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 月が替わりましたので、「日日是労働スペシャル」の続篇をお届けします。単純に、「日日是労働スペシ
ャル XLVII (東日本大震災をめぐって)」と命名するつもりでしたが、今回から通称を用いることにしま
す。「日日是労働スペシャル」のローマ数字が分りにくいからです。もっとも、正式名称は存続させますの
で、よろしく。
 さて、新名称は「驢鳴犬吠」としました。第一回目は、2015年の5月を採って、「驢鳴犬吠1505」と
します。そういうわけで通称を用いますが、内容に変わりはありません。主として、今回の大災害(原発の
過酷事故を含む)に関係する記事を掲げますが、特定の個人や団体を誹謗中傷する目的は一切ありません。
どうぞ、ご理解ください。人によっては、多少ともショッキングな記事があるかもしれませんので、その点
もご了承ください。なお、読み進めるほど記事が古くなります。日誌風に記述しますが、後日訂正を載せる
かもしれません。あらかじめ、ご了解をいただきたいと存じます。
 また、ご質問、ご意見等のおありの方は、muto@kochi-u.ac.jp 宛にメールをいただければ幸甚です。

                                                 
 2015年5月22日(金)

 単行本の『美味しんぼ 111巻 福島の真実2』(雁屋哲 作、花咲アキラ 画、小学館、2014年)を読みま
した。前作同様、漫画としてはさほど評価できませんが、原発事故後の福島を知る上では重要な文献となる
でしょう。是非、手に取って読んでみてください。

                                                
 2015年5月14日(木)

 単行本の『美味しんぼ 110巻 福島の真実1』(雁屋哲 作、花咲アキラ 画、小学館、2013年)を読みま
した。漫画として捉えた場合は、あまりに平板で取り柄があるとは思えませんが、原発事故後の福島を知る
本として捉えた場合は、足で取材したことがひしひしと伝わってくる作品なので、たしかな手応えがありま
す。福島の個々の状況にわたしたちがどう対応してよいのか、はっきり言って分からないのですが、何も知
らないよりはずっとましかと思います。当該作品は小生がまだ大学生だったころ(1983年)から連載が開始
されていますから、32年も続いている作品です。だいぶ以前からフォローすることがなくなった作品ではあ
りますが、福島第一原発事故に絡んだ作品ということなので、読んでみました。111巻も「福島の真実2」
ということですので、それは明日以降に読むつもりです。ところで、内容には触れません。是非、自分の目
で読んでください。

                                                 
 2015年5月12日(火)

 本日も、『被ばく列島 放射線医療と原子炉』(小出裕章/西尾正道 著、角川oneテーマ21、2014年)の  
抜書をします。「終章 私たちはこれから、放射線とどう向き合うか 後世の子孫への責任」に言及します。 
これが最終回です。なお、読みやすくするため多少改変しましたが、内容を変更したわけではありませんの
で、ご了承ください。
 

 ********************************************

  終章 私たちはこれから、放射線とどう向き合うか 後世の子孫への責任

p.172 ・(西尾)遺伝子がちょっと傷ついても、ほとんどの人間は普通に生れてきますから、見た目はほ
     とんど区別できない。それは分らないとしかいいようがない。人間は抵抗力というか回復力とい
     うか、とんでもなくよくできた生物です。だから、それなりに表面上は順応して、事なきを得る
     ことが多い。
  ・(西尾)〔遺伝子検査の発達を承けて〕科学は科学として追究するのは結構ですが、支障なく普通の
   生活をしている個々人にとってはそれ(=遺伝子検査)が本当に必要かというと、話は別です。

p.173 ・(西尾)妊娠中でもいつ被曝したかによって、発生する放射線の障害は違うのです。
      1958年にイギリスのアリス・M・スチュアート医師が、幼児の白血病の多発は妊婦の骨盤のX
     線撮影が関与していることを報告しました。その頃から、医療被曝の問題がクローズアップされ
     ました。こうした歴史の中で、妊娠時期の違いにより出生児の障害の種類も異なることが分かっ
     てきました。
      なお、胎児への影響について、ICRPは100ミリシーベルトが閾値とし、それ以下では先天
     障害は発生しないとしています。しかしチェルノブイリ事故後、現実には、5ミリシーベルト程
     度の被曝線量の母親から、先天障害を持つ子どもが生まれるケースが増加しています。放射性ヨ
     ードが100-200ベクレル/平方メートルと、セシウムが50-100ベクレル/平方メートルが降り注
     いだベルリンでは、1987年初頭にダウン症の子どもが3倍に増えました。こうした胎児への影響
     に関しても、ICRPは過小評価しているのです。

p.174 ・(西尾)放射性生物学の最も基本になっている法則があります。「ベルゴニー・トリボンドの法
     則」といいます。その1つは、細胞分裂が盛んなものほど、放射線に感受性が高いということで
     す。それから、未分化な細胞や細胞再生系の臓器ほど感受性が高いということです。この原則的
     なことを人間の体に当てはめて考えれば分かると思います。
      要するに細胞分裂の盛んなものほど、放射線の影響は現れやすい。骨髄の中にある幹細胞は細
     胞分裂が盛んで、白血球や赤血球や血小板に分化しています。骨髄は細胞分裂が盛んなので、放
     射線の放射線の影響を受けやすく、新たに白血球ができなければ感染に対して抵抗力を失います
     し、血小板が少なくなり出血傾向が進み紫斑などができます。こうした骨髄のトラブルが重篤で
     あれば、骨髄死につながります。

p.175 ・(西尾)〔人間の体内で細胞分裂が盛んな部位として水晶体を挙げたことを承けて〕だから、チ
    ェルノブイリの子どもたちが白内障になっているのは、放射線によるものと考えられます。
     普通、子どもが白内障になる原因としては、外傷性か放射線以外は無いからです。

p.176 ・(西尾)卵巣がやられやすいのは、未熟な細胞の集団だからです。

p.177 ・(西尾)今の日本は、(1)哲学なき日本、(2)品性なき日本、(3)見識なき日本、
     (4)人倫なき日本、(5)責任なき日本、(6)先見なき日本、(7)知足なき日本、
     の状態ですね。

p.179 ・(西尾)自動販売機は原発1基分ぐらいの膨大なで電気を使っている。公園などの大きな公共施
     設に設置するだけで十分ですし、生活に不便はありません。コンビニが近くにある地域では必要
     ありません。
      社会総体としてのエネルギーの使い方を考えるべきです。例えば家を建てるにしても高い気密
     度を確保すれば、省エネできます。

p.179-180 ・(西尾)社会全体として、さほど不自由なくバランスよく、節電することにより、寿命を全
       うできるぐらいのエネルギーがあればいい社会になる。
        そういうことを社会総体として考えるべきです。それがまさに文明論としての見直しです
       よ。人間いつかは死にますが、要するに死生観と、同時に価値観みたいなものをもうちょっ
       と見直したほうがいいと思う。

p.180 ・(西尾)津波被害後の復興も高台に移転し、防潮堤を造るという馬鹿げたことをしています。
      私ならば防潮堤を造るとしたら、まず、事故を起こした福島原発の所に防潮堤を造ります。今
     度津波が来たらさらに深刻になります。それ以外の場所は海が見えて、漁業も支障なくできるよ
     うに、津波で更地のようになった今まで住んでいた場所に大きなマンションを建てます。一軒家
     に住んでいた人も満足するような比較的広い間取りと部屋数を確保して建築し、分譲でも賃貸で
     も対応できる住居の整備をすべきです。その建物は1-3階までは駐車場として頑丈な柱で支え、
     4階部分から住居とすれば、2011年3月11日の東日本大震災のような津波があっても人命は救わ  
     れます。そしてその大きなマンションの中心に医療施設やスーパーなどの共同利用施設を設けま
     す。そうすれば、救急や介護などが充実した高齢社会への対応もできます。

p.182 ・(西尾)人口が減る国で右肩上がりの経済を望んでも無理です。
      人口論が欠如した経済政策は成功しません。成熟した資本主義社会では、維持しようと思った
     ら、とにかく無駄な消費でもいいから、消費を上げていくしか維持できないという性質を持って
     いる。今、さらに右肩上がりの経済成長を求めたら、とにかく必要のないものをたくさん買って、
     消費を伸ばすしか維持できない。
      そういう根本的な問題を何も考えないで、それ&#22316;維持するために、目先の利益のためにどんど
     ん消費することは、これ自体、無駄なものを買っているだけです。ということは、結局、そうい
     うものが廃棄物になったり、ゴミになったりして、地球資源の無駄遣いになってしまう。廃棄に
     しても問題が出てくる。開発途上国の人たちをレベルアップするために使われるというなら、話
     は別だけど、そうではない。異常ですよ。

p.184 ・(西尾)40年間医者をやっていて、発癌そのものが約20年若年化していると感じています。
  ・(西尾)高齢化しているから癌が増えているだけでなく、発癌を早める外的な要因が加わるような生
   活習慣をしているからだと思います。そうすると、その生活習慣や生活環境とは、どういうものがあ
   るかといったら、端的にいえば、農薬だとか化学物質だとか大気中にばら撒かれた放射線であり、ま
   た核実験で海に落ちたストロンチウムを含んだ魚介類を食している生活が関係していると考えられま
   す。
    人間は健康を維持するために、リスク管理に関しては想像力を持って考えるべきです。放射性廃液
   や主要元素の生物濃縮を数値にすると、ヨウ素もセシウムも1,000-4,000倍に生物濃縮されます。セ
   シウムが1ベクレル漏れたらセシウムは1,000ベクレルになって、人間の口に入ってくる可能性があ
   ります。

p.185 ・(西尾)ネオニコチノイド系の農薬などやストロンチウムなどが神経伝達物質の機能を障害し、
    自閉症スペクトラムの子どもたちが増加している可能性は否定できません。
     それから、アトピーとかアレルギーがすごく増えています。科学物質過敏症や花粉症などもそう
    です。昔は犬を飼うといったら屋外に犬小屋を作って飼っていました。しかし今は屋内で飼い、ペ
    ットを抱いて寝る人もいます。まだダニなどを含んだ絨毯や布製のソファなどの中で生活している。
    このような生活環境ではアトピーやアレルギーになる要因になりえます。

p.187 ・(西尾)現代史が高校では必修科目になっていない。ですから、中国や韓国との揉め事が起こっ
     ていても、歴史教育がきちんとなされていないので、やっぱり国のいっているような方向で右傾
     化した形で引っ張られる可能性が十分にあると思います。
  ・(西尾)自分の周りことだけで世界を構築している。これではとんでもなく大きな過ちになってくる
   可能性があります。
    もっと社会的な視野でものを考えて、生きるということをトレーニングしなければ、本当に日本の
   未来は暗いなと思います。

p.193 ・(小出)〔電力の最大需要に関する現況を承けて〕そして、最大電力需要が生じるのは真夏の数
     日の午後の数時間だけなのです。年間の1%にも満たないわずかな時間に、もし電力が足りなく  
     なるというのであれば、工場の生産調整やエアコンの温度設定を変えれば十分に乗り越えられた
     はずです。そして、2008年のリーマンショック以降は電力使用量自体が少なくなっており、原子
     力発電などすべて止めても、まったく困らない状態なのです。

p.194 ・(西尾)まさに21世紀は放射線と化学物質と向き合う時代となりました。

  あとがき

p.197 ・(小出)しかし、もともと科学とは、それまで説明できなかった事実について合理性を持って説
     明しようとするものであって、現に存在している事実をないものにすることは、およそ科学的で  
     はない。(中略)まずは原発を推進してきた自民党政権の謝罪と被害者の救済こそ為すべきこと
     である。

 ********************************************


 個々の知識こそ新鮮なもので溢れている本ですが、主張されていることに新しさはほとんど感じられませ
んでした。だから駄目だといってるのではなく、だからこそ信用が置けるのです。その主張とは、「原発に
はどこをどう突いてもメリットはない」ということです。すでに1970年代中頃(スリーマイル島事故以前)
に、米国では原発推進策の見直しが始まっていたといわれています。経済的に合わないからでした。おしな
べて米国に右へ倣えの日本において、なぜ原発だけは例外だったのでしょうか。残念でなりません。もっと
も今からでも遅くはありません。現状の日本を直視し、変えるべきは変え、守るべきは守ってやっていかな
くては、未来は暗いままです。小生のようなロートルの務めは、若者に道を示すことぐらいしかありません。
今後も、よぼよぼの驢馬のか細き鳴き声、負け犬の遠吠えにすぎないかもしれませんが、このブログで、言
うべきことを書いていきたいと思います。

                                                 
 2015年5月8日(金)

 本日も、『被ばく列島 放射線医療と原子炉』(小出裕章/西尾正道 著、角川oneテーマ21、2014年)の  
抜書をします。「第7章 日本は世界の流れから取り残されていないか」に言及します。なお、読みやすく
するため多少改変しましたが、内容を変更したわけではありませんので、ご了承ください。 


 ********************************************

  第7章 日本は世界の流れから取り残されていないか

p.148 ・(小出)最近、米国の西海岸にあるサン・オノフレ原子力発電所が止まりました。
      地球で地震が多い地域は限られています。日本人は地震を当たり前と思っているけど、欧米の
     人はほとんど地震自体を知らない。
      地震が多いのは、環太平洋地震帯、それからヒマラヤから地中海に抜ける地震帯の2カ所しか
     なくて、地球のほとんどのところには地震がない。そして米国は100基を超える原発を造りまし
     たが、ほとんどは地震のない東海岸に造った。ヨローッパは150基造ったけれど、もともとカン
     ブリア台地という地震がまったくない大地だった。イタリア周辺は別です。イタリアはチェルノ
     ブイリ事故後、それまで運転していた3基の原子力発電所を廃炉にし、3基の建設中の原子力発
     電所と、6基の計画中の原子力発電所を放棄しました。つまり世界のほとんどの国は、地震がな
     いから原発が造れたのですが、日本の場合は、世界一の地震国で、そこに造った。本当に異常と
     しか思えない。

p.149 ・(西尾)1979年のスリーマイル島の原発事故が起こってから、米国は原発を造っていなかった。
     米国は日本以上に経済性重視の社会です。こうした経済性が第一の国で、79年の事故以降、原発
     を造らなかったのは、要するに原発の維持や廃炉や使用済み核燃料の処理まで全部考え、また事
     故のリスクを考えた場合、全然経済的に合わないということを彼らはよく自覚したからです。だ
     から、原発から手を引いています。(中略)
      それで、開発途上国は原発を売るのではなく、自然再生エネルギーの技術を日本発で売り込む
     べきなのです。使用済み燃料棒は日本が引き取るという密約を交わして原発を開発途上国に売る
     ようなことをやっていれば、間違いなく世界中が汚染されます。

p.150 ・(西尾)ドイツのメルケル首相(物理学者)だって、チェルノブイリでは技術が低かったから事
     故を起こしたが、高い技術を持った日本でも事故が起こったことを重視し、人類には制御できな
     いと考え、脱原発に向かった。あの首相はそういう見識を持っています。
      米国では、経済的に合わないという判断をしています。米国とドイツの対応を考えたって、日
     本もそういう意味では、冷静に考えて、脱原発に舵を切るべきです。再稼働をやろうとしている
     けれど、事故がまた起きたら、誰が責任をとるのか。日本は破滅しますよ。

p.151 ・(小出・要旨)米国で原発数(運転中、建設中、計画中のすべてを含む数)が一番多かったのは、
     1974年です。すなわち、1979年のスリーマイル島の事故以前から、脱原発は始まっているのです。

p.153 ・(小出・要旨)フランスでも、1980年がピークです。ですから、フランスも含めて、ヨーロッパ
    はすべて原子力から撤退と思っていただいていいと思います。

p.155 ・(小出)〔米国の原子力メーカーがパテントで儲けようと考えたことを承けて〕それに関連して、
    面白い動きがあります。もともとGE(ジェネラル・エレクトリック社)は沸騰水型(BWR)と
    いう東京電力で使っている原子力発電所を造って、それを日立と東芝が受け持っていたんです。
     〔これに対して〕WE(ウェスティングハウス社)は加圧水型(PWR)という原子炉を造って、
    それを三菱が引き受けて、ずっとやってきた。1970年に敦賀でBWRの沸騰水型が動いて、美浜で
    PWRの加圧水型が動いてということで始まったんですけど、ほぼ20年間は、三菱がPWRを毎年
    1基造る、日立と東芝が1年交代でBWRを1基造るというぐらいの形でずっとやってきた。

p.155-156 ・(小出)〔日本の原子力発電所が過剰になったという事情を承けて〕これから一体どうする
      か。世界の原子力発電所の中で一番シェアが多いのは、加圧水型原子力発電所です。そのWH
      が開発したものは、日本では三菱がやっていたわけですけれども、GEとくっついていた東芝
      がこれから海外に原発を売ろうとしたら沸騰水型では売れない、何としても加圧水型に乗り換
      えたいと思った。それで東芝はものすごい奇策に打って出て、WHを丸ごと買収した。6,210
      億円だったと思うけど、子会社にしてしまって、それで、自分が加圧水型をやるといった。

p.157-158 ・(小出)広島原爆と長崎原爆の2つのうち、広島原爆はウラン235を同位体濃縮で集めて
      きて、作った。それにはものすごいエネルギーがかかる。同位体を分離することはエネルギー
      がかかるので、分離するためにかけたエネルギーの、せいぜい数分の1、多分10分の1くらい
      のエネルギーしか、爆発しても出なかった。実に馬鹿げたやり方だということで、それならウ
      ラン235を同位体分離して集めるよりはウラン238をプルトニウム239に変えて原爆を
      作ろうということで、長崎原爆ができたわけです。

p.159 ・(小出)〔高速増殖炉の注目されていたことを承けて〕それで、みんながやろうとしたけれども、
     高速増殖炉は難しいということでl、結局すべてが撤退してしまった。でも、日本は原子力を未
     来のエネルギー源にすると未だにいっている国なので、どうしても高速増殖炉をやるといわなけ
     れば辻褄が合わない。高速増殖炉をやるということは、使用済みになった燃料の中からそのプル
     トニウムを取り出して、それを新たね燃料にするということですから、再処理も絶対やらなけれ
     ばいけない。

p.160 ・(小出)日本で原子力を進めてきた一番の動機は、原子力の平和利用といいながら、プルトニウ
    ムを懐に入れたいということだったわけで、そのためにこれまで日本の原子力発電所をたくさん動
    かしてきた。軽水炉と呼ばれている原子炉ですけれども、そこでも原子炉を動かすとプルトニウム
    が炉心の中にどんどんできてくるのです。
  ・(小出)〔再処理技術は国際的なトップシークレットであることを承けて〕そうなると、再処理なん
   ていう技術、自分では持てない。ではどうするかと考えたあげくにイギリスとフランスの再処理工場
   に日本の使用済み燃料を送って、プルトニウムを分離して取り出してもらった。その分離して取り出
   したプルトニウムをすでに44トンも日本は持っていて、それで長崎型の原爆を作ろうとすると4,000
   発作れます。

p.162 ・(小出・要旨)結論としては、高速増殖炉も、再処理も、速やかに止めるのが一番いいと思います。

p.163 ・(西尾)現実に見識なき為政者は、原発の輸出に躍起になっていますが、とんでもないことです。
     使用済み燃料棒や核廃棄物は日本が引き取るという密約の他に、原発稼働の費用も税金から融資
     し、原発事故が起きたら日本の税金で補償するというのです。こんなことも報道されないまま事
     は運んでいます。世界を放射性物質で汚染する犯罪行為に走っているのです。
  ・(西尾)本当にちょっと社会全体のことを考えて自分のポジションを考える思考を皆さんが持つべき
   だと思っています。

p.164 ・(西尾)〔若い頃から今のような日本の恵まれた食生活に浸っていると、さまざまな生活習慣病
     に罹るという予想を承けて〕中年頃から脂肪肝や痛風や糖尿病や高血圧となり、死ぬまで薬でコ
     ントロールする人生となるかもしれません。死ぬまで40-50年間もの長い間、不健康な形で薬で
     管理しながら生きていくことになりかねない。それくらい恵まれた食生活を送り、これが当たり
     前だという感覚自体が、やっぱり歴史的に見たら、異常なのです。

p.164-165 ・(西尾)僕は講演で、「日本は世界一の医療をやっている」とよくいっています。WHOの
      医療の総合ランキングで日本は10年以上前からトップで評価されています。医療費の安さや医
      療のレベルの高さとアクセスの良さなどの総合評価です。国民の多くは、こういうことは当た
      り前だと思っている。それは大間違いです。

p.165 ・(西尾)先進国の妊婦の死亡率は8,000人に1人で、それが自然分娩の妊婦のリスクとされていま
    すが、日本は2万5,000人に1人の妊産婦死亡率で、世界でも最高水準の安全な出産をしている国
    の1つです(日本では高齢出産が多い)。
  ・(西尾)救急医療も世界で最も高いレベルの医療が供給されているのです。こんなことをほとんど自
   覚しないで国民は保険料が高いといっていいます。良い面でも悪い面でも特異な国なのです。

p.166 ・(西尾)歴史的に人類史の中で恵まれた食生活と、健康を害してもアクセスよく病院にかかれる
     体制の国であると思います。
      日本はなんだかんだといっても、国民も教育レベルがそれなりに高い。だから、一番安いお金  
     で世界一の健康指標を得ているわけです。

p.166-167 ・(西尾)タイム誌(2013年3月4日号)に載った「米国ロビー活動」のデータを見ると、アメ
      リカの製薬会社と医療業界が5,300憶円、防衛、ミサイルなどの業界が1,500憶円、製油・ガス
      関連業界が100憶円を使っています。いかに医療というものがTPPのターゲットになってい
      るかが分ります。これからは輸入している薬剤の価格は上がります。着々とアメリカがTPP
      を通じて、とんでもない医療の崩壊を引き起こそうとしています。

        ロビー活動(lobbying):特定の主張を有する個人または団体が政府の政策に影響を及ぼ
             すことを目的として行う私的な政治活動である。議会の議員、政府の構成員、
             公務員などが対象となる。ロビー活動を行う人物はロビイスト (lobbyist) と
             称される。また、政府と民間企業の出入りを繰り返すことを回転ドア (revolv-
             ing door) と呼ぶ(ウィキペディアより)。

p.167 ・(西尾)〔日本がアメリカから、エストロゲン(女性ホルモン)入りの餌を与えられた牛の肉を
    輸入している現状を承けて〕それによって何が起こっているかというと、この40年間でアメリカの
    牛肉消費量は日米ともに5倍になっていますが、この間、ホルモンに関係した癌(前立腺癌、乳癌、
    子宮体癌、卵巣癌)が、アメリカも日本もそのまま5倍になっています。見事にカーブが重なって
    います。

p.168-169 ・(西尾)輸入された安い農産物を食べることは、輸入被害のリスクを覚悟しなければならず、
      経済優先の社会づくりが人々の健康を脅かす世界を作り出しているのです。

p.169 ・(西尾)〔チェルノブイリ周辺では農作物の汚染を測定しているという事実を承けて〕しかし日
    本ではろくに食物の測定はせず、また海洋汚染された魚介類を食し、内部被曝のリスクが高い生活  
    となっているばかりか、農薬漬けの食物を食べるという二重のリスクを背負った社会となっている
    のです。
  ・(西尾)皆さんは、これでよいのでしょうか。日本人は放射性物質と農薬を含んだ食品を食べ、さら
   に遺伝子組み換え食品も多くなっており、世界一危険な物を食べています。そして継続し深刻化する
   海洋汚染により魚介類も危険なものとなってきているのですが、問題意識がなさすぎます。恵まれた
   美味しいものを食していると思いますが、実は世界一体に悪いものを食べているのかもしれません。

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 原発に関しては廃炉を促進し、外国頼りの再処理や高速増殖炉は直ちにやめるのが一番であると主張され
ています。医療に関しては、日本は国際的にトップレベルのかたちで恵まれてはいるが、それを国民が当た
り前だと思っているところに問題がある、と西尾氏は喝破なされておいでです。さらに、「TPPの狙いは
医薬品にあり」というあまり知られていない事柄を披瀝して、警鐘を鳴らしています。もとより小生はズブ
の素人ですが、小出・西尾両氏の主張には強い説得力があると思います。ともあれ、国民不在の国家の方針
など噴飯ものであることが分かります。実質の伴わない原発の安全神話や、国民を蔑ろにしたTPP論議へ
の批判など、かなり舌鋒鋭く切り込んでいます。意気阻喪するような事柄ばかりですが、めげている暇はあ
りません。今わたしたちにできることを地道に続けるほかないでしょう。
 さて、次回は最終回です。「終章 私たちはこれから、放射線とどう向き合うか 後世の子孫への責任」
に言及する予定です。

                                                
 2015年5月7日(木)

 今日から、『被ばく列島 放射線医療と原子炉』(小出裕章/西尾正道 著、角川oneテーマ21、2014年)
の抜書を再開します。「第6章 放射性廃棄物をどう処理するか」に言及します。なお、読みやすくするた
め多少改変しましたが、内容を変更したわけではありませんので、ご了承ください。


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  第6章 放射性廃棄物をどう処理するか

p.138 ・(西尾)原発問題について、発送電分離の問題や総括原価方式と電力料金の問題などは、見識あ
     る話し合いで何とか落としどころが見つかるかもしれませんが、原発の使用済み核燃料や廃棄物  
     の問題は解決策が見つからないので深刻ですね。おまけに原発輸出の条件として使用済み核燃料
     は日本が引き取るという密約を交わして海外に原発を売りつけています。とんでもないことです。

    「発送電分離の問題」(ウィキペディアより。ほぼ原文通り)

    発送電分離:電力会社の発電事業と送電事業を分離することである。

   解説

  発送電分離のメリットとしては新規事業者の参入で競争が生まれ、電気料金値下げにつながること
 とされているが、発送電分離がなされた国や地域で電気料金が下がった事例は存在せず、現実には電
 気料金は値上がりしている。
  デメリットとしては、電力会社が効率を重視しすぎるため投資を抑え、結果的に国全体の発電能力
 の低下や設備の老朽化を招き、電力供給が不安定化することである。
  このため、日本の電力会社や専門家は「電力の安定供給が脅かされる」として発送電分離に反対し
 ている。

   経緯

  欧米では1990年代半ばに発送電分離に基づき電力自由化の法律ができ、送電線が開放されたが、日
 本では発送電分離を行われず電力が自由化された。

   日本

  2013年2月2日、経済産業省は2017年から2019年度に実施する方向で調整に入った。また、自民党は
 2013年3月29日の総務会で、2018年から2020年をめどに、電力会社から送配電部門を切り離す「発送
 電分離」と電気料金の全面自由化を実施する電力改革の政府方針案を了承した。

   議論

  経済学者の円居総一は「発想電の分離・自由化が進めば、発電体系・送配電体系が変わり、電力の
 効率性・供給基盤の強化が促進される」と指摘している。円居は「発電・送配電の分離を中心に電力
 の自由化を進めれば、価格機能が働くようになり、市場メカニズムを通じて原子力発電への依存は加
 速的に低下していく」と指摘している。
  経済学者の八田達夫は「発電事業者間の競争を促すためには、給電指令所は公平にすべての発電事
 業者を扱う必要がある。それによって実力のある新規参入者が公平に参入できるようになる。発電と
 送電とを同じ会社が持っていると、公平に扱うことは難しくなる。したがって、発送電分離が必要と
 なる」と指摘している。
  中野剛志は発送電を分離しても技術的・経済的な問題があることから自然エネルギー等の新エネル
 ギーの普及は進まないとしている。
  経済学者の高橋洋一は「電力の自由化をやれば、エネルギーの最適な組み合わせは達成できる。発
 送電分離などを実行すれば、長期的にコストが高い原発を、電力業者が漸次フェードアウトしていく
 ことが可能である」と指摘している。
  電力改革研究会は、発送電分離がなされたドイツでは、政府による補助金や規制で無理やり電力シ
 ステムを維持しているのが実態であるとしている。

    「総括原価方式と電力料金の問題」(ウィキペディアより。一部改変)

    総括原価方式:供給原価に基づき料金が決められるものであり、安定した供給が求められる公
           共性の高いサービスに適用される。この総括原価方式が適用されているものと
           して、電気料金、ガス料金、水道料金などがある。なお、それぞれの料金は、
           電気事業法第19条、ガス事業法第17条、水道法第14条によって規定されている。
           また、統括原価方式に代わる料金体系として、プライスキャップ方式(価格上
           限方式〈price-cap regulation〉)、ヤードスティック方式(比較基準方式
           〈yardstick regulation〉)などが挙げられる。

   統括原価方式のメリット・デメリット

  消費者庁によるレポート「『原価の範囲・水準の適正性』に関する論点」において、以下のような
 メリット、デメリットが指摘されている。

   メリット

  1.料金算定の根拠が比較的わかりやすい。
  2.事業者が過大な利益・損失を生じることがない。
  3.消費者が過大な料金の負担を負うことがない。
  4.安全性やサービス向上のため長期的な設備投資へのインセンティブが働く。
  5.将来の利益がある程度確約されるので、中長期的な経営計画を立てることができる。
  6.経営が安定することにより、金融機関より低金利での融資を受けることができる。

   デメリット

  1.経営効率化へのインセンティブが働きにくい。
  2.原価に関する情報が事業者に偏在している(情報の非対称性)。
  3.事業者が経済情勢等に応じて柔軟に料金を設定することが困難。
  4.過剰な設備投資が行われる可能性がある。

    「原発の使用済み核燃料や廃棄物の問題」(ウィキペディアより。一部改変)

    放射性廃棄物:放射性物質を含む廃棄物の総称。これらは主に、原子力発電所および核燃料製
           造施設、核兵器関連施設などの、核関連施設または放射性同位体 (RI) を使用
           する実験施設や病院の検査部門から出るガンマ線源の廃棄等で排出される。

  日本において放射性廃棄物の扱いは原子力基本法に規定されている。環境基本法等の環境法令にお
 いて放射性物質は規制目的から除かれており、廃棄物処理法(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)
 に該当する産業廃棄物ではない。最終処分事業は原子力発電環境整備機構 (NUMO) が担っている。

   放射性廃棄物の発生

  原子力発電所から出る放射性廃棄物の場合、原子炉で燃焼した燃料棒(使用済燃料)や、作業員が
 使用した衣服(→放射線防護服)やこれの除染に用いた水など多岐に渡る。使用済燃料は一時保管し
 た後、再処理工場に運ばれる。再処理工場からは、燃料棒の部品(ハル・エンドピース)、また燃料
 棒のペレットに含まれる核分裂反応による生成物(核分裂生成物)や、湿式によるウラン・プルトニ
 ウムの分離抽出の過程で発生した廃液などの放射性廃棄物が発生する。さらに運用終了した原子力発
 電所の解体時には、放射化により放射能を持った原子炉そのものが放射性廃棄物となってしまう。
  軍事分野では、同様の廃棄物として、核兵器製造過程で生じた廃棄物や、耐用年数を過ぎ廃棄処分
 となった核兵器、耐用年数を過ぎ廃艦処分となった原子力潜水艦や原子力空母などがある。
  原子力施設や核兵器関連施設以外にも、原子力の研究施設や大学、医療分野や民間産業分野、農業
 分野などでも放射性物質を使用する場合があるので、放射性廃棄物は発生する。

   使用済み核燃料の処理

   使用済み核燃料の成分

  3%濃縮ウラン燃料 1t が燃える前の組成はウラン238が 970kg、ウラン235が 30kg であるが、燃焼
 後は、ウラン238が 950kg、ウラン235が 10kg、プルトニウム 10kg、生成物 30kg となる。
  ○ 生成物 30kg の内訳は、下記の通り。
   ・白金族2kg、
   ・短半減期核分裂生成物 SLFP 26kg(ストロンチウム (Sr)、セシウム (Cs) など高発熱量は 10kg、
    即ガラス固化できる低発熱量は 16kg)
   ・長半減期核分裂生成物 LLFP(ヨウ素など半減期7000年前後のもの)1.2kg
   ・マイナーアクチノイド (MA) 0.6kg(ウランやプルトニウムに近いアメリシウム (Am) やネプツ
    ニウム(Np) やキュリウム (Cm))

   再処理(詳細は「再処理工場」を参照)

  核燃料は、燃焼するとともに核分裂性のウラン235やプルトニウムが減少して中性子発生数と発熱
 量が低下し、中性子を吸収してしまう核毒となる核分裂生成物 (FP) が増加して、核分裂の燃えやす
 さ(余剰反応度)が低下する。
  再処理では、使用済核燃料から核分裂性のウラン235やプルトニウム、マイナーアクチノイド (MA)
 を抽出し、非核分裂性ウラン238に3-5%程度混ぜ、中性子を吸収する核毒のない新しい燃料を製造す
 る。非核分裂性ウラン238は反応を穏やかにしてコストを下げ、中性子の作用で新たな燃料を発生さ
 せるために用いられる。燃えないウラン238が炉内中性子照射で燃えるウラン235やプルトニウムに変
 わり核燃料として利用できるようになる。核毒部分は高レベル放射性廃棄物 (HLW) として排出され
 る。

   ワンススルー

  使用済み燃料を再処理しないでそのまま/ガラス固化し、地中のコンクリート構造物で保管する方
 法をワンススルーと呼ぶ。 再処理コストがかからないので 0.7円弱/kwh コストが安い。米国はコス
 ト追求と、他国に再処理をやめるように勧告するためにワンススルー政策をとる。この方法で処分さ
 れる放射性廃棄物は放射能の低いウラン238が大部分を占めるために、再処理で濃縮された高レベル
 廃棄物よりは初期の質量あたりの放射能は小さい。ただし半減期数万年の MA やウランやプルトニウ
 ムが混じっているので半減期は長い。

   再処理+地層処分

  再処理してウラン235とウラン238とプルトニウムを取ったあとの高レベル放射性廃棄物をガラス固
 化して地上管理施設で冷却・保管し(30年-50年)、その後地層処分して数万年以上に渡り隔離・保
 管する方法で、日本はこの方針である。1t の使用済み核燃料から、高レベル放射性廃棄物は最終的
 に (30-50)kg+α まで減らせるが、大量の低レベル放射性廃棄物が出てしまう。また、高レベル放
 射性廃棄物はガラス固化するものの、半減期数万年の MA と高発熱量 FP が混入しているため、冷却
 しながら30年、その後数万年の保管が必要になる。

   再処理+群分離+核種変換(消滅処理)

  再処理で出てきた高レベル放射性廃棄物 (HLW) を更に群分離して、超長半減期の MA(アメリシウ
 ムなど)と長半減期核分裂生成物 LLFP(ヨウ素など)を、高速炉や加速器駆動未臨界炉で中性子照
 射して核分裂させ、すべて短半減期の同位体に核種変換(消滅処理)する。さらに群分離により、高
 発熱量核分裂生成物(ストロンチウム・セシウム)を分離して熱利用・放射線利用に振り向け、有用
 高価な白金族やレアメタルを回収する。残った残渣の「低発熱・短半減期核分裂生成物」だけをガラ
 ス固化して 100-500年保管し、天然ウラン並みに放射線が低下した時点で再利用または廃棄する。
  工程は複雑になるが、数万年も監視する必要はなくなり、100-500年の監視で天然ウラン並みに放
 射線が低下して廃棄/資源利用が可能になる。FP から熱を蒸気発生用に回収でき、低温になったガラ
 ス固化体は稠密に保管でき貯蔵スペースを大幅に節減できるとして日本でオメガ計画として技術開発
 が進められている。

   放射性廃棄物の分類

  放射性廃棄物は、放射能濃度により、高レベル放射性廃棄物と低レベル放射性廃棄物に分類するこ
 とができる。また、発生別により、再処理工場から発生する使用済燃料の被覆管の切断片、ヨウ素を
 閉じ込めるための廃銀吸着剤、二次廃棄物(MOX燃料施設から発生するものも含む)等の内、超ウラ
 ン元素 (TRans-Uranium) を含む廃棄物はTRU廃棄物と呼ばれる。ウラン燃料を加工する施設から発生
 するウランで汚染された廃棄物は特にウラン廃棄物と呼ばれる。
  放射性廃棄物を含め、放射性物質はある程度の時間(半減期)が経過すると放射能が弱くなり、や
 がては大部分が安定した物質に変化する性質を持つ。半減期と単位時間当たりの放射線量は反比例し、
 半減期の長い物質は単位時間当たりの放射線量は少ない。半減期は放射性核種により異なる。
  過去には、放射性廃棄物の処分に関しては深地層注入や海洋投棄も実施され、宇宙空間に投棄する
 方法(宇宙処分)や氷床中への埋設なども検討されたが、21世紀初頭においては地中埋設処分が各国
 で採用されている。詳細は次節の「放射性廃棄物の処分方法」を参照。

   高レベル放射性廃棄物

  一般的には、高レベル放射性廃棄物は使用済み燃料であり、日本では使用済み核燃料を再処理した
 際の廃液およびそれを固化したガラス固化体のことを指す。核分裂生成物 (FP) と超ウラン核種
  (TRU/MA) が主なもので、前者は強い放射線を放ち、後者は長期間放射線を放出する。
  これらの廃棄物は、半減期の長い長寿命核種(特に、マイナーアクチニド (MA) のネプツニウム、
 アメリシウム、キュリウムには、半減期が数万年に及ぶものもある)が含まれており、時間経過によ
 る減衰は考慮できないため、短寿命で放射線量の多い放射性物質の減衰を目的として、一定期間の管
 理を行ったうえで、人間界から隔絶するために地下深くに埋設して処分する地層処分が、主に関係す
 る諸国で検討されている。
  ドイツでは既に地下の岩塩層や廃鉱跡地に埋設処理することで具体的な対策を検討中である。 フ
 ィンランド、エウラヨキのオルキルオト島(フィンランド語版)のOnkalo廃棄物貯蔵施設が2020年か
 ら100年間稼働予定で建設中である。原子力発電施設を持つ各国では建設地の設定が急がれている。
  また、核分裂生成物の30年減衰保管管理はコストがかかり、半減期の長い長寿命核種を数億年も管
 理はできないので、高速増殖炉/加速器駆動未臨界炉で中性子を当てて核分裂させ半減期の短い物質
 に変えて燃やしてしまう処理方法も研究されている。
  特に加速器駆動未臨界炉の場合、例えば80万kwの加速器駆動未臨界炉ではMAを60%以上含む燃料を
 装荷して、軽水炉10基分のMAを纏めて焼いて短半減期に変えてしまう事ができるため、有望視されて
 研究が急速に進んでいる。これを核種変換(消滅処理)という。
  以上の如く放射性廃棄物の最終的な処分対策・技術は必ずしも確立しているとは言えない状況であ
 り、これは時として「トイレ無きマンション」などと表現される。だがこれに対しては、技術蓄積の
 無い計画初期の段階で最終処分技術まで確立すると言った事は非現実的であり、運用で技術を蓄積し
 た末に最終処分技術が確立するのがむしろ当然であるとの反論もある。
  日本学術会議は2014年9月、政府に対し、空冷式の容器に納めて、地上か浅い地下で暫定保管すべ
 きとの報告書を公表した。

   低レベル放射性廃棄物

  低レベル放射性廃棄物は、高レベル放射性廃棄物に比べ比較的低い放射能を持つ廃棄物である。放
 射線管理区域などで中性子を吸収して放射性物質になったものや、放射性物質が付着したもの、炉心
 付近の資材などがこれに当たる。低レベル放射性廃棄物のうち、人体に影響を与えるレベルのものは、
 浅地中処分、コンクリートピット処分、余裕深度処分等の濃度に応じた埋設処分が行われ、一定期間
 地中に閉じこめておくことで、生活圏への影響をなくすこととしている。

   TRU廃棄物(「TRU廃棄物」も参照)

  超ウラン元素を含むTRU廃棄物は、前述の高レベル放射性廃棄物と異なり、化学形態、放射能濃度
 も様々である。これらについては、現在、原子炉等規制法及びその施行令により、核種毎の放射能
 濃度により、第1種放射性廃棄物(炭素14が10PBq/t以上、塩素36が10TBq/t以上、テクネチウム99が
 100TBq/t以上、ヨウ素129が1TBq/t以上、α線放出核種が100GBq/t以上のうちのいずれかの条件を満
 たすもの)、第2種放射性廃棄物(炭素14が87TBq/t以上、塩素36が96GBq/t以上、Tc99が1.1TBq/t以
 上、ヨウ素129が6.7GBq/t以上、α線放出核種が8.3GBq/t以上のうちのいずれかの条件を満たすもの)、
 それ以外に分類され、分類に応じた処分がなされることとされている。
  TRU廃棄物は超長寿命核種 (MA) を大量に含むため上述のように加速器駆動未臨界炉で焼いて、短
 半減期にして、ストロンチウムなど高発熱核分裂生成物を分離して、低発熱・短半減期のものを保管
 して、天然ウラン以下の放射線になったところで廃棄する方策が検討されている。

   放射性廃棄物のクリアランスレベル

  放射性のある廃棄物のなかで放射能がクリアランスレベル(しきい値)以下のものは、法定上は放
 射性廃棄物とはみなされず産業廃棄物として処理される。
  原子力安全委員会は1997年からクリアランスレベルの検討を始め、2009年に放射性廃棄物の放射能
 のクリアランスレベルを1Bq/gm (1,000Bq/Kg) と決定した。 これは放射性廃棄物の再利用や非遮蔽
 廃棄による公衆への影響が、上限0.01 mSv (10 μSv)/年、もしくは低確率の被曝の場合は1 mSv/年、
 皮膚の外部被曝のみの場合は50 mSv/年を基準として放射能を算出したものである。
  ウラン取扱施設のおけるクリアランスレベル以下の廃棄物は、平成62年度末(2051年3月末)には
 約10万トン、その内7.9万トンは金属と想定されている(福島原発事故による廃棄物は含まれていな
 い)。これらの金属の発生源はウラン濃縮工程の遠心分離機や燃料加工施設の焙焼・還元装置、成形
 加工装置、焼結装置、研削機械などである。金属の再利用の際の溶融では、放射性核種の内超ウラン
 元素は99.4-99.8%がスラグへ濃縮されると報告されている。例外はMn54、Fe55、Co60、Ni63、Zn65、
 Nb94等でこれらの同位元素は大半がインゴットに残留する。

   放射性廃棄物の量

  原子力発電の核燃料サイクルにおいては、様々な放射性廃棄物が各工程で発生する。その内比較的
 低レベルの放射性廃棄物の一部は処分に付されているが、大半は最終処分待ちの状態で各原発、核燃
 料施設、研究施設などで保管されている。以下は2007年時点での日本における放射性廃棄物の在庫で
 ある。

  なお、以下の数値に関しては誤報が頻発している状況なので、随時確認・更新が必要である。

  資源エネルギー庁による集計値 平成19年度 (2007)

  L1 使用済み核燃料 14,870トン

  L2 放射性廃棄物の貯蔵量

  L2.1 高レベル放射性廃棄物 ガラス固化体(120リットル容器)1,614本(原研247,原燃1,367)、
    高レベル液体廃棄物404m3

  L2.2 発電所廃棄物

  L2.2.1 均質固化体、充填固化体、雑個体 625,169本(200リットルドラム缶換算)
  L2.2.2 蒸気発生器 29基
  L2.2.3 制御棒、チャンネルボックス等

    制御棒 91m3(東海発電所)、8,987本(その他の原発)
    チャンネルボックス等 62,183本
    その他 1,665m3
    樹脂など 17,370m3

  L2.3 長半減期低発熱放射性廃棄物

  103,933本(200リットルドラム缶換算)、濃縮廃液、スラッジ、廃溶媒など3,908m3

  L2.4 ウラン廃棄物

  44,139本(200リットルドラム缶換算)、低レベル液体廃棄物21.29m3

  L2.5 研究施設等での廃棄物

  固体廃棄物 332,033本(200リットルドラム缶換算)
  液体廃棄物 62.33m3

  L2.5.2 廃棄業者が保管している廃棄物

  固体・液体廃棄物 119,011本(200リットルドラム缶換算)

   放射性廃棄物の処分方法

  放射性廃棄物の処分については様々な方法が検討された。海洋投棄(かつて各国で実施されたが19
 93年に全面禁止)、地上施設による長期保管(未実施、ただし一時的な中間貯蔵施設は除く)、氷床
 処分(禁止)、宇宙処分(大気圏外にロケットで打ち上げ太陽系の引力圏外に放出する、もしくは太
 陽の重力に引き寄せさせる方法。かつて米が検討したがコストと不確実性から不採用)、地中直接注
 入(米、ソが実施)などが検討され、このうち海洋投棄と地中直接注入処分は実施された。

   地中直接注入

  地中直接注入 (Direct injection) とは、液体もしくは粉体を混ぜた流体の放射性廃棄物を、処分
 に適した地中に高圧で注入する処分方法である。1957年にソ連が調査を開始し、深度400mと1,400m
 砂岩層、石灰岩層へ40年に渡り数千万立方メートルの低レベルから高レベル放射性廃棄物を注入処分
 した。アメリカでも、1970年代に10年間に渡りテネシー州のオークリッジ国立研究所の地下300mに
 7,500立方メートルの低レベル放射性廃棄物が注入処分したが、環境汚染への懸念から中止した。高
 レベル放射性廃棄物の処分も検討されたが、これも汚染への懸念から計画は断念された。

   放射性廃棄物の海洋投棄(詳細は「海洋投入#放射性廃棄物の海洋投棄」を参照)

  核開発の初期においては各国で廃炉になった原子炉、使用済み核燃料等の高レベル放射性廃棄物を
 含めた固体・液体の放射性廃棄物が海洋投棄された。海洋投棄は1946年のアメリカによる北東太平洋
 への投棄に始まり、1975年には高レベル放射性廃棄物の海洋投棄が禁止され、1993年に全面禁止とな
 る迄に日本(1955-69年の間に実施)を含む13ヶ国による海洋投棄が報告されている。海洋投棄は太
 平洋北東部、大西洋北西部と北東部、北極海、太平洋北西部で行われ、それらの放射能の総量は8.5x
 1,016ベクレル (Bq) と推定されている。

    参考までに福島原発事故による放射能の海水への放出量は東電推定で0.47x1,016Bq、
   原子力安全委員会・京大推定で1.5x1,016Bq、フランスの原子力安全委員会推定で2.7x
   1,016Bqとなっている。ただし海洋投棄の場合は一応投棄地点や投棄手段(コンテナ、
   固化等)などを調査・検討の上での投棄であるので原発事故による海洋への漏出によ
   る影響とは比較は出来ない。

  海洋投棄については環境汚染の懸念からロンドン条約が締結され各国が批准している。同条約は75
 年の改定で高レベル放射性廃棄物の海洋投棄禁止、1993年には全て放射性廃棄物の海洋投棄が禁止と
 なった。
  1993年には、ロシアによる日本海への放射性廃棄物投棄が明らかになり、国際世論の批判を招いた。
  なお、バーゼル条約により、締結国は有害な廃棄物の輸出・入は厳しく制限され、政府開発援助と
 抱き合わせで発展途上国に引き取らせるなどの方法は禁止されている。環境上適正な処分について可
 能な限り国内の処分施設の確保が求められている。

   放射性廃棄物の最終処分方法

  放射性廃棄物の最終処分に関しては「高レベル放射性廃棄物」は深地層への「地層処分」が計画
 されている。「低レベル放射性廃棄物」ではそれらの物性により三段階の「浅地中処分」およびTRU
 廃棄物などは「地層処分」される。
  「地層処分」と「浅地中処分(トレンチ処分を除く)」はいずれも遮断型処分ではあるが、人工構
 造物(人工バリア)による完全な放射能の遮断を管理期間中継続させることは困難である。放射能の
 漏洩による影響を最小限にするために場所(地質・地層、水脈など)および地中深度などが考慮され
 処分基準となっている。「浅地中トレンチ処分」は遮断手順を伴わない処分であるが、処分場の管理
 は埋め立て後50年間継続される。
  また原子力発電所などで発生する廃棄物の内、放射能がクリアランスレベル以下の物は放射性廃棄
 物とはみなされず、一般の産業廃棄物として再利用・処分される。
  日本においては使用済み核燃料は再処理の方針により廃棄物には分類されないが、再処理の方針を
 とらない国では高レベル放射性廃棄物に区分される。
  「低レベル放射性廃棄物」の「浅地中処分」には「余裕深度処分」「浅地中ピット処分」「浅地中
 トレンチ処分」の三段階の処分方法がある。
  一部のTRU廃棄物を除く低レベル放射性廃棄物はそれらの放射能レベルに応じて三段階の「浅地中
 処分」される。

   余裕深度処分

  低レベル放射性廃棄物の内、放射能レベルの高いものは21世紀初頭において一般に地下利用の無い
 地下50-100メートルに作られる人工構造物(トンネル型またはサイロ型施設)に搬入され埋設される。
 処分対象は制御棒、炉内構造物、放射化金属および燃料加工や再処理施設におけるプロセス廃棄物等
 である。管理期間は数百年。処分・管理方法等については調査中である。日本原燃の六ヶ所低レベル
 放射性廃棄物埋設センターにて次の三号施設として調査中。

   浅地中ピット処分

  放射能レベルが比較的低い廃棄物は地下約10メートルのコンクリート製の収納施設に搬入後、施設
 ごと覆土され埋設される。埋設後の管理期間は約300年と規定されている。六ヶ所低レベル放射性廃
 棄物埋設センターで一号・二号施設が1992年より稼働中。

   浅地中トレンチ処分

  放射能レベルが極めて低い廃棄物は地下数メートルにそのまま(人工建設物は無し)埋め立て処分    
 される。いわゆる単純な埋め立てである。50年ほどの管理後、土地は再利用される。日本原子力研究
 開発機構・東海研究開発センター原子力科学研究所・廃棄物埋設施設で1995年より実施。

放射能レベルが極めて低い廃棄物の内で有害な化学物質を含むものは、有害物質の管理処分基準に
 沿った処分施設で処理される(「最終処分場#処分場の区分と構造」も参照)。

   放射性廃棄物の区分と処分方法(表 ── 割愛)

   日本での地層処分研究

  日本では、地震や火山噴火等に耐える強固な施設でなくてはならず、地下水にも汚染がないよう地
 下300mの箇所に多重バリアを引いて処理する手法が提示されているが、場所の選定からして大変であ
 り、候補地の目途すら立たない状況にある(地層処分#施設検討・応募状況も参照)。
  岐阜県瑞浪市のJAEA瑞浪超深地層研究所では2007年11月現在、将来の高レベル放射性廃棄物の処分
 地を決める上で必要となる技術を研究するために、地下深く縦穴(立坑)を掘っている。2本の1,000
 mの穴を掘り、100m毎に地下水の動きや地震の影響を記録する装置を設置する予定である。北海道幌
 延町でもJAEAにより同様の施設の建設が進んでいる。
  地層処分施設およびその周辺の管理期間に関して原子力委員会は1998年(平成10年)の報告の中で、
 広大な国土(人口密度は北海道の1/20)にウラン鉱脈を持つカナダではガラス固化体は「一万年後に
 はウラン鉱と同レベルの放射能になる」、「地中のウラン鉱脈が地表に影響を与えていない」等から、
 当時は一万年を管理期間としていたことから日本もそれに習い一万年を管理期間とするよう勧告して
 いた。
  アメリカ合衆国でもネバダ州(人口密度は北海道の1/7)のユッカマウンテンに計画されていた地
 層処分施設の管理期間を当初一万年としていたが、2009年には管理期間を百万年に変更した。ヨーロ
 ッパ各国では地層処分施設の管理期間を十万年としている。
  ガラス固化体一本(直径約40cm、高さ約130cm)の放射能は約4x1,015ベクレルで、1万年後に1/2,000
 の約2x1,012ベクレル、10万年後に1/6,000の約7x1,011ベクレル、100万年後に1万分の1の約3.5x1,011
 ベクレル(注意:記述の放射能の減衰の数値は原典のグラフを目測したもので正確な数値ではない)。
  高レベル放射性廃棄物は1996年3月時点でガラス固化体に換算して1万2千本相当が溜まっており、20
 30年には7万本相当になると試算されており地層処分施設では5.6-7km2の用地を必要と見積もられてい
 る。
  2009年時点ではガラス固化体1,692本と処理待ちの380立方メートルの高レベル放射性廃液の在庫が
 あった。
  ガラス固化後の高レベル放射性廃棄物がウラン鉱石と同じ放射能レベルになるには長期間かかる。
 長寿命核種の分離変換(群分離・消滅処理)をすればこれが数百年以下に短縮されるが、地層処分の
 必要性を変えるものではないと考えられている。

   核分裂生成物 (FP) 廃棄物の再利用

  現在、放射性廃棄物からはコバルト60 (60Co)、セシウム137 (137Cs) が医療用ベータ線源及びガ
 ンマ線照射用として、テクネチウム99m (99mTc)、ヨウ素131 (131I) がシンチグラフィ及び放射線医
 療用に単離され用いられている。またストロンチウム90とセシウム137が高レベル廃棄物の発熱の大
 きな原因になっているので、これらを分離して熱源/放射線発生源として利用し、発熱の少ない核分
 裂生成物だけガラス固化して保管場所を節約する案も検討もされているほか、触媒用の白金族やジス
 プロシウムなどの高価な希少金属の回収も検討もされている。放射性廃棄物の再利用はメリットもあ
 るが、後述の通り軍事転用の問題があり、また環境汚染リスクもある。また放射性廃棄物の再利用に
 は限界があり、すべて利用できるわけではない。

   放射性廃棄物の問題

  放射性廃棄物の問題は、扱っている対象が放射能を持つ放射性物質であるという事実である。
  放射性物質の中には、半減期が極めて長いものも存在する。放射性物質の量は半減期を経過すると
 元の半分になるが、残った放射性物質がさらに半分(つまり元の1/4)になるのにも、同じだけの期
 間が掛かる。たとえば、半減期が約12年であるトリチウムの場合、24年後に崩壊が終わり消失するわ
 けではない。12年後に元の量の50%、24年後に25%、36年後に12.5%……と量が減り限りなくゼロに近
 づくのみで、同時にトリチウムが崩壊してできる安定同位体、ヘリウム3が生成されていく。ウラン
 等の原子番号の大きい物質は、崩壊後の物質も放射性物質(娘核種)になるため、含まれる全ての放
 射性元素が崩壊を終え、鉛などの安定同位体に落ち着くまでは、非常に長い期間を要するものもある。

   軍事利用

   劣化ウラン弾(劣化ウラン弾も参照)

  劣化ウランはウラン鉱石を精製した後の純粋ウランから、ウラン濃縮を行い核燃料としての低濃縮
 ウラン燃料が得た後に残る残渣の廃棄物であり、原子力発電所から発生する廃棄物とは発生経路が異
 なる。成分はいくつかの放射性同位体が混ざった純粋ウランである。もともと天然ウランであるので
 半減期が数億年-数十億年と長く、そのため放射能は弱い。
  劣化ウランは、入手可能で安全に扱える物質の内では比重が最も大きいので、空中を飛翔した後に
 目標物を貫通するタイプの銃砲弾の材料に適している。この高性能銃砲弾を劣化ウラン弾という。ア
 メリカ合衆国、イギリス、フランス、ロシア、中国、カナダ、スウェーデン、ギリシャ、トルコ、イ
 スラエル、サウジアラビア、ヨルダン、バーレーン、エジプト、クウェート、パキスタン、タイ、台
 湾、韓国、などが劣化ウラン弾を兵器として保有している。
  劣化ウラン弾の金属ウランは、目標命中時の変形エネルギーで微粉末化され、空中で直ちに酸素と
 結合して激しく燃焼して周囲に拡散するため、被害者が戦闘員だけに限定されず、付近に人や動物が
 居れば呼吸器から容易に吸い込まれる。わずかであるが残留している放射性同位体(234Uなど)によ
 る内部被曝を起こしているとして、国際的な社会問題になっている。重金属としての化学毒性もある。
  劣化ウラン弾が生まれる以前の高性能な銃砲弾はタングステン弾が一般的であり、現在でも、欧州
 (イギリス・フランス・ロシア・スウェーデン・ギリシャを除く)や日本ではタングステン弾を使用
 している。米英露中が劣化ウラン弾を製造し使用するのは、単純に性能が高いためであると軍事専門
 家は述べている。また、タングステンは資源が極端に中国に偏在しているという問題もある。 銃砲
 弾だけでなく戦車などの装甲車両の装甲板の内部に劣化ウランを内蔵させて、防御性能を高める場合
 もあり、追加装甲などに用いられている。

   プルトニウムによる核兵器製造

  「民生原子力発電の使用済み核燃料から核兵器を作る」という誤解に基づく話は、一般に広く流布
 しているが、商用軽水炉の使用済み核燃料は燃焼度が高く核兵器を作るためには特別な処理を必要と
 する。この方法は原理的には可能であるが、きわめて高価で時間がかかるため、核兵器の製造方法と
 してはまったく現実的ではない。他方、黒鉛炉で短期間使用した核燃料からは比較的容易に核兵器を
 作れる。プルトニウムにはさまざまな同位体(質量数 238、239、240、241、242、244)があり、こ
 のうち使用済み核燃料では 239Puと240Pu が主体で 241Pu と 242Pu も少し生まれる。241Pu と 242
 Pu はともに核兵器の爆発には影響しない。241Pu は半減期14.4年で 241Am へ崩壊するため比較的早
 期に減少し、Am が発熱するのであまり多く含むと完成した核兵器に放熱が必要になってしまう。242
 Pu は体積をとるだけである。核兵器を製造するために必要なプルトニウムの同位体は 239Pu であり、
 240Pu は核分裂を起こさずに中性子を吸収してα崩壊等をおこすため「汚染物質」とまでいわれる。
 核兵器製造時には 240Pu は少なければ少ないほうが良い。軽水炉の使用済み核燃料に含まれるプル
 トニウムには 240Pu が全プルトニウム中の20%から40%も含まれる。すなわち、軽水炉の核燃料を効
 率よく燃やすので、兵器の原料となる残りかすが少ない。その逆に黒鉛炉はプルトニウムをうまくも
 やせないので、兵器に利用できる残りかすがある。
  核施設を空爆される恐れがない場合においては、ウランの濃縮作業に大量の電力を消費するより、
 239Pu を生産するための兵器級プルトニウム生産炉(黒鉛炉)を構築し発電しながら核兵器を作った
 ほうが、安価に大量の核兵器を生産できる。しかしながら、発電しながらでは高品質のプルトニウム
 の生産効率が今ひとつ悪いため、戦略核兵器用に短時間で大量の核弾頭を生産するには不利である。
 そのため、発電を放棄し兵器級プルトニウム生産に特化した黒鉛炉(パイルと呼ばれる)が使用され
 る。ウラン原爆は経年劣化がなく取り扱いやすい優秀な兵器が作れる半面、ウラン濃縮に大変な電力
 と時間が必要されるため、核兵器を大量に作るには不適切である、というより非実用的である。その
 ため、5大国の核兵器は実験用を除くほとんどすべてがプルトニウム爆弾であり、北朝鮮も黒鉛炉で
 兵器級プルトニウムを生産している。しかし、一般の民生発電用の沸騰水型原子炉や加圧水型原子炉
 の使用済み核燃料を再処理工場で処理して取れるプルトニウムは(特別に燃料棒を早く抜き出さない
 限り)240Pu 含有量が高すぎる。そのため、濃縮技術で 239Pu 含有量を高め、240Pu 含有量を9%以
 下にするなどの特別な処理をしない限りは核爆弾を作っても不完全核爆発を起こす。そのため、爆弾
 はサイズだけは巨大化するが爆発力はせいぜい1キロトン止まりなので、兵器としては現実的でない。
 一般的な兵器用プルトニウムの生産では、パイルとよばれる専用の黒鉛炉で新しいウラン燃料を使っ
 て短期間(おそらく数か月など)燃焼させた核燃料を取り出して利用する。必要なプルトニウム 239
 Pu がある程度できており、反面、不要なプルトニウム 240Pu が非常に少ない。このためIAEAは商用
 原子炉の核燃料交換作業に非常に注意を払っている。
  高速増殖炉からは、炉心の周囲のブランケット部分で、240Pu が非常に少なく、239Pu が97%以上
 の兵器級プルトニウムを生産できる。

   汚い爆弾

  テロリズムの手段として、放射性廃棄物の撒布(汚い爆弾)が考えられており、放射性廃棄物の管
 理を厳重に行なわれなければならない理由のひとつとされる。IAEAにより国際規制物資として監視下
 にある。

   不法投棄

  イタリアではマフィア型犯罪組織による核廃棄物の不法投棄が問題視されてきた。 1980年代から
 確認されてきた問題で、その主犯はカラブリア地方を本拠地とするンドランゲタであるものと目され、
 イタリア国内を始めヨーロッパ中から持ち込んだ放射性廃棄物を、船に満載したうえで船ごと沈める
 という方法でカラブリア地方の周辺海域(地中海等)を主とするイタリア国内の海中や、インド洋の
 ソマリア沖に投棄してきたものと見られている。 2004年に発生したスマトラ島沖地震はソマリアの
 海域に津波を発生させたが、この際ソマリアの浜に大量の核廃棄物やその他の毒性の高い化学物質を
 含む廃棄物やコンテナの破片が打ち上げられるという事態が起こった。不法投棄されたものであると
 して国連環境計画がそれらについての報告書を作成している。

  ・(小出)放射線のエネルギーは、トリチウムという低いエネルギーのβ線しか出さない放射線物質で  
   すら5.7キロエレクトロンボルトもあります。人体の分子結合の1,000倍以上のエネルギーを持ってい
   ます。セシウム137だったら、662キロエレクトロンボルトという猛烈なエネルギーです。そんな
   ものが体に飛び込んでくれば、生命体を形作っている分子結合がぼろぼろにやられていくことは、分
   かっているわけです。

p.139 ・(小出)原発は単に湯沸かし器装置ですけれど、他に湯を沸かす代替手段はあるわけです。また、
     湯沸かしでなくても発電できる技術だってあります。太陽光もそうだし、山ほどあるわけですか
     ら、今やっているニュークリアエナジーという形の利用はいっさい止めるべきだと思っています。

    ニュークリアエナジー(コトバンクより):
      ニュークリア(nuclear)とは、核エネルギー。原子力。核兵器。また、多く複合語の形
     で用い、原子力の、核兵器の、などの意を表す。

p.140 ・(小出)作ってしまった核分裂生成物、放射性物質を、寿命の短い放射性物質に変えて、管理の
     しやすいようにしようという研究はあります。70年やってきたけれども、それがうまくできない  
     というのが現状で、70年できなかったことを乗り越えることは、多分できない。(中略)
      そうなると、消せないのであれば、隔離するしかないといっているわけだけれども、では何年
     間隔離を続ければいいのかというと、10万年、100万年というのです。そんなもの話にならない
     し、やっぱるウランを核分裂させるというその行為自体を止めたほうがいいんじゃないかと、私  
     は思います。

p.140-141 ・(西尾)実は医療にも、原発と同じく、放射性廃棄物の問題はあります。街中のあっちこっ
       ちの病院にあるベビーサイクトロンです。それを何年か使って、廃棄することになった時に、 
       汚染された40トンの鉄クズはどこも引き取る目途はありません。

p.141 ・(小出)〔中世に隆盛した錬金術の話を承けて〕金は金だし銀は銀だ、どんなことをやっても元素
     を別のものに変えることはできないというのが錬金術の結論で、錬金術は敗退したわけですけれ  
     ども、本当は錬金術はできた。
      なぜかといえば、ウランという元素をもってきて、それを核分裂させれば、セシウムという元
     素ができる、ストロンチウムという元素ができる、ヨウ素もできる、量の多寡を問わなければ、
     金だって銀だって白金だってできていて、錬金術はできることがすでに分かっているわけです。
     それであるなら、作ってしまったセシウム137、あるいはストロンチウム90に錬金術を施し
     て、別のものに変えてしまえばいいじゃないかということは容易に分かります。

p.142 ・(小出)〔核分裂生成物の無毒化が実現していないことを承けて〕そのできない理由があって、
    1つは錬金術を施そうとすると、つまり元素を変換しようとすると、猛烈なエネルギーがかかるか
    らです。もともと原子力はエネルギーが欲しくて、原子力発電をやっているわけです。原子力発電
    でようやく得たエネルギーをすべて投入しても錬金術をを使うのに足りないとすれば、もともと原
    子力発電を行うことの意味がなくなってしまう。

p.143 ・(小出)〔セシウムには、天然のセシウム133、134、137が存在することを承けて〕セ
    シウム134に中性子が当たってしまうと、今度はセシウム135という原子核が生れるのですが、 
    そのセシウム135の半減期は200万年です。ですから、一方ではセシウム137を短い半減期のも
    のに変えられるわけですけれども、もともと半減期2年だったセシウム134が200万年のものにも
    変わってしまいます。余計厄介なものを作ってしまう反応が同時に進んでしまう。そうなると、駄
    目だということになりました。

p.144 ・(小出)科学ですから、いつの時代でも飛躍をすることはあったので今後も何かのブレークスルー
     があって、うまい方法を思いつくことはあるかもしれませんが、これまで70年やろうとしてきた
     方法では多分できない。

  ・(西尾)物理学者の武谷三男は、「線量限界は基本的に科学的概念ではなく、社会的な概念である」
   といっています。

p.145 ・(西尾)放射性医薬品をよく使っている私は、それを本当に作って欲しいけど、日本の原子炉で
     はいっさい製造していない。別の代替手段があるにもかかわらず原子炉を発電のためにだけ動か
     しています。放射性診断薬や治療に用いる医薬品などは原子炉利用以外に製造できないのですか
     ら、真剣に日本で取り組むべきです。原子炉1基の利用でよいのです。海外からの放射性物質の
     輸送は極めて高額になるため、国内で製造すれば価格もものすごく低減します。
      放射線の難しさは、その健康被害がすぐには出てこないことにあります。確定的影響はすぐ出
     るけれど、そういうことは、事故でもない限り起りえない。ふつうは確率的影響になります。そ
     れも晩発性です。それがすごく難しいところです。

p.146 ・(西尾)放射線で1万分の1でも10万分の1でも傷ついたことで、それがどんどん傷ついた者同
     士が掛け合わされますから、幾代に遺伝子の傷は引き継がれ、より深刻な事態となることを想定  
     しておくべきです。

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 この章の眼目は、「できることはできるけれども、できないことはできない」ことをはっきりさせること
でした。だとすれば、わたしたち人類にできることをコツコツやるしかないでしょう。「できないことをで
きる」と思い込んで、「できもしないこと」に手を出せば、結果は火を見るよりも明らかです。3・11は
そのことを黙示しています。人類はただの有限な生物にすぎません。わたしたちの身の丈に合ったことをや
るしかないのです。次回は、「第7章 日本は世界の流れから取り残されていないか」に言及する予定です。

                                                 
 2015年5月1日(金)

 月が替わりました。今年もすでに三分の一が過ぎ去ったというわけです。自転車操業は相変わらずですが、
一応新学期を順調に迎えたと思います。今後も、これを続けていきたいものです。
 さて、「日日是労働スペシャル XLVII (東日本大震災をめぐって)」、別名「驢鳴犬吠1505」を開
始します。もっとも、今日は相当に疲れていますので、次回からということにして、ただのご挨拶に留めて
おきます。

                                                 
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