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日日是労働セレクト109
 以下に、「日日是労働」のダイジェスト版・第109弾を掲げます。直ぐ下の記事がこの「日日是労働セレク
ト109」の中では最も新しい日付のものです。つまり、読み進めるほど、古い記事になります。ただし、いち
いち明示しませんが、後日に行った加筆訂正を含んだ日があります。日誌ですから、少なくとも後日に加筆
することはご法度であるはずですが、「某月某日」ということもあり、記事内容の充実を優先させました。
ご了承ください。また、頑張って「辛口」の批評を展開しようと務めておりますので、本文に何かと読者の
お気に召さない表現等が散見されるやもしれませんが、特定の個人、団体等を誹謗中傷する目的は一切あり
ませんので、どうぞご理解ください。なお、ご感想は、muto@kochi-u.ac.jp までお寄せ下さい。


 某月某日

 DVDで邦画の『もらとりあむタマ子』(監督:山下敦弘、「もらとりあむタマ子」製作委員会〔エムオン・
エンタテインメント=キングレコード〕、2013年)を観た。山下監督らしい飄々とした味わいの映画である。
もっとも、「だからどうした」という突っ込みを入れられそうだが……。小生が鑑賞済みの彼の映画を挙げ
てみよう。

  『どんてん生活』、監督:山下敦弘、真夜中の子供シアター、1999年。
  『リアリズムの宿』、監督:山下敦弘、ビターズ・エンド=バップ、2003年。
  『くりいむレモン』、監督:山下敦弘、「くりいむレモン」製作委員会、2004年。
  『リンダ リンダ リンダ』、監督:山下敦弘、「リンダ リンダ リンダ」パートナーズ〔COVERS&CO.=
   バップ=ビターズ・エンド=ケイブ〕、2005年。
  『ユメ十夜』、監督:実相寺昭雄/市川崑/清水崇/清水厚/豊島圭介/松尾スズキ/天野善孝・河原
   真明/山下敦弘/西川美和/山口雄大、「ユメ十夜」制作委員会〔日活=IMAGICA=I&S BBDO=ダイコ
   ク電機〕、2006年。
  『松ヶ根乱射事件』、監督:山下敦弘、シグロ=ビターズ・エンド=バップ、2006年。
  『マイ・バック・ページ(My Back Page)』、監督:山下敦弘、「マイ・バック・ページ」製作委員会  
   〔WOWOW=バンダイビジュアル=アスミック・エース エンタテインメント=日活=ホリプロ=ビター
   ズ・エンド=Yhoo! Japan=マッチポイント〕、2011年。
  『苦役列車』、監督:山下敦弘、「苦役列車」製作委員会〔東映=木下工務店=キングレコード=東映
   ビデオ=東映チャンネル=Yahoo! Japan=日本コロンビア=マッチポイント=ビターズ・エンド=東
   京スポーツ新聞社=ソニーPCL=niconico=CGCGスタジオ〕、2012年。
  『もらとりあむタマ子』、監督:山下敦弘、「もらとりあむタマ子」製作委員会〔エムオン・エンタ
   テインメント=キングレコード〕、2013年。

 『リンダ リンダ リンダ』と『松ヶ根乱射事件』が小生としては一押し映画であるが、当該作品も悪くは  
ない。テイストとしては、『8月のクリスマス』(監督:長崎俊一、「8月のクリスマス」製作委員会〔ミ
コット・エンド・バサラ=オフィス オーガスタ=キングレコード=S・D・P=TOKYO FM=WOWOW〕、2005年)、
『赤い文化住宅の初子』(監督:タナダユキ、「赤い文化住宅の初子」フィルムパートナーズ〔トライネッ
トエンタテインメント=ビクターエンタテインメント=スローラーナー〕、2007年)、『ノン子36歳(家事
手伝い)』(監督:熊切和嘉、日本出版販売=東映ビデオ=ゼアリズエンタープライズ、2008年)辺りが似
ているか。父親と娘の物語はけっこうあるが、今風の味付け作品である。全国を探せば、こんな父娘はどこ
にでもいるだろう。そんな彼らへの静かな応援歌になっている。
 物語を確認しておこう。例によって〈Movie Walker〉にお世話になる。執筆者に感謝したい。なお、一部
改変したが、ご寛恕を乞う。

   〔解説〕

  前田敦子が『苦役列車』の山下敦弘監督と再びタッグを組んだヒューマンコメディ。音楽チャンネ
 ル、MUSIC ON!TVの季節毎のステーションIDから短編ドラマを経て長編劇場作として製作された異色
 作。ボサボサ頭にジャージ姿で家の中で一日中、何もせず、無意味な毎日を過ごすヒロインを演じた
 前田敦子の新境地ともいえる一作だ。

   〔あらすじ〕

  坂井タマ子(前田敦子)は東京の大学を卒業後、父親〔坂井善次〕(康すおん)がひとりで暮らす
 甲府の実家に戻ってくる。しかし就職もせず、家業のスポーツ店(甲府スポーツ)も手伝わず、ただ
 ひたすらに食っちゃ寝の日々を過ごしている。起きているときはマンガを読みふけるか、ゲームをす
 るかで、かつての同級生とも連絡を取らず、まるで引きこもりのような生活を送っていた。「就職活
 動くらいしろ!」と父が言っても、「いつか動く! でもそれは今じゃない!」と意味不明な言葉で自
 分を肯定するタマ子。ようやく履歴書を書いたかと思うと、応募先は芸能プロダクションだった。そ
 れでも父は、タマ子を応援せずにはいられない。四季を通してダメダメなタマ子は、新たな一歩を踏
 み出せるのか……?

 他に、鈴木慶一(坂井啓介)、中村久美(坂井よし子)、冨田靖子(曜子=アクセサリー教室の先生)、  
伊藤清矢(仁)、奈良本未羽(仁の彼女)などが出演している。父親が「合格」するところが、静かなマッ
クス! すなわち、現代は親が子どもに採点される時代なのである。


 某月某日

 DVDで邦画の『今日、恋をはじめます』(監督:古澤健、「今日、恋をはじめます」製作委員会〔東宝=小  
学館=電通=CBC=KDDI=WOWOW=ファインエンターテイメント=オスカープロモーション=ソニー・ミュー
ジックエンタテインメント=トップコート=Jahoo! Japan グループ=HBC=RKB〕、2012年)を観た。今どき
の高校生の恋愛はこんなものかと思う反面、現実とどのくらいクロスしているのだろうかという疑問も湧いて
くる。主演の武井咲(たけいえみ)は『愛と誠』(監督:三池崇史、「愛と誠」製作委員会〔角川書店=ハピ
ネット=東映=テレビ朝日=OLM=NTTドコモ=木下工務店=エクセレントフィルムズ=コンセプトフィルム=
ホリプロ〕、2012年)で馴染んでいるので、直ぐに物語に入っていくことができた。ただし、相手役の松坂桃
李(まつざかとおり)は初見だと思う。一応、初々しいカップルといっておこう。
 物語を確認しておこう。例によって〈Movie Walker〉のお世話になる。執筆者に感謝したい。なお、一部
改変したが、ご寛恕を乞う。

   〔解説〕

  水波風南の同名少女漫画を、武井咲&松坂桃李という若手注目株を主演に迎えて実写映画化した青
 春ラブストーリー。高校入学早々、チャラ男の京汰にファーストキスを奪われた恋愛に奥手なヒロイ
 ン、つばきが、彼に惹かれて変わっていく姿を描く。監督は『アナザー Another』の古澤健。

   〔あらすじ〕

  日比野つばき(武井咲)は、真面目が取り柄だが、ファッションセンスはイマイチのダサダサ女子
 高生である。高校の入学式当日、成績トップに加え、ルックスも学校でナンバー1というモテ男、椿
 京汰(松坂桃李)と隣の席になる。ガリ勉地味系で「昭和女」の自分には、おしゃれや恋なんて縁が
 ないと諦めていたつばきにとって、これがすべての始まりだった。クラスみんなの前で突然、京汰が
 つばきのファーストキスを奪った上に、「自分の彼女にする」と宣言。いきなりのキスに怒り、反発
 しながらも、軽薄な遊び人だとばかり思っていた京汰の隠された一面を目にして、つばきは次第に惹
 かれてゆく。初めてのデート、初めての恋、初めてのキス……。恋することを知り、少しずつ変わっ
 てゆく。そして京汰も、まっすぐにぶつかってくるつばきに徐々に惹かれ始める……。

 他に、木村文乃(菜奈=京汰の幼馴染かつ初恋の相手)、山崎賢人(長谷川西希=京汰の親友)、新川優
愛(日比野さくら=つばきの妹)、青柳翔(花野井=京汰の先輩、カリスマ美容師)、長谷川初範(日比野
庄一郎=つばき・さくらの父)、麻生祐美(日比野節子=同じく母)、村上弘明(椿圭汰=京汰の父)、高
岡早紀(神崎京香=京汰の母)、高梨臨(山内有砂=つばきたちの同級生)、ドーキンス英里奈(美咲=同)、
藤原令子(香奈=同)などが出演している。しかし、恋愛物語はどうしてこうマンネリズムのオンパレード
なんだろうか。人間は、神代の昔から大して変わらないことを繰り返してきたんだな、と思う。ただし、現
代女性は「自立」が尊ばれるので、シンデレラ物語とはまったく違う様相になる。つまり、男性に対する依
存度は低下し、「待ち」の姿勢もなくなるというわけ。そこが50年前とは変わっているのだろう。


 某月某日

 DVDで邦画の『博奕打ち』(監督:小沢茂弘、東映京都、1967年)を観た。60年代後半のヤクザ映画の典型
といってよいような内容である。もしかすると映画館で観ているかもしれないが、一箇所もデジャヴュを感
じなかったので、たぶん初見であろう。鶴田浩二の独擅場であるが、「手本引きであんな大勝を見せられて
もなぁ」という感じ。つまり、リアリティがほとんどない。相手役の女優も桜町弘子ではインパクトが弱い
し、若山富三郎の悪役もあまり決まっていなかった。
 『ぴあ シネマクラブ』にシリーズの解説があるので、転載させていただく。執筆者に感謝したい。なお、
ほぼ原文通りである。

   「博奕打ち」シリーズ

  鶴田浩二主演による任侠シリーズで、1967年の『博奕打ち』から1972年の『博奕打ち外伝』まで全
 10本が作られた。シリーズといっても鶴田浩二の主演で、博奕打ちを主人公にしている以外に共通性
 はない。このシリーズを忘れられない存在にしているのは、第4作『博奕打ち・総長賭博』があるが
 ゆえ。義理と掟に縛られた主人公が、ギリシア悲劇を思わせる運命の渦の中に巻き込まれてゆく姿が、
 山下耕作監督の一部の隙もない様式美で活写された任侠映画の傑作である。また、第9作『同・いの
 ち札』における鶴田浩二と安田(現・大楠)道代の悲劇的な恋も印象深い。

 以上である。『博奕打ち・総長賭博』は以前よりマークしている作品であるが、残念ながら未見である。
山下監督の様式美をいつか堪能したいと思っている。
 さて、本作の物語を確認しておこう。例によって〈Movie Walker〉のお世話になる。執筆者に感謝したい。 
なお、一部改変したが、ご寛恕を乞う。

   〔解説〕

  脚本は『兄弟仁義 関東三兄弟』の村尾昭と「流れ者」シリーズでヒットを飛ばした小沢茂弘が、監
 督も兼ねて担当した「博奕打ち」シリーズの第1作目。撮影は『関東やくざ嵐』の鈴木重平。

   〔あらすじ〕

  昭和初期の大阪に、一匹狼の博徒海津銀次郎(鶴田浩二)が、弟分の花沢義松(待田京介)を連れ
 て現われた。銀次郎は見事な腕で各賭場を荒して歩いたが、黒田一家の客分・桜井丈吉(小池朝雄)
 は、同じ博徒として銀次郎に讃嘆の目を見張った。ある日、女郎屋錦楼の主人である小波新吉(山城
 新伍)が黒田万五郎(河津清三郎)に借りた大金(三千円)を、期日に返せないと銀次郎に泣きつい
 てきた。新吉は博奕が好きで借金をつくっては女房のおとき(小倉康子)を困らせていたのであった。
 銀次郎は寺島一家の賭場で借金の不足分に当たる六百円を作って新吉に渡したが、新吉はそれで素人
 賭場を開帳した。縄張りを荒された黒田は、新吉から金をまき上げ、借金の担保だった錦楼を手にし
 てしまった。悲観したおときは首を吊った。その通夜の日、新吉は香奠を元手に、義松と一緒に黒田
 の賭場にいき、錦楼を取り返そうとしたのだが、義松のイカサマがばれてしまい、銀次郎の手を煩わ
 せる羽目に陥った。落とし前は、銀次郎の指をつめることだった。義松と新吉は立つ瀬がなかったが、
 銀次郎は彼らを赦した。その夜、銀次郎は身を清めて黒田の前に現われ、総ては博奕で決着をつけよ
 うと言った。銀次郎は勝ち続け、ついに桜井との対決になった。桜井は銀次郎への友情からか、大金
 のかかった勝負に敗れた。一方、義松が女のことから、大関に殺されてしまった。それを聞いた銀次
 郎は錦楼に乗り込んで大関を倒し、さらに黒田一家に現われた。黒田をかばって立った桜井は、自ら
 銀次郎の短刀に倒れ、黒田を斬った銀次郎の腕の中で事切れた。それは友情と博徒の義理を貫ぬいた
 男の最期で、銀次郎は心をうたれるのだった。

 他に、藤山寛美(寛太郎=女郎買いのボン)、桜町弘子(小菊=銀次郎が惚れた女郎)、河野秋武(市岡
弥助=丈吉の師匠の胴師)、名和宏(木村忠市=黒田の子分)、芦屋雁之助(床屋・日之出軒の三やん)、
芦屋小雁(その弟子の六やん)、橘ますみ(小花=義松が惚れた女郎)などが出演している。銀次郎に惚れ
た弥助の台詞「当節の博奕打ちは金儲けのことばかり考えてくさる。海津さんはな、紙下に札と命ば一緒に
詰め込みよる。命さえくくりゃぁ、博奕は負けてよか。負けっぷりも博奕のうちや」が印象深かった。


 某月某日

 DVDで邦画の『清須会議』(監督:三谷幸喜、フジテレビ=東宝、2013年)を観た。さすが三谷作品、勘所
を押さえた喜劇として仕上がっている。彼の作品の特徴のひとつは、その舞台の閉鎖性にあるが、今回はや
や開放的である。しかし、基本は「評定」(=会議)という閉鎖空間の物語なので、観る者の意識が拡散さ
れることはない。そこに、役所広司、大泉洋、小日向文世、佐藤浩市、でんでんを配したのだから、失敗す
るはずがないのである。女優陣も、鈴木京香、中谷美紀、剛力彩芽を並べ、花を添えている。その他、妻夫
木聡、浅野忠信、寺島進、松山ケンイチ、伊勢谷友介、阪東巳之助、篠井英介、梶原善、中村勘九郎、西田
敏之、浅野和之など、錚々たる俳優陣が脇を固めている。わずかに惜しまれるのは、枝毛役の天海祐希と、
森蘭丸役の染谷将太だろうか。作品からやや浮いていたと思われる。さらに、カメオ出演の西田敏行も物語
にはほとんど絡まず、意味の乏しい役だったと思う。なお、テイストが似ている作品としては、『のぼうの
城』(監督:犬童一心/樋口真嗣、「のぼうの城」フィルムパートナーズ、2011年)を挙げておこう。
 物語を確認しておこう。例によって〈Movie Walker〉のお世話になる。執筆者に感謝したい。なお、一部
改変したが、ご寛恕を乞う。

   〔解説〕

  三谷幸喜が17年ぶりに手がけた小説を自らメガホンを握り、映画化。織田信長亡き後、その家臣た
 ちが集まり、後継者問題や領地の配分を決めた、清須会議。日本史上、初めて合議によって歴史が動
 いたとされる、同会議に参加した人々、それぞれの思惑など、入り乱れる複雑な心情が明らかになる。
 三谷にとっては本作が初の時代劇。

   〔あらすじ〕

  天正10年(1582年)の本能寺の変で、一代の英雄・織田信長(篠井英介)が明智光秀(浅野和之)に
 討たれた。跡を継ぐのは誰か……。後見に名乗りをあげたのは、筆頭家老・柴田勝家(役所広司)と
 後の豊臣秀吉・羽柴秀吉(大泉洋)であった。勝家は、武勇に秀で聡明で勇敢な信長の三男である信
 孝(坂東巳之助)を、秀吉は、信長の次男で大うつけ者と噂される信雄〔のぶかつ〕(妻夫木聡)を、
 それぞれ信長の後継者として推す。勝家、秀吉がともに思いを寄せる信長の妹・お市様(鈴木京香)
 は、最愛の息子を死なせた秀吉への恨みから勝家に肩入れ。一方、秀吉は、軍師・黒田官兵衛(寺島
 進)の策で、信長の弟・三十郎信包〔のぶかね〕(伊勢谷友介)を味方に付け、秀吉の妻・寧(中谷
 美紀)の内助の功もあり、家臣たちの心をつかんでいくのだった。そんな中、織田家の跡継ぎ問題と
 領地配分を議題に「清須会議」が開かれる。会議に出席したのは、勝家、秀吉に加え、勝家の盟友で
 参謀的存在の丹波長秀(小日向文世)、立場を曖昧にして強い方に付こうと画策する池田恒興(佐藤
 浩市)の4人。さまざまな駆け引きの中で繰り広げられる一進一退の頭脳戦。騙し騙され、取り巻く
 全ての人々の思惑が猛烈に絡み合っていく……。

 他に、浅野忠信(前田利家)、でんでん(前田玄以)、松山ケンイチ(堀秀政)、剛力彩芽(松姫)、津
島美羽(三法師)、阿南健治(滝川左近一益)、市川しんぺー(佐々成政)、清末裕之(金森長近)、久世
浩(稲葉一鉄)、迫田孝也(蜂屋頼隆)、望月章男(長束正家)、松永一太(佐久間盛政)、染谷将太(森
蘭丸)、ショー片島(弥助)、戸田恵子(なか=秀吉の母)、梶原善(小一郎=同じく弟)、瀬戸カトリー
ヌ(小袖=お市の側女)、近藤芳正(義兵衛)、中村勘九郎(織田信忠=信長の嫡男)、天海祐希(枝毛=
滝川のくノ一)、西田敏行(更科六兵衛=北条家家臣)、山寺宏一(さまざまな声)などが出演している。
 ラッキョウ、サザエ、米、蟹など、勝家は食べ物で人を釣ろうとするが、あまりうまくいかない。お香と
香の物(漬物)を取り違えたりする辺りは、微苦笑を誘う。なお、羽柴秀吉を演じた大泉洋は、ますます演
技に磨きがかかってきたと感じた。秀吉そのものに見えたからである。


 某月某日

 DVDで邦画の『陽だまりの彼女』(監督:三木孝浩、「陽だまりの彼女」製作委員会〔アスミック・エース=
東宝=ジェイ・ストーム=アミューズ〕、2013年)を観た。「面はゆい」という言葉があるが、この映画の
冒頭の方でまさにそんな感覚を覚えた。何かムズムズする感覚である。まさに「恋愛ファンタジー」といっ
た様相の映画で、小生のような年寄には目の毒なのかもしれない。もっとも、上野樹里が主演なので、そう
感じたのだろう。彼女は見ているこちらを眩しくさせる何かを持っている。
 物語を確認しておこう。例によって〈Movie Walker〉のお世話になる。執筆者に感謝したい。なお、一部
改変したが、ご寛恕を乞う。

   〔解説〕

  “女子が男子に読んでほしい恋愛小説No.1”のキャッチコピーが話題となるなど、女性から絶大な
 支持を受ける、越谷オサムの同名ベストセラー小説を、松本潤&上野樹里主演で映画化したファンタ
 ジック・ラブストーリー。10年ぶりに再会した中学時代の幼なじみの恋の行方をつづる。監督は『僕
 等がいた』の三木孝浩。

   〔あらすじ〕

  新人の営業マン・奥田浩介(松本潤)は、ある日、取引先で幼なじみの渡会真緒(上野樹里)と再
 会する。10年ぶりに対面した真緒は、バカにされていた中学時代と打って変わって、魅力的な女性に
 なっていた。彼女のおかげでかつての純粋な気持を取り戻した浩介は、やがて真緒を愛し、結婚を視
 野に入れるようになる。しかし彼女はある秘密を抱えていた……。

 他に、玉山鉄二(新藤春樹=真緒の上司)、大倉孝二(田中進=浩介の先輩)、谷村美月(峯岸ゆり=同
じく同僚)、菅田将暉(奥田翔太=浩介の弟)、小籔千豊(杉原部長=浩介の上司)、西田尚美(奥田祥江=
浩介・翔太の母)、とよた真帆(梶原玲子=真緒の上司)、木内みどり(渡来真由子=真緒の母)、塩見三
省(渡来幸三=同じく父)、夏木マリ(大下=謎の女性)、駿河太郎(平岩=浩介の隣人)、安藤玉恵(平
岩美佳=その妻)、森桃子(潮田アキ=真緒をいじめる少女)、三浦透子(中学生時代の潮田)、田中要次
(区役所職員)、野間口徹(南藤沢中学校教師=浩介・真緒の担任)、古舘寛治(医師)などが出演してい
る。恋愛ファンタジーなので、そういう作品が好きな人にはお勧めする。そして、とくに猫好きの人に。


 某月某日

 DVDで邦画の『風立ちぬ』(監督:宮崎駿、「風立ちぬ」製作委員会〔日本テレビ放送網=電通=博報堂DY  
メディアパートナーズ=ウォルト・ディズニー・ジャパン=ディーライツ=東宝=KDDI〕、2013年)を観た。 
さすがジブリ作品だけあって、手慣れたつくりである。もっとも、先の読める展開で、肝心の物語自体は平
凡だった。戦前の日本の飛行機づくりの苦悩を描くと同時に、飛行機の設計技師をしている若者と結核の少
女の恋物語でもあるが、実在した堀越二郎と堀辰雄に捧げられているように、彼らのイメージがそのまま作
品になっている。白樺派が嫌いというわけではないが、キレイゴト過ぎて、鼻につく。また、夢を多用して
いるが、それも安易な設定であった。さらに、思想犯専門の特高警察が顔を見せるが、ほとんど意味はない。
これもどうか。ポール・ヴァレリーの一句や、荒井由実の楽曲も借りてきただけ。映像にさまざまな工夫が
凝らされていたことだけは文句なしだが、物語に関しては「可」がいいところだろう。わずかに、ドイツ人
のカストルプの役が、物語を引き締めていた。なお、彼がゲルベ・ゾルテを吸っていたところなどは、ゲイ
コマであった。
 物語を確認しておこう。例によって〈Movie Walker〉のお世話になる。執筆者に感謝したい。なお、一部
改変したが、ご寛恕を乞う。

   〔解説〕

  宮崎駿の『崖の上のポニョ』以来5年ぶりとなる新作は、零式艦上戦闘機(零戦)を設計した実在
 の人物、堀越二郎と、同時代に生きた文学者・堀辰雄を織り交ぜた主人公・二郎の姿を描く大人のラ
 ブストーリー。大正から昭和にかけての激動の時代を生きた人々の物語がつづられる。二郎役の庵野
 秀明ら豪華声優陣の共演にも注目したい。

   〔あらすじ〕

  少年の頃から飛行機に憧れ、東京の大学に進学、ドイツへの留学を経て、航空技術者となった堀越
 二郎(声:庵野秀明)。夢や憧れ、恋、やがて近づく戦争など、零戦を設計したことで知られる彼の
 若かりし頃を描く。

 他に、声の出演として、瀧本美織(里見菜穂子=二郎の恋のお相手)、風間杜夫(その父親)、竹下景子
(二郎の母親)、志田未来(堀越加代=同じく妹、成長して医師になる)、西島秀俊(本庄=同じく親友の
飛行機の設計技師)、西村雅彦(黒川=二郎たちの上司、二郎と菜穂子の仲人)、大竹しのぶ(その妻)、
國村隼(服部=三菱内燃機の課長)、スティーヴン・アルバート(カストルプ=日本在住のドイツ人)、野
村萬斎(カプローニ伯爵=イタリアの飛行機設計家)、鏑木海智(二郎の少年期)、信太貴妃(同じく幼年
期)が関わっている。来年の鑑賞映画のテーマは「アニメ・SF・特撮」の予定であるが、先行して鑑賞し
たことになる。最後に、菜穂子の結核を知ったときの二郎の「百年だって待ちます」という台詞は、けっこ
ういい感じだったことを記しておこう。


 某月某日

 DVDで邦画の『喜劇 初詣列車』(監督:瀬川昌治、東映東京、1968年)を観た。「列車」シリーズ第3弾
(最終作)である。全2作と比べると、少し脚本に無理があるか。したがって、さほど面白くなかった。そ
れでも、定食のような味わいは健在で、安心して観ていられる点ではそれなりに評価が必要であろう。とこ
ろで、このシリーズ、第2作で高知、第3作で新潟と、小生に関係の深い土地が舞台なので、特別の親近感
が湧く。今回も新潟の佇まいを十分に味わうことができた。翌年、「男はつらいよ」シリーズが松竹で幕を
開けるが、国鉄マンとテキヤという違いこそあれ、両者に通底する人間像を渥美清が演じることになる。
 さて、物語を確認しておこう。例によって〈Movie Walker〉のお世話になる。執筆者に感謝したい。なお、
一部改変したが、ご寛恕を乞う。

   〔解説〕

  前作『喜劇 団体列車』のコンビの舟橋和郎がシナリオを執筆し、瀬川昌治が監督した「列車」シリ
 ーズ第三作目。撮影は『出世子守唄』の西川庄衛。

   〔あらすじ〕

  国鉄の車掌の上田新作(渥美清)は、妻幸江(中村玉緒)と、平凡だが幸せな毎日を送っていた。
 ある日、列車の中で幼な馴染みの坂本美和子(佐久間良子)と会った新作は、何故か沈みがちな彼女
 を元気づけた。幼い頃から新作の憧れの的だった美和子は、新潟地震で父母を失い、芸者になりなが
 ら、行方不明になった弟の研吉(小松政夫)を探しているということだった。新作はそんな美和子の
 ために、何かと相談相手になってやるのだった。ところが、事情を知らない幸江は、そんな新作を見
 て、浮気をしているのではないかと疑い出したのである。新作はそれに構わず、研吉を探すために四
 方八方を駆けずり回っていた。彼は、研吉とは恋仲で、行方知れずになった研吉を探している細川房
 子(城野ゆき)と会った。房子の言葉から、研吉が平凡な生活に愛想をつかしてフーテンになったら
 しいと知った新作は、前衛芸術家の溜り場、トルコ風呂(現 ソープランド)、深夜スナックなどを探
 し歩いた。ある日、彼はついにフーテン姿の研吉を探しあてた。根の正直な新作は、フーテンの心理
 は理解出来なかったが、ともかくも普通の平凡な生活にこそ、本当の幸せがあるのだと熱心に説き、
 はては自らフーテン姿になって、研吉の心を理解しようと努めるのだった。一方、幸江は新作が女に
 もてるはずはない、と思いながらも、やはり心おだやかではなく、新作の弟夏男(川?敬三)に頼ん
 で、夫の行状を調べてもらったりした。そんな時、研吉を連れた新作が、フーテンの飲むクスリ(睡
 眠薬のハイミナール)を飲み、フラフラになって(ラリって)家に帰ってきた。新作の姿に驚いた幸
 江は、気が狂ったのではないかと泣いたり、精神科医(柳沢真一)を呼んだり、大騒ぎを演じた。そ
 こへ新作から、研吉発見の知らせを受け取った美和子がやってきた。美和子から事情を聞いた幸江は、
 すっかり今までの誤解をといた。研吉も、新作の尽力で鉄道弘済会に勤めることが決った。やがて正
 月が来た。春に式を挙げることに決った研吉と房子を伴ない、新作夫婦はお伊勢参りに出発した。ち
 ょうど彼らの乗った新幹線の列車の窓からは、二見ケ浦から昇る新年の太陽が望まれた。

 他に、西村晃(野々宮太平=専務車掌)、楠トシエ(野々宮富子=太平の妻)、若水ヤエ子(ぽん太〔三
和子〕)、小林裕子(英子=研吉を騙したトルコ娘)、財津一郎(前衛画家の青年)、大泉滉(前衛音楽家)、
左卜全(印刷屋のオヤジ)、栗原玲児(インタビュアー)、園佳也子(春子=ホステス)、上田吉二郎(美
和子に絡む酔客)、伊藤慶子(年増の芸者)、青山ミチ(スキー客の娘A)、清水みつえ(同じくB)など
が出演している。ちなみに、敏いとうが、ハッピー&ブルーならぬザ・プレイズメンというグループととも
に歌っていた。しかも、「敏いとう」ではなく、「トシ伊藤」だった。


 某月某日

 DVDで邦画の『喜劇 団体列車』(監督:瀬川昌治、東映東京、1967年)を観た。「列車」シリーズの第2
弾である。同じ渥美清と佐久間良子が絡むが、物語はまったく異なる。いわゆる「人情喜劇」といった範疇
に納まる作品で、東映というよりも松竹の得意とするところではないだろうか。ともあれ、なかなか味わい
のある映画であり、往時の日本をよく描いていると思った。小生は小学校6年生の頃だろうか、懐かしさを
感じることができた。
 物語を確認しておこう。例によって〈Movie Walker〉のお世話になる。執筆者に感謝したい。なお、事実
誤認の箇所が多数あるので大幅に改変したが、気を悪くなされないよう。

   〔解説〕

  『喜劇 急行列車』のコンビの舟橋和郎がシナリオを執筆し、瀬川昌治が監督した東映鉄道路線の    
 コメディ。撮影は『柳ケ瀬ブルース』の坪井誠。

   〔あらすじ〕

  奥道後温泉をひかえた小さな駅、伊予和田駅に勤務する山川彦一(渥美清)は、三十歳で独身、母
 親お杉(ミヤコ蝶々)と二人暮しである。過去三回助役試験に落っこちてはいるが、四度目を前に張
 切っていた。国鉄ローカル各線は赤字に悩んでおり、赤字克服の手段として、伊予和田駅では、倉持
 駅長(市村俊幸)以下が、団体旅行客の獲得に大わらわであった。ある日、彦一は迷子の坊やである
 敬一(原直人)を拾ったことから、その母親志村小百合(佐久間良子)と知り合になった。小百合は
 学校の先生で未亡人。彦一は小百合の美しさにぼーっとなってしまった。そんな時に、叔父の風間八
 五郎(由利徹)から見合の話を持込まれた。相手は、昔国鉄に勤めていた日高友造(笠智衆)の娘邦
 子(城野ゆき)で、父の友造は助役試験に八回も落ちた人物だと聞かされていたが、それが見合であ
 ることを彦一は知らなかった。友造は、好人物で、邦子も明るい娘であった。だが、彦一の頭には何
 故か小百合の面影がちらついて離れなかった。そんなうちに、助役試験の日(第一次試験はパス。二
 次試験の面接)がやって来た。その前夜、彦一は小百合に逢いに行ったが、あいにく彼女は出張であ
 った。息子が熱を出し、その看病をするうち、夜明けに。駆けつけた列車に間に合わず、試験には3
 分遅れで到着した。二次試験は自由討論であった。同じく一次試験に受かった太宰淳一(大辻伺郎)
 とは対照的に、山川彦一はテーマの「四国鉄道の赤字の克服」に関して一言も答えられなかった。当
 然のごとく、彦一はまたも試験に落ちてしまった。ヤケ酒をあおる彦一は、飲み屋で友造にバッタリ。
 落第記録保持者の友造に慰められた。その際、合格した太宰が友造を侮辱する言動を行ったので、彦
 一は彼を諫めた。友造は助役にはなれなかったが、国鉄から表彰状を4回(人命救助、事故防止2回、
 永年勤続)も貰っていたのだった。ある日、四国巡りの団体客に、彦一が添乗員としてついて行くこ
 とになった。その中には、息子の敬一を連れた小百合もいた。彦一は張り切った。だが、出発間際に
 は、邦子も乗りこんできた。邦子は彦一の妻になるという固い決意があったのだ。しかし、小百合に
 気を取られている彦一はそんな邦子の気持に気づかない。決定的なことが訪れた。小百合は再婚して
 東京に行くというのだ。彦一の恋は、あえなく破れたのである。彦一はがっくりとなった。それから
 一年が過ぎた。五回目にやっと助役試験にパスした彦一は、大阪で開かれる講習会に出席するため、
 伊予和田駅を発った。見送りには、今は彦一の妻となった邦子の姿があった。

 他に、小沢昭一(中村部長=面接官)、三遊亭歌奴(賀山次長=同)、宮城けんじ(東京からの団体客の
ひとり)、東けんじ(同)、河野秋武(了賢=彦一の見合を斡旋した和尚)、楠トシエ(絹代=その妻)、
南広(小百合の再婚相手)、中村是好(町医者)、上田吉二郎(関口=缶詰会社の社長)、沢彰謙(柳=伊
予和田駅の助役)、佐藤晟也(柴田=国鉄職員、彦一の後輩)、小林稔侍(新郎)、清水光枝(新婦)、津
路清子(すみ江=小百合の母)、武智豊子(彦一が誤って手を握った老婆)、丸平峰子(徳島駅旅行者援護
相談者の看護婦)などが出演している。
 彦一が「ネオン川」(作詞:横井弘、作曲:佐伯としを、唄:バーブ佐竹、1966年)という当時のヒット
曲を口遊むシーンが何度かあるが、「随分と渋い楽曲を選択したな」と思った。もちろん、小生既知の歌で
あるが、50年近く忘却の彼方にあった歌謡曲である。なお、松山、宇和島、高知、徳島など、四国めぐりも
楽しめる映画である。往時の高知駅やはりまや橋を見ることができ、楽しかった。


 某月某日

 DVDで邦画の『喜劇 急行列車』(監督:瀬川昌治、東映東京、1967年)を観た。渥美清主演の「列車」シ
リーズ第1弾である。全部で3作なので、一気に観てしまう予定である。『ぴあ シネマクラブ』に解説が載
っているので、それを転載させていただく。執筆者に感謝したい。

   喜劇・列車 シリーズ

  それまでB級アクションなども作ってきた瀬川昌治監督が、完全な喜劇作家に転じるキッカケを作
 った人情喜劇。主役は渥美清扮する、うだつのあがらない鉄道員で、彼が佐久間良子演じるヒロイン
 に岡惚れするところからドラマが展開していく。人の良い渥美のキャラクターが生かされ、車掌役な
 どはピタリとはまる。佐久間へのかなわぬ想いを寄せるあたりは、このシリーズ終了の翌年から始ま
 る「男はつらいよ」に通じるものを持っているともいえよう。ただし、こちらは鉄道員という組織の
 人間であり、時には妻子持ちであるというように、何かしらのカセがはめられた男であるというとこ
 ろに違いがある。瀬川昌治の演出は、渥美と佐久間(時には妻役の中村玉緒)のドラマを軸に、鉄道
 員である主人公がつかの間ふれあう人々と巻き起こすエピソードを随所にちりばめ、全体にライトな
 コメディーに仕上がった。1967年の「喜劇・急行列車」をはじめとして、3作が作られた。

 以上である。鑑賞しないでも中身が分かるような作品ではあるが、それを心から味わうことによって、鑑  
賞者は一種の安らぎを与えられる……そんなシリーズではないだろうか。
 物語を確認しておこう。例によって〈Movie Walker〉のお世話になる。執筆者に感謝したい。なお、一部
改変したが、ご寛恕を乞う。

   〔解説〕

  『東京博徒』の舟橋和郎がシナリオを執筆、『暗黒街シリーズ 荒っぽいのは御免だぜ』の瀬川昌治
 が監督したコメディ。撮影は『花札渡世』の飯村雅彦。

   〔あらすじ〕

  特急列車の専務車掌青木吾一(渥美清)は、十七歳から鉄道一筋に生きてきたベテランで、妻きぬ
 子(楠トシエ)との間にできた四人の子どもも、特急(加藤順一)・さくら(丸山紀美恵)・つばめ
 (大森不二香)・ふじ(坂本香織)と汽車の名前をつけるほどの鉄道マニアだ。持ち前の顔は少し間
 が抜けているが、乗客には徹底した奉仕、部下の指導にはなかなかのウルサ型だ。食堂車のウェイト
 レスの遠藤洋子(大原麗子)と恋愛中の乗客掛古川勇作(鈴木やすし)など年中、青木の叱言をあび
 ていた。東京出発、長崎行「さくら号」に乗組んだ青木は、乗客のなかにかつての知合いで初恋の人、
 塚田毬子(佐久間良子)を発見した。毬子は夫(江原真二郎)とうまくいっておらず、一人旅に出て
 来たというのだ。久し振りに会った二人は何となくホンわかした気持になった。徳山を過ぎた頃、事
 件が起きた。ホステス五人組の貴重品がなくなったのだ。しかし、青木の活躍とそれに毬子の機転で
 犯人は捕まった。列車は長崎に着いた。明日の上りまで勤務を解かれた青木は、毬子と楽しい一夜を
 過ごし、他日、鹿児島での再会を約して東京に帰った。家に帰ってきた青木のそわそわした態度に、
 疑問を持った妻きぬ子は、鹿児島行特急「富士号」の勤務についた夫の後を追って列車に乗りこんで
 しまった。たちまち二人は大喧嘩となったが、とにかく、二人は終点まで一緒に行くことになった。
 初めて夫と一緒に乗って、車掌という仕事がきびしいものであると知ったきぬ子は、夫を見直すこと
 になった。乗り越しの乗客の世話や、部下の失敗を自分の失敗として処理する青木。心臓病手術のた
 め、別府に向う少年(石崎吉嗣)をはげまし、心のこもったサービスをする青木、きぬ子は感動した。
 終着駅西鹿児島駅についた。ホームには、毬子が夫慎太郎とともに姿を見せていた。和解がなっても
 う一度やり直す……という毬子の言葉に心から喜ぶ青木。きぬ子は夫と久しぶりに水入らずの時が持
 てて幸せそうだった。

 他に、西村晃(引退した元機関士)、左卜全(陸前階上の駅長)、小沢昭一(今井=学生)、関敬六(岡
島=車掌)、根岸明美(あけみ=乗客のホステス)、桜京美(銀子=同)、三遊亭歌奴(窃盗犯)、三原葉
子(その相棒)、東けんじ(新郎)、田沼瑠美子(新婦)、宮城けんじ(新婚さんと相席の乗客)、村上不
二夫(心臓病の少年の父)、川尻則子(同じく母)、桑原幸子(若い妊婦)、北川恵一(その夫)、岡崎二
朗(犬塚=鉄道公安官)、梶健司(宮本=同)、鳴門洋二(国枝=同)、日吉順子(長崎の店員)、打越正
八(コック)、黒川弘子(ウェイトレスA)、大和田恵美子(同じくB)、木村修(乗客掛)、小塚十紀雄
(操縦助役)、谷本小夜子(宿舎の小母さん)、佐々木伊都子(ユリー)、天野女津子(マコ)、真木亜紗
子(美加)、田島薫(光子)、酒巻輝男(変わった乗客A)、水野崇(同じくB)などが出演している。
 「胴乱」と呼ばれる車掌専用の鞄、砂パイプ(砂撒き装置のこと。粘着式鉄道の鉄道車両において、上り
勾配や落ち葉等により駆動輪が空転して牽引力を失うのを防ぐため、砂を車輪とレールの間に介在させるこ
とによって両者間の摩擦力を増加させる装置である。この装置の改良形であるセラミック粉を増粘着剤とし
て使用する場合には、セラミック噴射装置と呼ばれる〔ウィキペディアより〕)、カレチ(客、列車、長)
という隠語、通過駅に投げる「通信袋」など、国鉄(現 JR)特有の言葉やアイテムが登場し、その点でも楽  
しめた。なお、産婆(=助産婦)の免許を持っているきぬ子は、列車内で男の子を取り上げている。さらに、
息子の「特急(とっきゅう)」は、「同じ名前の人がかつて共産党にいた」という台詞を吐くが、もちろん
「徳田球一」〔通称、とっきゅう〕のことである。また、TVドラマの『鉄道公安36号』(NET、1963年-1967
年)に公安官・宮本役で出演していた懐かしい顔(梶健司)が、同じ名前の宮本役で登場するシーンがある。
約50年ぶりに見る顔であったが、しっかりと覚えていた。もちろん、俳優名や役名はまったく記憶になかっ
たが……。顔を覚えるというのは、他の記憶とは何か別の働きなのだろう。


 某月某日

 DVDで邦画を2本観たのでご報告。1本目は、『謎解きはディナーのあとで』(監督:土方政人、「謎解き
はディナーのあとで」製作委員会〔フジテレビジョン=ジェイ・ストーム=小学館=S・D・P=東宝=共同テ
レビジョン=FNS27社〕、2013年)である。原作は東川篤哉のユーモア・ミステリーだそうだが、小生は未読。 
何年か前に学生から聞いてその存在は知っていたが、その物語に触れるのは初めてである。ほぼ予想通りの  
展開で安心して観ていられたが、推理ものというよりも、登場人物のキャラクターを楽しむ作品であった。
しかも、黒岩勉の脚本は買えるが、土方政人の演出は甘く、俳優陣もこれといって抜けた演技を披露する者
はいなかったと思う。だから、謎解きを楽しむまでには至らず、気の抜けたシャンパンを味わったような失
望感が残った。旨味があったのは、強いて言えば生瀬勝久が演じた大阪弁のボンボンくらいか。一部の演技
陣は明らかに下手で、どうしてこの俳優が起用されたのか不思議な役もあった。たとえば、風祭警部に扮し
た椎名桔平など、「滑稽な人物」の設定の筈だが、演技そのものが滑稽で、笑えなかった。やはり、彼は、
『アウトレイジ(OUTRAGE)』(監督:北野武、「アウトレイジ」製作委員会〔バンダイビジュアル=テレ
ビ東京=オムニバス・ジャパン=オフィス北野〕、2010年)で扮した大友組若頭の水野のような役が似合っ
ていると思う。はっきり言って、喜劇は難しいのである。奇抜な台詞を吐いたり、奇妙な動きをすれば、そ
のまま喜劇になるわけではないのである。他にも、主役の二人はともかく、中村雅俊、竹中直人、鹿賀丈史、
宮沢りえなどのヴェテランも、平均点を上回っているとは思えなかった。そう考えると、この映画をハリウ
ッドが製作したならば、たぶんもっとうまくいったと思う。それどころか、かなりのヒットを記録していた
のではないだろうか。桜庭みなみの歌もどうかと思ったので、ショー・ビジネスの本場との差がくっきり現
われていた。もっと厳しいことを言えば、現時点での日本映画の限界が見えた気がした。あえて似たような
テイストの映画を指摘するとすれば、密室劇としての、『THE 有頂天ホテル』(監督:三谷幸喜、フジテレ
ビ=東宝、2006年)辺りだろうか。
 ともあれ、物語を確認しておこう。例によって〈Movie Walker〉のお世話になる。執筆者に感謝したい。
なお、一部改変したが、ご寛容いただきたい。

   〔解説〕

  2011年の本屋大賞で第1位に輝き、ベストセラーとなった東川篤哉のミステリー小説を、櫻井翔&
 北川景子主演で映像化し、人気を博したテレビドラマの初の劇場版。令嬢刑事の麗子と毒舌ながら彼
 女の推理を手助けする執事の影山という凸凹コンビが、シンガポールに向かう豪華客船の中で起きた
 殺人事件の謎に挑む姿をユニークに描く。

   〔あらすじ〕

  世界屈指の企業グループ総帥の令嬢でありながら、新米刑事として警視庁国立署に勤める宝生麗子
 (北川景子)。初めての有給休暇を利用して、宝生家所有の豪華客船プリンセス・レイコ号に執事の
 影山(櫻井翔)とともに乗り、シンガポールへ向かう。しかし船内には、有名芸術家の作品の警護に
 あたる、麗子の上司・風祭京一郎警部(椎名桔平)の姿もあった。出航後ほどなくして、船内で殺人
 事件が起こる。乗員乗客合わせて3,000人が乗るプリンセス・レイコ号がシンガポールに到着するまで
 の5日間にさらなる被害を出さないためにも真相を解明しようとする麗子と影山だが、彼らも事件に
 巻き込まれてしまう……。

 他に、中村雅俊(藤堂卓也=客室支配人)、桜庭みなみ(藤堂凜子=卓也の娘)、要潤(石川天明=凜子
の恋人、コック見習い)、鹿賀丈史(海原真之介=船長)、黒谷友香(結城千佳=船医)、甲本雅裕(松茂
準一=警備主任)、竹中直人(高円寺健太=Kライオンを狙っている窃盗犯)、大倉孝二(高円寺雄太=そ
の弟の相棒)、生瀬勝久(京極天〔のぼる〕=醤油メーカーの御曹司)、宮沢りえ(熊沢美穂/ファントム・
ソロス)、児嶋一哉(バラジ・イスワラン=ランドリー・マネージャー)、村川絵梨(枕崎美月=船内新聞
編集者)、団時朗(レイモンド・ヨー=世界有数の資産家、殺人事件の被害者)、六角精児(虎谷初彦=コ
ック)、田中要次(大文字徹男=機関員)、伊東四朗(唐沢=宝生家の執事)、志賀廣太郎(京極天の秘書)、
ダイアモンド☆ユカイ〔☆の部分は、六芒星。文字化けするので代用した/「ダイアモンド・ロックスター・
ユカイ」と読む〕(カジノのディーラー)、中野美奈子(バーテンダー)、野間口徹(並木誠一=国立署の
刑事)、中村精日(山繁悟=同)、岡本杏理(宗森あずみ=同)、田中こなつ(江尻由香=同)などが出演
している。
 犯人からの脅迫文がいくつか登場するが、その一部を記しておこう。

    Continue as scheduled to Singapore.
   Release the crew and passengers
   immediately when you arrive in port.
   Attempting to make any contact with
   the local authorities is absolutely
   forbidden.
    Failure to follow the rules will result
   in another casualty.

 豪華客船から人が転落したときのマニュアル(転落した方に船首を向けてエンジン停止)、その際45秒間
の停電が余儀なくされること(航行エンジンが発電を兼ねているため、自家発電に移る前の停電)、船内の
家具はすべてビス止めされていること(船が揺れる際に家具が動くことを防いでいる)、暗証番号を知るた
めの方策(指先についた脂分などを利用)など、新鮮な情報もあった。なお、全裸の遺体(土下座の姿勢)
が踏み台として使えるという発想も斬新だった。ただし、影山と京極のポーカー合戦は、もう一捻りしてほ
しかった。
 2本目は、『日本女侠伝 真赤な度胸花』(監督:降旗康男、東映京都、1970年)である。「日本女侠伝」
の第2弾。今回は明治時代の北海道が舞台である。さして注目すべき点はないが、小林旭主演の「渡り鳥」
シリーズや、高倉健主演の「網走番外地」シリーズに、似たような雰囲気の映画があったような気がする。
これではっきりと分かったが、やはり藤純子は「緋牡丹のお竜」でなければ絵にならない。
 物語を確認しておこう。以下、上に同じ。

   〔解説〕

  『日本暗殺秘録』の笠原和夫が脚本を書き、『新網走番外地 流人岬の血斗』の降旗康男が監督した
 シリーズ第二作。撮影は、『緋牡丹博徒 鉄火場列伝』の古谷伸が担当した。

   〔あらすじ〕

  明治末年の開拓期。北海道札幌。博労総代の松尾兼之助(小沢栄太郎)は、馬市の利権をめぐって、
 博徒の大野金次郎〔=ダイキン〕(天津敏)の子分に射殺された。それを目撃した飼子頭の益川源次
 (山城新伍)を捕えた大金は、源次を脅迫して博労総代に立てた。一方松尾の番頭陣之内七兵衛(石
 山健二郎)は、兼之助の遺言通り、松尾の一人娘・雪(藤純子)を九州から呼び寄せ、後継者になる
 ように説得したが、雪は断わった。しかし、兼之助の遺書を見て、父の跡をつぐ決心をした。理事会
 の表決は割れて、黒白をつけるには、行方不明の理事風見五郎(高倉健)の一票が必要になった。木
 島牧場が大金一家に放火されたのは、そんな頃だった。暴走した馬を追う雪を底なし沼から救ったの
 は、風見五郎だった。五郎の父周平(徳大寺伸)は昔兼之助と広大な土地をめぐって争い、敗れた周
 平は、自害したのだった。七兵衛から一切を聞いた雪は茫然とした。そんな時、源次が大金一家から
 逃れて来た。これを機に松尾派は源次を証人に立て、理事会開催を進めた。一方、大金一家もこれを
 潰すべく、子分を集めた。源次が大金一家に殺されたのはそんな折だった。数十人の子分を集めた大
 金は、警察署を占領した。大金一家の悪どいやり方に業をにやした五郎は、恨みも忘れ、雪の正義感
 に心うたれ助力を申し出た。銃を手にした雪と五郎を先頭に、一同は警察署に殴り込み、激闘の末、
 大金を倒した。

 他に、山本麟一(トッカリ松=鉄砲撃ち)、小松方正(小杉信作=日日新報編集主幹)、五十嵐義弘(マ
キリ)、浅松三紀子(ピリカ)、橘ますみ(お梅=源次の女房)、三島ゆり子(お玉=トッカリ松の彼女)、
中村錦司(本田署長)、遠藤辰雄(向井三蔵=久壽里〔くすり〕 町の助役)、 清水元(古賀=理事長)、
高野真二(木島=牧場主)、名和宏(竜神安=大金の子分)、林彰太郎(鬼常=同)、国一太郎(ガン留=
同)、高森和子(風見志津=五郎の母)、村居京之輔(郡長)、香川雅人(吾市)、牧淳子(八千代)、丸
平峰子(お駒)、紅かおる(若江)、小田真士(岩井)、那須伸太朗(村上)、世羅豊(戸川)、唐沢民賢
(亥之吉)、森敏光(重助)、椿竜之介(万平)、笹木俊志(喜代蔵)、宍戸大全(仙八)、矢奈木邦二郎
(井上)、蓑和田良太(坂田)、大城泰(榎本)、大河内広太郎(桑原)、志賀勝(大金の子分)、川谷拓
三(同)などが出演している。
 久壽里町役場の掲示板に、「一錢に笑ふ者は一錢に泣く/逓信省」というポスターがあった。なお、雪が
嵌りそうになった底なし沼は「やちまなこ(谷地眼)」(サロベツ原野)と呼ばれている。


 某月某日

 DVDで邦画の『日本女侠伝 血斗乱れ花』(監督:山下耕作、東映京都、1971年)を観た。「日本女侠伝」
シリーズの第4弾である。明治の中頃、大阪・船場の御寮さんが、夫の遺志を継いで北九州の炭鉱を守る話
である。史実があるのかどうかは不明だが、素人目にはかなり無理があるように見える。それでも、半ば強
引に話を進めており、それなりに辻褄は合っている。もっとも、高倉健の演じた川船頭は、ストイックすぎ
て人間離れしている。ただし、コメディ・リリーフ役の山本麟一がいい味を出しているので、なかなか面白
い話であった。
 物語を確認しておこう。例によって〈Movie Walker〉のお世話になる。執筆者に感謝したい。なお、一部
改変したが、ご寛恕を乞う。

   〔解説〕

  『日本女侠伝 鉄火芸者』に続く、シリーズ第4作目。脚本は『カポネの舎弟 やまと魂』の野上龍
 雄。監督は『博奕打ち いのち札』の山下耕作。撮影は『喜劇 ギャンブル必勝法』の山岸長樹がそれ
 ぞれ担当。

   〔あらすじ〕

  明治の中頃、大阪船場の一人娘平野てい(藤純子)は婿養子を迎え呉服商を仕切っていたが、夫の
 藤吉(津川雅彦)は石炭に取りつかれ店の金をもち出しては、友達の貝山平吉(山本麟一)と組んで
 ひと山当てる夢を追っていた。北九州へとんだていは藤吉を説得しようとするが、炭層を掘り当てた
 直後の落盤事故で息絶える。ていは、命を賭けた夫の志を継ぐ決意を固め、大阪の店をたたんだ。そ
 の日からていの男勝りの生活が始まり、川船頭の吉岡幸次(高倉健)と知りあったのは間もなくだっ
 た。幸次は、女一人炭坑稼業に打ち込むていの姿に惚れ込み、炭坑の山頭の吉岡銀蔵(水島道太郎)
 に紹介した。幸次は、銀蔵の息子だが、親の意に反して川船頭になっていたのだった。ある日、幸次
 は笹倉勘造(遠藤辰雄)の子分に襲われ、やむをえず三人を殺して八年の刑期で刑務所入りした。そ
 れから二年、ていは銀蔵、平吉などの働きで「平野礦山(=鉱山)」の看板を出した。そして、さら
 に五年、ていの活躍は続き、やがて幸次も出所した。しかし、勘造と組んだ芦屋の問屋組合長大島儀
 十(大木実)は、ていに横恋慕し、平野礦山を乗っ取ろうとその機会を狙っていた。ていの味方であ
 る松木(中村錦司)や村井仁平(天津敏)も大島の手にかかり、遂には銀蔵まで殺され、平野礦山に
 はダイナマイトが仕掛けられた。あまりの惨事に、ていは炭坑を閉めることを心に決めるが、幸次の
 説得でもう一度やり直す決意を固めた。怒りをおさえる事のできなくなった幸次は、大島と勘造のも
 とに向った。幸次は、拳銃で傷を負いながらも、大島と勘造に斬りつけていった。

 他に、内田朝雄(庄兵衛=堂島のていの親戚)、東竜子(庄兵衛の女房)、鈴木金哉(坂本)、小田部通
麿(雁十)、池田幸路(キヨ)、加賀邦男(杉山庄右衛門)、有川正治(文治)、野口貴史(由太郎)、国
一太郎(作造)、丸平峰子(ふさ)、疋田泰盛(白井)、榊浩子(小半)、山田みどり(蝶太)、日暮郷子
(静香)、宇崎尚韶(長八)などが出演している。山本麟一と天津敏が「いい人」なので、その点で新鮮だ
った。大木実の悪役は、遠辰ほどの憎々しさがないので、少し迫力に欠けた。両人とも健さんにあっさり始
末されるが、藤純子が主役の物語なので仕方がないことなのだろう。
 銀蔵が全身真っ黒になった坑夫らを「うさぎ坑夫」と呼んでバカにしている。本気で働く坑夫は、汗を激  
しくかくから、真っ黒にならない由。なるほどと思った。また、良質の石炭を「ちりめん炭」と呼んでいた。
これも初めて耳にする言葉であった。


 某月某日

 DVDで邦画の『日本女侠伝 鉄火芸者』(監督:山下耕作、東映京都、1970年)を観た。「日本女侠伝」シ
リーズの第3弾である。全5作あるが、小生が鑑賞したのは第5弾に続いて2本目である。このシリーズに
ついては、『ぴあ シネマクラブ 日本映画編』に簡単な解説が付されているので、以下で転載しておこう。
執筆者に感謝したい。なお、一部改変したが、ご寛恕を乞う。

   日本女侠伝 シリーズ

  “緋牡丹博徒”シリーズに続く藤純子主演による任侠シリーズで、1969年の『日本女侠伝 侠客芸者』   
 から1971年の『日本女侠伝 激斗ひめゆり岬』まで全5本が作られた。藤純子が毎回、芸者、博労、炭
 坑の女主人、運送会社の社長などに扮し、女の性と意地の間で苦しむ姿が描かれる。山下耕作がシリ
 ーズのうち3作を監督し、藤純子のキャラクターをうまく使いこなした。

 緋牡丹のお竜が主人公の「緋牡丹博徒」シリーズと比べるとインパクトが弱く、物語自体も練れていない。
相手役の菅原文太も、高倉健と比べると、着流しのヤクザよりも現代ヤクザの方が似合っている。芸者役の
藤純子を楽しめばよいと割り切ることもできるが、全体に湿っぽいし、彼女を取り巻く男連中もどこか現実
離れしている。失敗作とは言えないが、あまり面白くなかった。
 物語を確認しておこう。例によって〈Movie Walker〉のお世話になる。執筆者者に感謝したい。なお、一
部改変したが、ご寛恕を乞う。

   〔解説〕

  東京深川の辰巳芸者の心意気を描いた女侠伝シリーズ三作目。脚本は『任侠興亡史 組長と代貸』の
 笠原和夫。撮影は『監獄人別帳』の古谷伸。監督は『博奕打ち 流れ者』の山下耕作がそれぞれ担当。

   〔あらすじ〕

  お酌のころ見ず知らずの通りすがりの男から受けた恩が忘れられず、十年たった今でもその男のた
 めに操を立て通している辰巳芸者小しづ(藤純子)が、その男小林勇吉(菅原文太)に出遭ったのは、
 年に一度行なわれる羽織会の留めを毎年勤めていた先輩仇吉(弓恵子)に代わり、自分が内定したこ
 とを、小しづが旦那の米問屋浅井喜一郎(曾我廼家明蝶)に報告しにいったときのことだった。勇吉
 は浅井のもとで荷揚げの組頭として働いていたが、ヤクザ、刑務所とすさんだ生活を渡り歩いて来た
 勇吉には小しづの記憶はなかった。一方、仇吉の旦那で米穀業・安川重平(安部徹)は関東義心会の
 総長竹上兼蔵(山本麟一)や政界の黒幕と手を組み悪どい商法で私腹を肥やしていたが、これに反対
 する浅井は急場の策として朝鮮米を買いつけるが、安川の画策により、政府の命令で朝鮮米は陸揚げ
 禁止となる。浅井の窮地を見かねた小しづは単身政界の大物牧浦奇堂伯爵(伴淳三郎)の屋敷に出向
 き、米の一件を懇願する。さしもの奇堂も小しづの一途な態度に感銘し、解決に乗りだしたため、待
 望の朝鮮米が陸揚げされ浅井の窮地は救われたかに見えた。しかし、発売を明日に控えた夜、突如、
 義心会の放った火により米蔵は炎上してしまう。駆けつけた浅井は義心会の手によって闇討ちされ、
 必死に消火につとめた勇吉らの努力も空しく全焼してしまう。羽織会の当日、一心に清元の“保名”
 を舞う小しづを見まもる勇吉に、浅井の死が知らされた。怒りに燃えた勇吉は単身、安川めがけて殴
 りこんでいった。

 他に、佐々木愛(小いく=小しづの妹分)、高宮敬二(佐山信一=小いくの夫)、藤山寛美(日舞の師匠)、
玉川良一(金八=幇間)、正司照江(とんぼ=芸者)、小島恵子(輝葉=同)、唐沢民賢(小倉)、萬代峰
子(おとせ)、川谷拓三(関東義心会の構成員)、毛利清二(医師)、古城門昌美(小しづの少女時代)な
どが出演している。まだ売れていなかった頃の川谷拓三が出演している。やはり、目立つ面相である。


 某月某日

 DVDで邦画の『処刑の部屋』(監督:市川崑、大映東京、1956年)を観た。「刑」の文字が含まれる題名の
映画を連続で観たことになる。当然、そこには暴力があり、本作でもさまざまなかたちの暴力が登場する。
「刑」について手近な漢和辞典(小学館、小林信明 編)を繙いてみるとこうある。(1)つみ。しおき。
「死─」(2)罰する。(3)ころす。(4)〈のり〉きまり。法典。「典─ てんけい」(5)〈のっと・
る〉手本とする。模範となる。(6)成る。(7)かたち。=形……文字自体は、会意・形声。鳥居のかた
ちとりっとうを合せた字。鳥居のかたちは井(せい)で、法の意味を表し、音も示す(今のいどを表す井は、
もとは丼と書いた)。りっとうは刀。刑は法律を執行するのに、刀を使うことから、罪人を罰する意味にな
る。一説に、刀できずをつけることをいう。こうしてみると、あまり親しくなりたいとは思えない文字であ
る。原作は石原慎太郎の同名の短篇小説である。若い頃の彼が執拗に追究した性と暴力がストレートなかた
ちで表現されている。原作はたぶん新潮文庫で読んでいるはずだが、〈ウィキペディア〉の記事を読む限り、
映画化される際に若干の変更が加えられている。たとえば、主人公の名前は原作では「克己」であるが、映
画では「克巳」となっている。その他、最後の重要なシーンも原作とは異なる。いずれにしても、典型的な
「太陽族映画」と言えるだろう。比較的最近観た『太陽の季節』(監督:古川卓巳、日活、1956年)と同年
の作品でもある。当該の映画に関しては「日日是労働セレクト102」で言及したが、以下に同様の「太陽
族映画」を再掲しておく。

 『太陽の季節』、監督:古川卓巳、日活、1956年。
 『狂った果実』、監督:中平康、日活、1956年。
 『逆光線』、監督:古川卓巳、日活、1956年〔筆者、未見〕。
 『夏の嵐』、監督:中平康、日活、1956年〔筆者、未見〕。
 『処刑の部屋』、監督:市川崑、大映東京、1956年。
 『日蝕の夏』、監督:堀川弘通、東宝、1956年〔筆者、未見〕。

 この頃、この手の映画はたくさん作られており、小生の見立てでは(鑑賞済みの映画に限定)、以下のよ
うな作品が挙げられるだろう。

 『くちづけ』、監督:増村保造、大映東京、1957年。川口浩/野添ひとみ 
  「日日是労働セレクト23」
 『完全な遊戯』、監督:舛田利雄、日活、1958年。小林旭/芦川いづみ 
  「日日是労働セレクト75」
 『青春残酷物語』、監督:大島渚、松竹大船、1960年。川津祐介/桑野みゆき 
  「日日是労働セレクト10」
 『すべてが狂ってる』、監督:鈴木清順、日活、1960年。川地民夫/禰津良子 
  「日日是労働セレクト11」
 『甘い夜の果て』、監督:吉田喜重、松竹大船、1961年。津川雅彦/嵯峨三智子 
  「日日是労働セレクト27」
 『嵐を呼ぶ十八人』、監督:吉田喜重、松竹京都、1963年。早川保/香山美子
  「日日是労働セレクト29」

 さて、物語を確認しておこう。例によって〈Movie Walker〉のお世話になる。執筆者に感謝したい。なお、
一部改変したが、ご寛恕を乞う。

   〔解説〕

  『新潮』に掲載された石原慎太郎原作の映画化。性と暴力の中に人間の本能を求める現代男女学生
 の生態を描いた異色作である。『ビルマの竪琴(1956年)』の和田夏十が『ある夜ふたたび』の長谷
 部慶次と共同脚色し、『ビルマの竪琴(1956年)』の市川崑が監督、『裁かれる十代』の中川芳夫が
 撮影を担当した。主な出演者は『裁かれる十代』の川口浩、『新婚日記 嬉しい朝』の若尾文子の他、
 岸輝子、中村伸郎、新人瀬戸ヱニ子などに加えて、梅若正義、入江洋佑など大映青春スターが出演し
 ている。

   〔あらすじ〕

  U大四年に在学する島田克巳(川口浩)の父半弥(宮口精二)は共和銀行の支店長代理をしていた
 が、胃病で気難かしく、母親のはる(岸輝子)は始終オドオドしている。克巳はそんな家庭が大嫌い
 だった。ある日、大学のブルジョワ仲間伊藤(梅若正義)と、父の銀行からパーティ資金の3万円を
 借り出した克巳は大学に廻り、思想研究会に顔を出したとき、その場に居合わすフランス巻の女子学
 生を印象に留めた。ダンスパーティの当日、克巳は高校時代からの親友黒沢良治(小高尊〔雄二〕)
 の知らせで、パーティ荒しに来たJ大生の竹島(川崎敬三)らと大格闘を演じた。六大学リーグ戦は
 U大が優勝したが、その夜ほろ酔い気分の克巳と伊藤は、とある店から出て来た二人連れの女子学生
 に眼をつけ、彼女らを伴って飲み歩いた。偶然にも、その一人は髪がフランス巻の女子学生で青地顕
 子(若尾文子)という名だった。二人は克巳らが顔負けする程よく飲んだ。伊藤のすすめで睡眠薬を
 買いに行った克巳は行きつけのバー・シレーヌで会った良治を、彼女らの誘惑の企てに誘うが良治は
 就職で頭が一杯だった。ビールに混ぜて巧みに薬を呑ませた二人は伊藤のアパートに昏睡した彼女ら
 を連れ込み、克巳は顕子を選んで思いを遂げた。しかし克巳と顕子の交際は長続きせず、克巳はある
 日、彼女の目の前で縁切りを宣言した。この頃、珍らしく良治たちが開いたパーティで、克巳はJ大
 の竹島にアガリのかすめ方を教えてけしかけ、これをきっかけに良治の元気を取り戻させようとした
 が、良治は黙って金を渡してしまった。その金を取り戻しに竹島らの待つ銀座裏のバー・カリブに現
 われた克巳は先日の仕返しだと凄惨なりンチを受けた。彼はあくまで音を上げずに頑張っていたが、
 J大に通う従兄に連れられた顕子の姿を見た時、始めて恐怖の表情を浮べた。顕子は学生の一人から
 ナイフを受け取り声にならぬ叫びと共に克巳にぶつかって行った。皆が逃げ出した後、克巳は太腿の
 傷口を押えながら渾身の力をふりしぼってカリブの裏口から這い出していった。

 他に、瀬戸ヱニ子(京子=伊藤の相手)、平田守(吉村=顕子に惚れていた克巳らの仲間のU大生)、中
村伸郎(茂手木教授)、南弘二(毛利さん=シレーヌのバーテンダー)、樋口峰子(リカちゃん=同じくウ
ェイトレス)、伊東光一(ちぢれ髪の教授=貨幣の限界効用について講義していた)、丸山修(製パン工場
の男)、春本富士夫(リズムガイズのマネージャー)、宮戸美知子(シレーヌの客の女子学生A)、杉本文
子(同じくB)、池原幸子(銀座の女子学生A)、葉山たか子(同じくB)、城川暁子(女給A)、芥川竜
子(同じくB)、中田勉(医者)、中條静夫(雑誌記者A)、津村雅弘(同じくB)、山崎直衛(相川=克
巳らの仲間のU大生)、飛田喜佐夫(ダンスパーティで相手のない学生服の男)、住友久子(ゲーム取りの
少女)、高野英子(同)、南方伸夫(プリンセスの支配人)、竹内哲郎(共和銀行の吉祥寺支店の支店長)、
大塚弘(同じく課長)、松村若代(畳屋のおかみさん)、美川陽子(小料理屋の女中A)、梶恵子(同じく
B)、入江洋佑(J大生の杉)、高橋正光(同じく浅尾)、島崎喜美男(同じく犬養)、黒須光彦(同じく
内藤)、月田昌也(同じく石川)、伊藤直保(U大生の小山)、中江文男(同じく加賀見)、松沢英夫(同
じく米良)などが出演している。
 助監督に増村保造がついているが、監督の市川崑よりも、その増村が撮った作品のようにも見える。とい
うのも、どうも市川崑の作風とは異なるような気がするからである。また、そう見えるのは、オムニバス映
画の『女経(じょきょう)』(監督:増村保造/市川崑/吉村公三郎、大映、1960年)で、増村は川口浩と
若尾文子のコンビで似たような関係の男女を描いているからかもしれない。もっとも、『女経』(第一話 
耳を噛みたがる女)の若尾文子が演じた紀美は、顕子よりもはるかにしたたかである。なお、同年、市川は
『日本橋』(監督:市川崑、大映京都、1956年)〔「日日是労働セレクト108」を参照〕という映画を監
督しているが、まったく様相を異にする作品である。器用な使い分けとも言えよう。
 パー券が200円、ホールの借り賃が15,000円、バンドの出演料が20,000円、チケットの印刷代(1枚、10円)
が500枚で5,000円、ショートピースが40円、タクシーの初乗り料金が80円であった。学生同士の常用語とし
て「おとぼけぇ」が2回登場した。今だったら「マジかよ」に当たるか。伊藤が克巳の父に借りた3万円を
返す際、渡した利子が2,000円(聖徳太子の千円札)だった。胃潰瘍の半弥は、朝牛乳、夜片栗粉をこねたも
のというありさま。それではもたないのではないか。「パー券のチケットはフランス語にした方がよく売れ
る」という台詞が出て来るが、何となく分るような気がする。オシャレな感じが出せるからだろう。なお、
別のダンスパーティで、良治は定員200人のホールで開催するのに1,000枚のチケットをばらまいている。完
全に詐欺であろう。そういえば、若大将シリーズでも、田中邦衛が演じた青大将がそんなことをしていたよ
うな気もする。記憶違いだろうか。ただし、混乱を避けるためか、刑事を8人も雇っている。経費はどうな
っているのだろう。まさか、ハイボール1杯で済ませたわけではないだろう(もっとも、刑事は公務員だか
ら、このような要請に金銭は絡まなかったのかもしれない)。このような任務は、今の時代だったら、警備
会社の管轄であろう。小生もTV会社のアルバイトで、アイドル歌手などをファンの波から守る仕事をした
ことがあるが、あれにはなかなか旨味があった。間近でタレントに接することができたし、余禄として当時
の某有名歌手(俳優としてもけっこう売れていた。現在も現役)らと喫茶店で一緒にコーヒーを飲むことが
できた。彼は「芸能界に興味ないの」と、小生に優しく声を掛けてくださったが、「まったくありません」
と答えた。その場で「付人にならせてください」と答えたらどうなっていたのだろうか。
 ところで、暴力の話に戻るが、いくつか形態の違う暴力が登場する。まず、合意の上ではない(克巳はほ
とんど合意だと主張している)性行為の強要である。女性の方にも隙があったとはいえ、睡眠薬を飲ませて
レイプまがいの行為に及ぶのは暴力以外の何ものでもないだろう。2003年に発覚した「スーパーフリー事件」
を連想させるが、あちらの方は組織的な輪姦事件であるから、比べればそれほど悪辣ではない。しかし、顕
子はともかくとして、相棒の京子はその後引き籠り状態に陥っている。その顕子にしても、しばしの交際の
末にあっさりと捨てられ、からだはひとまず置くとして、こころには大きな傷を残している。まだまだ未婚
の女性の貞操が尊重された時代であるから、深刻な苦悩に苛まれたに相違ない。克巳に惹かれながらも、ナ
イフで刺すしかなかった(原作では、ベルトを切ってリンチから逃がそうとしたらしいので、だいぶ異なる
設定である)顕子の思いは、いかばかりのものだろうか。
 学生同士のリンチ(私刑)はさほどのことでもない。殴り合いも愛嬌程度である。ただし、現代社会では、
そのような学生同士の乱闘騒ぎは減ったように見える。事実、小生は大学の教員になってから、一度もそう
いった場面に出くわしたことはないし、学生に殴られたこともない(当該映画には、克巳が茂手木教授を街
頭で殴打するシーンがある)ので、そう考えるのかもしれないが……。もちろん、パワハラやアカハラは根
絶していないようなので、見かけの様相に騙されてはいけない。むしろ、暴力へ向かう衝動は深く沈潜させ
られて、噴き出し口を求めて煮え滾っているのかもしれない。だから、誠実さの窺えない茂手木教授に鉄拳
制裁を加えた克巳は、正直に自分のやりたいことをしただけだから、現代青年とは一線を劃していると思わ
れる。普段おとなしいと看做されている若者が急に暴力を振う場合、「ハト(鳩)型暴力」と呼ばれること
があるが、手加減を知らないから、相手を殺してしまうことがあるらしい。普段から喧嘩慣れすべきだとは
もちろん言えないので、暴力の虚しさをしっかりと大人が教えていかなければならないだろう。もっとも、
「そんな軟弱では、とてもこの弱肉強食の国際社会を生き抜いてはいけないぞ」という声にも一理ありそう
なので、すこぶる厄介ではある。
 さて、目立たないが、もう一つの暴力が描かれていたので、それを検討してみよう。「女性蔑視」という
暴力である。それが典型的に現われていたのは、克巳の母親のはるに対する主として男性陣の暴力である。
たぶん、夫も、息子も暴力を振るっているなどと夢にも思わないに違いない。何か家族にとって重要な局面
になると、「女は口を出すな」ということになり、そのたびにはるは嫌な思いを抱えてきた。我慢に我慢を
重ねてきたわけであるが、ついに泣きだしてしまう。姑、夫、息子に対して、「絶対服従」を強いられてき
た歳月が重たいのである。「わたしは、ただ家族が平和に暮らせればそれで幸せなんです」という台詞が出
て来るが、これだけではさほどインパクトはない。しかし、次の台詞「わたしは、これ以上小さくなれませ
ん」には、思い当たる節があった。小生の母親も、他の家族が男ばかりだったので(父、小生、弟)、はる
と同じような思いを何度もかみしめたに相違ない。彼女が亡くなってから、薄々は気付いていた懸念が確信
になった。おそらく、母親に徹底的に甘えていた自分の姿と対面せざるを得なかったからであろう。死んで
からでは遅いのであるが、痛恨の思いは今でもある。甘えからくる暴力はなかなか「暴力」として意識され
ないが、確実に存在すると思う。克巳は、両親たちのような大人を真っ向から批判するが、おそらく、いつ
か大人の辛さややるせなさを知って、こころを変える日が来るかもしれない。


 某月某日

 DVDで邦画の『海軍横須賀刑務所』(監督:山下耕作、東映、1973年)を観た。勝新太郎が「東映」で菅原
文太と共演しているので、その意味では異色作であろう。ただし、当該作品における勝新は『兵隊やくざ』
シリーズの大宮貴三郎の延長線上に位置する人物を演じており、その意味では何ら新味はない。陸軍と海軍
を入れ替えただけのことである。もっとも、勝新はどう見ても陸軍向きで、海軍水兵の恰好は似合っていな
かった。軍隊の刑務所(当該作品では「本家」という言葉が遣われているが、初耳であった)を描いた作品
としては、『真空地帯』(監督:山本薩夫、新星映画、1952年)を真っ先に思い出すが、上記の『兵隊やく
ざ』シリーズの第4作に当たる『兵隊やくざ脱獄』(監督:森一生、大映京都、1966年)においても刑務所
内の様子が描かれていた〔「日日是労働セレクト17」、参照〕。ただし、両作品ともに、海軍ではなく陸
軍の刑務所である。「鬼の浜松、地獄の横須賀」という言葉が出て来るが、実際に浜松と横須賀に海軍の軍
事刑務所(監獄)が存在したのかどうかは判然としない。軍隊や刑務所というと独特の「しきたり」がある
ことになっているが、当該作品においては、海軍名物と称して「食卓御輿」が描かれていた。さらに、刑務
所の懲罰としての「回転焼き」が登場している。詳細は割愛するが、どちらもイジメ以外の何ものでもなく、
陰湿なしきたりである。海軍全体に存在する「海軍精神注入棒」も当然のごとく顔を出し、水兵たちの背中
や尻や太腿をどやしつけていた。これは、野球部の「尻(けつ)バット」に相当する。もっとも、今の野球
部でそんなことをすれば、直ぐに「体罰」と看做されて、野球部のみならず学校全体が非難の対象になるだ
ろう。牧歌的な時代では、当たり前のように行われていたのだが……。その他、ヤクザの符丁である「スケ=
女」、「バシタ=女房」、「ゴロマク=喧嘩をする」、「ハクイ=きれい」などを、主人公がご丁寧にも宮
様に教えるというシーンもある。軍隊では軍隊以外の場所を「地方」と呼ぶが、この作品でも「地方人」と
いう言葉が出てきた。他にも、農村の窮状を垣間見せる挿話として、「キャベツ100個は煙草1個にしかな
らない」という台詞もあった。主人公の同期が自殺するが、そのきっかけも、上官のシャツを「員数つけら
れた=盗まれた」からである。「囹圄の身」や「陛下の御為」なども、今の若い人にはピンと来ない言葉で
あろう。
 物語を確認しておこう。例によって〈Movie Walker〉のお世話になる。執筆者に感謝したい。なお、一部
改変したが、ご寛恕を乞う。

   〔解説〕

  大担不敵で反逆精神旺盛な男が、海軍海兵団に入隊して、上官や刑務所監守を相手に大暴れする姿
 を描く。原作は青山光二の小説『喧嘩一代・帝国海軍なんのその』。脚本は『現代任侠史』の石井輝
 男、監督は『山口組三代目』の山下耕作、撮影は『やくざと抗争 実録安藤組』の仲沢半次郎。

   〔あらすじ〕

  昭和6年、志村兼次郎(勝新太郎)は横須賀海兵団に入団した。海兵団での日課は厳しく、猛訓練
 についていけない新兵に対する古参兵のしごきが情容赦なく行われた。頑健な兼次郎や要領のいい谷
 口銀造(松方弘樹)はなんとかそのしごきから逃れていたが、運動神経の鈍い西山三吉(長谷川明男)
 は、いつも激しい制裁を加えられた。ある日、兼次郎は、西山を不憫に思い、自から制裁を買って出
 るが、逆に生意気だと、黒川一曹(藤岡重慶)ら古参兵の怒りを買うことになった。そんなある日、
 皇后陛下の兄に当る久邇宮朝融王(太田博之)という若い海軍中尉が、陛下からの賜りものの懐中時
 計を便所に落して困っていた。上官の命を受けて、志願した兼次郎がそれを拾い上げてやった。大変
 感謝した久邇宮は、兼次郎を宮邸に招待する程の気に入りようだった。だが、兼次郎のこの行為は士
 官の機嫌を損ねることになり、兼次郎は集中的に制裁を加えられた。だが、西山が下士官が通ってい
 る娼妓の牛若(森秋子)に手紙を出したことから激しい制裁を受け、耐えきれずに縊死した姿を発見
 した兼次郎は、ついに勘忍袋の緒を切り、黒川ら古参兵を叩きのめし、さらに分隊長の寺坂大尉(室
 田日出男)に深い傷を負わせた……。兼次郎は、海軍横須賀刑務所、通称「本家」へ送られた。刑務
 所長の金田(須賀不二男)、監守長の団野(名和広)等の横暴さに抵抗する兼次郎を庇うのは、同じ
 房で終身刑を言い渡されている滝川少佐(菅原文太)だった。だが、金田たちは意地でも兼次郎を抹
 殺しようと企んだ。囚人たちの食事に下済をまぜ、下痢をおこさせた後、看護当番に下痢どめ薬を配
 らせ、兼次郎には劇薬を含ませる、というのである。その看護当番は囚人の桑原(潮健児)だったが、
 根が純情な桑原は失敗してしまう。兼次郎が怒るのより早く、囚人たちが、所長のやり口に憤慨し暴
 動を起した。暴動が頂点に達した時、突然久邇宮が現われた。彼はちょうど勃発した上海事変に、勇
 気と度胸のある兼次郎らの出動を申し渡しに来たのだった。かくして兼次郎は上海に向けて出動する
 ことになった。もっとも、最前線に送られて、「弾除け」に利用される(久邇宮本人には与り知らぬ
 ところであろう)ことは知らずに……。

 他に、赤木春恵(志村ふさ=兼次郎の母)、近藤宏(四班の班長)、佐藤京一(工藤=古参兵のひとり)、
藤山浩二(赤松=同)、小林稔侍(新兵のひとり)、山本麟一(4号房の牢名主)、久保浩(夏目=同じく
4号房の囚人)、伊達三郎(青鬼=同)、九段五郎(赤鬼=同)、関山耕司(海坊主=同)、団巌(同)、
山田圭子(西山秋子=三吉の妹)、森みつる(夢子=娼妓)、小林千枝(玉子=同)、穂高稔(侍従武官の
老少佐)、中田博久(立山=監守のひとり)などが出演している。なお、便所に落したものを拾うというシ
ーンは、『陸軍残虐物語』(監督:佐藤純彌、東映東京、1963年)にも描かれている(「日日是労働セレク
ト16」、参照)。ただし、懐中時計ではなく、撃茎(銃砲の撃発装置の一部品。ばねや撃鉄の力によって、
その先端で薬莢底を打ち、雷管を発火させるもの。〈goo 辞書〉より)だった。あるいは、この場面を参考
にしたのかもしれない。

                                                 
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