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日日是労働セレクト34
 以下に、「日日是労働」のダイジェスト版・第34弾を掲げます。直ぐ下の記事がこの「日日是労働セレ
クト34」の中では最も新しい日付のものです。つまり、読み進めるほど、古い記事になります。ただし、
いちいち明示しませんが、後日に行った加筆訂正を含んだ日があります。日誌ですから、少なくとも後日
に加筆することは御法度であるはずですが、「某月某日」ということもあり、記事内容の充実を優先させ
ました。ご了承ください。また、頑張って「辛口」の批評を展開しようと務めておりますので、本文に何
かと読者のお気に召さない表現等が散見されるやもしれませんが、特定の個人、団体等を誹謗中傷する目
的は一切ありませんので、どうぞご理解ください。


 某月某日

 DVDで邦画の『歌謡曲だよ、人生は』(監督:磯村一路/七字幸久/タナカ・T/片岡英子/三原光尋/
水谷俊之/蛭子能収/宮島竜治/矢口史靖/おさだたつや、アルタミヤピクチャーズ=ポニーキャ二オン=
ザナドゥー、2007年)を観た。オープニングの「ダンシング・セブンティーン」(歌:オックス、作詞:
橋本淳、作曲:筒美京平、1968年)から始まって、全部で十話の歌謡曲に纏わるオムニバスが続き、エン
ディングを「東京ラプソディ」(歌:渥美二郎、作詞:門田ゆたか、作曲:古賀政男、編曲:兼子かおる、
1936年)で締めている異色作である。小生のような50歳を超える年齢の者には懐かしい楽曲が並んでいる
が、若い人には知らない歌も多いかと思う。
 第一話は「僕は泣いちっち」(歌:守屋浩、作詞・作曲:浜口庫之助、1959年)〔監督・脚本:磯村一
路〕である。東京で踊り子になった恋人を追いかけて来たが振られ、一念発起してボクサーになろうとす
る青年の物語。第二話は「これが青春だ」(歌:布施明、作詞:岩谷時子、作曲:いずみたく、1966年)
〔監督・脚本:七字幸久〕である。大工の見習いをしている青年が、好きな女性のためにエア・ギターの
コンテストに出ようとするが、どうにもお粗末な結果を迎える悲喜劇。第三話は「小指の思い出」(歌:
伊東ゆかり、作詞:有馬三恵子、作曲:鈴木淳、1967年)〔監督・脚本:タナカ・T〕である。中年の労
働者の帰宅を優しく迎える若い女性が、実は若い頃の恋人を模写したロボットだったという筋書。バッテ
リーが切れるところが面白いが、『江口寿史の爆発ディナーショー』所収の短篇に類似の作品があったと
思う。第四話は「ラブユー東京」(歌:黒沢明とロス・プリモス、作詞:上原尚、作曲:中川博之、1966
年)〔監督・脚本:片岡英子〕で、原始人と現代人を交錯させたところが妙味であろう。第五話は「女の
みち」(歌・作詞:宮史郎、作曲:並木ひろし、1972年)〔監督・脚本:三原光尋〕である。1963年、並
木ひろしが宮史郎、宮五郎の兄弟とぴんからトリオを結成し、その後大ヒットさせた楽曲である。後に、
並木が抜けて、ぴんから兄弟と名乗っいた時期もある。殿さまキングスと並ぶコミック・バンドでもある。
宮史郎本人がやくざ者の役で登場している。サウナの中で、この歌の歌詞がどうしても思い出せないとい
う状況をコミカルに描いている。宮を久し振りに見たが、芸人らしさが滲み出ていた。第六話は「ざんげ
の値打ちもない」(歌:北原ミレイ、作詞:阿久悠、作曲:村井邦彦、1970年)〔監督・脚本:水谷俊之〕
である。港町でひっそりと暮らす女の許に昔の男が訪ねて来るところから始まる物語。当時、この歌には
画期的なオリジナリティがあった。第七話は「いとしのマックス/マックス・ア・ゴーゴー」(歌・作詞・
作曲:荒木一郎、1967年)〔監督・脚本:蛭子能収〕である。いじめにあう地味な感じのOLを支援する
同僚男性の活躍を描いている。蛭子的ワールドのバイオレンスが炸裂している。第八話は「乙女のワルツ」
(歌:伊藤咲子、作詞:阿久悠、作曲:三木たかし、1975年)〔監督・脚本:宮島竜治〕である。昔はバ
ンドマンで鳴らした喫茶店のマスターが、お客に若い頃彼女だった女性の面影を見出すという恋物語。第
九話は「逢いたくて逢いたくて」(歌:園まり、作詞:岩谷時子、作曲:宮川泰、1966年)〔監督・脚本:
矢口史靖〕である。若者からストーカーと看做された中年男の恋が成就するハートフルな物語。園まりは
小学校の頃最も好きだった歌手で、実際にこの楽曲の歌謡映画である『逢いたくて逢いたくて』(監督:
江崎実生、日活、1966年)を映画館で観ている。小生としては、オムニバスの中でこの短篇が一番ハート
に響いた。ストーリーの素朴さと、中年男を演じたベンガルの哀愁がよかったんだと思う。第十話は「み
んな夢の中」(歌:高田恭子、作詞・作曲:浜口庫之助、1969年)〔監督・脚本:おさだたつや〕である。
同窓会でタイム・カプセルを開けることから生まれるファンタジーを叙情的に描いている。なお、この歌
謡曲は、母親が大好きだった。六平直政、大杉漣、長井英和、矢沢心、鈴木ヒロミツ、妻夫木聡、ベンガ
ル、江口のり子、本田博太郎、高橋恵子、瀬戸朝香などが出演している。


 某月某日

 DVDで邦画の『新・トウキョウ堕落論 泳げない女』(監督:堀井彩〔ひかる〕、アンブレラ=月の石、
2005年)を観た。映像的な実験やト書きをわざと挿入するような遊びを数多く試みているが、必ずしも成
功しているとは言い難い。主人公の女性は、地元の大学を卒業して憧れの東京にやって来たが、現実はき
びしく、男に騙され、挙句の果てに40過ぎの半端なチンピラをヒモにするような生活をしている。そんな
折、高校時代の恋人と偶然出会い、焼け棒杭に火がつく。しかし、彼とも結ばれるわけでない。堕ちては
ゆくが、それでも生きつづけなければならないのである。服を着たまま湯船に浸かり、煙草を吸うシーン
はちょっと面白い。主人公の多菜子に黄金咲ちひろ、ヒモの石井に増田俊樹、元恋人の晃に佐藤幹雄、そ
の他、宇田川さや香、ほりいゆうこ、三坂知絵子などが出演している。


 某月某日

 DVDで日本の官能映画を2本観た。1本目は『さすらいの恋人 眩暈(めまい)』(監督:小沼勝、日活、
1978年)である。冬の公園で人工池にはまった女がいた。堀井京子(小川恵)である。彼女は自暴自棄に
なっていた。それを見つけた北岡徹(北見敏之)は、彼女を助け上げ、自分のアパートに連れて行った。
ずぶ濡れの彼らは、身体を温めるためにウイスキーを飲んだ。しかし、たまたま灯油が切れていたため、
暖房はない。二人でひとつの蒲団に入って暖め合ううちに、自然と結ばれる。ある日、二人の情事を隣室
の男諸田信次(高橋明)が覗いていた。それを発見した徹は諸岡を激しく責め、いくばくかの金銭をせし
める。その金で服を買ったり、ご馳走を食べたりしたが、レストランで、徹は遭ってはならない人に出遭
うのだった。中宮千加(飛鳥裕子)であった。昔の仲間の一人であったが、徹はこの千加を犯した上に、
仲間の金である二百万を持ち逃げした過去があった。その金は、ヨットレースに参加するための資金だっ
たが、つい競馬に手を出してすってしまっていた。その後、徹は仲間から逃げていたのである。ある日、
自室に帰った徹を諸田が待ち受けていた。京子との情事を他人に見せて金にしないかと持ち掛けたのであ
る。いわゆる「白黒ショー」であるが、徹は一か八かその企みを引き受ける。ホテルで情事に及んだ二人
を眺めていたのは、某政治家であった。京子はそのことを知らされていなかったので、企みが分るとひど
いショックを受けた。しかし、徹が例の仲間に無理矢理連れ去られようとしたとき、諸田の協力のもとに、
徹を救い出し、そのことを契機として徹への愛が深まるのであった。その後、二百万円を返済するためも
あって、次々と例のショーに励む二人であった。ところが、ある日、徹の昔の仲間が徹の部屋を襲い、彼
が不在だったことも手伝って、彼らは京子を犯すのであった。ぼろぼろになった京子を発見した徹は、昔
の仲間に金を返して、京子の故郷である四国の新居浜に帰ろうと約束する。ところが、その当日、またも
昔の仲間に連行された徹は彼らに暴行を受けるのであった。徹を連れ去られた京子は、町を彷徨するしか
なかった。まことに救いのないドラマであるし、筋書も滅茶苦茶に近いが、徹と京子の必死さは伝わって
くる。他に、吉川遊土(佐伯映子)、織田俊彦(平田洋)、浜口竜哉(福永君夫)、草薙良一(宮川)、
中川明(山下)、大矢甫(浅井)、八代康二(作家A)、雪丘恵介(作家B)、小泉郁之助(商店主)な
どが出演している。なお、配役等に関しては、《goo 映画》を参照した。
 2本目は『肌の隙間』(監督:瀬々敬久、国映=新東宝、2004年)である。映画は人を愉しませるため
にあると思うが、この映画は徹頭徹尾人を悲しませる映画だった。なぜ、こんな暗い映画を撮らなければ
ならないのか。現代という時代の不条理を描こうとしているのだったら、現実の方がよほどひどいことに
満ちているのだから、あえてこんな暗い映画など撮らない方がいいのに、とつい思ってしまう。しかし、
ここまでコミュニケーション不全の映画を見せられると、人間社会のドロドロがかえって浄化されるよう
な気がしてくるから不思議である。それにしても、叔母と甥の関係の近親相姦や母親殺しの話は重すぎる
題材である。また、登場人物の性と暴力に満ちた逃避行がやたらに悲しい。潰れるトマトや頭を打ち砕か
れる川魚などのアイテムが不安を煽り立てている。不二子、小谷健仁、伊藤洋三郎、三浦誠己、佐々木ユ
メカ、吉村実子などが出演している。


 某月某日

 DVDで邦画の『やわらかい生活』(監督:廣木隆一、「やわらかい生活」製作委員会〔ハピネット・ピク
チャーズ=衛星劇場=住友商事=スカパー・ウェルシンク=ステューディオ スリー〕、2005年)を観た。
『ヴァイブレータ』(監督:廣木隆一、シー・アイ・エー=ハピネット・ピクチャーズ=日本出版販売=
シネカノン=衛星劇場、2003年)の同工異曲である。こころを病む女性が、こころやさしい男性たちによ
って癒されてゆく様子を淡々と描いている。橘優子(寺島しのぶ)は、両親、恋人、友人を次々と喪って、
そのせいで躁鬱病を病んでいる35歳の独身女性である。彼女はもともと優等生だったが、病気のせいで仕
事からも離れてしまった。それまでは、仕事も恋愛も人づきあいも順調だったのだが、何もかもがうまく
いかなくなっている。ただ、幸いなことに、しばらくは両親の遺産で食いつなぐことができるらしい。あ
る日、何となく気に入って、東京大田区の蒲田に引っ越してくる。この町は下町なのに「粋」なところの
ない町だが、今の彼女にとっては居心地がいい。EDでマザコンの本間俊徳(松岡俊介)と再会するも、結
ばれるには至らない。彼は早稲田大学の同級生だが、安定した銀行員をやめて大田区長を目指す政治家に
なっていた。その冒険的なところに惹かれるのだが、友だちの域を出ることはない。また、彼女は、ネッ
トで知り合った「感じのいい痴漢」(田口トモロヲ)と同意の上での「痴漢プレイ」を愉しんでいるが、
彼には家庭があるので、それ以上には発展しない。さらに、気の弱いやくざ者である安田昇(妻夫木聡)
とタイヤ公園でデートしたりするが、やはり結ばれることはない。さらに、本間と共通の友人であるバッ
ハ(大森南朋)の告白を受けるが、その気がない。精神が躁状態のときには、それこそ誰とでも寝るよう
なこともしたらしいが、いずれも結婚には至らないのである。本間に「理想が高いのか」と訊かれたとき、
「私のレヴェルが高いのよ」と答える辺りにはエスプリがあるが、同時に彼女の弱さが見え隠れしている。
ある日、両親の七回忌の法事を営むために福岡に帰る。伯父(柄本明)の息子である、従兄の橘祥一(豊
川悦司)と再会する。どうやら過去に男と女の関係があったらしいが、祥一には妻子がある。彼女が帰郷
すると直ぐ、この従兄が派手な自動車に乗って上京して来る。彼女の部屋に居候を願い出たのである。二
人が競馬で大儲けをする辺りまでは、彼女はしばらく躁状態であったが、やがて鬱に変わって、祥一が何
かと面倒を見ることになる。この後の展開は割愛するが、結局男たちの誰とも結ばれない。この従兄との
関係が一番彼女に相応しいものに見えるが、やはり結ばれることはない。だいいち、福岡に帰った祥一は
事故を起こして生死さえ不明である。それぞれの男がそれぞれの仕方で離れていき、やがて彼女に孤独が
訪れるところで物語は幕を閉じている。細かな演出がときに「やりすぎ」に見えることもあったが、寺島
しのぶの魅力が満開の作品に仕上がっている。男たちも、豊川悦司を筆頭に、とても感じよく見える。


 某月某日

 心身ともに疲れ切っており、正直言って余計な雑音は聞きたくもないのだが、公私ともにいろいろあっ
て、まいっている。自分勝手なふるまいがいかに他者に迷惑を及ぼすか、よくよく人は反省しなければな
らない。小生も、おそらく、他者の気持を逆撫でしていることなど無数にあるのだろう。他山の石、人に
理不尽なことをされたら、その十倍自分も人に理不尽なことをしていると考えよう。だいぶ気が楽になる
はずである。


 某月某日

 DVDで邦画の『なま夏』(監督:吉田恵輔、Power Cat Entertainment、2005年)を観た。いわゆるスト
ーカーの物語である。2000(平成12)年5月18日、第147回通常国会において、「ストーカー行為等の規制
等に関する法律(ストーカー規正法)」が成立し、同年11月24日から施行されている。もっとも、ストー
カーという言葉がなかった頃からこの手の輩はいくらでもいたし、小生だって若い頃にストークをかけた
ことがある。もっとも、好きな人のアパートの周りを一周したくらいだが……。さて、益雄(三島ゆたか)
という中年男がいる。風采が上がらないタイプの男性で、ちょっと会社を無断欠勤すると、お葬式ごっこ
の対象になるような人物である。その益雄が、通勤電車の中で見初めた女子高生(一頃はコギャル、最近
では、JKというらしい)の杏子(蒼井そら)をストークするのである。恋愛的な展開が望めないと思い
知った益雄は、満員電車の中で杏子に対して痴漢行為に及ぶ。最悪なことに、脅しのために使ったナイフ
が弾みで杏子の身体を刺してしまう。そこで、益雄は首吊り自殺を試みるのだが……。その後、病院で仲
良くベッドを並べる展開になるが、それは果たして現実のことか。最後のシーンが意味深である。電車の
シーンは長野県の上田電鉄別所線を用いて撮られたらしいが、映画の場面では、西国分寺や国立の駅名が
アナウンスされるので、物語はJR中央本線の沿線が舞台らしい。男性として、女性から何を言われたく
ないかの筆頭に来ると思われる「きもい」を言われた男の切ない物語である。他に、成神涼、坂本あゆみ、
三島佳代、和田サトシらが出演している。


 某月某日

 DVDで邦画の『愛妻物語』(監督:新藤兼人、大映京都、1951年)を観た。平凡ではあるが、しっとりと
した味わいのある作品である。しがない脚本の研究生である沼崎敬太(宇野重吉)は、下宿先の石川孝子
(乙羽信子)と恋仲になるが、孝子の父石川浩造(香川良介)がそれを許さない。そこで、孝子は家を出
て、敬太と同棲を始める。折りしも昭和17年の春、時局は風雲急を告げ、映画界も縮小を余儀なくされて
いた。新興キネマと日活が合併になれば、自分の首が危ない。そこで、思い切って京都の撮影所の企画部
長をしている増田(清水将夫)の許を訪ねることになる。所長(菅井一郎)の了解も取って、大監督の坂
口(滝沢修)の知遇を得、彼のために脚本を書いてみるように勧められる。ところが、坂口監督に提出し
た最初の作品の出来は彼の眼鏡に適ってはおらず、散々こき下ろされる。いわく、ストーリーとは言える
かもしれないが、シナリオとは言い難い。単なる筋書だ。芝居が書けていない。こんなことじゃ駄目だ。
最初から勉強しなおせ、といった塩梅だった。打ちひしがれた敬太は、シナリオ・ライターになることを
諦めかけるが、妻の進言によって1年間の猶予期間をもてるようになる。妻の孝子はもちろんのこと、隣
人である友禅の下絵作家の安さん(殿山泰司)たちの励ましもあって、1年後に見事坂口監督を納得させ
る作品を完成させる。しかし、好事魔多し、生活の無理が祟って、孝子は潜伏性急性結核を患ってしまう。
結局、彼女は帰らぬ人となるが、「一生、シナリオを書いてね」という孝子の遺言を、改めて噛みしめる
敬太であった。最初に書いた脚本のどこが悪いのか、あるいは坂口監督に認められた脚本のどこがいいの
かを、具体的に示す場面が欲しかった。得てして、このよう場合、具体的な事柄には触れずに抽象論議に
終始してしまう。そこが欠点だろう。他に、英百合子(石川弓江=孝子の母)、原聖四郎(製作部長)、
伊達三郎(太田作之助)などが出演している。なお、配役等については、《goo 映画》を参照した。


 某月某日

 DVDで邦画の『隣人ポータビリティ(Love your Neighbor)』(監督:城定秀夫、フルモーション、2007
年)を観た。隣人との交流から生まれる物語と言えば、最近観た『OLDK(オーエルディーケー)』(監督:
原正弘、「ラブコレクション」製作委員会〔ヒューマックスコミュニケーションズ=ジャム・ティービー=
カルチュア・パブリッシャーズ〕、2004年)を連想するが、件の作品よりはずっと穏やかな出来である。
ただし、「夫婦交換(swapping)」がテーマなので、あまり軽くはない。春山多恵(若菜ひかる)と夫の
孝治(岸本裕二)が団地に引っ越してくる。早速その晩から、お隣の閨房の声に悩まされることになる。
隣人である山根真二(石川裕一)とその妻岬(寧々)は変わったカップルで、岬のスケジュールには夫以
外のセフレとのデートがたくさん組まれている。しかも、そのことを真二は公認しているのである。さて、
春山夫妻はというと、セックスレスの状態が3年つづいている。孝治の浮気が原因である。しかも、腹癒
せからか、多恵は霊感商法のインチキ宗教にひっかかっており、奇妙な法具状のものに向かって、「コケ
コキーキーキーキー、コケコー」などといったふざけたお題目を唱えている。多恵は不眠がつづくことに
怒り心頭になって、隣人夫婦に断乎抗議に行く。その際、驚いたことに、真二は、お互いに深く分かり合
うために、夫婦を交換してみようと提案する。はじめは取り合わなかった多恵であるが、結局その提案が
実現するのである。この後の展開は割愛するが、荒唐無稽の設定ながら、依存からの脱出を図る多恵の奮
闘や、それを温かい目で見守る夫の孝治の愛の物語になっている。もちろん、山根夫婦にも転機が訪れ、
夫婦交換は成功裡に終わりを告げるのである。他に、木村真奈美(自治会長の正木静江)、小栗健伸(岬
の浮気相手)などが出演している。なお、隣人と言えば、ジョン・ベルーシの遺作になった『ネイバーズ
(Neighbors)』(監督:ジョン・G・アビルドセン、米、1981年)が結構面白い。さらに、『隣人13号』
(監督:井上靖雄、「隣人13号」製作委員会、2004年)のような恐ろしい作品もある。蛇足であるが、こ
の作品はフルモーションの第12弾で、夫婦の性に特化した重厚官能ロマンの一篇である。


 某月某日

 DVDで邦画の『犯された白衣』(監督:若松孝二、若松プロダクション、1967年)を観た。典型的な密室
劇であるが、主人公の美少年(唐十郎)の意図が見えてこないだけに、通常の意味でのリアリティはない。
ただし、実際にシカゴで起きた看護婦〔現 看護師〕大量殺人事件に想を得ているとの由。県立病院看護婦
寮/白百合分室が物語の舞台である。婦長(小柳冷子)と看護婦D(弥生京子)が愛し合っている。いつ
ものことらしく、他の看護婦たちがこの情景を覗いている。寮の外に美少年が立っていることに気付いた
彼女らは、彼を招き入れて一緒に覗き見をさせる。すると、この美少年はいきなり濡れ場に近づき、Dに
発砲するのである。あまりの出来事に、看護婦たちは恐怖で泣き出してしまう。やがて、逃げ出そうとし
た看護婦C(三枝巻子)、自らの裸身を美少年に投げ出してきた看護婦B(木戸脇菖子)が次々と射殺さ
れ、残った看護婦A(林美樹)もカッターナイフで切り刻まれる。その間、いろいろな言葉で説得にかか
った婦長もついには射殺されるに至る。最後に少女(坂本道子/夏純子)だけが残される、という結末で
ある。大量に流された血は、少女を飾るためだったという美少年の台詞には、あまり説得力はない。小生
の判断に過ぎないが、やや過大評価されている作品ではなかろうか。ただし、時代の雰囲気は出ている。
また、ピンク映画お得意の「パートカラー」が効果的に使用されている。


 某月某日

 DVDで邦画の『Beautiful Sundy』(監督:中島哲也、ファット=サッソ・フィルムズ=コムスシフト、
1998年)を観た。十分に成功しているとは言い難いが、同時進行する物語の錯綜具合を愉しむ映画である。
とあるマンションの日曜日。住民はそろそろ起き始める。山崎努(黒ずくめの男)が仕事(殺人)を終え
て帰宅する。しかし、無事の帰還ではなかった。ターゲットの中年男(益岡徹)によって、腹に弾丸を喰
らったからである。TVの「機動戦士リキッドマン」の脚本家である渋谷広介(永瀬正敏)とその妻の小夜
子(尾藤桃子)は、いわゆる「倦怠期」らしい。キャッチボールで仲直りを図ろうとするが、いかんせん
場所がない。大家の根津亜矢子(中村久美)、この人は広介を誘惑している。近所にある彼女所有の空き
部屋に誘いこんで、怪しい雰囲気を拵えようとしている。大久保絹代(ヨネヤマママコ)、この人は正午
に奇声を発するお年寄りである。ある日、衆人環視のもとで、忽然と姿を晦ましてしまう。落合香子(遠
藤京子)とその娘の明日香(松本レイカ)、明日香は同級生の女子に異様なライヴァル心を燃やしている。
独身OLの板橋育代(菜木のり子)〔実はストーカー・プレーを提供する風俗嬢〕は、その客の上野真吾
(岸部一徳)とともに、ロール・プレイング・ゲームを愉しんでいる。ただし、育代はへまをして上野に
「金を払わないぞ」と脅かされてしまう。いずれにしても、奇妙な人物たちの奇妙な物語を味わう映画で
ある。小生の好みを言えば、ストーカー・プレーで、上野役の岸部一徳が「好きです」と育代に告白する
場面である。笑った! 他に、香川照之(塾の教師)、松尾伴内(黄色いポルシェの持主)などが出演し
ている。八代亜紀や京本政樹など濃い顔のポスター、幅が狂っているのではないかと思わせる日本銀行券、
音声では178勝95敗と聞こえるのに、日記には278勝95敗と書かれてあったことなど、外れたユーモアを生
むアイディアが泉のごとく湧いている。CF製作出身者の才能だろうか。

                                                 
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