[SSLの使用について]    ID:  Password: 
ホーム
人間文化学科
国際社会コミュニケーション学科
社会経済学科
人文社会科学科
▼教員一覧
思想系の学問に興味のある人へ
家族研究への布石(映像篇03)
家族研究への布石(映像篇04)
日日是労働セレクト22
日日是労働セレクト26
日日是労働セレクト1-3
家族研究への布石(文献篇01)
思想系の読書の勧め
日日是労働セレクト69
日日是労働セレクト71
家族研究への布石(映像篇10)
恣意的日本映画年間ベスト1
武藤ゼミとはどんなゼミ?
家族研究への布石(映像篇11)
日日是労働セレクト98
日日是労働セレクト106
家族研究への布石(映像篇12)
日日是労働セレクト112
日日是労働セレクト121
家族研究への布石(映像篇14)
家族研究への布石(文献篇05)
日日是労働(臨時版)1703- ...
花摘みの頁<02>
【新選】平成日本映画百選
「高知市民の大学」講演レジュメ集
驢鳴犬吠1804
日日是労働セレクト147
2018年度版「福島原発事故を考え ...
家族研究への布石(映像篇15)
驢鳴犬吠1805
日日是労働セレクト148
日日是労働セレクト149
驢鳴犬吠1806
日日是労働セレクト150
驢鳴犬吠1807
日日是労働セレクト151
驢鳴犬吠1808
日日是労働セレクト152
驢鳴犬吠1809
2018年度版「男女共同参画社会を ...
驢鳴犬吠1810
日日是労働セレクト153
驢鳴犬吠1811
日日是労働セレクト154
日日是労働セレクト155
驢鳴犬吠1812
日日是労働セレクト156
驢鳴犬吠1901
驢鳴犬吠1902
日日是労働セレクト157
日日是労働セレクト158
驢鳴犬吠1903
驢鳴犬吠1904
講義と演習
日日是労働セレクト159
日日是労働セレクト106
 以下に、「日日是労働」のダイジェスト版・第106弾を掲げます。直ぐ下の記事がこの「日日是労働セレク
ト106」の中では最も新しい日付のものです。つまり、読み進めるほど、古い記事になります。ただし、いち
いち明示しませんが、後日に行った加筆訂正を含んだ日があります。日誌ですから、少なくとも後日に加筆
することはご法度であるはずですが、「某月某日」ということもあり、記事内容の充実を優先させました。
ご了承ください。また、頑張って「辛口」の批評を展開しようと務めておりますので、本文に何かと読者の
お気に召さない表現等が散見されるやもしれませんが、特定の個人、団体等を誹謗中傷する目的は一切あり
ませんので、どうぞご理解ください。なお、ご感想は、muto@kochi-u.ac.jp までお寄せ下さい。


 某月某日

 DVDで邦画の『ハチミツとクローバー』(監督:高田雅博、「ハチミツとクローバー」フィルムパートナー
ズ〔アスミック・エース エンタテインメント=集英社=ジェイ・ストーム=電通〕、2006年)を観た。これ
も青春恋愛映画である。どちらかと言うと、くすぐったいタイプか。原作は羽海野チカの漫画の由。小生は
未読である。映画の方は、TSUTAYAで何度も手に取って借りようかと思いながら今まで未鑑賞の作品である。
8年前の作品なので、それなりに時の経過を感じる。まるで定食のような味わいであるが、それはそれでい
い味を出していると思う。
 物語を確認しておこう。例によって〈Movie Walker〉のお世話になる。執筆者に感謝したい。なお、一部
改変したが、ご寛恕を乞う。

   〔解説〕

  人気グループ、嵐の櫻井翔や、話題作への出演が続いている俳優の伊勢谷友介、女優の蒼井優らが
 切ない片思いを熱演。人気少女マンガが原作の、甘く切ないラブ・ストーリー。

   〔あらすじ〕

  手先は器用だが、人間関係は全く不器用な純朴青年・竹本祐太(櫻井翔)。クールで優しい真山巧
 (加瀬亮)。天才的な才能を持ち、突然いなくなってはふらりと帰ってくる奇人・森田忍(伊勢谷友
 介)。彼らは貧乏だが、楽しい学生生活を送る美大生だ。ある日、花本修司先生(堺雅人)の親戚の
 はぐみ(蒼井優)が入学してきた。可憐な容姿に似合わずダイナミックな絵を描くはぐみに、竹本は
 一目ぼれ。そして森田もまた、はぐみに恋をする。一方、真山はバイト先の建築デザイナー、原田理
 花(西田尚美)に密かな想いを寄せる。亡き夫(田辺誠一=写真のみの出演)の影を追う理花への想
 いを止められない真山を見つめるのは、陶芸科に在籍の山田あゆみ(関めぐみ)だ。天才少女として
 学校では敬遠されがちなはぐだったが、竹本やあゆと出会い、少しずつなじんでいった。しかし、担
 当の幸田先生(銀粉蝶)からオスロー国際ビエンナーレに向けて、自分の描きたい絵とは違う絵を描
 くよう言われて戸惑う。花本先生は心配しながらも、はぐに自分の好きなように描けばいい、とアド
 バイスする。作品作りに精を出すはぐに刺激され、自分も作品制作に打ち込む森田。一方、あゆは理
 花を尾行する真山の後を尾けてしまう。偶然にも3人でお茶をすることになり、あゆは真山の理花へ
 の想いを目の当たりにして深く傷つく。その一件以来、自分を避けるあゆに対して、真山は「他の男
 を好きになれ」と言ってしまう。告白する前にふられたあゆ。しかし真山もまた理花からクビを言い
 わたされ、あゆと同じ思いを味わうことに。そんな中、森田の個展が開催され、一躍マスコミの注目
 を浴びる森田だが、スランプに陥ったはぐを連れ出し、納得いかない自分の作品に火をつけて燃やす。
 竹本は先の見えない自分の将来と恋に悩んだ挙句、自転車で旅に出る。あゆは勇気を出して真山に告
 白し、真山にも理花へ告白するよう促す。不器用ながら彼らはそれぞれに成長し、旅から戻ってきた
 竹本は、はぐに自分の想いを伝えるのだった。

 他に、堀部圭亮(藤原ルイジ=兄)、宮崎吐夢(藤原マリオ=弟)、利重剛(喫茶店「風待ち通り」マス
ター)、春田純一(刑事)、清水ゆみ(TVレポーターのイケメンハンター)、池田鉄洋(デザイナー)、真
島啓(永田慶=美術評論家)、中村獅童(宮大工)、浜野謙太(焼肉パーティーで肉の歌を唄う男)などが
出演している。さまざま意匠が凝らされているが、「さもありなん」という感じで、新風を感じることはな
かった。黒猫がときどき登場するが、ボカシがかかっており、その点が新工夫といったところか。ところで、
若者は何かというと直ぐに海を見に行きたがるが、少し謎である。


 某月某日

 DVDで邦画の『婚前特急』(監督:前田弘二、「婚前特急」フォルム・パートナーズ〔ビターズ・エンド=
ショウゲート=バンダイビジュアル=アミューズメントソフトエンタテインメント=KDDI=ロボット=マッ
チポイント=竹書房=オゾンネットワーク=リンダパブリッシャーズ〕、2011年)を観た。今年のテーマは
恋愛映画であるが、まさにそのままの作品。ただし、純愛映画の『潮騒』を観たばかりなので、「半世紀も
経つと恋愛模様もだいぶ変わるんだな」としか言いようがない。『潮騒』の初江が当該作品の主人公である
チエのような女性ではそもそも物語は成立しないだろう。鑑賞しながら連想したのは、漫画の『ハッピー・
マニア(Happy Mania)』(安野モヨコ 作、月刊雑誌「FEEL YOUNG」連載、祥伝社、1995年)の主人公であ
る重田加代子(愛称:シゲカヨ)だ。小生は単行本で読んだが、女性の間ではだいぶ話題になった作品らし
い。若い女性が、セックスを含めて、本音を吐いた作品とも言えよう。なお、映画化こそされていないが、
TVドラマ(主演:稲森いずみ、フジテレビ、1998年)にはなっている由(ウィキペディア)。
 さて、物語を確認しておこう。例によって〈Movie Walker〉のお世話になる。執筆者に感謝したい。なお、
一部改変したが、ご寛恕願いたい。

   〔解説〕

  恋に奔放なOLが“たった一人のほんとうの相手”を探して奔走する、ドタバタ婚活コメディ。『蛇
 にピアス』で演技力を高く評価された吉高由里子が、見た目はいいが性格は最悪のヒロインに扮して
 弾けたコメディ・センスを発揮。加瀬亮、榎木孝明、バンド「SAKEROCK」の浜野謙太らバラエティ豊
 かな彼氏たちの配役も見どころだ。

   〔あらすじ〕

  24歳のOL池下チエ(吉高由里子)は時間を有効に利用して人生を堪能するために、5人の男と付き
 合っている。仕事の愚痴を言うのは包容力のあるバツイチの西尾みのる(加瀬亮)、旅行に行くのは
 リッチな年上の三宅正良(榎木孝明)、スカッとしたいときはバイク乗りの出口道雄(青木崇高)、
 癒されたいときは年下の野村健二(吉村卓也)、ラクしたいときは気取らずにいられる田無タクミ
 (浜野謙太)と、TPOに応じてさまざまなタイプの彼氏がいた。そんなある日、親友の浜口トシコ(杏)
 が長年付き合っていた彼氏(吉岡睦雄)の子どもを身ごもり、結婚することに。トシコはチエにも結
 婚を勧めるが、チエはまだその気になれない。しかし結婚式でトシコ夫妻の幸せそうな姿を見たチエ
 は、自分の彼氏たちを査定する。チエが男たちのメリットとデメリットを手帳に書き込んでいると、
 トシコから電話が入る。トシコから、査定して残った男との結婚を勧められたチエは、最後に残った
 人が自分の“ほんとうの相手”かもしれないと思う。まず、デメリットだらけの田無と別れることに
 したチエだったが、田無はチエと付き合っていると思っていなかった。田無にフラれたことに愕然と
 したチエは、思い切り自分に惚れさせてフッてやる、と憤る。そんななか、他の男たちともしっくり
 いかなくなる。ある日チエは、トシコ夫妻の家に泊まる。朝食の準備をしながら交わす夫婦の何気な
 いやりとりを見たチエは、自分のほんとうの相手を探そうと決心する。

 他に、石橋杏奈(奥田ミカ)、宇野祥平(堀アキラ)、白川和子(田無の住んでいるアパートの隣室の老
女)などが出演している。
 以下に、チエの査定の中身を記してみよう。

  西尾みのる(食品会社営業部長、33歳、離婚歴あり)

   メリット:同じ営業職、経験豊富。グチやになるほどっと思える助言をくれる。割と何でも話せる。
   デメリット:前妻との間に子供あり。酔うと説教じみてくる。

  出口道雄(レストア・バイク・ショップ経営、29歳、独身)

   メリット:店は道楽でやっている為、時間が自由になる。
   デメリット:凝り性だが、飽きっぽく、すぐに変わる趣味に付き合わされる。

  三宅正良(3店舗ある美容室ののオーナー、54歳、既婚)

   メリット:研修と称して、ちょくちょく旅行に連れて行ってくれる。
   デメリット:妻を言い訳に最近よく約束を破る。

  野村健二(大学生、19歳、独身)

   メリット:若くてかわいい。
   デメリット:先々、自分の歳が気になりそう。

  田無タクミ(奥田製パン工場の工員、26歳、独身)

   デメリット:小太り。盗癖がある。ずうずうしくいい加減。家が風呂無し。時々、意味なく鼻血を
         出す。しゃべっていることに1つもうなずけない。散歩以外のデートに誘ってこない。
         人の話を聞かない。将来性ない。つまらないギャグを連発するが、それが結構ウケて
         いると思い込んでいる。人気者ぶるが友達はいない。
   メリット:楽。

 以上である。さて、選んだ人は誰でしょう?


 某月某日

 DVDで邦画を3本観たのでご報告。1本目は、『嗚呼!! 花の応援団 役者やのォー』(監督:曾根中生、日
活、1976年)である。原作はどおくまんプロ(どおくまん、太地大介、みわみわ、小池たかし)の同名漫画
である。当時、小生も熱狂的に支持した漫画である(『週刊漫画アクション』、1975年より連載)。なにし
ろ、主人公の青田赤道の破天荒ぶりは他に例がなく、さらに大学応援団のハチャメチャな生態が底抜けで楽
しかったからであろう。「クエッ、クエッ、クエッー!」、「チョンワ、チョンワ!」、「ガビーン!」、
「ねんのねん」、「ちゃんちゃこりん」などの彼の言葉。それに加えて、南河内大学応援団OBの薬痴寺先
輩の「役者やのォー」(当該映画の副題に採用されている)、同じく剛田先輩の「団の面目丸つぶれ」など、
腹を抱えて笑ったものである。また、赤道の目が極端に飛び出して螺旋状に渦を巻いたり、舌が蛇のように
伸びたりして、そのデフォルメも半端ではなかった。さらに、これまでヒーローたるもの女性関係はご清潔
というのが相場だったのに対して、赤道はその点でも飛び抜けていた。つまり、名うての女好きなのである。
もっとも、彼に首ったけの質屋の娘であるみすずチャンは苦手中の苦手である(誰でもそうだろうが……)。
そのみすずチャンのキャラも捨てがたく、とにかく無茶苦茶なところがよかった(「便所の落書」という評
もある〔ウィキペディア〕)。もちろん、ギャグだけではなく、ときに人生の機微に触れる描写もあって、
いかにも昭和の匂いがする作品と言えよう。
 さて、そんな漫画(劇画)であるが、都合4度映画化されている。当該映画はその2作目である。1作目
は『嗚呼!! 花の応援団』(監督:曾根中生、日活、1976年)であるが、これは当時映画館で観ている。あ
まり印象はないが、つまらないわけではなかったと思う。『ぴあシネマクラブ 日本映画編 2005-2006年版』
にシリーズ全体に関する記事が出ているので、それを引用させていただく。執筆者に感謝したい。わずかで
あるが、改変したことをご寛恕いただきたい。

   「嗚呼!! 花の応援団」シリーズ

  どおくまんプロ原作により同名の劇画が異常ともいえるブームを呼び、日活が急遽映画化。1976-77
 年に3本がつくられ大ヒットした。監督は日活ロマンポルノの鬼才で鈴木清順門下の曾根中生、脚本
 が田中陽造。曾根=田中コンビの代表作となった。“1年ゴミ、2年奴隷、3年人間、4年神様”の
 徹底的タテ社会の南河内大学応援団。その親衛隊隊長の青田赤道が“クエッ、クエ”と奇声を発し、
 “チョンワ、チョンワ”と飛び回る、日本映画史上珍しいナンセンス・パロディ作品となった。原作
 の“ヘタウマ”調を貫くために、主人公の青田役には毎回ズブの素人を起用(今井均、井上治之、本
 間進)。2作目から出演のOB・薬痴寺センパイ(なぎらけんいち)の怪演ぶりはあっけにとられる
 ばかり。反動的な社会を逆手にとってナンセンス化してみせた、異色のシリーズである。

 以上であるが、実は平成になってから、もう1度映画化されている(筆者、未見)。『嗚呼!! 花の応援団』 
(監督:高瀬將嗣、「嗚呼!! 花の応援団」製作実行委員会、1996年)である。機会があったら観てみたい。
 さて、本作の物語を確認しておこう。例によって<Movie Walker>のお世話になる。執筆者に感謝したい。
なお、一部改変したが、ご寛恕を乞う。

   〔解説〕

  南河内大学の応援団を舞台に、喧嘩には強いが女にはめっきり弱い親衛隊隊長を主人公にしたナン
 センス喜劇。原作はどおくまんプロの同名劇画。今回は第二作目で主人公・青田赤道も二代目。脚本
 は前作の「嗚呼!! 花の応援団(1976)」の田中陽造、監督も前作同様に曽根中生、撮影は『団地妻
 (秘)出張売春』の山崎善弘がそれぞれ担当。

   〔あらすじ〕

  チョット頭のたらない河内八郎太(松田茂樹)。大学の応援団は天国という話を耳にした。女は抱
 き放題、授業はでなくても単位はとれる。そこで八郎太は応援団に入団した。幹部連中は入団費が入
 るとウハウハ喜んだが、何とこの八郎太が大阪一の暴力団「悪心会」会長の河内一郎(山本麟一)の
 孫と聞き、さすがの幹部も手も足も出せず、八郎太の言いなりだった。そこに何も知らない青田赤道
 (井上治久)が登場。八郎太に犬になれと命令された青田は八郎太を頭からガブリとやってしまった。
 そこで、八郎太に引き連れられて、悪心会のメンバーがやってきたからさあ大変……。さてそうこう
 しているうちに、夏の合宿が始った。青田と剛田先輩(放駒清一=元 竜虎)が遅れて参加するのを良
 いことに、薬痴寺(なぎらけんいち)と幹部連中は連日連夜に亙っての凄まじいシゴキを行った。一・
 二回生はヘトヘトになり、とうとう合宿所から脱走を試みる事件が起きた。さて青田が、泉北大相手
 に大暴れしたのが原因で、泉北大学は、全校上げて南河内大に挑戦してくるという問題が起きた。た
 またま両校でラグビーの決勝戦が行なわれることになった。決勝戦ともなれば大団旗を掲げねばなら
 ないが、親衛隊長の青田は、バーのホステス貴子(宮井えりな)に熱を上げ、大団旗を質に入れて100
 万円を貢いでしまった。そんな矢先、一回生の北口良一(深見博)は、応援団員としての自信をなく
 し、ふと知り合ったストリッパーの花園ローズ(片桐夕子)と仲良くなり、その日以来、学校へも顔
 を出さなくなった。北口はただひたすらヒモ修業に励んでいた。そして、ローズと北口は地方巡業に
 旅立っていった。さて、上述のラグビーの試合が始ってみると、泉北大は南河内大学を圧倒。99対0の
 スコアまで追い込まれた。一方、問題の大団旗は新子(宮下順子)の気転で無事。しかも、張本人の
 青田は、南河内大のラガーとしてグランドへ登場。彼の縦横無尽の活躍で100対99と逆転したのだった。

 他に、香田修(富山一美=南河内大学応援団一回生)、沢田情児(木村=同じく団長)、坂田金太郎(下
村=同じく副団長)、本間進(小川=同じく統制部長)、堀礼文(柏原=同じくリーダー長)、野崎英則
(小林=同じく二回生)、檀喧太(前田=同じく一回生)、高瀬将嗣(村上=同じく一回生)、川畑信三
(田村=同じく一回生)、中尾繁(小池=同じく一回生)、山田順一(中島=同じく一回生)、大門立花
(川崎)、高木公男(山尾)、殿山泰司(小林質店店主)、五條博(勝彦)、千うらら(みすずチャン)な
どが出演している。日活ロマンポルノ全盛の頃で、その多くを手掛けた曾根監督だけに、宮下順子、片桐夕
子、宮井えりななどの当時の人気女優を出演させているところがミソ。とくに、ストリッパー役の片桐夕子
には哀愁が漂っていた。
 2本目は、『嗚呼!! 花の応援団 男涙の親衛隊』(監督:曾根中生、日活、1977年)である。主人公の青
田赤道役は本間進に替わっている。彼は、前作では統制部長の小川役を演じていた人である。風貌は明らか
に今井均や井上治久の方が主人公に似ているが、彼は彼で別の味を出している。
 物語を確認しておこう。これも<Movie Walker>のお世話になる。以下、同じ。

   〔解説〕

  シリーズ第三作目。青田赤道も第三代目で、今回も学生らしい純情さと硬派精神を南河内大学応援
 団を中心に描く。脚本は『嗚呼!! 花の応援団 役者やのォー』の田中陽造、監督も同作の曽根中生、
 撮影は『発禁本「美人乱舞」より 責める!』の森勝のそれぞれが担当。

   〔あらすじ〕

  桜も満開。お花見シーズン到来。南河大応援団も花見を開くため、徹夜で、北口(深見博)、富山
 (川畑信三〔前作では田村役〕)、小林(野崎英則=二回生)の三人が席とり。しかし、そこは団員
 数二百人の浪華大応援団が例年使っている場所であり、あわやというところを南河大親衛隊隊長・青
 田赤道(本間進)に救われる(その経緯は映画では描かれていない)。青田には、ミス日本(白川い
 づみ)との見合いの話があり、ちょうどその頃、青田のまわりを黒メガネの男(谷本一)がつきまと
 っており、青田は、自分の素行調査のためにやとわれた私立探偵と思い、いつものメチャクチャな行
 動を慎む。しかし、その男は、「醜悪人間愛好症」という病気の人間であった。そろそろ試験シーズ
 ン。青田といえども試験だけは受けなければならないが、青田は、北口、富山らに科目別の代役を命
 じる。しかし、新任の助手である石部(河原崎長一郎)はガチガチの男で、青田の替玉作戦を見やぶ
 りゆるさなかった。しかし、彼も青田の前にやられてしまうのであった。青田の父・玄道(陶隆司)
 が、剣道の試合のために上阪。決勝での相手は、浪華大師範の千藤七段(役者、不詳)。さすがの玄
 道も年齢にはかなわず、かなりの疲労。互いに一本づつ取ったが、相手の攻撃にたじたじの玄道。そ
 の時、赤道の一声により、玄道は逆転勝ち。今まで、散々青田にいためつけられてきた浪華大は腹の
 虫がおさまらない。しかし、団長の角木(神戸誠)の命令により、青田父子にエールをおくる。その
 エールに合わせ、赤道は玄道を抱いて夕陽に向かって歩いていった。

 他に、沢田情児(木村=団長)、坂田金太郎(下村=副団長)、堀礼文(小川=統制部長〔前作はリーダ
ー長の柏原役〕)、松田茂樹(柏原=リーダー長〔前作は河内八郎太役〕) 、高瀬将嗣(村上=一回生)、
檀喧太(前田=一回生)、中尾繁(小池=一回生)、蔵内秀樹(中島=一回生〔前作は山田順一が演じてい
た役〕)、竜虎(剛田=OB)、なぎらけんいち(薬痴寺=同)、宮下順子(新子=玄道の妾)、折口亜矢
(品川良子=剛田の彼女、小林の恋の相手)、泉じゅん(百恵)、坂本長利(五十嵐教授)、高木公男(浪
華大応援団員A)、磯敏也(同じくB)、中平哲仟(黒背広の男A)、庄司三郎(同じくB)、木島一郎
(剣道の審判員)、岡尚美(ミニスカートの女)、絵沢萠子(アルサロのホステス)などが出演している。
曾根監督はDVDのインタビューに答えて、この第3作をけっこう自賛していたが、営業上のリップ・サーヴ
ィスであろう。
 3本目は、『潮騒』(監督:森永健次郎、日活、1964年)である。この作品は5回映画化されている。以
下に、そのラインナップを記しておこう。

   『潮騒』(監督:谷口千吉、東宝、1954年)〔筆者、未見〕、新治:久保明、初江:青山京子。
   『潮騒』(監督:森永健次郎、日活、1964年)、新治:浜田光夫、初江:吉永小百合。
   『潮騒』(監督:森谷司郎、東宝、1971年)〔筆者、未見〕、新治:朝比奈逸人、初江:小野里みどり。
   『潮騒』(監督:西河克己、東宝=ホリプロ、1975年)、新治:三浦友和、初江:山口百恵。
   『潮騒』(監督:小谷承、ホリ企画制作、1985年)〔筆者、未見〕、新治:鶴見辰吾、初江:堀ちえみ。

 百恵=友和版(「日日是労働セレクト74」を参照)と当該作しか観ていないが、映画化しやすい物語で
はないだろうか。古代ギリシアの散文作品『ダフニスとクロエ』に着想を得て書かれた作品の由。小生も岩
波文庫版(『ダフニスとクロエー』、ロンゴス 著、松平千秋 訳、岩波文庫、1987年)で読んでいるが、も
う少し大胆な物語だった気がする。三島作品としても軽快な青春小説は珍しく、『禁色』のようなデカダン
小説ではない作品を書きたかったようだ。なお、当時の三島が水産庁に頼んで物語に相応しい島を探しても
らったそうである(ウィキペディア)。そこで選ばれたのが、三重県にある神島である。小説では「歌島」
と名前が変えられているが、当該作品では実在する神島の名前を用いている。
 物語を確認しておこう。この作品も〈Movie Walker〉のお世話になる。以下、同じ。

   〔解説〕

  三島由紀夫の同名小説を『浅草の灯 踊子物語』の棚田吾郎と『真白き富士の嶺(1963年)』の須藤
 勝人が共同で脚色、『こんにちわ20才』の森永健次郎が監督した文芸もの。撮影もコンビの松橋梅夫。

   〔あらすじ〕

  神島は伊勢海に面する周囲一里にもみたない小島である。そこでは、男たちは漁(漁獲量の8割は
 タコ漁)に出、女たちは海女となって貝をとった。漁師の息子久保新治(浜田光夫)は、今日も太平
 丸に乗って浜に帰ってきた。そこで新治は舟を引きあげようとする船主宮田照吉(石山健二郎)の末
 娘初江(吉永小百合)に会い、手をかして舟を引きあげてやった。新治は浜にあがると、山の手にあ
 る灯台長(清水将夫)のところにヒラメを届けにいった。しかしそこで新治は、もらったばかりの給
 料を浜で落したことに気づき、あわてて引きかえした。浜には、そんな新治を、笑いながらも、給料
 袋をひろって家に届けてくれた初江がまっていた。家に帰っても新治は、初江の美しい瞳が忘れられ
 なくなっていた。そんな新治の様子を察した母トミ(清川虹子)は、初江が「高嶺の花」であること
 を言いきかせた。だが新治は、初江のことを想いぼんやりする日が多くなった。そんなおり、弟から、
 初江の婿になるのは、東京の大学を出て島に帰って来た川本安夫(平田大三郎)だという噂を聞いた。
 ある日、新治は、林の中の「観的哨跡」でマムシにかまれた初江を助けてやり、漁の休みの日に再会
 を約した。やがて漁が休みの嵐の日に、二人は観的哨跡で会った。ずぶぬれになった二人は互いに着
 物を脱いで焚火をかこみ自然に唇が触れ合った。数日後、初江は水汲みにいった林の中で、安夫に襲
 れた。新治に好意を寄せる灯台長の娘千代子(松尾嘉代)が、新治と初江の仲のいいのをみて、ある
 ことないこと安夫に告口したのだった。噂は島中にひろがり、二人は照吉によって会うことを禁じら
 れた。しかし、一人前の漁師になるために、新治は嵐の中を海に飛び込み、ロープで沖に流されかけ
 た神島丸船をつなぎとめて、船を救った。照吉も、もはや二人の仲をさこうとはしなかった。

 他に、菅井一郎(大山十吉=太平丸の船長)、前野霜一郎(林竜二=同じく乗組員)、衣笠真寿男(川本
隆一=安夫の兄)、高橋とよ(お春婆さん)、原恵子(灯台長の奥さん)、光沢でんすけ(若い者A)、高
緒弘志(若い者B)、井田武(若い者C)、渡辺節子(海女)、天坊準(小学校の先生)、青木富夫(吏員)、
澄川透(竹さん)、榎木兵衛(宮田家の使用人)などが出演している。物語と一切関係がないが、林竜二役
の前野霜一郎は、いわゆる「児玉誉士夫邸セスナ機特攻事件」の張本人である(ウィキペディア)。本作で
は気のいい若者を演じているが、その後いったい何があったのだろうか。なお、石山健二郎、菅井一郎、清
川虹子、高橋とよなど、この作品の脇を固めている俳優陣の演技は堂に入ったものであった。


 某月某日

 DVDで邦画の『暖簾』(監督:川島雄三、宝塚映画、1958年)を観た。川島監督の作品だけに期待して観た
が、期待以上の出来であった。「傑作」といってもよいだろう。以下に、小生が鑑賞済みの川島監督作品を
挙げてみよう。

   『愛のお荷物』、監督:川島雄三、日活、1955年。
   『あした来る人』、監督:川島雄三、日活、1955年。
   『銀座二十四帖』、監督:川島雄三、日活、1955年。
   『洲崎パラダイス 赤信号』、監督:川島雄三、日活、1956年。
   『風船』、監督:川島雄三、日活、1956年。
   『わが町』、監督:川島雄三、日活、1956年。
   『幕末太陽傳』、監督:川島雄三、日活、1957年。
   『暖簾』、監督:川島雄三、宝塚映画、1958年。
   『グラマ島の誘惑』、監督:川島雄三、東京映画、1959年。
   『女は二度生まれる』、監督:川島雄三、大映東京、1961年。
   『花影』、監督:川島雄三、東京映画、1961年。
   『雁の寺』、監督:川島雄三、大映京都、1962年。
   『しとやかな獣(けだもの)』、監督:川島雄三、大映東京、1962年。

 もちろん、すべての作品を文句なしに気に入っているわけではないが、いずれも味わい深い作品ばかりで、
彼の人間性がじわっと伝わって来る。本作は彼(1918年生れ)が40歳のときのものなので、まさにアクメー
(脂の乗り切った頃)における傑作といえよう。また、森繁主演の映画はあまたあるが、いずれも豊田四郎
監督作品である、『夫婦善哉』(監督:豊田四郎、東宝、1955年)、『駅前旅館』(監督:豊田四郎、東京
映画=東宝、1958年)、『恍惚の人』(監督:豊田四郎、芸苑社、1973年)などの傑作群と比べても、遜色
のないものといえる。久し振りに映画らしい映画と出遭った喜びを感じた。もっとも、この手の大阪商人の
一代記(実際には親子二代に亙るが)は掃いて捨てるほどあり、その点では新味はないが、実に細かいとこ
ろまで丁寧に作ってあるので、後のTV作品のお手本になったと考えられる。原作は山崎豊子であるから、
その点でも一流の作品である。
 さて、物語を確認しておこう。例によって<Movie Walker>のお世話になる。執筆者に感謝したい。なお、
一部改変したが、ご寛容いただきたい。

   〔解説〕

  山崎豊子の原作を劇化した菊田一夫の戯曲を、さらに『負ケラレマセン勝ツマデハ』の八住利雄と
 川島雄三が脚色、『女であること』の川島雄三が監督、『口から出まかせ』の岡崎宏三が撮影した文
 芸映画。主演は『恋は異なもの味なもの』の森繁久彌、『四季の愛欲』の山田五十鈴、『弥次喜多道
 中記』の乙羽信子。

   〔あらすじ〕

  八田吾平(頭師孝雄)が、たった三十五銭をにぎって淡路島から大阪へ飛び出して来たのは十五歳
 の時のこと。ふとしたことから昆布屋の主人、浪花屋利兵衛(中村鴈治郎)に拾われてから十年、吾
 平は大阪商人の土性骨とド根性をいやというほどたたき込まれた。吾平が二十五歳の時(森繁久彌)、
 主人利兵衛から暖簾を分けられた。先輩の番頭をさしおいて。吾平の夢はふくらんだ。丁稚の昔から
 何くれとなく心をつかってくれるお松(竹野マリ/乙羽信子)と一緒になれると思って。ところが、
 利兵衛は、吾平を見込んで姪の千代(山田五十鈴)を押しつけて来た。これには吾平も驚いたが、つ
 いに千代と結ばれた。しかし利兵衛が見込んだだけあって千代は立派な嫁であり、吾平も頑張った。
 昭和九年、すでに吾平も一人前の昆布商人になっていた。ところが、ようやく飛躍しようとする矢先、
 台風と水害が襲った。しかしこれも千代の助けで、「暖簾は大阪商人の魂だす、これ程確かな抵当は
 おまへん」という吾平の捨て身の交渉で銀行からの融資がつき、切り抜けた。それから十年、わいの
 女房が自由にならへんのと同じやとぼやく吾平を尻り目に、戦争はすべてを奪い去った。敗戦──今
 は荷受組合の役員としてわずかに昔をしのぶ吾平の前に、もっとも頼みにしていた長男の辰平(小原
 新二)は再び現われなかった。しかし、思いもかけぬ呑気坊主の次男、孝平(森繁久彌=二役)の活
 躍で株式会社浪花屋は再建された。商売のやり方が当世風に華美なのが吾平には気に入らなかった。
 しかし、華々しく浪華屋の店開きがあった日、突然の病魔に倒れた吾平の頬には微笑がただよってい
 た。あたかも、客を迎えるかのように──。波瀾に富んだ吾平の一生は終った。しかし、暖簾の伝統
 は強く受けつがれるだろう。

 他に、頭師正明(八田孝平=十七歳)、環三千世(年子=孝平の妹)、渡辺昇子(年子=十二歳)、浪花
千栄子(浪花屋きの=利兵衛の妻)、山茶花究(信之助=同じく息子)、汐風享子(ゆき=信之助の妻)、
海老江寛(清助=浪花屋本家の番頭)、田武謙三(定吉=浪花屋分家の番頭)、畑義温(定吉=十五歳)、
吉川雅恵(定吉の女房)、内藤栄造(松吉=浪花屋分家の丁稚)、中村メイコ(のぶ子=荷受組合の事務員、
後の孝平のフィアンセ)、夏目俊二(城口)、山路義人(闇市の親爺)、嵐三右衛門(北吉=荷受組合組合
長)、山田周平(夜なきうどん屋)、万代峯子(せき=関東煮屋)、森金太(番頭吉助=浪花屋本家の奉公
人)、原耕次(手代=浪花屋本家の奉公人)、尾小山安治(手代=浪花屋分家の奉公人)、千葉万紀子(芸
者)、森明子(同)、牧野児朗(艶歌師)、中塚雅哉(中僧=浪花屋分家の奉公人)、浮世亭歌楽(昆布業
者)、山村弘三(同)、千葉保(立会人)、沖登志男(世話人)、湊武雄(同)、竹本政之(信之助=子ど
も時代)などが出演している。
 利兵衛に貰った掛軸の文字は「忍堪事何(なにごともかんにん)」である。闇米の値段が出て来る。孝平
によれば、大阪梅田が130円、三の宮が120円、天満筋が125円。単位が分からないので、どんな値段なのか
判明ではない。同じく、塩昆布の値段が出て来る。100匁で600円。最上の原料、最上のたまり、最上の醤油
を使ったものである。大阪で最上のヘレ肉が100匁で500円だから、べらぼうに高い昆布である。吾平が丁稚
の頃ならば、600円貯めるのに6年かかった由。孝平は、東京ならばこの値段が付けられるというが、吾平に
とっての昆布は贅沢品ではないから、安くて旨いものでなければならない。ここでも親子の衝突がある。千
代が、浪花屋の昆布を喩えて、浄瑠璃ならば紋下、歌舞伎ならば座頭の芸と語るシーンがある。暖簾を分け
た老舗の看板を背負っているからである。さらに、昆布の入札シーンがある。何のことかは分らないが、下
に記しておこう。

   尻岸(しりきし) 走り1等 500貫 済度20日
   川汲(かっくみ) 走り1等 1,000貫 済度30日
   尾札部(おさっぺ) 走り1等 2,000貫 済度30日

 その他、「外食券食堂」の文字が出てきたり、「闇市」などが描かれている。新円の「聖徳太子が情けな
い顔をしている」という吾平の台詞もあった。1958年といえばまだ昭和33年。かなり復興していた時期とは
いえ、まだまだ戦争の傷跡が残っていたと思われる。70歳すぎの人には、「ラッキーストライク」という洋
モクも懐かしいのではないか。もっとも、今でも流通しているはずだが……。


 某月某日

 DVDで邦画を2本観たのでご報告。1本目は『白昼の死角』(監督:村川透、東映東京、1979年)である。
高木彬光の原作は読んでいたが、映画の方は初見である。「光クラブ事件」がモデルであるが、同じ題材を
用いて創作された三島由紀夫の『青の時代』よりも数段面白いと感じたものである。以下、その光クラブ事
件についての記事を<ウィキペディア>から引用してみよう。執筆者に感謝したい。なお、ほぼ原文通りであ
る。


 ********************************************

   光クラブ事件:1948年に東京大学の学生による闇金融起業が法律違反によって警察に検挙された事件。
          「アプレゲール犯罪」の1つとされる。

   概説

  1948年(昭和23年)9月、東大生の山崎晃嗣(やまざきあきつぐ)は、友人の日本医科大生三木仙也
 とともに貸金業「光クラブ」を東京中野の鍋屋横丁に設立。社長は山崎、専務は三木、常務は東大生、
 監査は中大生であった。周囲の目を引く画期的な広告を打ち、多額の資金を調達することに成功。集
 めた資金を商店、企業などに高利で貸し付けた。学生、それも東大生が中心となって経営を行ってい
 るということが業界で注目され開業4ヶ月後の1949年(昭和24年)1月には、資本金400万円、社員30
 人を擁する会社にまで発展する。
  しかし、同年7月4日に山崎が物価統制令違反で逮捕(後に不起訴)されると同時に出資者の信用を
 失い、業績が急激に悪化。その後、名称のみ変更してさらに資金を集めようと図るも成功せず、11月
 24日深夜、約3,000万円の債務を履行できなくなった山崎は、本社の一室で青酸カリをあおり、下記の
 遺書を残して服毒自殺した。

  1.御注意、検視前に死體(体)に手をふれぬこと。法の規定するところなれば、京橋警察署にただ
    ちに通知し、検視後、法に基き解剖すべし。死因は毒物。青酸カリ(と称し入手したるものなれ
    ど、渡したる者が本當(当)のことをいったかどうかは確かめられし)。死體はモルモットと共に
    焼却すべし。灰と骨は肥料として農家に賣(売)却すること(そこから生えた木が金のなる木か、
    金を吸う木なら結構)。
  2.望みつつ心安けし散るもみじ理知の命のしるしありけり。
  3.出資者諸兄へ、陰徳あれば陽報あり、隠匿なければ死亡あり。お疑いあればアブハチとらずの
    無謀かな。高利貸冷たいものと聞きしかど死体さわればナル……氷カシ(貸─自殺して仮死にあ
    らざる証依而如件 よってくだんのごとし)。
  4.貸借法すべて清算カリ自殺。晃嗣。午後一一時四八分五五秒呑む、午後一一時四九分……

   首謀者・山崎晃嗣

  山崎は、医師・木更津市市長だった山崎直の五男。1923年10月、木更津市に生まれる。旧制木更津
 中(現・千葉県立木更津高等学校)から一高を経て1942年に東京帝国大学法学部に入学するが、学徒
 出陣により陸軍主計少尉に任官。北海道旭川市の北部第178部隊の糧秣委員として終戦を迎える。戦時
 中、上司の私的制裁により同級生を亡くすが、上官の命令により秘密にさせられた。
  終戦の際に、上官の命令で食糧隠匿に関与するが、密告によって横領罪で逮捕。上官を庇って懲役
 1年6ヶ月・執行猶予3年の判決を受けるが、尋問時に警察から虐待された上、事前に約束された分
 け前に与ることが出来ず、同級生の死と共にこの事件の深い失望や虚無感が後々の山崎の人生や「人
 間はもともと邪悪」と記された彼の遺書に影響する。
  東大復学後は全ての科目で優を取ろうと猛勉強し、勉強や睡眠・果てはセックスに至るまで、細か
 く分刻みにスケジュールを記録していった。結局、全ての科目で優を取るという当初の目標は達成さ
 れなかったものの、偏執狂的とも言えるスケジュールをつける習慣は、死の直前まで続いていた。

   対人関係

  大学構内ではほとんど人と接しようとはせず、ある知人は同じような振る舞いをしていた平岡公威
 (後の三島由紀夫)と共に印象に残った、と証言している。彼が心を許した友人はごく少数で、その
 うちの一人に上記の同級生の死の真実を告白している(この事実は保坂正康の評伝により公にされた)。
  また、女性関係も奔放で愛人が6人いたものの、恋愛とかプラトニック・ラブとかいう感情とは全
 く無縁で、「誠意とはいいわけと小利口に逃げることである。私の誠意を見てくださいという言葉ほ
 ど履行されぬものはない。人は合意にのみ拘束される」と愛人の1人に告白している。結局、税務署
 官の恋人だった秘書の内通により、山崎は検挙されることとなる。
  実業家藤田田は、東大で山崎の一級下でありクラブへの出資者でもあった。自殺直前の山崎から資
 金繰りに行き詰まったことを相談された藤田は「法的に解決することを望むなら、君が消えることだ」
 と言った。

   その他

  山崎の死後、彼が残した手記が『私は天才であり超人である 光クラブ社長山崎晃嗣の手記』(1949
 年)、『私は偽悪者』(1950年)の名前で刊行された。このうち、『私は偽悪者』は牧野出版から復
 刻されている(ISBN 978-4895000901)。
  2007年10月26日、東京・神田神保町の神田古書店街で開かれた古本まつりに、光クラブ設立前夜の
 金融業を始める以前の1946年3月から1947年12月までの1年半余にわたる日記が出品された。
  生家は現在、木更津市が管理する山崎公園となっている。

   光クラブをモデルにした作品

  小説

  『青の時代』(三島由紀夫 著)
  『悪の華』(北原武夫 著)
  『東京の門』(田村泰次郎 著)
  『白昼の死角』(高木彬光 著)。1979年に映画化。
  『虚業集団』(清水一行 著)

手形パクリ屋の芳賀龍生がモデルとなっているが、三木をモデルとした人物も登場する。

   ドラマ

高木彬光シリーズ 白昼の死角(TBS系にて放送毎日放送制作)(1979年8月-9月)

主演 渡瀬恒彦 鶴岡七郎 役、山崎をモデルとした隅田光一役は山本圭が演じた。

『蒼い光芒』(NHKで連続ドラマ化、1981年(全4回))

山崎役は根津甚八。

火曜サスペンス劇場 夢を喰った男(日本テレビ、1990年11月27日)

山崎(役では江崎)役は佐藤浩市、三木(役では佐々木)役は段田安則が演じた。

ザ!世界仰天ニュース 緊急特別版 落ちた偶像?光クラブ事件(日本テレビ、2006年6月28日)

山崎役は萩原聖人、三木役は加藤晴彦が演じた。

わが家の歴史(フジテレビ、2010年4月9日-4月11日)

  登場人物として、山崎をモデルにした「宮崎正志」という東大生が「太陽グループ」を作ったとい
 う描写がある。演者は岡田将生。

   備考

  光クラブの元社員たちの中には、三木仙也を始めその後同様の高利貸しを営む者が出た。
  東京大学出身のエリートが起業して知能犯罪を犯すという典型として、その後も光クラブ事件にな
 ぞらえる新聞・雑誌記事などが散見される。1988年のリクルート事件では、清水一行がリクルート創
 業者の江副浩正について言及する際に山崎を引き合いに出している。また、2006年1月のライブドア事
 件でも、ライブドア社長であった堀江貴文が逮捕された際に同様の反応が出た。しかし、山崎の評伝
 を著した保阪正康は、人生観などから見て山崎と堀江は似て非なるものであると否定的な見解を示し
 ている。

 ********************************************


 さて、映画の方はどうだろう。「そこそこ面白かった」というのが正直のところか。主人公の鶴岡七郎の
手口は一見して鮮やかだが、よくよく考えると「こんなにうまくいくだろうか」という疑いも残る。また、
二人の女性(たか子と綾香)との絡みもあまりリアリティがない。外国大使館を用いた話ももう少し洗練し
てほしかった。ただ、大和皮革専務の上松利勝を演じた佐藤慶と、鶴岡役の夏木勲(=夏八木勲)との一連
の遣り取りは文句なしに迫力があった。佐藤慶の熱演が光っていたからである。
 物語を確認しておこう。例によって<Movie Walker>のお世話になる。執筆者に感謝したい。なお、一部改
変したが、ご寛恕を乞う。

   〔解説〕

  戦後の歴史と経済を背景に、現行の法律の死角と盲点を突く東大出身者の集団、光クラブの遂行し
 た完全犯罪の実話を描く高木彬光の同名の小説を映画化したもので、脚本は『日本の仁義』の神波史
 男、監督は『殺人遊戯』の村川透、撮影も同作の仙元誠三がそれぞれ担当している。

   〔あらすじ〕

  昭和二十三年、東大法学部はじまって以来の秀才と言われた隅田光一(岸田森)が、同級生の鶴岡
 七郎(夏木勲=夏八木勲)、九鬼善司(中尾彬)、木島良助(竜崎勝)らと設立した金融会社「太陽
 クラブ」は世相に巧みに乗じて急成長をとげたが、一年後、隅田が闇金融容疑で検挙されたことから
 崩壊の道をたどり、隅田は焼身自殺した。隅田を焼きつくす炎を見ていた鶴岡は犯罪者として生まれ
 変わる決意を胸に秘め、手形金融業「六甲商事」を開き、法の死角と盲点を突いた完全経済犯罪をも
 くろむ。一億円の融資を求めている新陽汽船に目をつけた彼は、「日本造船・東京支店長」なるニセ
 者〔市之丞〕(藤岡琢也)を仕立てあげ、徹底した演技指導を行う。知りあいのヤクザ太田洋助(千
 葉真一〔現 JJ Sonny Chiba〕の輩下30名が税務所員に扮して日本橋のとある会社(常陽精工)を訪れ、
 脱税容疑捜索と称して全員を応接室に閉じこめた。室内は一瞬にして「日本造船・東京支店」に変わ
 り、そこへ木島が新陽汽船の稲垣専務(長門勇)を連れてきて、ニセの木下雄次郎支店長が応接する……。
 鶴岡の綿密な脚本と演出の勝利だった。参考人として、鶴岡は警察に出頭を求められるが、犯人はニ
 セ木下であり、彼は善意の第三者にすぎない。大手を振って署を出る鶴岡。しかし、東京地検の福永
 正芳検事(天知茂)は鶴岡にただならぬ犯罪の匂いを感じとるのだった。次に鶴岡は、大和皮革専務
 上松利勝(佐藤慶)に、やはり綿密な脚本と演出で罠を仕掛けた。鮮やかに上松から五千万円を騙し
 取った鶴岡の次のターゲットは川前工業。しがし、鶴岡のトリックを見破った福永検事は彼を詐欺罪
 で拘留する。状況証拠のみで、自分の自白がないかぎり、つかまらないことを知っている鶴岡は福永
 に不敵な笑いを浮かべるのだった。その頃、鶴岡の妻たか子(丘みつ子)は、夫と芸者綾香(島田陽
 子)との関係を知り、また、夫拘留のニュースにショックを受け、流産してしまい、鉄道自殺を遂げ
 る。木島の身代りの自首で釈放となった鶴岡は、妻の死の悪夢にうなされながらも、彼は福永検事に
 挑戦すべく次の大仕事に取りかかった。彼はエルバドル共和国公使館の公使秘書、フランシスコ・ゴ
 ンザレス(エドワード・J・オルモス)を仲間に引き入れ、治外法権の公使館を舞台に五つの会社を
 相手に、大詐欺を仕掛け、総額三億七千万円をせしめた。騙された会社側が大騒ぎをしている頃、ゴ
 ンザレスは外交官特権で帰国してしまい、鶴岡は会社とゴンザレスの仲介をしたにすぎず、警察も手
 が出ない。ところが、事件が闇につつまれようとしている頃、帰国したはずのゴンザレスが日本に舞
 い戻って来たのだ。ラスベガスで全報酬をスッタというオチ。ゴンザレスは逮補され、鶴岡に捜査の
 手が伸びるのも時間の問題となった。福永検事の執念は燃えた。しかし、そのはりめぐらされた手配
 の網の目をくぐりぬけ、鶴岡はまたしても、逃げおおせるのだった。

 他に、内田朝雄(金森光蔵=闇金融のドン)、夏樹陽子(血桜の定子=太田の情婦)、丹波哲郎(木下雄
次郎=常陽精工社長)、草薙幸二郎(今泉昌男=金融ブローカー)、福田豊土(酒井経理部長=新陽汽船)、
内田良平(加藤精吉=浅草の高島一家の身内)、柴田恭兵(政=加藤の舎弟)、室田日出男(熊谷経済主任)、
伊吹吾郎(西郷警部)、西田敏行(西田=常陽精工社員)、成田三樹夫(小岩恭三=高岡薬品工業専務)、
中田博久(広田=同社経理部長)、嵐寛寿郎(高島一家総長)、角川春樹(野崎寿美男=大和皮革社長)、
鬼頭史郎(大和皮革の顧問弁護士)、鈴木ヒロミツ(梶鉄夫=川前工業経理課長)、田崎潤(五十畑=同社
専務)、田口久美(ゴンザレスの女)、沢たまき(クラブのママ)、阿藤海〔現 阿藤快〕(立川=太田の配
下)、藤巻潤(戸塚=相模化工専務)、相馬剛三(同社経理課長) 、ドナルド・ノード(神父)、草野大悟
(色川貢=金融屋)、志賀勝(刺客の男)、片桐竜次(同)、福地泡介(モンタージュ係の男)、田口計(債
権者代表)、ガッツ石松(太田の配下A)、佐藤蛾次郎(同じく配下B)、大前均(同じく配下C)、高木
彬光(高木=同)、川内通康(鶴岡側の弁護士)、亀渕昭信(常陽側の弁護士)などが出演している。
 2本目は『拝啓天皇陛下様』(監督:野村芳太郎、松竹大船、1963年)である。少しわけがあって鑑賞し
たが(2回目)、少しも退屈を感じなかった。渥美清、長門裕之、左幸子、中村メイコ、藤山寛美、山下清、
高千穂ひづる、西村晃、桂小金治、若水ヤエ子、高橋とよ、多々良純、小田切ミキ、加藤嘉、穂積隆信、清
川虹子、玉川伊佐男、浜口庫之助、上田吉二郎などが出演している。とくに、古年兵を演じた西村晃が光っ
ていた。


 某月某日

 DVDで邦画の『大日本殺し屋伝』(監督:野口晴康、日活、1965年)を観た。花登筐原作の「大日本喜劇」
シリーズ第4弾である。当時の喜劇人総出演の観があるが、大して面白くない。DVDの付録として付いている
解説の堀井憲一郎も指摘しているが、時代の笑いが異なるからであろう。誰ひとり光った役者はいなかった。
 物語を確認しておこう。例によって、<Movie Walker>のお世話になろう。執筆者に感謝したい。なお、一
部改変したが、ご寛恕を乞う。

   〔解説〕

  花登筐の原作を、花登筐と、『東京は恋する』の才賀明が共同で脚色、『秩父水滸伝 必殺剣』の
 野ロ晴康が監督した“大日本喜劇”シリーズ第四作目。撮影は『悪太郎伝 悪い星の下でも』の永塚
 一栄。

   〔あらすじ〕

  殺し屋の町と称するある港町で、この町を牛耳る五光会のボス代々木(長尾敏之助)が、スペード
 のエースのカードとともに射殺された。あわてた残りの四人、井川(衣笠真寿男)、岸田(弘松三郎)、
 桜田(河野弘)、雲井(高品格)は、殺し屋プロダクションの社長(若水ヤエ子)に早速護衛の殺し屋
を注文した。彼らは、軍隊時代、須藤(役者、不詳)を殺し、その復讐のために、須藤の一子丈太郎こ
 とジョー(宍戸錠)に狙われていたのだ。厳重なテストの結果、大日本を代表する殺し屋は、爆薬入
 りのソロバンを使うセンバの崑松(大村崑)、ハイネの牧(土方弘)、さらに銃を仕込んだバットを
 振るONのカネ(平凡太郎)、手裏剣と包丁でトドメを刺す板前姿の包丁の辰(人見きよし)、それ
 に水爆的パチンコ使いのキラー紳士のチビ(白木みのる)を中心とする十人が足の裏にホクロのある
 というジョーを捜しに街へ出た。隣の町では、ボス安西(松本染升)が殺し屋の動きを察知し、二人
 で一人前の上方の丁(夢路いとし)、上方の半(喜味こいし)を使い崑松にあたらせたが、二人を倒
 したのは、崑松とつい今しがた兄弟となった修理工の次郎(宍戸錠)だった。一方牧はかつて彼が愛
 した恋人美代(山本陽子)とそっくりな女エミ(山本陽子=二役)にバーにつれこまれた。エミは安
 西の娘で薬大出の毒殺専門の女殺し屋であった。安西は、新たに四人の珍妙な殺し屋、マドロスの銀
 (佐々十郎)、006(E.H.エリック)、国定の重治(由利徹)、ポケットのモンキー(佐山俊二)の四
 人を雇った。スペードのジョーから来た決闘状で牧と庖丁、崑松、チビ、ONがマドロス、国定、006、
 ポケットと対決し、負けたマドロス組がこの町から退散した。崑松らの必死の探索にも係らず、ジョ
 ーは一向姿を現わさず、遂に五光会のメンバーは雲井一人になってしまった。が、ついに真相がバレ
 た。雲井がボスの利権を一人じめにしようと、安西と共謀してジョーの名前を使って殺していったの
 だ。だが憤った本もののジョーこと次郎は、雲井を呼び出し射殺した。悪人に利用されて怒った殺し
 屋たちは、次郎に味方して安西一派を倒した。自首して出る次郎を残し、殺し屋たちは、また新しい
 仕事を求めて汽車にのった。だが。これが刑務所行きの汽車とは誰も知らなかった……。

 他に、藤山寛美(忍びの寛太)、八代康二(着流しのゴン)、村上和也(エンマ)、島村謙次(龍)、本
目雅昭(鉄)、長弘(陳)、郷エイ〔金偏に英〕治(イノ)、海野かつを(六)、川上のぼる(サブ)、左
とん平(チョコ)などが出演している。久し振りに拝見した役者もいたが、いずれも冴えない。この時代は、
この程度で笑いが取れていたのであろう。


 某月某日

 DVDで邦画の『不良少女 魔子』(監督:蔵原惟ニ、日活、1971年)を観た。封切の頃観たかもしれないが、
まったく覚えていない。ただ、その存在はかすかに記憶している。日活がロマン・ポルノに路線を変更する
直前の映画である。主演の夏純子はチャーミングな女性であるが、主演を張れるほどの女優でもないので、
これ一作でシリーズ化されることもなかった。系列で言えば、同じ日活の「野良猫ロック」シリーズに近い
か。東映の「ずべ公番長」シリーズや「女番長(スケバン)」シリーズにも通じる。
 物語を確認しておこう。例によって<Movie Walker>のお世話になる。執筆者に感謝したい。なお、一部改
変したが、ご寛容いただきたい。

   〔解説〕

  藤原惟二監督(蔵原惟繕監督の弟)の昇進第一回作品。魔子を中心としたズベ公たちの自由で衝動
 的な行動を描く。脚本は黒木三郎と藤井鷹史。撮影は『流血の抗争』の山崎善行がそれぞれ担当。な
 お、『八月の濡れた砂』と共に、この作品は、日活がダイニチ映配に提供する最後の作品になる。

   〔あらすじ〕

  この町を仕切る安岡興業に籍を置く兄貴の田辺(藤竜也)の顔もあって、魔子(夏純子)は、ユリ
 (戸部夕子)、春美(美波節子)、おカズ(原田千枝子)、早苗(太田美鈴)、リエ(宮野リエ)な
 どを引き連れて相手かまわず吊し上げてその日を送っていた。ある日、魔子たちは、ゴーゴークラブ
 で、秀夫(清宮達夫)、徹(小野寺昭)、洋次(岡崎二朗)、サブ(清水国雄)たちのグループに近
 づき、秀夫を表に連れだし脅迫した。翌日、この決着をつけるために、秀夫たちは魔子を捕らえ、彼
 らのアジトである自動車修理工場に連れ込んだ。しかし、秀夫は魔子をだまって見逃した。魔子が秀
 夫たちにさらわれたと聞いた田辺は洋次の足を刺した。秀夫は、安岡興業への復讐のため組の資金源
 である売春婦をさらい、さらにマリファナを横取りした。そのため、嫌疑は、マリファナの運び屋を
 している魔子にかかり、安岡興業のリンチによって、魔子は仕方なく秀夫たちのしわざだと口を割っ
 てしまった。その結果、マリファナを金に替えるために町にやってきた秀夫と徹は捕えられ、魔子た
 ちと同じように、マリファナの運び屋をすれば今までのことは水に流してやると脅され、徹はこの脅
 しに屈服した。秀夫たちは、仲間を裏切った徹をグループからはずし魔子たちを連れて町を去り、近
 くのキャンプ場にアジトを作って、安岡興業への対抗計画を練った。そして、マリファナを安岡興業
 へ流している外国人を襲撃したが、徹の口からアジトがばれてしまい、秀夫の留守に組員たちによっ
 て女たちは手ごめにされ、ナナ(相川圭子)が殺されてしまった。さらに数日後、秀夫も殺されてし
 まった。魔子は、暴力団に身を売り、かつての仲間を死に追いやった徹に激しい怒りを覚えた。異常
 な眼つきで徹を捜し歩く魔子の姿を見た兄田辺は、これ以上組にたてついても無駄だと説得したが、
 魔子の気持は変らなかった。争いの末、魔子は田辺の匕首を奪い刺してしまった。田辺は魔子の名前
 を呼びながら静かに息を引きとった。翌日、プールサイドで外国人と交渉中の徹の背後に、ナイフを
 隠し持った魔子の姿があった。

 他に、宍戸錠(安岡)、深江章喜(内海=安岡の片腕)、高橋明(安岡の子分)、沢美鶴(同)、有村道
宏(同)、河上喜史朗(サブの親爺)、市村博(支配人)、佐々木すみ江(マダム)、荒井岩衛(マスター)、
光沢でんすけ(ポン引きの男)、原恵子(お女将)、牧まさみ(万引女子高生)などが出演している。小野
寺昭が情けない不良の役で出演しているが、後の『太陽にほえろ』の殿下とは顔が同じなだけに、滑稽にし
か見えなかった。


 某月某日

 さて、恒例の2014年上半期(1月-6月)観賞映画(邦画、限定)ベスト10を発表しよう。今年の上半期に鑑
賞した邦画は96本(昨年65本、31本増)だった。6月の鑑賞映画がわずか2本だったので、目標の100本を超
えることはできなかった。下半期で帳尻を合わせて、何とか年間200本をクリヤーするつもりである。

 1位 『競輪上人行状記』、監督:西村昭五郎、日活、1963年。
 2位 『さよなら渓谷』、監督:大森立嗣、「さよなら渓谷」製作委員会〔スターダストピクチャーズ=
   キングレコード=ファントム・フィルム〕、2013年。  
 3位 『死闘の伝説』、監督:木下恵介、松竹大船、1963年。   
 4位 『日本列島』、監督:熊井啓、日活、1965年。  
 5位 『黒い画集 あるサラリーマンの証言』、監督:堀川弘通、東宝、1960年。
 6位 『共喰い』、監督:青山真治、『共喰い』製作委員会〔スタイルジャム=ミッドシップ=ギーク
   ピクチュアズ=アミューズソフトエンタテインメント=TOKYO MX=ビターズ・エンド〕、2013年。
 7位 『ロボジー』、監督:矢口史靖、フジテレビジョン=東宝=電通=アルタミラピクチャーズ、2012年。
 8位 『拳銃(コルト)は俺のパスポート』、監督:野村孝、日活、1967年。   
 9位 『愛と誠』、監督:三池崇史、「愛と誠」製作委員会〔角川書店=ハピネット=東映=テレビ朝日=
   OLM=NTTドコモ=木下工務店=エクセレントフィルムズ=コンセプトフィルム=ホリプロ〕、2012年。  
 10位 『西の魔女が死んだ』、監督:長崎俊一、「西の魔女が死んだ」製作委員会〔アスミック・エース
   エンタテインメント=住友商事=テレビ東京=WOWOW=京王エージェンシー=IMAGICA=日版=ディー
   ライツ=ローソンチケット=朝日新聞社=ヤフー・ジャパン〕、2008年。

 以上である。次点は、『かぞくのくに』(監督:ヤン・ヨンヒ、『かぞくのくに』製作委員会=スターサ
ンズ=角川書店、2011年)辺りか。なお、『オカンの嫁入り』(監督:呉美保、「オカンの嫁入り」製作委
員会〔角川映画=東映ビデオ=NTTドコモ=キュー・テック〕、2010年)、『ヘルタースケルター』(監督:
蜷川実花、映画「ヘルタースケルター」製作委員会〔WOWOW=アスミック・エース=パル=ハピネット=Yahoo!
JAPAN=祥伝社=ラッキースター〕、2012年)、『その夜の侍』(監督:赤堀雅秋、「その夜の侍」製作委員
会〔ファントム・フィルム=キングレコード=テレビマンユニオン=IMAGICA=コムレイド〕、2012年)、
『ダーリンは外国人(My darling is a foreigner)』(監督:宇恵利昭、『ダーリンは外国人』フィルムパ
ートナーズ〔TBS=メディアファクトリー=東宝=電通=MBS=IMJエンタテインメント<現 C&Iエンタテイン
メント>=PPM=CBC=RKB=日本出版販売=Yahoo! JAPAN=HBC=TSUTAYAグループ=ジェイアール東日本企画〕、
2010年)、『座頭市牢破り』(監督:山本薩夫、勝プロ=大映京都、1967年)、『図書館戦争』(監督:佐
藤信介、“Library Wars" Movie Project〔TBSテレビ=角川書店=東宝=ジェイ・ストーム=セディックイ
ンターナショナル=CBC=MBS=WOWOW=毎日新聞社=HBC〕、2013年)、『フィギュアなあなた』(監督:石
井隆、「フィギュアなあなた」製作委員会〔角川書店=ファムファタル〕、2013年)などの作品も面白かっ
たが、ベスト10にはやや及ばなかった。もちろん、例によって小生の好みが100パーセント反映しているの
で、極めて恣意的なベスト10であることをお断りしておく。なお、今年の映画鑑賞の中心ジャンルは「恋愛
映画」であるが、その点では、三池崇史の『愛と誠』がずば抜けて面白かった。
 ところで、2007年以来、その年の鑑賞映画のテーマを決めている。過去のテーマはこうであった。

  2007年 戦争映画
  2008年 性愛(成人)映画
  2009年 極道(任侠)映画
  2010年 喜劇映画
  2011年 時代劇映画
  2012年 ホラー映画
  2013年 犯罪映画
  2014年 恋愛映画

 上でも述べたように、今年(2014年)は「恋愛映画」を中心に観ることに決めている。最近の学生が一番
関心を寄せていると考えられる恋愛や結婚について、改めて考えてみたいからである。


 某月某日

 DVDで邦画の『雨の中に消えて』(監督:西河克己、日活、1963年)を観た。共同生活をしている3人の若
い女性の恋愛模様を描いているが、すべて中途半端で釈然としないまま幕を閉じた。しかし、案外現実はこ
んなものなのだろう。そういう意味では、リアリズムに満ちた映画と言えるかもしれない。「女の幸せは結
婚にあり」もまだ死んでおらず、3人はそれぞれ結婚をめぐって悩んでいる。もっとも、主婦になったらな
ったらで、何らかの苦労に追われるのは目に見えているが……。
 物語を確認しておこう。例によって、<Movie Walker>のお世話になる。執筆者に感謝したい。なお、一部
改変したが、ご寛恕を乞う。

   〔解説〕

  『若い女性』に連載された石坂洋次郎原作を、『危いことなら銭になる』の池田一朗と、『青い山脈
 (1963)』の監督西河克己が共同で脚色、監督した青春ドラマ。撮影は『いつでも夢を』の横山実。

   〔あらすじ〕

  川路あや子(吉永小百合)、江原たか子(笹森礼子)、桑田きみえ(十朱幸代)の三人は北国の高
 校の同窓生、目下お寺の部屋を借りてささやかな、けれど自由奔放な同居生活を営んでいた。決活で
 チャーミングなあや子は城東大学文学部に通う女子大生、ボーイフレンドの村田栄吉(高橋英樹)が
 いる。せっせと花嫁修業に励むきみえは、高校時代、雪山で優しく抱いてくれた教師渡部(山田吾一)
 との淡い思い出に浸るような感傷的なところもある。出版社の編集員であるたか子は一番大人で、唯
 一の苦手は彼女に好意をよせる作家高畠南風(下元勉)である。期せずしてこの三人に襲ってきたの
 は、不可解な大人の世界の激しい空気だった。都会議員候補樺山松雄(伊藤雄之助)の応援弁士を引
 きうけたあや子は、二号が二人もいる彼が自分のお尻をツルリとなでること、その上、村田が童貞で
 ないことを知っては我慢できなかった。しかし、村田の淡々とした態度から善意に解釈することがで
 きるようになった。たか子は熱海の高畠を訪ねて、過去に辛酸をなめ尽した中年男の異常な心理に触
 れ、自分の幼なさを知った。寺で留守番中のきみえを訪れたのは夢にも忘れたことのない渡部だった。
 しかし、結婚式を控えた彼が、あのときのことは忘れて欲しいと頼む態度に、夢は崩れ去った。そん
 なある日、三人の同居生活を解消する話がもちあがった。お互いの女くささが鼻につくし男の人との
 関係がうまくいかないというのが理由だった。お金のある中年男に魅かれるたか子、古風な見合い結
 婚こそ女の幸福と考えるきみえ、そしてあや子は結婚に結びつかない恋愛にも倫理的な根拠があって
 いいと主張するのだった。折も折、村田が父の危篤で郷里に帰ることになった。バス会社の経営を継
 ぐのだという。あや子と村田は雨の降る中を駅に向かってい歩いた。将来を語り合っているうちに、
 あや子の胸に熱いものがこみあげてきた。傘を陰にして抱擁する二人の全身に雨が降りそそいでいた。

 他に、菅井きん(高畠千代子=高畠の妻)、轟夕起子(樺山ふみ子=樺山の妻)、小泉郁之助(長沢)、
村上和也(樺山派の運動員A)、山口吉弘(同じくB)、荒井岩衛(同じくC)、花村彰則(革新党の運動
員A)、井田武(同じくB)、榎木兵衛(学生食堂の従業員)、佐野浅夫(佐山先生)などが出演している。
 城東大学の学食のメニューが一部見えたので、以下に記しておく。

  牛乳     15円
  天丼     40円
  Aランチ   70円
  Bランチ   50円
  コーヒー   25円
  カレーライス 50円
  うどん    25円
  ハムエッグ  30円

 「真実一路」などの言葉が割り引かれずに称揚されたりするかと思うと、お妾制度を半ば公認する考えが
一般的だったりする。昭和39年(1964年)に開催された東京五輪の前年の作品だけに、まだまだ戦前の道徳
の残滓が濃厚に残っていた時代であることが分かる。吉永、笹森、十朱、それぞれが等身大なので、当時の
若い女性の考え方が窺えて面白い。もちろん、三人三様ではあるが……。つまり、この映画では、男は添え
物としてしか意味を持たないのである。


 某月某日

 DVDで邦画の『赤い蕾と白い花』(監督:西河克己、日活、1962年)を観た。3作連続で吉永・浜田のコン
ビ映画である。当時、日活は「日活グリーンライン」と呼んでいた。今回は、ミッション系高校に通うプチ・
ブルの娘と息子という設定で、この手の映画は山ほど作られているだろう。しかし、吉永・浜田コンビは格
別で、清潔感に溢れた作りとなっている。原作は石坂洋次郎の『寒い朝』だが、公開が6月にずれ込んだの
で、当該の題名に変更されている。なお、吉永のデビュー曲である『寒い朝』(作詞:佐伯孝夫、作曲:吉
田正、唄:吉永小百合/和田弘とマヒナスターズ、1962年)は楽曲としてもヒットし、その年の「第13回NHK
紅白歌合戦」に初出場を果たしている(ウィキペディア)。
 物語を確認しておこう。例によって<Movie Walker>のお世話になる。執筆者に感謝したい。なお、一部改
変したが、ご寛恕を乞う。

   〔解説〕

  石坂洋次郎の原作『寒い朝』より『黒いダイス』の池田一朗が脚色、『青年の椅子』の西河克己が
 監督した青春ドラマ。撮影もコンビの岩佐一泉。
 
   〔あらすじ〕

  三輪重夫(浜田光夫)と岩淵とみ子(吉永小百合)は高校三年生、仲の良いクラスメイトである。
 重夫は小さい時に母親を亡くし、とみ子は父親を亡くして母親に育てられた。似たような境遇が、二
 人を一層親密にさせた。彼らには片親の子にあり勝ちな暗い影はみじんもなかった。ある日、とみ子
 の母親真知子(高峰三枝子)が風邪をひいて寝こんだ。とみ子は三輪医院に電話した。それから毎日、
 重夫の父貞一(金子信雄)が真知子の診察に来た。重夫ととみ子は、父と母がそれぞれ仲良くつきあ
 っていけるようにいろいろと気を使った。そんな頃、とみ子の祖母かね(北林谷栄)が秋田から上京
 して来た。真知子は貞一と語らってかねを羽田空港へ連れてゆき、遊覧飛行機に乗せた。その時、真
 知子が捻挫したため、貞一が彼女を抱いているところを、真知子が校長をしている岩淵服装学院の生
 徒たちがそれを写真に撮った。その写真は家に送られて来た。ちょうど、重夫ととみ子が試験勉強を
 している時だったので、とみ子はその写真をみた。スカートから白い足を露わに貞一に抱かれている
 写真なので、とみ子は「汚らしいわ!」と言うと怒り出した。とみ子は親たちへのレジスタンスのた
 めに家出を決意した。重夫も不承不承同意した。重夫は、とみ子一人に家出させるのは危険と思った
 のだ。真知子は二人の書き置きをみて仰天した。真知子は早速三輪医院に家に電話をかけ、貞一を呼
 び出した。ちょうど、そこに旅館“柳家”のお内儀(武智豊子)から電話がかかってきた。お内儀が
 三輪医院の患者で、偶然重夫の顔を見知っていたのであった。貞一と真知子が柳家にかつけると、二
 人は一室で寝ていた。部屋の隅と隅にフトンが敷かれ、真中には机が置かれてあった。安心した貞一
 と真知子も柳家で一泊することにした。翌朝、重夫、とみ子の二人は旅館に近い堤防で自然に抱きあ
 うのだった。

 他に、安田千永子(とき=岩淵家の女中)、福田トヨ(柳家の女中)、堀恭子(桶川)、相馬幸子(宮本)、
早川名美(島中家政婦)、佐川明子(看護婦)、左卜全(藤林医師)、千代侑子(女生徒A)、金井克予
(女生徒B)、葵真木子(女生徒C)、漆沢政子(電車の中のおかみさん)、光沢でんすけ(ラーメン屋の
店員)、紀原土耕(航空会社の係員)などが出演している。劇中、何でも50円の「KATATE RESTAURANT」が登
場する。とみ子がスパゲティ、重夫がかつ丼を食べている。ラーメンが40円ぐらいの時代だから、そんなも  
のだろう。現在だったら、500円といったところか。これは蛇足だが、かつて「老婆は北林」という言葉があ
ったそうだが、やはりはまり役、見事な老婆ぶりであった。

                                                 
***このページは一般に公開されています。リンクアドレスには下記をご利用ください。***
http://souls.cc.kochi-u.ac.jp/?&rf=5015
 Copyright (C) 2005, Kochi University Faculty of Humanities and Economics All Rights Reserved.