は、“女番長”と書いて“スケバン”と読まず、“おんなばんちょう”と読んだ。第二作以降は、
 『野良猫ロック+サブタイトル』で統一し、スケバンと読むことはなかった。

   〔スケバンのファッション〕

  スケバンのファッションは、女子制服(セーラー服)であるが、ロングスカートが特徴である。またマ
 スク、皮グローブなども見受けられる。一般の女子学生にはミニスカートの流行があるが、そのアンチテ
 ーゼでもあった。1990-2000年代には廃れ、コギャルと呼ばれるファッション、ミニスカート、ルーズソ
 ックスなどの流行により殆ど絶滅した。

   〔スケバンを用いた映像作品・漫画〕

  東映映画「女番長」シリーズ
  日活映画「野良猫ロック」シリーズ
  漫画「スケバン刑事」…… 後にテレビドラマ・映画化。
  漫画「ロンタイBABY」
  漫画「特攻サヤカシリーズ 」…… 和央明 が描き、ちゃおに連載されていた。
  漫画「血まみれスケバン・チェーンソー」
  アニメ「キルラキル」…… 漫画化もされている。

 なお、『ぴあシネマクラブ』にもシリーズの解説があるので、それも引用しておこう。両執筆者に感謝し  
たい。なお、一部改変したが、ご寛恕を乞う。

   「女番長〈スケバン〉」シリーズ

  “ずべ公番長”シリーズ(全4本)の姉妹篇的性格を持つシリーズで、杉本美樹と池玲子のコンビによ
 り1971年の『女番長・牝蜂の逆襲』から、1974年の『女番長・玉突き遊び』まで、全7本が作られた。日
 活ロマンポルノの影響をうけて、バイオレンスとともにポルノ度が増幅され、杉本美樹と池玲子も思いき
 りよく脱ぎまくった。

 小生自身と言えば、「野良猫ロック」シリーズ全5本はすべて観ているが、「女番長」シリーズはたぶん
初めての鑑賞である。また、「ずべ公番長」シリーズや「スケバン刑事」シリーズも未見である。なお、主
演級の池玲子や杉本美樹、「まむしの兄弟」シリーズの洋子役(不死身の勝のお相手)が当たり役である女
屋実和子は、当時のグラビアにも再三登場し、当初から既知の女優陣である。鈴木則文監督らしいタッチで、
品がよいとはお世辞にも言えないが、大人の世界に反抗を繰り返すので、「青春映画」と呼んでいいかもし
れない。タイトルに「逆襲」という文字が入っているが、第1作である(一般に、第2作以降につける文字)。
 物語を確認しておこう。例によって〈Movie Walker〉のお世話になる。執筆者に感謝したい。なお、一部
改変したが、ご寛恕を乞う。

   〔解説〕

  ズベ公たちの破壊的な行動が既成のルールをぶち壊していく。脚本は助監督の皆川隆之。監督は脚
 本も執筆している『温泉みみず芸者』の鈴木則文。撮影も同作の古谷伸がそれぞれ担当。

   〔あらすじ〕

  関西を根城にするやさぐれグループ“アテネ団”の女番長玲子(池玲子)は、真弓(杉本美樹)、
 サセ子(一ノ瀬レナ)、モコ(河崎いち子)、妙子〔おたえ〕(西来路ひろみ)ら団員を従えて、万
 引き、喧嘩、ギャンブル、自動車泥棒と非行の限りをつくしているが、そんな玲子に地元の愚連隊・
 北神会の巽次郎(流健二郎)はまいっていた。そして、神戸のやくざ秋本組の幹部として吸収される
 日を夢みて、玲子を専属の女にしようと機会をうかがっている。一方単車を駆って跳梁する学生愚連
 隊の杉岡英二(一ノ瀬謙)も玲子の美貌に目をつけ、執拗にアテネ団につきまとっている。阪神連合
 会長の跡目を狙う秋本組組長・秋本剛(安部徹)は勢力を拡大するための手段として、そんな北神会
 やアテネ団を適当に利用している。ある時、目下青春歌手NO.1で売出し中の篠原由紀(潤まり子)の
 ワンマンショーが開催された。歌手を目ざして一緒に勉強したことのあるおたえは、アテネ団の仲間
 と彼女を訪ねるが、冷たくあしらわれる。怒ったおたえはトップ屋の牛島一六(山城新伍)から買っ
 た、由紀と代議士志水泰一郎(名和宏)のスキャンダルをもとに、次郎を先頭に志水を恐喝するが、
 駈けつけた秋本組に次郎は袋だたきにされてしまう。怒った彼らは、深夜のマンションで由紀の帰り
 を待ち伏せし、エレベーターの中でかわるがわる凌辱して鬱憤を晴らし、赤新聞にネタを売りつけて、
 ひともうけした。一方、秋本組では急に三千万の金が必要となり、高利貸の大浜重蔵(中村錦司)の
 ご気嫌をとるため、次郎を介して、一夜玲子をその相手に当てがおうとしたが、英二たちと遊んでい
 た玲子は次郎との約束をすっぽかしてしまう。次郎の面目は丸つぶれだが、団の統制を乱したかどで、
 玲子はモーターボートにロープでつながれ、水上スキー(スキー板なし)さながらのリンチを受ける。
 こうして高利貸からの借入れに失敗した秋本は、塩酸フェニールから末端価格で1キロ2億円もする
 覚醒剤が作れるということを知るや、英二が秋本に盾ついたとの口実を理由に彼を人質にして、製薬
 会社を経営する父親の杉岡康平(小松方正)をゆすり、塩酸フェニールを調達させようとする。トッ
 プ屋の一六からこの情報をキャッチした玲子、次郎たちは、秋本に一泡ふかせようと、現場に先廻り
 するが、英二を救って塩酸フェニールの入ったカバンを奪取しようとした次郎は殺されてしまう。英
 二はカバンを奪い返すと玲子を自動車に乗せ、後を追ってきた秋本の車をヘアピンカーブから崖下に
 落す。翌日、トップモードを身につけたアテネ団の面々は何事もなかったように町を闊歩していた。
 なお、この物語にはサイド・ストーリーが2通り用意されているが、この解説では一切触れていなか
 った。

 他に、賀川雪絵(ジュン=玲子とスケバンの座を争う少女)、天知茂(土居政也=秋本組の代貸格)、弓
恵子(北村梨恵=土居の元女房。杉岡康平の世話を受けている)、渡辺やよい(糸川宥子=グループの新参
者。玲子に勧められて、自らの指で処女膜を破る少女)、山田みどり(宏美=グループのひとり)、林彰太
郎(紺野房夫=秋本組幹部)、宇崎尚韶(柿崎伸一=秋本組組員)、片桐竜次(新村ツヨシ=同)、山田喜
芳(ヌケ作)、左とん平(松永=篠原由紀のマネージャー)、由利徹(中尾=車のタイヤを盗まれる中年男)、
梅津栄(高野=覚醒剤のバイヤー)、大泉滉(ヨット売春の客)、青空あきお(広田=衣料品店の支店長)、
青空はるお(桑村=同店員)、ピーター〔池畑慎之介〕(クラブ歌手)、渡瀬恒彦(日活の渡哲也に似てい
る男。藤田五郎と名乗るが、それは兄の渡が出演していた『無頼』シリーズの原作者の名前である。カメオ
出演なのでクレジットはなし)、川谷拓三(秋本組組員=同じくクレジットはなし)などが出演している。
劇中、『わたしの城下町』(作詞:安井かずみ、作曲:平尾昌晃、唄:小柳ルミ子、1971年)などが流れて
いたが、とても懐かしかった。なお、次郎が志水をゆすったときの金額は、〆て350万円(写真とネガ代200
万円、カセットテープ代150万円)だった。また、カーセックスならぬオートバイ・ファックは傑作だった。
 2本目は、『関東テキヤ一家・天王寺の決斗』(監督:鈴木則文、東映京都、1970年)である。シリーズ
第3作目に当たる、関東のテキヤ菊水一家の国分が関西で活躍するの巻。
 物語を確認しておく。なお、以下は上に同じ。

   〔解説〕

  『極悪坊主 念仏三段斬り』の高田宏治が脚本を執筆し、関東テキヤ・シリーズ『関東テキヤ一家
 喧嘩仁義(ごろめんつう)』の鈴木則文が監督したシリーズ第三作。撮影は『緋牡丹博徒 お竜参上』
 の赤塚滋が担当。

   〔あらすじ〕

  関西の四天王寺を庭場にもつ三輪会の若衆ぶら金こと国丸金一(山城新伍)は、テキヤ修業を続け
 東京へとやって来たが、“ネタ喰うな”の禁制を破り途方に暮れていた。事情を知った菊水会の若衆、
 国分勝(菅原文太)は大阪へと旅立った。大阪へ着いた国分は早速、ぶら金の使い込んだ、ネタの代
 金を届けるため三輪会帳元、朝比奈六(清川虹子)を訪ねた。国分の話を聞いたお六は、ぶら金をか
 ばう国分の心意気に打たれすっかり惚れ込んでしまう。そしてお六は、国分を一人娘の夏子(土田早
 苗)の婿にと心に決めるのだった。三輪会は大阪の露天商(おともだち)に絶大なる人気を集めてい
 た。だが世相が変ってくるとともに、最近では暴力団あがりの黒金興業社長の黒金藤吉(小池朝雄)
 が千成組の帳元である東条英一郎(遠藤辰雄)と共謀し、三輪会の庭場を横取りしようと企んでいた。
 数日後、黒金と東条はお六に三輪会の庭場にヘルスセンター建設の話をもちかける。露天商の生活の
 保障を条件にその建設計画に同意するお六。そんなある日、お六の実子で今はテキヤ馬賊をやってい
 る鉄也(伊吹吾郎)が大阪へ帰って来た。彼に目をつけた黒金と東条は金で買収し三輪会の庭場内で
 暴れさせ、お六に対してのいやがらせを表面化させてきた。鉄也に対して大阪から出ていくよう伝え
 るお六だが、鉄也は母親のお六に反抗する。お六の口添えで飛弾高山に旅した国分を追う夏子はいつ
 しか国分に魅かれていたのだった。大阪に戻った二人を待っていたのは鉄也の死であった。強引な手
 段に打って出た東条が露店商の長屋を取潰すのを防禦するお六だが、そのお六を狙った銃弾が、かば
 った鉄也の胸元を貫ぬき息を引きとる。鉄也に対して初めて母親としての涙を流すお六だった。鉄也
 の死で憤りに燃えたお六は、帳脇の宮村良平(葉山良二)を従えて西日本各地のテキヤの帳元衆が
 集る総会会場に乗り込み、東条と黒金の悪事を暴露し、千成組と黒金興業を西日本テキヤ同盟から脱
 退させた。怒り狂った東条と黒金は、その帰り道、子分に命じお六を刺殺し、三輪会の庭場を荒しま
 くらせ、露天商を恐怖のどん底にたたき込んだ。夏子は母親お六の死体を前に、六代目を継ぐ決心を
 する。だが国分は“夏子さん、あんたにはそんなものは似合わないぜ”と、単身、夜道を千成組へと
 殴り込んでいった。

 他に、武原英子(国丸小夜子=ぶら金の盲目の妹)、曽我廼家明蝶(灘尾駒吉=西日本テキヤ同盟の理事
長)、南利明(佐貫五郎=蝦蟇の油売り)、由利徹(犬飼刑事)、岡八郎(矢野修三=テキヤ)、広瀬義宣
(テキヤ)、正司玲児(左平=同)、正司敏江(巻子=左平の女房)、小島慶四郎(八丁松九郎=ホットド
ッグ屋)、林彰太郎(岩淵銀三=黒金興業の幹部)、汐路章(大村義助=同)、志賀勝(原田猛=テキヤ馬
賊)、有川正治(バッテン三次=鉄也の子分)、鈴木金哉(ゲバ徳=同)、片山由美子(黒金の情婦)、丸
平峰子(夜の万国博のホステス)などが出演している。
 3本目は、『五人の突撃隊』(監督:井上梅次、大映京都、1961年)である。久し振りのアジア・太平洋
戦争を舞台にした映画である。しかも、ビルマ戦線を描いているので、貴重な戦争映画と言えるだろう。ち
なみに、小生はその題名すら知らなかった。最初、監督が井上梅次ということで日活映画かと思ったが、そ
の時点で彼はフリーになっており、その流れで大映作品を手がけたらしい。見事に大映カラーに仕上げてい
るので、感心した。ウィキペデイアによれば、彼は新東宝を皮切りに日活を経てフリーになり、大映の他に
も、東宝、東映、松竹などの主要映画会社すべてで仕事をこなし、香港ショウ・ブラザース社でも映画製作
に携わり、劇場用映画だけでなくテレビドラマの監督も多数引き受けている。邦画界全盛期にプログラム・
ピクチャーを手掛けていただけあって、その監督作品数は戦後の映画監督としては日本一の由。まさに、職
人芸のなせる業と言えよう。ところで、ビルマと言えば、『ビルマの竪琴(総集版)』(監督:市川崑、日
活、1956年)、および、そのリメイク作品である『ビルマの竪琴』(監督:市川崑、フジテレビジョン=博
報堂=キネマ東京=東京国際映像文化振興会、1985年)をすぐに連想するが、『昨日の敵(Yesterday's
Enemy)』(監督:ヴァル・ゲスト〔Val Guest〕、英国、1959年)というイギリス映画も存在する由。ただ
し、筆者未見である。本郷功次郎が出演(一部、主演)している大映の戦争映画と言えば、当該作品の他に、
以下の作品群が存在している。

  『海軍兵学校物語 あゝ江田島』、監督:村山三男、大映東京、1959年。
  『あゝ特別攻撃隊』、監督:井上芳夫、大映東京、1960年(主演)。
  『あゝ零戦』、監督:村山三男、大映東京、1965年(主演)。
  『あゝ海軍』、監督:村山三男、大映東京、1969年。
  『あゝ陸軍 隼戦闘隊』、監督:村山三男、大映東京、1969年。

 当時の大映は、「兵隊やくざ」シリーズ(勝新太郎/田村高廣)や「陸軍中野学校」(市川雷蔵/加東大
介)シリーズなどの人気戦争映画を作っているが、小生が知らないだけで、他にもあるのかもしれない。な
お、単発ではあるが、『野火』(監督:市川崑、大映東京、1959年)や『赤い天使』(監督:増村保造、大
映東京、1966年)なども観応え十分の映画である。東宝や新東宝も多くの戦争映画を製作しているが、だい
ぶ色合が違う。小生の好みはと言えば、大作を手掛けることの多かった東宝や新東宝よりも泥臭い大映の方
に軍配を上げたい。戦争そのものよりも、戦争という極限状況に放り込まれた人間に興味があるからである。
当該映画はまさに人間を描いており、佳品といってもよい出来である。題名から、『五人の斥候兵』(監督:
田坂具隆、日活多摩川、1938年)〔筆者、未見〕を連想したが、影響関係が存在するかどうかは分らない。
 物語を確認しておこう。以下、上に倣う。

   〔解説〕

  『時の氏神 新夫婦読本』の舟橋和郎と『手錠にかけた恋』の星川清司の共同脚本を、『女は夜化
 粧する』のコンビ井上梅次が監督し、中川芳久が撮影した戦争映画。

   〔あらすじ〕

  昭和十九年五月、ビルマ最前線の日本軍は、インパール攻撃を目前に控えていたが、すでに弾薬は
 つき、食糧はなく、その上恐しい雨季が迫ってきていた。野上大隊長〔中佐〕(大坂志郎)は、旅団
 司令部に物資の補給を要請した。事情を知った曽根旅団長〔少将〕(山村聰)は、作戦会議で撤退を
 主張したが、かえって第一線の指揮を命ぜられた。曽根は、副官に野上少尉(本郷功次郎)を任命し、
 野上大隊へ赴任した。士官学校を出たばかりの野上は、父の野上大隊長が優柔不断なため進撃をため
 らっているという噂を聞き、不満に思っていた。橋本上等兵(川口浩)と杉江一等兵(藤巻潤)は上
 官を上官とも思わないような兵隊だった。曽根は、胸中、撤退を決意した。だが、そのことを敵に知
 られてはならない。敵前衛部隊への攻撃、地雷原の撤去作業と小さな攻撃が続けられた。橋本上等兵
 が前の戦闘で擱坐させた敵の英国戦車で迎え撃つという計画が進められ、野上少尉、橋本上等兵、杉
 江一等兵の他、庄司一等兵(川崎敬三)と小林一等兵(大辻伺郎)が選ばれ戦車の修理作業にかかっ
 た。作業中、野上と杉江の間に険悪な対立が続いた。戦車はほんの少し動いただけだった。撤退命令
 が下った。曽根旅団長の独断で行なわれた命令だった。時を同じくして、敵の攻撃が開始された。大
 隊の撤退が完了するまで、その攻撃をくい止め、最後に橋を爆破するために誰かが残らねばならない。
 敵のくる道筋に据えられた戦車の中に、野上、橋本、杉江、庄司、小林の五人が残って敵を迎え撃っ
 た。敵戦車が近づいた。この機に、橋の爆破をしなければ、敵の進撃をくいとめることができない。
 橋本と杉江が爆破作業にとりかかった。爆破装置が完了し、スイッチが入った。点火装置に故障があ
 るのか爆発が起らない。杉江が橋上に躍りあがった。その上に敵戦車がのしかかる。その瞬間、橋は
 爆破した。その頃、大隊本部では曽根が自決していた。生き残った野上と橋本が、僚友たちの遺体を
 埋葬しているのを、対岸の狙撃兵が見つけた。野上が倒れた。「俺だけを残すな」と橋本が絶叫する。
 その橋本の背を激しい雨がたたきつけた。遂に雨季がやってきたのだ。

 他に、安部徹(宮口伍長)、藤山浩二(高木兵長)、河津清三郎(大田黒中将)、友田輝(稲垣中尉)、
見明凡太朗(師団長)、田宮二郎(野上俊夫=野上少尉の異腹の兄)、弓恵子(則子=杉江の妻)、花布辰
男(橋本の父親=畳屋)、香住佐代子(同じく母親)、村上不二夫(近藤大尉)、石井竜一(木村少尉)、
北原義郎(旅団参謀)、井上信彦(情報将校)、中田勉(髯面の一等兵)、三浦友子(若い女)、須藤恒子
(婆や)、吉野妙子(橋本光子=橋本源治上等兵の妹)、三保まりこ(春子=俊夫のGF)、小杉光史(看
守)、山口健(拘置所所長)、潮万太郎(落語家=小林の師匠)、浜田ゆう子(雪子=庄司の妻)、岡崎夏
子(仲人)、此木透(役場助役)、高村栄一(在郷軍人)、伊達正(村長)、守田学(第一中隊長)、小山
内淳(第二中隊長)、八木沢敏(第三中隊長)、網中一郎(分遣小隊長)などが出演している。
 4本目は、『JUDGE/ジャッジ』(監督:古波津陽、「JUDGE」製作委員会〔東宝=AOI Pro.〕、2013年)
である。小品ながら「密室劇」として成功しており、小生の知らない役者ばかり出演していたが、いずれも
過不足のない演技を見せていた。テイストとしては、『インシテミル 7日間のデス・ゲーム』(監督:中田
秀夫、「インシテミル 7日間のデス・ゲーム」製作委員会〔ワーナー・ブラザーズ映画=ホリプロ=日本テ
レビ放送網=読売テレビ放送=ツインズ ジャパン〕、2010年)〔「日日是労働セレクト81」、参照〕や
『人生逆転ゲーム』(監督:室賀厚、「人生逆転ゲーム」製作委員会〔クロックワークス=ジョリー・ロジ
ャー〕、2010年)〔同〕に酷似している。ただし、設定は新鮮で、キリスト教の「七つの大罪」(憤怒・傲
慢・強欲・嫉妬・色欲・大食・怠惰)やそれらに配した動物(オオカミ・ライオン・キツネ・イヌ・ウサギ・
ブタ・クマ)を絡めたところがミソ。
 物語を確認しておく。以下、上と同様。

   〔解説〕

  月刊少年『ガンガン』に連載された外海良基の同名コミックを実写映画化したサスペンス・スリラ
 ー。閉鎖された空間に監禁された罪人たちが、残酷なゲームを生き延びるために他者と時に協力し、
 また陥れようとする姿がスリリングに描かれる。『仮面ライダーキバ』の瀬戸康史、『あまちゃん』
 の有村架純ら注目のキャストが顔を揃えている。

   〔あらすじ〕

  互いに素性の知らない、傲慢、嫉妬、憤怒、怠惰、強欲、大食、色欲という罪(キリスト教の七つ
 の大罪)を負う者たち7人がある場所へ集められ監禁される。彼らが目覚めたときには、それぞれ着
 ぐるみのような動物のマスクをかぶらされており、毒薬を仕込んだ手錠がかけられていた。そして制
 限時間以内に誰が一番罪深いか多数決で決める裁判ゲームを強いられる。それは、一番多く票を集め
 た者には死の制裁が下り、最終的に残った者だけが生き残るというものだった。一体誰が何のために
 こんなゲームを強いるのかわからないまま時間は刻一刻と過ぎ、次第にこのゲームを勝ち抜こうとす
 る彼らの本性が暴かれていく……。

 出演者は、瀬戸康史(オオカミ)、有村架純(ライオン)、佐藤二朗(キツネ)、田中壮太郎(イヌ)、
川手ふきの(ブタ)、平良和義(クマ)、西丸優子(ウサギ)の7人である。
 以下に、そのルールを記しておこう。

  1.罪人全員の多数決により、最も罪の重い罪人を時間内に選ぶ。
  2.最も多くの票を集めた罪人は処刑される。
  3.最終審判を生き残った罪人は解放される。
  4.棄権・脱走は許されない。

 以上である。さて、誰が生き残ったのだろうか。


 某月某日

 DVDで邦画の『まむしの兄弟・恐喝(かつあげ)三億円』(監督:鈴木則文、東映京都、1973年)を観た。
監督が鈴木則文なので、後続の『トラック野郎』シリーズに通じるテイストである。派手に30人弱のヤクザ
を粛清しているが、今回は罪に問われない。お気楽もここまでくればご立派なものである。
 物語を確認しておこう。例によって〈Movie Walker〉のお世話になる。執筆者に感謝したい。なお、一部
改変したが、ご寛恕を乞う。

   〔解説〕

  “まむしの兄弟”シリーズ六作目。二人合わせて前科四十犯の大貫緑をつけた、まむしの兄弟が、
 麻薬組織に喰い込み、麻薬Gメンそこのけの大活躍で組織を壊滅させるまでをコミカルに描く。脚
 本は『やくざ対Gメン 囮』の高田宏治、監督は脚本も執筆している『恐怖女子高校 暴行リンチ教室』
 の鈴木則文、撮影も同作の鈴木重平がそれぞれ担当。

   〔あらすじ〕

  久し振りに出所し、娑婆に出て来たゴロ政(菅原文太)が神戸に戻って来たところ、舎弟の不死身
 の勝(川地民夫)が当り屋に失敗して入院していた。政は、勝をはねたのが、神洋交易の社長・李楊
 徳(河津清三郎)の娘麗花(堀越光恵)と知り、李をゆすって三百万円の見舞金を出させようと、ゴ
 ルフ場で李に凄んだ。ところが、ゴルフ場で李は、ヤクザの安武弥一郎(渡辺文雄)とボールにつめ
 た麻薬の取り引きをしていたのだが、それとは知らない勝がボールを持ち返ってしまったために、用
 心棒の広津建〔通称マオ〕(松方弘樹)に二人を追わせた。もちろん、三百万円の小切手を取り返す
 目的もあった。しかし、広津は首尾よくボールとともに小切手を取り返したが、それを李に返さず着
 服してしまった。だが、翌日、政と勝が小切手を取り返しに殴り込んで来たことから、広津は着服し
 たことを李に知られ、リンチを受けた。一方、小切手を手にして浮かれていた政と勝だが、フーテン
 女高生のみどり(早乙女りえ)とまゆみ(一の瀬レナ)の甘い言葉に誘われ、折角の小切手を取られ
 てしまった。そのころ、李と安武の間で、三億円にも及ぶ、麻薬の大量取り引きが進行し、大阪空港
 にゴルフボールに仕組んだ現物が香港から到着することになった。これを知った広津は、自分を野良
 犬と罵った李への報復から再び裏切って、三億円を一人占めにしようと計った。この企みに、広津に
 惚れこんでいる麗花と、広津に近親感を抱いている政と勝も荷担することにした。国際線貨物取扱い
 所から積荷を積んだトラックに、麗花が、父の命令だと偽わって、勝を運転台に乗りこますのに成功
 し、トラックごと奪ってしまった。しかし、急報によって追いかけて来た安武組に、河原の堤防で包
 囲され激しいカー・チェイスとなった。政がようやく広津との集合場所にたどりついた。麻薬を車に
 移し変えた広津は直ちに発進したが、安武組の執拗な追跡に逃げ切れず、遂に、広津、麗花とも無数
 の銃弾に倒れた。二人の死を知った政と勝は、復讐を誓って、トラックを安武組へと突進させるが、
 丁度その頃、麗花を殺されて怒った李が、反対に安武に刺殺されていた……。

 他に、三島ゆり子(花江=政のお相手)、女屋実和子(洋子=勝のお相手)、今井健二(宗方巌=安武組
の幹部)、林彰太郎(ウルフの鉄=同)、川谷拓三(国東仙吉=李の子分)、広瀬義宣(才八=まむしの兄
弟の子分)、菅井きん(たみ=山田村農協の観光客)、武智豊子(ゴルフ場の作業員)、那須伸太朗(洋品
店主)、汐路章(夜間金庫を用いた詐欺師)、大泉滉(刑務所の門衛)、岡八郎(中華料理店のボーイ)、
小田部通麿(刑事)などが出演している。以前にも遣われていたと思うが、「メンタ」という方言が登場し
ている。「女性」を意味するが、たいがいは悪口雑言の類であろう。なお、取引された麻薬はヘロイン10キ
ログラム。すなわち、「ペイ入りゴルフボール」の中身である。


 某月某日

 DVDで邦画の『まむしの兄弟・刑務所暮し四年半』(監督:山下耕作、東映京都、1973年)を観た。前作
が今一だったので今回は期待したが、案の定かなりテコ入れを行っている。つまり、けっこう面白かった。
相変わらずドタバタ喜劇の様相を呈しているが、暴れ回るところはきっちり押さえているので、このシリー
ズの持味は生きていると思う。
 物語を確認しておこう。例によって〈Movie Walker〉のお世話になる。執筆者に感謝したい。なお、一部
改変したが、ご海容いただきたい。

   〔解説〕

  “まむしの兄弟”シリーズ第5作。刑務所を出るたびに勲章の数が増え、惚れた女のためにヤクザ
 を相手に大暴れする、まむしの兄弟のバイタリティー溢れる姿を描く。脚本は『博奕打ち外伝』の野
 上龍雄、監督は、『日蔭者』の山下耕作、撮影は『賞金首 一瞬八人斬り』の山岸長樹が、それぞれ
 担当。

   〔あらすじ〕

  刑務所を釈放されたばかりの、まむしのゴロ政(菅原文太)は弟分の不死身の勝次(川地民夫)と
 神戸へ繰り込んだ。ところがバー“ユキコ”のママ、倉石優子(浜木綿子)にひと目惚れし、優子の
 4歳になる娘ユキコ(鎌田知佐)を、名古屋で水上生活を送るおばあちゃんのたか(三益愛子)が預
 ったまま返してくれないと聞いた政と勝は、名古屋へと向かった。名古屋へ着いた二人は、早速、暴
 力バーやインチキソープランドに引っかかり、大暴れしたものの、痛めつけられ放り出された。その
 二人を助けてくれたのが、たかだった。翌日、政と勝次は先日の暴力バーのマスター真吉(渡瀬恒彦)
 がたかの息子だと知る。そして、その真吉に芝江組が狙いをつけ、ショバ代を捲き上げようと責めた
 てていた。そんなある日、神戸から優子自らユキコを引きとりに来たが、たかは、赤ん坊を捨ててと
 び出した女には可愛いい孫を渡せぬ、と頑強に拒否。思いあまった優子はユキコの父親、芝江組組長
 の芝江多三郎(小松方正)に会うが、冷たく突っぱねられ、挙句の果てに、組員たちに凌辱されてし
 まった。ぼろ布のようになって帰って来た優子を見たたかは「私が悪かった」と詫びるのだった。怒
 った政と勝次は、持ち前のしつこさで、何度も何度も芝江組に殴り込むうちに政が警察につかまって
 しまった。一方、芝江組の脅迫を受けて、優子、ユキコ、たか、真吉らは神戸へ逃げ出そうとしたが、
 追って来た子分に真吉が殺されてしまった。やっと現場に駆けつけた政と勝次は、真吉が殺されたこ
 とを知って、たかの制止を振り切って殴り込みを敢行する。盗んだパトカーで芝江の邸宅へ突っ込み、
 奪った猟銃や拳銃で大暴れ、真吉の仇を討つのだった。

 他に、待田京介(村井=芝江組幹部)、高宮敬二(富田=同)、曽根晴美(鉄=同)、林彰太郎(安本=
同)、ひし美ゆり子(マキ=真吉の恋人。キャッチガール)、三島ゆり子(花江=政のお相手)、女屋実和
子(洋子=勝次のお相手)、江波多寛児〔江幡高志〕(易者)、大泉滉(ポン引き)、丸平峰子(その女房)、
久保浩(メケ=バーテン)、南利明(下駄屋)、遠藤辰雄(古井=看守)、野口貴史(若井=同)などが出
演している。つまるところ、この映画は三益愛子の「日本の母」でもっているところ大である。


 某月某日

 DVDで邦画を2本観たのでご報告。両者ともに最近の「製作委員会」方式で製作されているが、TV会社が
関わっているためか、TVドラマのような作りで映画らしさに若干欠けているような気がする。やはり、映画
には映画でしか描けないものを期待しているので、少し残念な傾向である。とくに、吉永小百合が主演の後
者は、阪本順治監督とは思えない通俗的な筋書で、かなりがっかりした。「製作委員会」方式なので仕方な
いのだろうが、「無難に、無難に」というわけで、リスク管理(売れなければ困る)には長けていても、鑑
賞者からすればわざわざ観るまでもないようなものを観せられているような気がする。もっとも、だからつ
まらないというわけではなく、それなりに泣かせてくれたりもするので、厄介ではある。
 1本目は、『脳男』(監督:瀧本智之、「脳男」製作委員会〔日本テレビ放送網=日活=ジェイ・ストー
ム=東宝=読売テレビ放送=バップ=講談社=読売新聞社=GyaO!=札幌テレビ=ミヤギテレビ=静岡第一
テレビ=中京テレビ=広島テレビ=福岡放送〕、2013年)である。発想にはなかなかのものがあるが、それ
を支える科学的な裏付けが不足しているので、観ているうちは惹きつけられるが、観終われば何だか狐に抓
まれたような後味が残る。この手の映画は話のリアリティを維持するのが大変なので、こちらもその気にな
って観ていないと白ける一方である。その点、当該映画はわりと上手に騙してくれるので、結末を除けばそ
れなりに楽しめたといえる。松雪泰子や甲本雅裕はかなり決まっていたが、肝心の生田斗真や二階堂ふみ、
染谷将太などの若手はありきたりの演技だった。出演数が増えてくるにしたがって、演技の質が下がってい
るのではないか。江口洋介も典型的な暴走刑事役で、もう少し殻を破って欲しかった。
 物語を確認しておこう。例によって〈Movie Walker〉のお世話になる。執筆者に感謝したい。なお、一部
改変したが、ご寛恕を乞う。

   〔解説〕

  第46回江戸川乱歩賞に輝いた首藤瓜於による同名小説を、生田斗真主演で映画化したサスペンス・
 アクション。生まれつき並外れた記憶力、知能、肉体を持ちながら、人間としての感情を持たない謎
 の男性“脳男”と、彼の精神鑑定を依頼された女医、彼を追う刑事の物語が描かれる。監督は『はや
 ぶさ 遥かなる帰還』の瀧本智行。

   〔あらすじ〕

  都内近郊で無差別連続爆破事件が頻発し、路線バスが爆破される。乗客が全員死亡したその犯行に
 使われたのは、舌を切り取られた女性の全身に爆薬を巻きつける“人間爆弾”。動機不明の異常な事
 件を担当する刑事の中に、粗暴だが人一倍正義感の強い茶屋(江口洋介)がいた。犯人のアジトを突
 き止めた彼が現場に踏み込むと、別の男と格闘していた犯人がアジトを爆破して逃走する。茶屋が確
 保したその男(生田斗真)は、“鈴木一郎”と名乗った以外、一切身元不明。爆破の共犯者と見なさ
 れ、精神鑑定を受けるが、担当医師の鷲谷真梨子(松雪泰子)は彼の態度に違和感を覚える。平均的
 過ぎる受け答え、正確過ぎる生活行動。その様子を観察した真梨子は、一郎の過去を調べ始める。本
 名は入陶大威〔いりすたけきみ〕。幼い頃に轢き逃げ事故で両親を亡くした彼は、大富豪の祖父・入
 陶倫行〔いりすのりゆき〕(夏八木勲)に引き取られる。ところが、倫行は息子夫婦を失った怒りか
 ら、並外れた知能を持つ一郎を、人間らしい感情を持たず、正義のために犯罪者を抹殺する殺人ロボ
 ットに鍛え上げたのだ。そんな彼は周囲から“脳男”と呼ばれるようになっていた。だが真梨子は、
 どんな人間でも必ず人間性を取り戻せると信じていた。一方、茶屋も“一郎は犯人を殺そうとしたの
 ではないか”という仮説に辿り着く。そんな中、一郎を移送していた護送車が、緑川紀子(二階堂ふ
 み)と水沢ゆりあ(太田莉菜)の2人組に襲われる。一郎を出せと要求する彼女たちこそ連続爆破犯
 だった。争いの中でゆりあが一郎に撃たれ、仕掛けられた爆弾によって護送車が爆発。混乱に乗じて
 緑川と一郎が逃走する。1週間後、姿を現した緑川が、真梨子を人質に取って病院に立て籠もる。病
 院中に仕掛けられた爆弾に翻弄される警察。そこへ、緑川を抹殺するため一郎が姿を現す。さまざま
 な想いが錯綜する中、一郎と緑川の死闘が幕を開ける……。

 他に、大和田健介(広野=茶屋の相棒刑事)、染谷将太(志村昭文=真梨子の患者)、山崎ハコ(その母
親)、光石研(黒田雄高=爆発物処理のベテラン)、甲本雅裕(空身=精神科医)、石橋蓮司(藍澤末次=
同)、緒方明(苫米地=同。精神鑑定の第一人者)、小澤征悦(伊能=山岳トレーナー)、大山うさぎ(沙
織=真梨子の母親)、池谷のぶえ(金城理詞子〔りすこ〕=有名な占師)などが出演している。
 斬新な治療プログラム、「マッチ擦る/つかのま海に/霧ふかし/身捨つるほどの/祖国はありや」(寺
山修司の短歌)、ボールベアリング入りの爆弾、タロット占い、炭化タングステン使用の刃物、起訴前鑑定、
ナラティブセラピー、エンドルフィン、独りドラッグ工場、ロールシャッハ、心神耗弱、心神喪失、HTPテス
ト、体内時計、ポリグラフテスト、感情表出障害、正義感溢れる殺人ロボット……多くのそれらしい言葉や
アイテムが登場するので、飽きさせない流れである。
 2本目は、『北のカナリアたち』(監督:阪本順治、「北のカナリアたち」製作委員会〔東映=テレビ朝
日=木下グループ=博報堂=博報堂DYメディアパートナーズ=加賀電子=朝日放送=セントラル・アーツ=
メーテレ=イノベーションデザイン=TOKYO FM=アマゾン ジャパン=北海道テレビ=朝日新聞社=読売新
聞社=幻冬舎=日本出版販売=東映ビデオ=北海道新聞社=九州朝日放送=東日本放送=新潟テレビ21=静
岡朝日テレビ=広島ホームテレビ=愛媛朝日テレビ=瀬戸内海放送〕、2012年)〔「メーテレの「ー」は波
線。文字化けするので、音引で代用した〕である。この作品も『〈老いがい〉の時代 ──日本映画に読む』
(天野正子 著、岩波新書、2014年)で紹介されている、小生が未見だった映画である。
 どうにも吉永小百合は苦手な女優で、観る前からどうせ偽善的な夢想物語だろうと踏んでいたが、案の定
予想通りだった。少し癖のある俳優も、彼女と共演するとお行儀がよくなる。もっとも、若い頃の演技はそ
れほどでもなく、たとえば『若い人』(監督:西河克己、日活、1962年)〔「日日是労働セレクト45」、
参照〕の江波恵子役などには好感を持っている。サユリストはどんなタイプの役でも受け容れるのだろうが、
小生はそういうわけにはいかないのである。
 さて、物語を確認しておこう。以下、上記に同じ。なお、配役については〈ウィキペディア〉などを参照
した。

   〔解説〕

  湊かなえの小説を原案に、主演・吉永小百合、監督・阪本順治という豪華組み合わせで描くヒュー
 マンドラマ。かつての教え子が起こした事件をきっかけに、20年ぶりに北海道の離島を訪れた元小学
 校教師の女性が生徒たちと再会し、心に閉じ込めていた思いを打ち明けあう。生徒の20年後の姿を森
 山未來、満島ひかりらが演じる。

   〔あらすじ〕

  夫・川島行夫(柴田恭兵)と共に北海道の離島にやってきた小学校教師、はる(吉永小百合)が受け持
 つことになったのは6人の児童たち、鈴木信人(小笠原弘晃)、戸田真奈美(渡辺真帆)、生島直樹
 (相良飛鷹)、安藤結花(飯田汐音)、藤本七重(佐藤純美音)、松田勇(菊池銀河)だった。彼ら
 の歌の才能に気付いたはるは、合唱を通してその心を明るく照らしていく。「先生が来るまで学校が
 つまらなかった」とこぼしていた子どもたちの顔にも笑顔が溢れるようになり、大自然に響き渡るそ
 の歌声は島の人々の心も優しく包み込んでいった。そんな時、担当した事件が原因で心に傷を抱えた
 警察官・阿部英輔(仲村トオル)が島へやってくる。人知れず悩みを持っていたはるは、陰のある阿
 部と自分を重ねるかのように心動かされていく。ある夏の日、生徒たちと行ったバーベキューで、悲
 しい事故が一同を襲う。子どもたちは心に深い傷を負い、はるは心配する父・堀田久(里見浩太朗)
 を一人置いて、追われるように島を出ることになる。だが、島を離れた後も心に残るのは6人の児童
 たちのことだった……。20年後、東京で図書館司書として暮らすはるに生徒の一人が起こした事件の
 知らせが届く。その真相を知るため、はるは6人の児童たち(森山未來、満島ひかり、勝地涼、宮崎
 あおい、小池栄子、松田龍平)との再会を心に決め、北へ向かう。久しぶりに再会した彼らの口から
 語られるのは、20年間言えずにいた想いだった。それぞれが抱えていた後悔が大きな傷となり、今も
 心に残っていることを知ったはる。そして自身もまた、心に閉じ込めていた想いを6人に明かすのだ
 った……。

 他に、石橋蓮司(折原=世田谷署の刑事)、塩見三省(安田=図書館職員)、菅田俊(中田=信人に殺さ
れた社長)、伊藤洋三郎(松田医師=勇の父親)、高橋かおり(和美=中田の元妻、信人の婚約者)、駿河
太郎(真奈美の夫)、福本清三(孝三=信人の祖父)、藤谷文子(結花の母)、乃木太郎(本多=折原の若
い相棒刑事)などが出演している。
 現在の結花が直樹に突然「好き」というシーン、阿部とはるの唐突なキスシーン、七重と由実(七重の親
友、役者不詳)とその夫(同じく役者不詳)が揉め合うシーンなど、リアリティのまったく感じられないシ
ーンが満載であった。失礼ながら、阪本監督はどんな演出を目論んでいたのだろう。この手の映画はこれで
いいと思っていたのだろうか。ただし、信人が煙突から墜落するシーンと、和美が自動車に衝突するシーン
は迫力満点だった。映画は、この手のシーンをかなり上手に描けるようになったと思う。そういえば、『脳
男』においても、一郎が緑川の運転する自動車と衝突するシーンがあったが、あれもどうやって撮ったのだ
ろうと思った。たぶん、CGではなく、実際にワイヤーを用いて人間を浮かせているのだとは思うが……。


 某月某日

 DVDで邦画の『カラスの親指』(監督:伊藤匡史、「カラスの親指」フィルムパートナーズ〔フォックス・
インターナショナル・プロダクションズ=20世紀フォックス映画=20世紀フォックスホームエンタテイメン
トジャパン=キングレコード=ファントム・フィルム=日活=電通=衛星劇場=KDDI〕、2012年)を観た。
詐欺師の物語で、題名にある「カラス(烏)」は「玄人」を意味している由。なお、「親指」に関しては、
いわゆる「ネタバレ」になるので、ここでは触れないでおく。
 ところで、詐欺師を扱った映画としては、洋画の『スティング(The Sting)』(監督:ジョージ・ロイ・
ヒル〔George Roy Hill〕、米国、1973年)を真っ先に連想するが、邦画では何が一番印象深いだろうか。
最近の作品では、『クヒオ大佐』(監督:吉田大八、「クヒオ大佐」製作委員会〔モンスター☆ウルトラ=
ショウゲート=ティー・ワイ・オー・アミューズソフトエンタテインメント=メディアファクトリー=パル
コ=日活・チャンネルNECO=アスミック・エース エンタテインメント〕、2009年)〔「日日是労働セレク
ト69」、参照〕や『夢売るふたり』(監督:西川美和、「夢売るふたり」製作委員会〔バンダイビジュア
ル=讀賣テレビ放送=アスミック・エース エンタテインメント=オフィス・シロウズ=文藝春秋=電通=
衛星劇場=パパドゥ=エネット=ヤフー〕、2012年)〔「日日是労働セレクト107」、参照〕辺りが思い
浮かぶが、小生の子どもだった頃に観た映画では、『ニッポン無責任野郎』(監督:古沢憲吾、東宝、1962
年)〔「日日是労働セレクト55」、参照〕などに代表される植木等主演の映画がそれに該当するだろう。
時間が経つと酸化して真赤になる贋札が小生の脳裏に強烈な印象を残しているが、調べてみると『クレージ
ーの怪盗ジバコ』(監督:坪島孝、東宝、1967年)〔「家族研究への布石(映像篇)」に未登録〕にその話
が登場することが分かった。あるいは、中学生時代に観ているのかもしれない。また、題名は忘れたが、最
近亡くなった萩原流行が凄腕の詐欺師の役を演じているVシネマ(だったと思う)も、けっこう面白かった
ことを覚えている。
 ここで、「詐欺罪」について復習しておこう。例によって〈ウィキペディア〉のお世話になる。執筆者に
感謝したい。なお、ほぼ原文通りである。ただし、単純な誤植や句読点などはこれを正した。


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    詐欺罪:人を欺いて財物を交付させたり、財産上不法の利益を得たりする(例えば無銭飲食や無銭
        宿泊を行う、無賃乗車するなど、本来有償で受ける待遇やサービスを不法に受けること)
        行為、または他人にこれを得させる行為を内容とする犯罪のこと。刑法246条に規定され
        ている。未遂も罰せられる(250条)。

   概要

  詐欺罪の保護法益は個人の財産であり、単に「騙した」だけの場合や財産以外の利益が侵害された場合
 は成立しない。そのため、社会一般でいう詐欺の概念とはやや乖離している。
  広義には、詐欺罪や詐欺利得罪のほか、準詐欺罪(刑法第248条)や電子計算機使用詐欺罪(刑法第246
 条の2)を含む。

   客体

  本罪には、財物を客体とする罪(財物罪)と、財産上の利益を客体とする罪(利得罪)が存在する。
 246条1項に規定された財物罪としての詐欺罪(狭義の詐欺罪)を一項詐欺罪または詐欺取財罪といい、
 同条2項に規定された利得罪としての詐欺罪を二項詐欺罪または詐欺利得罪という。
  原則として、他人の財物、他人の財産上の利益が客体であるが、自己の財物であっても、他人が占有し、
 又は公務所の命令により他人が看守するものであるときは、他人の財物とみなされる(刑法251条・242条)。
  また、電気も財物に含まれる(刑法251条・245条)。

   構成要件

  一般社会通念上、相手方を錯誤に陥らせて財物ないし財産上の利益の処分させるような行為をすること
 (欺罔行為又は詐欺行為)。
  相手方が錯誤に陥ること(錯誤)。
  錯誤に陥った相手方が、その意思に基づいて財物ないし財産上の利益の処分をすること(処分行為)。
  財物の占有又は財産上の利益が行為者ないし第三者に移転すること(占有移転、利益の移転)。
  上記1-4の間に因果関係が認められ、また、行為者に行為時においてその故意及び不法領得の意思があ
 ったと認められること。

   欺罔行為

  欺罔(ぎもう)行為は相手方に処分行為をさせることに向けられたものでなければならない。また、錯誤
 を引き起こさせる行為であるから、相手方は人でなければならず、機械を騙したとしても本罪は成立しな
 い(ただし電子計算機使用詐欺罪が成立する可能性はある)。
  欺罔行為の手段に制限はないため、言語による場合に限らず動作・態度による場合も含み、また作為・
 不作為も問わない。例えば釣銭詐欺の事例において、店員が釣銭を間違えて多く渡したことをその場で気
 づいたにもかかわらず、そのことを告げずに立ち去る行為は、不作為による詐欺罪が成立すると解されて
 いる。

   処分行為

  欺かれた相手方(被欺罔者)が処分行為をしなければならないため、被欺罔者は財産の処分権者でなけ
 ればならない。ただし、被欺罔者が被害者(財物の所有者や、財産上の利益が帰属する人)である必要は
 なく、両者が異なる場合を三角詐欺という。

   ケースの考察

  嘘を言って店員の目を逸らせ、その隙にショーケースから商品をかすめ取った場合。

   → 詐欺罪は不成立(騙す行為が相手方の財産上の処分行為に向けられたものでない。これは窃盗罪
    に該当)。

  欺罔行為及び処分行為はあるが、相手方が欺罔を看破しておりトラブル回避や憐憫の情から行為者の要
 求を呑んだに過ぎない場合。

   → 詐欺罪は未遂に止まる(欺罔行為と処分行為の間に因果関係が認められない)。

  虚偽の学歴を著書に掲載し、誤認した読者が代金を支払って購入した場合。

   → 詐欺罪が成立する可能性がある(虚偽の学歴の表示と購入との因果関係の成立が必要であり、著
    書の内容と著者の学歴との関連にも左右される)。

  いわゆる「無銭飲食」に関しては、当初の意思や経過によって下記のように派生する。
  最初から無銭飲食するつもりで店に入って飲食し、「財布を取ってくる」等と店員に嘘を言い、そのま
 ま逃走した場合。

   → 詐欺罪成立(代金を支払う意思がないにもかかわらず注文するという欺罔行為により店員が錯誤
    し、飲食物を提供した)。

  最初は正規に飲食するつもりで店に入って飲食していたが、食後に食い逃げを思い立って「財布を取っ
 てくる」と店員に嘘を言い、そのまま逃走した場合。

   → 詐欺利得罪成立(代金を支払いに戻る意思がないにもかかわらず、店員に「財布を取ってくる」
    と告げるという欺罔行為により店員が錯誤して承諾し、店を離れ、よって代金の支払いを免れると
    いう財産上不法の利益を得た)。
  
  最初は正規に飲食するつもりで店に入って飲食していたが、食後に食い逃げを思い立って、店員の隙を
 ついて店を出て逃走した場合。

   → 詐欺不成立(店に欺罔行為を行っていないため詐欺罪が成立しない。窃盗罪にも該当しないため、
    刑事責任を問うことは出来ない。但し民法上の責務を負う)。

   他の領得罪との対比

  不法領得の意思をもって他人の占有する財物を取得する点で、窃盗罪や強盗罪と共通する(広義の奪取
 罪又は移転罪)が、占有の移転が相手方の意思に基づく点で異なる。
  占有移転が相手方の瑕疵ある意思に基づく点で、恐喝罪と共通するが、その意思が畏怖でなく錯誤によ
 るものである点で異なる。

   詐欺の手口一覧  ※「警察庁犯罪手口資料取扱細則」による

  1.売りつけ詐欺
   物品等の販売を口実として金品を騙し取る。
  2.買い受け詐欺
   物品等の買い受けを口実として金品を騙し取る。
  3.借用詐欺
   借用を口実として金品を騙し取る(民事事件と混同されやすく、非常に立件されにくいのが特徴であ
   る)。
  4.不動産利用詐欺
   不動産の運用利用を口実として金品を騙し取る。
  5.有価証券等利用詐欺
   真正な有価証券等を利用して金品を騙し取る。
  6.無銭詐欺
   人を欺いて宿泊、飲食、乗車等をし、財産上不法の利益を得る。
  7.募集詐欺
   募集を口実に金品を騙し取る。
  8.職権詐欺
   身分を詐称し、検査や捜査などを装い、押収や没収、内済などを口実に金品を騙し取る。
  9.両替・釣銭詐欺
   両替を依頼、あるいは商品等の代金を支払うように装い、両替金や釣銭を騙し取る。
  10.留守宅詐欺
   留守宅を訪問し、口実を設けて当該家の家人から金品を騙し取る。
  11.保険金詐欺
   保険金を受け取る資格を偽り、保険金を騙し取る。
  12.横取り詐欺
   金品を受け取る権利のある者を装い、金品を騙し取る。
  13.受託詐欺
   口実を設けて受託し、金品を騙し取る。
  14.その他
   前記のいずれにも該当しないが、詐欺罪構成要件に該当する詐欺。
   霊能力や超能力など称しての献金勧誘や販売(霊感商法を参照)。振り込め詐欺、結婚詐欺など。
  15.その他
   前記のいずれにも該当しないが、詐欺罪構成要件に該当しない詐欺。

   法定刑

  犯罪をおこなったものは10年以下の懲役に処され、犯罪によって得たものは没収(19条)または追徴
 (20条)される。組織的に行った場合は組織的犯罪処罰法により1年以上の有期懲役と罪が重くなる(同
 法3条第1項第13号)。

   未遂罪

  詐欺罪の未遂は処罰される(刑法250条)。

   親族間の犯罪に関する特例

  親族間の犯罪に関する特例の規定が準用されている(刑法251条・244条)。

   特異な適用例

  動物を虐待する目的で引き取ったケースについて、詐欺罪が適用された例がある。

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 以上である。この世は「騙し合いのゲームである」と割り切れば詐欺など大したことはないが、やはり犯
罪を構成することに変わりはない。もっとも、「黒詐欺」(結婚詐欺を「赤詐欺」と呼ぶように、詐欺師を
騙すことをこう呼ぶ)などは、どこか痛快であることは否めない。当該作品も、騙す相手が「ワル」あるい
は「欲深」なので、罪が深いとは思えない。荒唐無稽の物語であるが、アイディア満載なので、観ている間
は頗る面白い。
 物語を確認しておこう。例によって〈Movie Walker〉を参照する。執筆者に感謝。なお、一部改変したが、
ご海容いただきたい。

   〔解説〕

  直木賞作家・道尾秀介の小説を阿部寛主演で映画化した痛快作。コンビを組むサギ師の元に3人の
 男女が転がり込んだ事から始まる奇妙な同居生活と、彼らが挑む一世一代の大勝負の行方が笑いとと
 もにスリリングに展開する。阿部扮するタケさんとコンビを組むサギ師をお笑い芸人の村上ショージ
 が演じ、独特の間で笑わせる。

   〔あらすじ〕

  悲しい過去を背負ったままサギ師になったタケ(阿部寛)と、成り行きでコンビを組むことになっ
 た新米サギ師のテツ(村上ショージ)。そんな2人の元に、ある日ひょんなことから河合やひろ(石
 原さとみ)と河合まひろ(能年玲奈)の美人姉妹、それにノッポの石屋貫太郎(小柳友)を加えた3
 人の若者が転がり込んでくる。彼らもまた、不幸な生い立ちのもと、ギリギリのところで生きてきた
 という。これをきっかけに始まる他人同士のちょっと奇妙な共同生活。やがて、タケが過去に起こし
 たある事件が、彼らを一世一代の大勝負へ導くことになるが、この時は誰一人、それを知る由もなか
 った……。社会のどん底で生きてきた5人の一発逆転劇。そして驚愕の真実が明かされる……。

 なお、〈ウィキペディア〉にやや詳しい「あらすじ」が載っているので、そちらの方も引用させていただ
く。以下、同じ。

   〔映画あらすじ〕

  タケこと武沢竹夫はやさぐれたベテランの詐欺師。元はまっとうなサラリーマンだったが、闇金の
 取り立てで職を失う。なし崩しに借金取りにさせられヒグチというヤクザに追い込みを命じられる。
 その結果、娘を抱えた母親が自殺。良心の呵責から経理資料を警察に持ち込んだ結果、ヒグチたちは
 逮捕されたが、タケは自宅を放火され幼い娘を失う。なにもかも失ったタケは自殺を図ろうとするも
 死にきれず、復讐を恐れ逃げ回る生活を余儀なくされていた。
  そんなとき、鉄橋で下をのぞき込む男(テツ)を見かける。自分も追い詰められた過去を持つタケ
 はテツを拾い、二人はコンビを組んで仕事を重ねる。競馬場で一仕事終え、ラーメン屋で食事をして
 いた二人は住んでいるアパートが火事になったことを知り慌てて逃げ出す。
  タケとテツは綾瀬に一軒家を借りて新生活を始めた。上野での一仕事のあと、二人は仕事に失敗し
 たスリの少女(まひろ)を見かけて逃がしてやる。その後、まひろから生活に窮していることを聞か
 されたタケは一万円札を渡し、困ったことがあればウチに来いと誘う。
  ある朝二人が目覚めると、若い3人の男女が茶の間に勝手に上がり込んでいた。それはアパートを
 追い出されたまひろと、美人だが常識も生活力もない姉のやひろ、そしてやひろの恋人で図体はデカ
 いが気が小さい元イジメられっ子で失業中の時計職人貫太郎だった。
  貧乏人同士助け合おうというタケの提案で5人は共同生活を始める。
  子猫の「トサカ」も加わり、家族のように暮らす5人だが、平和な日々は長くは続かなかった。怪
 しげな車が様子を伺うようになり、ボヤ騒ぎが起きる。そして、「トサカ」が姿を消し、変わり果て
 た姿で発見される。
  5人はヒグチへの復讐を企てる。だが、その後明らかになったのは思いも寄らないとんでもない事
 実だった……。

 他に、鶴見辰吾(ヒグチ=借金取り立て業)、ベンガル(質屋の店主)、戸次重幸(豚々亭のマスター)、
なだぎ武(馬々亭の店員)、古坂大魔王(ノガミ=ヒグチの配下)、上田耕一(カジワラ=同)、ユースケ・
サンタマリア(競馬場で出会った男)などが出演している。アナグラム、プリペイドの携帯電話、盗聴器な
どが「小道具」として大活躍している。とくに、安物の香炉を「小野無斎(ONO MUSAY)」作の逸品に仕立
て上げるところなどは傑作である。ちなみに、後ろから読むと、〈YASUMONO〉である。なお、返済能力の限
界を超えた債務者から最後の金を奪い取る仕事〔「日々のあぶく?」より〕である「綿抜き(わたぬき)」
が隠語として登場するが、実際に遣われている言葉であろうか。もっとも、別の漢字を用いた「腸抜き」の
方がより感じが出るが……。


 某月某日

 DVDで邦画を5本観たのでご報告。最初の3本は、『〈老いがい〉の時代 ──日本映画に読む』(天野
正子 著、岩波新書、2014年)で紹介されている、小生が未見だった映画である。少しずつでも、当該新書
で紹介されている作品は鑑賞しておきたい。
 さて、1本目は『ペコロスの母に会いに行く』(監督:森崎東、「ぺコロスの母に会いに行く」製作委員
会〔素浪人=TCエンタテインメント=フォーライフミュージックエンタテイメント=東風〕、2013年)であ
る。禿頭の中年男が認知症の母親を介護する話と前もって認識しており、いずれ観ようと思っていた作品で
ある。もっとも、長崎の原爆が絡むとは考えていなかった。キノコ雲のシーンがあり、真っ先に『カンゾー
先生』(監督:今村昌平、今村プロダクション=東映=東北新社、1998年)を連想した(この映画では広島
への原爆投下)。小生の思い違いかもしれないが、映像が似ていると思ったからである。一応、以下に、小
生が鑑賞済みの長崎の原爆絡みの映画を挙げておく。

  『地獄の掟に明日はない』、監督:降旗康男、東映東京、1966年。
  『この子を残して』、監督:木下恵介、松竹=ホリ企画制作、1983年。
  『Tomorrow 明日』、監督:黒木和雄、ライトヴィジョン=沢井プロダクション=創映新社、1988年。
  『八月の狂詩曲』、監督:黒澤明、黒澤プロダクション、1991年。
  『爆心 長崎の空』、監督:日向寺太郎、パル企画=メディアファクトリー=日本スカイウェイ=長崎
   放送=長崎ケーブルメディア、2013年。
  『ペコロスの母に会いに行く』、監督:森崎東、「ぺコロスの母に会いに行く」製作委員会〔素浪人=
   TCエンタテインメント=フォーライフミュージックエンタテイメント=東風〕、2013年。

 以上である。未見の映画にも佳作があるはずなので、根気強く探索を試みたい。
 さて、物語を確認しておこう。例によって〈Movie Walker〉のお世話になる。執筆者に感謝したい。なお、
一部改変したが、ご寛恕を乞う。

   〔解説〕

  岡野雄一のエッセイ漫画を原作に『ニワトリはハダシだ』の森崎東監督が映画化。認知症の母親と
 その息子のおかしくも切ない日常を綴る。出演は『川の底からこんにちは』の岩松了、TVドラマ『渡
 る世間は鬼ばかり』の赤木春恵、『長い散歩』の原田貴和子、『はじまりのみち』の加瀬亮、『ソウ
 ル・フラワー・トレイン』の大和田健介。

   〔あらすじ〕

  長崎生まれの団塊世代、岡野ゆういち(岩松了)は、漫画を描いたり音楽活動をしたりと趣味にう
 つつを抜かし、仕事に身が入らないダメサラリーマン。小さいたまねぎ“ペコロス”に似たハゲ頭の
 ゆういちは、今日もライヴハウスでオリジナルソングを歌い上げて悦に入っている。そんなゆういち
 の母・みつえ(赤木春恵)の認知症が始まったのは、夫のさとる(加瀬亮)が亡くなった頃からだっ
 た。それから10年、ある時はさとるのために酒を買いに出たところを孫のまさき(大和田健介)に見
 つけられて連れ戻され、またある時はゆういちが帰ってくるのを駐車場で待ち続けて危うく轢かれそ
 うになった。さらに、箪笥の引き出しから汚れた下着が大量に出てきたこともある。ケアマネージャ
 ーに勧められたゆういちは、悩みながらも、みつえを介護施設に預けることにする。そこは老人たち
 が皆で歌を合唱するような明るい雰囲気のグループホームだった。女学生時代に戻って、恋をしてい
 るらしいまつ(佐々木すみ江)、誰にでもアメをねだるユリ(正司照枝)、隙あらば美人介護士の胸
 を揉む洋次郎(穂積隆信)など、個性豊かな面々がみつえを歓迎する。しかし、みつえは「“ふせ”
 (当て布をして繕うこと)ばせんといかん」と部屋にこもり、他の人の目には見えない縫い物をし続
 けるのだった。みつえは10人きょうだいの長女として育った。畑仕事でボロボロになった弟や妹たち
 の服を毎日縫うのがみつえの仕事。結婚後もさとるが給料の全てを酒に使ってしまい、さとるの背広
 やゆういちたち子供の服は“ふせ”だらけとなっていた。そんな中、みつえの記憶は少しずつ過去へ
 遡っていく。ある日、みつえは、さとるや幼なじみのちえこ、8歳で亡くなった妹のたかよが会いに
 来たとゆういちに語る。ゆういちは「ボケるとも悪かことばかりじゃなかかもな」と思い始めるのだ
 った……。

 他に、原田貴和子(若き日のみつえ)、竹中直人(本田=まつの息子)、松本若菜(秀島さと=さくら館
の介護師)、原田知世(ちえこ=みつえの子どもの頃の友だち。長崎で被爆し、原爆症で亡くなる)、宇崎
竜童(音楽の教師)、温水洋一(喫茶店「同八銭」のマスター)、根岸季衣(陶山=さくら館のスタッフ)、
大門正明(ペコロスの上司)、島かおり(よしの=みつえの妹)、長内美那子(すずこ=同)、志茂田景樹
(ライブハウズの客)、白川和子(たかこ=さくら館の住人)などが出演している。「夜声八丁」(夜の声
は八丁先まで響く)という言葉や、「ピカドンのせいで家のあちこちが歪んでいる」という事実を初めて知
った。なお、劇中、ペコロス岡野が弾き語りで歌う「寺町坊譚」(岡野雄一:作詞・作曲)という楽曲が面
白かった。
 2本目は、『RAILWAYS 49歳で電車の運転手になった男の物語』(監督:錦織良成、「RAILWAYS」製作委
員会〔ROBOT=博報堂DYメディアパートナーズ=松竹=テレビ朝日=小学館=日本海テレビ=衛星劇場=京
王エージェンシー=読売新聞〕、2010年)である。鉄道マニアでなくとも楽しめるファミリー・ドラマ。
文法通りの優等生的作品であるが、生真面目に作っているので、好感度は高い。
 この作品に関しても、上と同じ。

   〔解説〕

  中井貴一が50歳を目前にして、子供の頃からの夢だった電車の運転士を目指し、家族との絆を取り
 戻していく男に扮した感動ドラマ。島根東部を走る電車とその田園風景が心を和ませる。

   〔あらすじ〕

  大手家電メーカー「京陽電器」の経営企画室室長、筒井肇(中井貴一)は50歳を目前に、取締役へ
 の昇進を告げられるが、家族を顧みる余裕もなく仕事に追われる日々を送っていた。肇の妻・由紀子
 (高島礼子)も、長年の夢だったハーブショップを開店、だが肇との距離は広がり、会話もほとんど
 なくなっていた。就職活動中の娘・倖(本仮屋ユイカ)は、自分の夢が見つからず、日々悶々として
 いる。そんなある日、故郷の島根で一人暮らしをしている肇の母・絹代(奈良岡朋子)が倒れたとい
 う連絡が入る。更に追い討ちをかけるように、同期の親友・川平(遠藤憲一)が事故死したという知
 らせが届いた。久しぶりに帰った実家で、肇はかつて必死に集めていた電車の切符を見つけ、子ども
 の頃、“バタデン”(一畑電車)の運転手になるのが夢だったことを思い出す。目の前のことに追わ
 れ、やりたいことに挑戦さえしていない。そんな肇の中を、熱い想いが駆け抜けた。肇は会社を辞め、
 一畑電車の運転士採用試験を受けることを決意。49歳、しかも大手企業のエリートだった肇の応募に、
 一畑電車社長・大沢(橋爪功)と部長・石川(佐野史郎)はただ驚くばかりであったが、肇の熱意に
 動かされ、採用を決める。妻と娘を東京に残して、肇の運転士見習いの研修が始まった。その後、晴
 れて運転士試験に合格、先輩の福島(甲本雅裕)らの指導を受けながら肇は“バタデン”運転士とし
 て働き始める。介護師・森山亜紀子(宮崎美子)の献身的な介護もあり、絹代は入院生活やリハビリ
 にも慣れてきた。肇の転職を知った絹代は、そっけない態度を取りながらも、嬉しそうな息子の様子
 に思わず顔をほころばせるのだった。やがて、夏休みに入った倖が島根に来て、絹代の介護を手伝う
 ようになった。一方、由紀子のハーブショップは雑誌でも紹介され、軌道に乗り始めてきた。夢に向
 かって真っ直ぐに生きる肇の姿に影響され、誰もが変わり始めたある日、絹代の病状が急変する……。

 他に、三浦貴大(宮田大吾=肇と同期の運転手、元甲子園球児)、中本賢(了〔とおる〕=肇の昔馴染み、
倖からは「シジミマン」と呼ばれている)、渡辺哲(高橋=車両課長)、緒形幹太(薮内=先輩運転手)、
石井正則(田窪=指令室勤務)、笑福亭松之助(豊造=絹代の隣人)、河原崎建三(玖島=京陽電器専務)、
大方斐紗子(由紀子の店の客)などが出演している。昭和3年以来、80年に亙って走り続ける「デハニ50形」
という電車が登場するが、「デ」は「電動車」、「ハ」は「イロハのハ(すなわち三等車、現在の普通車)」、
「ニ」は「荷物室あり」を意味する由。地方の電車は風情があるが、小生には京都の「叡山電車」が最も馴
染深い。
 3本目は、『RAILWAYS 愛を伝えられない大人たちへ』(監督:蔵方政俊、「RAILWAYS 2」製作委員会   
〔松竹=テレビ東京=ジェイアール東日本企画=小学館=ROBOT=北日本新聞社=KDDI=富山市=阿部秀司
事務所=テレビ愛知=テレビ大阪=Jahoo! JAPAN=北日本放送〕、2011年)である。前作の姉妹篇であるが、
続篇ではない。中井貴一が三浦友和に代っており、それなりに楽しめる作品である。
 この作品に関しても、上と同じ。

   〔解説〕

  『RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語』に続く、鉄道ヒューマンドラマ・シリーズ第
 2弾。三浦友和、余貴美子をはじめ吉行和子、小池栄子、中尾明慶など新旧実力派キャストが結集。
 人生の岐路に立った鉄道運転士の夫婦の絆を感動的に描く。富山地方鉄道が走る、のどかな風景も大
 きな魅力になっている。

   〔あらすじ〕

  滝島徹(三浦友和)は鉄道運転士として仕事一筋の日々を過ごし、59歳になった。55歳になった妻・
 佐和子(余貴美子)は、専業主婦として徹を支えてきた。徹が1か月後に定年退職を控え、夫婦で第
 2の人生をスタートさせようとしていたある日、佐和子が結婚するときに辞めた看護師の仕事を再開
 すると宣言する。しかし徹は佐和子の申し出を理解せず、2人は口論となる。思わず家を飛び出した
 佐和子と徹の溝は深まる一方で、ついに佐和子は離婚届を徹に手渡す。これからの人生は妻のために
 と思っていた徹に対し、自分の人生を生きたいと願った佐和子。佐和子には、徹の知らないある理由
 があった。そばにいるのが当たり前すぎて、本当の気持を言葉にできない2人に、ひとり娘とその夫、
 徹の同僚や部下、佐和子が担当する患者一家の人生が交錯していく。こうして徹と佐和子は、思って
 もみなかった第2の人生の出発点にたどりつく。

 他に、小池栄子(片山麻衣=滝島夫婦の娘)、塚本高史(片山光太=麻衣の夫、「小政鮨」経営)、中尾
明慶(小田友彦=新人運転手)、吉行和子(井上信子=佐和子の患者)、岩松了(島村洋二=徹の同僚)、
徳井優(河野啓司=富山電鉄の内勤社員)、中川家礼二(楠木雅也=ずぼらな運転手)、仁科亜季子(深山
朋香=徹の高校時代のGF、バツイチ)、清水ミチコ(沢田良子=佐和子の友人)、立川志の輔(出前のオヤ
ジ)、米倉斉加年(吉原満=徹の先輩)、西村雅彦(冴木俊也=医師)などが出演している。
 4本目は、『べらんめえ藝者と大阪娘』(監督:渡辺邦男、ニュー東映、1962年)である。美空ひばりが
二役をこなし、高倉健と水原弘が恋のお相手をするという希有な映画。ひばりの歌謡映画でもある。「べら
んめえ芸者」シリーズの第7作である。『ぴあシネマクラブ』に解説があるので、それを以下に引用させて
いただく。

   「べらんめえ芸者」シリーズ

  美空ひばりを下町のイキな鉄火芸者に仕立てたコメディー・タッチのシリーズ。1959年の第1作で
 ある『べらんめえ芸者』から1963年の『べらんめえ芸者と丁稚社長』まで、全8本が作られた。美空
 ひばりがイキな啖呵を切るのが見せ場の一つで、新人時代の高倉健や梅宮辰夫が相手役で名を連ねて
 いる。

 この作品に関しても、上と同じ。ただし、推定により大きく改変した。
 
   〔解説〕

  べらんめえ芸者シリーズの第7作。スタッフは第5作のの『べらんめえ芸者佐渡へ行く・ひばり民
 謡の旅』と同じ。

   〔あらすじ〕

  天下のべらんめえ芸者、富貴乃家の小春姐さん(美空ひばり)は、妹芸者美千代(滝千江子)と梅
 奴(阿久津克子)をつれて年始まわりの途中、下駄問屋助六商店の鉄也(小野透)と出遭った。小春
 の尽力で浮浪児から足を洗った因縁で、鉄也は小春に頭が上がらない。父のすすめる縁談が気に入ら
 ず、大阪から恋人のいる東京へ逃げてきた真弓という娘(美空ひばり/二役)が、助六屋商店の居候
 になった。彼女は小春と瓜二つだが、大変におとなしいので鉄也はゴキゲン。一方、小春は目下売り
 出し中の「恋の活力素・ポンジュース」を飲んだ〆香(星美智子)が腹痛を起こしたことから、発売
 元の道頓堂本舗にどなり込むが、母の綾子(小暮実千代)の電話で〆香の腹痛は食べすぎと判った。
 青年支店長桧山圭吉(高倉健)の男らしい態度は、小春の心をとらえずにはおかなかった。ところで、
 奇縁にも真弓の恋人こそ、恋の活力素のキャッチフレーズの立案者馬場三郎(水原弘)であった。真
 弓の父、日夏研造(伊志井寛)の経営する工場は道頓堂の資本が入っているところから、おいそれと
 は断れない縁談なのだ。真弓から事情を聞いて愕然とした三郎は、当分は形勢を観望することにきめ
 た。まもなく、真弓にアルバイト口を頼まれていた鉄也が、一晩で三万円という素晴らしい仕事を探
 してきた。かねてから小春のステージ出演を望んでいたナイトクラブ・ハリケーンの支配人(大東良)
 を口説き落としたのだ。真弓は小春に援助を求め、そのとき真弓の生い立ちを聞いた小春は、自分と
 真弓が双生児の姉妹だと知った。ハリケーンは名妓小春をステージに迎えて大盛況。実は本物の小春
 だが、真弓とばかり思い込んでいる鉄也は有頂天である。圭吉が惚れているのが小春、三郎が恋して
 いるのが真弓なのだが、ハリケーンの舞台以来それが妙にこんがらかって事件はもつれるばかり。し
 かし、小春の努力ですべては円満に納まり、三郎と真弓はめでたく結ばれた。

 他に、石黒達也(桧山宗太郎=道頓堂本舗九代目当主、圭吉の父)、坂本武(久吉=下駄問屋助六の主人)、
沢村貞子(おたけ=久吉の女房)、関山耕司(壮士風の男=現代のクレーマー)、不忍郷子(おさと)、愛
川かおる(あんみつ屋のウェイトレス)、小林テル(中年女)、都健二(アナウンサー)、仲塚光哉(道頓
堂社員A)、光岡早苗(テレビのコマーシャル・ガール)、梅野邦子(同)、矢島由紀子(同)などが出演
している。当時の下宿屋の相場は、三食付で1ヶ月8,000円。下駄の鼻緒の内職代が340円。小春の最初のギ
ャラは5万円だった(鉄也がダンピングして3万円)。ステージ・ネームは「ハリケン・ローズ」。なお、
劇中登場する「ポンジュース」は実在するが、それとはまったくの別物だと思う。
 5本目は、『関東テキヤ一家』(監督:鈴木則文、東映京都、1969年)である。これもシリーズものなの
で、『ぴあシネマクラブ』の解説がある。以下に引用させていただく。

   「関東テキヤ一家」シリーズ

  1969-71年にかけて5本を製作。鶴田浩二、高倉健に続く東映第三のスターとして力を入れ始めて
 いた菅原文太の初の主演シリーズもの。本数こそ少ないが、二人の先輩にはないドライさ、単細胞的
 な人間性など、ユニークな面が強調され、菅原がスターとして浮上するきっかけになった作品。任侠
 ものでは異色のシリーズとなった。シリーズ第4作までは一貫して鈴木則文が監督。

 さて、この作品も上と同様、〈Movie Walker〉のお世話になる。

   〔解説〕

  『新網走番外地・流人岬の血斗』の村尾昭が脚本を書き、『緋牡丹博徒・一宿一飯』の鈴木則文が
 監督した任侠もの。撮影は、『賞金稼ぎ』の山岸長樹が担当。

   〔あらすじ〕

  国分勝(菅原文太)は浅草のテキヤ菊水一家の若衆。親分市井治助(嵐寛寿郎)の命により、引地
 鉄男(待田京介)、佐貫五郎(南利明)を連れて群馬から福島への旅に出た。上州三軒茶屋一家・明
 石操(桜町弘子)のもとで旅装を解いた国分は、土地の興行者矢倉一家からしめ出された女子プロレ
 ス一行に同情、操に頼んで興行をうつことになった。操はテキヤ同志の筋道を通すため矢倉一家を訪
 れたが、ちょうど矢倉・源田兄弟盃の宴の最中だった。操は、案内状も出さずに同業者から祝儀と称
 して金品を捲上げる矢倉の仕打を指摘、その場に一触即発の空気がみなぎった。そして仲裁に出たの
 が大瀬戸一家の大島政次郎(大木実)だった。この大島を傘下におさめようとする銭村友三郎(河津
 清三郎)が襲って傷を負わせた。やがて、大島の采配で東日本の親分衆の集会が開かれた。しかし、
 銭村が叫んだ神農睦会の結成に市井が反対、席は殺気をはらんだまま流会した。市井はこれを境に狙
 われ、国分は親友の源田組組員である時枝英三(寺島達夫)、仲間の引地とともに親分市井をも失っ
 た。間もなく、国分は市井に封印された短刀を抜き、大島、操らの助力を得て怨念を晴らした。

 他に、土田早苗(川原志津=テキヤ、引地の恋人)、東竜子(川原まさ子=志津の母)、源田忠義(渡辺
文雄)、天津敏(矢倉鐘吉)、林彰太郎(鬼沢竜平=源田組の幹部)、由利徹(犬飼刑事)、汐路章(荒武
勇=馬賊のひとり)、関山耕司(羽黒専次=同)、岡田千代(時技弓子=英三の妻)、石井富子(大西富子
=女子プロレスリングのマネージャー)、中村錦司(石野直行)、丘路千(浜中庄平)、蓑和田良太(山田
清松)、畑中伶一(安井忠夫)、平沢彰(唐島徳次)、高並功(金光岩男)、藤本秀夫(黒田政市)、木谷
邦臣(阪下実六)、川谷拓三(岩瀬=矢倉組組員)、遠山金次郎(古橋末吉)、土橋勇(小原武)、有川正
治(湯浅英雄)、波多野博(桜井銀三)、宮城幸生(村島光治)、池田謙治(伴野虎吉)、宮谷春夫(橋爪
剛)、秋山勝(三坂七郎)、村居京之輔(有馬初次郎)、大城泰(林)、巴ゆき子(女子プロレスラー)、
柳みゆき(同)、京めぐみ(ストリッパー)などが出演している。
 『べらんめえ藝者と大阪娘』の鉄也が「戦災孤児」という触れ込みだったが、この作品でも時枝英三がそ
れに当たる。ヤクザ(もちろん、テキヤ=ヤクザではない)になった切っ掛けが「親分に拾われて」という
わけだが、これまでに何度もあった設定である。物語もマンネリそのもので、菅原文太による新機軸が出て
いるとは思えない。帳元とか馬賊とか、テキヤ用語が出てくるが、露天商は今でも存在するので、これらの
言葉も生きているのだろうか。「フーテンの寅さん」の世界とはだいぶ様相が異なるような気がするが……。

                                                
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