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日日是労働セレクト146
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日日是労働セレクト39
 以下に、「日日是労働」のダイジェスト版・第39弾を掲げます。直ぐ下の記事がこの「日日是労働セレ
クト39」の中では最も新しい日付のものです。つまり、読み進めるほど、古い記事になります。ただし、
いちいち明示しませんが、後日に行った加筆訂正を含んだ日があります。日誌ですから、少なくとも後日
に加筆することはご法度であるはずですが、「某月某日」ということもあり、記事内容の充実を優先させ
ました。ご了承ください。また、頑張って「辛口」の批評を展開しようと務めておりますので、本文に何
かと読者のお気に召さない表現等が散見されるやもしれませんが、特定の個人、団体等を誹謗中傷する目
的は一切ありませんので、どうぞご理解ください。


 某月某日

 今年はこれで書き納めとしよう。下に、本ブログの月間アクセス数(外部)が多かったものを挙げる。
なお、12月は27日正午現在の記録である。際立って多いのは、8月の「日日是労働セレクト25」の501アク
セスである。たぶん、井嶋ナギさんの『色っぽいキモノ』(河出書房新社)への書評が載っていることに
加えて、夏休み期間だったからだと思う。「武藤ゼミとはどんなゼミ?」の10月が334アクセスでこの記事
の中では一番多いが、1学期の反省、2学期の展望、卒論関係の記事などが載ったからだろう。


 1月 武藤ゼミとはどんなゼミ? ………… 327
    日日是労働セレクト20 ……………… 201
 2月 武藤ゼミとはどんなゼミ? ………… 199
    日日是労働セレクト28 ………………  87
 3月 武藤ゼミとはどんなゼミ? ………… 191
    日日是労働セレクト25 ……………… 113
 4月 武藤ゼミとはどんなゼミ? ………… 177
    日日是労働セレクト30 ………………  80
    日日是労働セレクト1‐3 ……………  93
 5月 武藤ゼミとはどんなゼミ? ………… 208
    日日是労働セレクト25 ……………… 141
 6月 武藤ゼミとはどんなゼミ? ………… 187
    日日是労働セレクト25 ……………… 180
 7月 武藤ゼミとはどんなゼミ? ………… 292
    日日是労働セレクト25 ……………… 104
 8月 武藤ゼミとはどんなゼミ? …………  175
    日日是労働セレクト25 ……………… 501
 9月 武藤ゼミとはどんなゼミ? …………  271
    日日是労働セレクト25 ……………… 256
 10月 武藤ゼミとはどんなゼミ? ………… 334
    日日是労働セレクト25 ………………  216
 11月 武藤ゼミとはどんなゼミ? ………… 218
    日日是労働セレクト25 ………………  98
 12月 武藤ゼミとはどんなゼミ? ………… 141
    日日是労働セレクト25 ………………  162


 まことにお粗末なブログであるが、「日日是労働セレクト100」を目指して、これからもアバウトに書い
ていこうと思っている。お付き合いいただける方には、たいへん感謝している。ありがとう。来年もよろ
しく。


 某月某日

 DVDで邦画の『大阪の宿』(監督:五所平之助、新東宝=スタジオ8プロ、1954年)を観た。小生にとっ
て、2本連続の「エイジ・ワイン」ならぬ「エイジ・ムーヴィー」である。『煙突の見える場所』(監督:
五所平之助、新東宝=スタジオ8プロ、1953年)でも感じたことであるが、「よくぞまあ上手に、あまり
ぱっとしない人々の哀歓を描くことか」ということである。文字通りの傑作である。原作は水上滝太郎で
あり、その舞台は大正時代の大阪であるが、映画では戦後の大阪に設定されている。東京の保険会社の会
社員である三田喬一(佐野周二)が、重役を殴打して大阪に左遷されるところから物語が始まる。本来な
らば馘首のところだが、創業の発起人に彼の祖父がその名を連ねているところから転勤で済んだのである。
さて、いつまでも会社の宿直室を仮住まいにしているわけにはいかないので、旅館の一室を月極で借りる
ことにする。酔月旅館というところで、吝嗇で口煩い女将(三好栄子)が取り仕切っている。おりか(水
戸光子)、おつぎ(川崎弘子)、お米(左幸子)という3人の住み込み女中がいる。さらに、女将の兄の
おっさん(藤原釜足)が味のある役割を担っている。いわゆる料亭の「追廻」のような役割である。ある
日、北新地で芸妓をしている通称「うわばみ」ことお葉[本名は小早川しず](乙羽信子)が、三田の親
友である田原(細川俊夫)を連れて訪ねて来る。お葉は三田と相思相愛であるが、三田にとってお葉は住
む世界が違う人間である。だから、男と女の関係にはなれない。しかし、三田はそれなりにお葉の相手を
する。三田は、三人の女中に対しても親切だが、いかんせん経済力がない。だから、せいぜい気の重い祖
父の時計を売って拵えたお金から小遣銭くらいは渡せても、根本的な救いの手を差し伸べることはできな
い。話を聞いてやり、できることはしてあげる程度である。しかし、それが女たちにはいくらかの救いに
なるのである。おりかもおつぎもそれぞれの不幸を背負っているが、それでも負けずに生きているのであ
る。おりかがお金を盗もうとするシーンと、おつぎが子どものために150円の小さな顕微鏡を購入するシー
ンは、いじらしくて泣けてくる。その後、三田は上司の支店長(田中春男)と衝突して、また東京本社に
転勤を命じられるが、人間の矜持を失ってはいない。金銭ではなく、人間を信頼したいのである。最後の
送別会で、自分の不幸を笑えることはいいことだと言う。その笑いが新しい生活への力になるからである。
三田はお葉に「星」(我関せずを気取っているように見える)に喩えられるが、そのことを反省して大地
に立つことを選択したのである。他に、おみつ(安西郷子)、小川虎之助(大河原)、多々良純(野呂)、
十朱久雄(住友)、中村是好(蛸政の主人)、中村彰(おりかの亭主)、北沢彪(井元)、恵ミチ子(井
元貴美子)などが出演している。なお、三好栄子や多々良純や田中春男は、相変わらず灰汁の強い「嫌な
奴」を演じていて、全体を引き締めている。「アプレゲール」、「モーションをかける」、「ズバリ名答
や」、「とんでもハップン」、「タイアップ」などの言葉が印象に残った。なお、酔月旅館は経営難から
いわゆる「連れ込みホテル」に鞍替えするが、その料金を下に記しておこう。

    ホテル 酔月荘/御同伴歓迎

    御宿泊 御二人様 ¥700
          御一人様 ¥400
    御休憩 御二人様 ¥350
          御一人様 ¥200
    御朝食 御一人様 ¥100


 某月某日

 DVDで邦画の『女の園』(監督:木下恵介、松竹大船、1954年)を観た。小生にはこの世界が分かるが、
今の若い人には信じられない世界ではないかと思う。それぐらい封建的な女子大を舞台にした物語で、現
代では、ほとんど通じない教育方針ではないだろうか。もっとも、小生が知らないだけで、いまだに大同
小異の学園があるかもしれない。もしあるのならば、日本の封建制は生き延びていることになる。さて、
物語はどうなっているのか。京都にある正倫女子大は、「良妻賢母」教育を全面に押し出す大学で、校母
の大友梅野(東山千栄子)の教育方針の下で、気品と威厳を備え、男女の道徳をきっちり守ること(醇風
美俗)を校是とし、もって国民の義務および教育の任務を果たそうとしている大学である。共産主義も自
由主義も排斥すべき思想で、企業戦士の良妻賢母となるべき女子を育てている。その急先鋒は、舎監の五
條真弓(高峰三枝子)で、冷酷かつ高慢を旨とし、反抗的な学生ととかく衝突していた。もちろん、その
後ろ盾は学長(毛利菊枝)で、学問と人間の自由を要求する学生を弾圧している。もちろん、学生にも温
度差がある。服部文江(山本和子)は、共産党寄りの思想を隠さないで他の学生たちを煽動する学生であ
る。林野明子(久我美子)はブルジョワの娘であるが、自家のあり方に疑問を抱いて左翼的になった学生
である。瀧岡富子(岸恵子)は、大学当局の不当な扱いに断乎反対し、大学をやめてしまう学生である。
高峰秀子(出石芳江)は、高校を出てから3年間銀行に勤めていたので、他の学生よりも勉学に遅れがあ
る学生である。それぞれの思惑がぶつかり合って、大学当局の封建的性格が浮き彫りにされてゆく。さら
に、芳江には恋人の下田参吉(田村高廣)を配し、大学の補導官としての平戸喜平(金子信雄)には、狂
言回し的な役割を演じさせている。この映画は、小生にとって「エイジ映画」なのだが、さすがに50年以
上も経つと、現代ではあり得ないような場面に出喰わすから厄介である。なお、「ニコヨン」、「一億総
懺悔」、「検閲」、「産業予備軍」などの言葉が出て来た。さらに、当時の女工員の給金には驚かざるを
得ない。時給18円だそうだ。10時間働いても、ニコヨン(百円玉2個、十円玉4個)の240円にはならな
い(180円)過酷な条件である。学生が大学側に要求した決議案を以下に記しておこう。

 一 研究課題の自由。
 一 寮生の自治会の確立。
 一 帰寮時間の緩和。
 一 外出・交際・および私生活における届出制の廃止。
 一 手紙・電話の検閲廃止。
 一 消灯後と謂えども、勉学を許すこと。
 一 学長渡米の際に記念バザーに要求する資金割り当ての撤回。

 以上である。その他、田浦正巳(相良義一)、三木隆(出石正雄)、井川邦子(出石の妻)、望月優子
(下宿の小母さん)、浪花千栄子(鶴賀の小母さん)、原泉子(教授)、松本克平(芳江の父)が出演し
ている。


 某月某日

 年内に卒論を提出するように指導しているが、今年は何人がその指導に応えてくれるのだろうか。もち
ろん、正式には1月13日(今年は、10日が土曜日、12日が祭日のため、例年よりも3日も遅い)が提出期限
であるが、年が明けてからの日数は勘定に入れないようにと、口を酸っぱくして言ってある。しかし、い
つもその期待は破られる。年内に提出する学生はほとんどいないからである。早く準備をすれば、拙速で
はないかたちで、卒論を提出することは可能なのである。まだ日にちがあると思うから、怠けてしまうの
だ。年内提出より10日粘っていいものが書けるのならば、何も言わない。そうではないのなら、きれいに
提出して、お正月をエンジョイしてほしいものである。小生も、正月くらいのんびりしたい。ある年など、
卒論生の面倒で、提出当日までてんやわんやしたことがあった。できる限り学生の希望を叶えさせてあげ
たいが、3回生のときから「年内提出」を声高に呼び掛けているのだから、約束をきちんと守ってほしい
ものである。


 某月某日

 例年のことであるが、師走は本当に早く過ぎる。もうあと2週間で今年が終わるのかと思うと、感慨深
い。忙しい、忙しい、で暮れた1年だった。来年のことを語ると鬼が笑うそうだが、「来年こそはいい年
にしたい」と、いつもこの時期に思うような気がする。人間の一生なんて儚いものである。何かを追いか
けて、ついに追いつくことができず、未完のまま閉じなくてはならない。小生の仕事の行く末はどうなる
のか、せめてその点だけは来年中に明らかにしたいものである。


 某月某日

 『私は美人』(酒井順子 著、朝日文庫、2007年)を読んだ。 この人のエッセイをしばらく読もうと思
ってから2冊目の本である。小気味いい語り口で、大変読みやすいし、主張も健全な過激さを含んでおり、
その点でも申し分ない。小生とは干支が一回り違うから時代的・文化的背景が異なるはずだが、違和感を
感じさせないところは、さすがである。おそらく、小生のような男性読者も多いのではないだろうか。さ
て、かねてより小生は「女性の自立」について思索をめぐらしているが、最初から男性依存のタイプの人
はともかく、少しでも「自立」を意識している女性は、その意識が戦闘的になってしまい、必要以上に肩
に力が入っているのでないか、と思うことがある。あえて、そのことを当の女性に指摘すると、待ってま
したとばかり、「やっぱり男はそういう目で私を見るのね」と言わんばかりになる。「そうではなくて、
もっと普通になさったらどうですか」と思うのだが、時すでに遅し、お冠である。また、世の男性を観察
していると、明らかに「男尊女卑をよしとする」人が見受けられるが、やはり残念な気持になる。どちら
もジェンダーを意識しすぎて、肝心のコミュニケーションにおいて鎧が脱げないのだ。小生は男女がフラ
ンクにお付き合いできる環境が大事だと思うが、なかなかそうはならない。変に異性を意識したり、相手
を敵や道具としてしか見なかったり、バイアスがかかる場合が多い。気楽に付き合える異性の友人を幾人
かもっているとそうでもないのだが、案外世の中には異性の友人がいない人が多い。これが主要な原因で
はないと思うが、女性の自立を妨げる要因のひとつには違いないと思う。つまり、異性との交際を「性」
を媒介にしてしか考えないから、変な雰囲気になるのだ。それを克服すれば、異性ではなく、ひとりの人
間として接することができるのである。日本人はこの辺りが苦手ではないかと思う。酒井順子さんのエッ
セイを読んでいると、つくづくそう思う。


 某月某日

 DVDで邦画の『陽のあたる坂道』(監督:田坂具隆、日活、1958年)を観た。石坂洋次郎の原作。彼の作
品は若い頃いくらか読んだが、健康的で、上昇志向で、予定調和的で、くすぐったい作品が多く、現実を
忘れて浸ることのできる「ハーレクイン」みたいなものだという認識があるが、それは言いすぎだろうか。
残念なことに、この原作は読んでいない。映画と比べる楽しみがないが、いまさら原作をひもとくつもり
もないので、仕方がない。もしかすると、十年後ぐらいに読むかもしれないが……。さて、田代家という
裕福な一家がある。父親の玉吉(千田是也)は出版社を経営している俗物だが、常識的な人物である。し
かし、若い頃に染六という芸者[=高木トミ子](山根寿子)に子どもを産ませており、信次(石原裕次
郎)と名付けて実子として役所に届けている。このことが、この田代家を覆う暗雲になっている。母親の
みどり(轟夕起子)は賢夫人ではあるが、長男の雄吉(小高雄二)を溺愛しており、それが雄吉のこころ
を蝕んでいる。妹のくみ子(芦川いづみ)は変わった子ではあるが、自分を生きようと一所懸命である。
そんな一家に、くみ子の家庭教師として倉本たか子(北原三枝)がやって来る。物語が動き出したのであ
る。やがて、信次の実母が分かり、その弟である高木民夫(川地民夫)とも親しくなる。何のことはない、
たか子と同じアパートに住んでいたのである。その他の展開は割愛しよう。雄吉の罪を信次が被るという
図式が何度か示されるが、やはりリアリティはない。他に、雄吉が誘惑して捨てた川上ゆり子(渡辺美佐
子)、その仲間の上島健伍(小沢昭一)、くみ子を診察する塩沢博士(小杉勇)、トミ子の宴会に参加し
ていた男(天草四郎)、同じく男(森川信)、同じく女(田中筆子)、飲み屋の客(土方弘)などが出演
している。


 某月某日

 DVDで邦画の『卍』(監督:井口昇、アートポート、2005年)を観た。谷崎潤一郎の作品を適当にアレン
ジして(時代を戦前から昭和46年に移している)映画化している。『卍』(監督:増村保造、大映東京、
1964年)、『卍』(監督:横山博人、横山博人プロダクション、1983年)に次いで、3度目の映画化であ
る。2作目はだいぶ原作と異なっていたが、3作目は1作目と同様、かなり原作に忠実である。とくに優
れているとは思えないが、原作の奇妙さはある程度伝えているとは思う。主演は、秋桜子〔コスモスコ〕
(柿内園子)と不二子(徳光光子)であるが、やはり二人のレズ・シーンがこの映画のウリだろう。時代
柄、若尾文子と岸田今日子のヌードは拝めなかったが、この作品では大胆な絡みがある。しかし、女優の
格では及びもつかないので、脱いではいないのに若尾たちの映像の方がよほど色っぽかったと思う。他に、
野村宏伸(柿内孝太郎=園子の夫)、荒川良々(綿貫栄次郎=光子の婚約者)、吉村実子(柿内家のお手
伝いさん)などが出演している。


 某月某日

 DVDで邦画の『荷車の歌』(監督:山本薩夫、全国農村映画協会、1959年)を観た。明治から昭和の敗戦
にかけて、中国地方(広島)の一山村に生まれた女性の一代記である。主人公はセキ(望月優子)という
名前で、典型的な日本の農村女性である。明治27年、セキはナナシキの旦那と呼ばれる地主(小沢栄太郎)
の家に女中奉公していた。茂市(三國連太郎)という読み書きのできる郵便配達夫に求愛されて、夫婦に
なる。親に勘当され、姑(岸輝子)に甚振られ、荷車を牽いてまでして、添い遂げた相手である。彼らは
懸命に働き、子どもにも恵まれ、あれほどいじめられた姑にも晩年には優しくされた。すべて、セキの忍
耐が生んだ賜物である。しかし、よいことばかりではなかった。戦争に息子を持っていかれ、夫にはヒナ
という名の女(浦辺粂子)を作られ、挙句の果てに「妻妾同居」まで強いられている。それでも、あの世
に姑を送り、夫を送り、息子を送って、強く生き残っている。孫にも恵まれたので、苦労はしたが、よい
人生ではなかったか、そう訴えているように見える。もちろん、現代の女性が観たら、「どこがいい人生
か」と吐き捨てるかもしれない。しかし、このような女性はどこにでもいたし、とてつもなく不幸という
わけでもないのである。他に、左幸子(オト代=長女)、小笠原慶子(トメ子=娘)、加藤鞆子(スエ子=
娘)、塚本信夫(虎男=長男)、矢野宣(三郎=息子)、左民子(オト代の少女時代)、西村晃(初造)、
稲葉義男(藤太郎)、水戸光子(ナツノ)、佐野浅夫(三造)、奈良岡朋子(コムラ)、利根はる恵(リ
ヨ)、赤沢亜沙子(鈴枝=三郎の嫁)、辻伊万里(コユキ)、戸田春子(西屋の女房)、大町文夫(セキ
の父)、 安芸秀子(セキの母)などが出演している。なお、配役等については、<goo 映画>を参照した。


 某月某日

 邦画2本の感想を綴ろう。1本目は『死国』(監督:長崎俊一、「死国」製作委員会〔角川書店=アス
ミック・エース=東宝=住友商事=IMAGICA=日本出版販売=オメガ・プロジェクト〕、1998年)である。
栗山千明が出ているので期待したが、凡庸な作品だった。三角関係にオカルトを絡ませた作品と言えば、
ほぼ説明が尽きる。「依童(よりわらわ)」や、お遍路の「逆打ち」などのおどろおどろしい言葉も、話
を盛り上げるためには少し足りない。だいいち、死者の復活話なのに、まったく恐くない。もちろん、ゾ
ンビでもキョンシーでもないので、どんな存在者なのか、さっぱり分からない。恋の行方も説得力がない
ので、明神比奈子(夏川結衣)の気持も、秋沢文也(筒井道隆)の気持も分からない。日浦莎代里(栗山
千明)も、生き返ってどうしたいのか、これも分からない。文也の態度が曖昧だから、このような仕儀に
相成ったのか、それも分からない。これでは、「荒唐無稽」を支えるものがない。たとえば、横溝正史の
原作物は、その点が十分に練り上げられていたと思う。思いつきだけの作品ではうまくいかないのである。
他に、大杉漣(日浦康鷹=莎代里の父)、根岸季衣(日浦照子=莎代里の母)、佐藤允(仙頭直郎=四国
に結界を張ろうとしている修験者の一人)、諏訪太朗(高知の歴史研究者)などが出演している。
 2本目は『パッチギ LOVE & PEACE』(監督:井筒和幸、「パッチギ LOVE & PEACE」パートナーズ〔シネ
カノン=ハピネット=SHOW BOX=読売テレビ=メモリーテック=エイベックス・エンタテインメ ント〕、
2007年)である。前作の『パッチギ!』(監督:井筒和幸、シネカノン=ハピネット・ピクチャーズ=衛
星劇場=メモリーテック=S・D・P、2004年)の続篇に当る作品かと思ったが、まったく別の話だった。
アジア・太平洋戦争を絡ませ、在日朝鮮人の言葉では表現し辛い現実を何とかして表現しようとしている。
もっとも、設定は通俗的で、芸能界の恥部話、子どもの病気話(筋ジストロフィー)、スポーツ界と芸能
界には出自を隠した在日朝鮮人が多いという話など、あまり新味のない話のオンパレードなので、ちょっ
と退屈した。井筒監督から、『ガキ帝国』(監督:井筒和幸、プレイガイド・ジャーナル社=ATG、1981
年)や、『突然炎のごとく』(監督:井筒和幸、WOWOW=ヒルヴィラ、1994年)を撮ったときのような、
ギラギラとしたハングリー精神がなくなっている。つまり、巨匠になってしまっているのだ。無難に無難
を継いでおり、冒険しなくなっているのである。まさに、「井筒よ、お前もか!」である。それでも、作
品自体はかなり面白い。出演者の演技が達者だからであろう。小生の好みとしては、とくに、ライトエイ
ジェンシー社長役のでんでんが秀逸であった。他に、井坂俊哉(李安成=リ・アンソン)、西島秀俊(野
村健作=売れっ子タレント)、中村ゆり(李慶子=リ・キョンジャ)、藤井隆(佐藤政之=元国鉄職員、
アンソンの友人)、風間杜夫(ピョンチャン)、キムラ緑子(オモニ)、手塚理美(キョンスン)、今井
悠貴(李燦秀=リ・チャンス)、金応洙〔キム・ウンス〕(コ・テオさん)、米倉斉加年(枝川の長老)、
馬渕晴子(ホルモン屋のおばさん)、村田雄浩(朝鮮将棋のおじさん)、松尾貴史(ギャグ好きのおじさ
ん)、田口浩正(南プロデューサー)、すほうれいこ(なおみ)、寺島進(イカ釣り船の船長)、国生さ
ゆり(お志摩)、ラサール石井(三浦プロデューサー)、杉本哲太(『太平洋のサムライ』の根本監督)、
麿赤兒(石橋中将役の大物俳優)、桐谷健太(近藤好夫)、浜田学(錦宏次郎)、山本浩司(ライトエー
ジェンシーの松井信吾)、宮川大輔(水中運動会のAD)、清水優(ヨンギ)、岩崎敦子(近所のおばさん=
アジュモニ)、相谷健太(応援団団長の近藤)、粟野史浩(応援団の金閣)、土平ドンベイ(応援団の銀
閣)、徳山昌守(朝鮮高校の番長)、田中要次(先輩運転士)、中村有志(宇野重吉)、温水洋一(居酒
屋「カーテンコール」の店主)、木村祐一(漁船の船長)、菅原大吉(舞台挨拶の司会者)、堀江慶(サ
ード助監督)、長原成樹(ブローカーの男)、田中哲司(警察の取調官)、日向丈(刑事)、愛染恭子(ス
ナックのママ)、木下ほうか(ヤクザ役の俳優)、金田敬(時代劇の黒田監督)、AHN MIKA(ドレスの女)、
並樹史朗(倉田プロデューサー)、竹下明子(佐藤政之の母)、鎌田愛(佐藤政之の妹)、久ヶ沢徹(水
中運動会の司会)、川村亜紀(水中運動会の司会者)、吉田千晃(三浦プロデューサーの秘書)、松永京
子(チャンスの母=顔写真)、新屋英子(故買屋の女店主)、ソン・チャンスイ(父ジンソン)、イム・
クミョン(ピョンチャンの若い頃)、パク・ヨンソ(テジュン)、チャン・ジョンシク(ドンホ)、チェ・
ウク(ヨンイル)、すちん(若い海女)、パク・ソヒ(金村伍長)などが出演している。最後に蛇足では
あるが、時代を映すもの、たとえば、「愛国から幸福」への切符、キンシャサの奇跡(モハメッド・アリ
の復活)、エマニエル夫人、コカコーラ、ノストラダムスの大予言、ユリ・ゲラーのスプーン曲げ、ドラ
ゴンへの道(ブルース・リー)、ヌンチャク、仮面ライダー・アマゾン、等々、これらのアイテムが、井
筒監督お得意のやり方で登場していた。

                                                 
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