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日日是労働セレクト122
 以下に、「日日是労働」のダイジェスト版・第122弾を掲げます。直ぐ下の記事がこの「日日是労働セレク
ト122」の中では最も新しい日付のものです。つまり、読み進めるほど、古い記事になります。ただし、いち
いち明示しませんが、後日に行った加筆訂正を含んだ日があります。日誌ですから、少なくとも後日に加筆
することはご法度であるはずですが、「某月某日」ということもあり、記事内容の充実を優先させました。
ご了承ください。また、頑張って「辛口」の批評を展開しようと務めておりますので、本文に何かと読者の
お気に召さない表現等が散見されるやもしれませんが、特定の個人、団体等を誹謗中傷する目的は一切あり
ませんので、どうぞご理解ください。なお、ご感想は、muto@kochi-u.ac.jp までお寄せ下さい。


 某月某日

 DVDで邦画の『青春かけおち篇』(監督:松原信吾、松竹映像、1987年)を観た。つかこうへいの脚本だ
けに、いわゆる「つかワールド」炸裂といった爆笑青春ブラック・コメディである。その彼が関わった映画
としては、以下のものがある。
  
  『金田一耕助の冒険』、監督:大林宣彦、角川春樹事務所、1979年。〔筆者、未見〕
   ダイアローグ・ライター
  『蒲田行進曲』、監督:深作欣二、松竹=角川春樹事務所、1982年。原作・脚本
  『二代目はクリスチャン』、監督:井筒和幸、角川春樹事務所、1985年。原作・脚本
  『熱海殺人事件』、監督:高橋和夫、フジテレビジョン=仕事=ジョイパックフィルム、1986年。
   原作・脚本
  『青春かけおち篇』、監督:松原信吾、松竹映像、1987年。原作・脚本
  『この愛の物語』、監督:舛田利雄、松竹富士=日本テレビ、1987年。〔筆者、未見〕原作・脚本
  『ペエスケ/ガタピシ物語』、監督:後藤秀司、山田洋行ライトビジョン、1990年。〔筆者、未見〕
   脚本
  『幕末純情伝』、監督:薬師寺光幸、「幕末純情伝」製作委員会〔松竹=東急エージェンシー=日本衛星
   放送=ニッポン放送出版=パイオニアLDC=IMAGICA=江崎グリコ=北斗塾=角川書店〕、1991年。原作
  『寝盗られ宗介』、監督:若松孝二、バンダイ、1992年。原作・脚本
  『リング・リング・リング 涙のチャンピオン』、監督:工藤栄一、ビジョンクエストアンドアーツ、
   1993年。〔筆者、未見〕原作・脚本
  『菜の花配達便』、監督:石山昭信、第一企画、1995年。〔筆者、未見〕原作・脚本
  『薔薇ホテル』、監督:斎藤耕一、第一企画=エッセン・コミュニケーションズ、1995年。
   〔筆者、未見〕原作・脚本

 以上12篇あるが、そのうちの半分は観ている勘定になる。彼が関わった作品には、灰汁が強いが、それで
いて妙に納得してしまうようなものが多い。当該作品もその類で、実に楽しく鑑賞できた。後半部分のまと
め方がもう少し凝っていたら、もっと佳い作品になっていただろう。出演者も芸達者ばかりで、とくに柄本
明の曲者ぶりが秀逸だった。さらに、大竹しのぶに至っては、ほとんど天才を感じざるを得ない。杉浦直樹
や岸田今日子の奇妙な演技も際立っており、主演の風間杜夫が平凡に見えてしまうほどであった。思うに、
普通の人はあまり出さないオーラを出演者すべてが発しており、その化学反応が喜劇を生んでいるのだろう。
 ところで、この題名は何ともいただけない。平凡以下と言ってよいだろう。したがって、題名で損をして
いると思う。事実、こんな題名でなかったなら、とっくに借り出していただろう。言い換えれば、鑑賞して
初めてその面白さが分かる映画と言ってもよい。他に、題名で著しく損をしていると思われる映画の例を挙
げるとすれば、『あゝ決戦航空隊』(監督:山下耕作、東映、1974年)や『県警対組織暴力』(監督:深作
欣二、東映、1975年)あたりであろうか。いずれも、もっと煽情的な題名をつけていれば、さらに評価が上
がっただろうと思われる映画である。
 物語を確認しておこう。例によって、<Movie Walker>のお世話になる。執筆者に感謝いたい。なお、一部
改変したが、ご寛恕を乞う。

   〔解説〕

  結婚を反対されたわけでもなく、障害があるわけでもないのに“かけおち”という古典的な愛の行
 為に出た恋人たちを描く。脚本は原作者でもある「熱海殺人事件」のつかこうへいが執筆。監督は、
 『なんとなく、クリスタル』の松原信吾、撮影は『KIDS』の長沼六男がそれぞれ担当。

   〔あらすじ〕

  原口康夫(風間杜夫)は実家の板金工場で名目だけの係長におさまって給料を貰い、カメラにうつ
 つをぬかしている。家には弟の義郎(永島敏行)がうるが少し足が悪い。その原因が自分にあると思
 い込んでいるだけに、彼は家に居づらく、レストランを経営する恋人の北城セツ子(大竹しのぶ)の
 家へころがりこんでの、宙ぶらりんの生活を続けていた。30代に突入した康夫は、実家の相続権は義
 郎に譲り、セツ子と結婚して北城家の婿になりコック見習いからはじめようとケジメをつけようとす
 る。北城家は代々女系家族でセツ子は一人娘。セツ子の母の則子(岸田今日子)も、父の和夫(杉浦
 直樹)も康夫の婿入りを望んでいた。ところが、セツ子に見合い話が持ちこまれた。相手は31歳で年
 商30億を商うという貿易商の早乙女(田中健)。しかも彼は15年間もセツ子を思い続けていたという
 のだ。早乙女の態度に感動した和夫は、康夫のアラを見つけてはイビリはじめた。セツ子も早乙女と
 デートを重ね心を動かされていく。康夫にはデートに出かけるセツ子をとめる強引さもない。そんな
 頼りなさこそ婿としてはピッタリと、則子は康夫に異常接近しはじめる。やがて早乙女はセツ子に正
 式にプロポーズしてきた。セツ子には婿をとると決めていた則子はきっぱりと断る。この騒動でひど
 く言われ傷つき、旅に出ようとする康夫にセツ子はかけおちしようと言い出す。二人は夜汽車で京都
 におちのびた。何日も過ぎたのに追っ手の来る気配がなく、二人はいがみ合いを始める。宿の連中も
 訝しく思い始める。思いあまった康夫は実家に迎えに来てくれるよう電話するが、父の留吉(名古屋
 章)は忙しいとそっけない。そんなところへ、カナダ行きが決まった早乙女から、セツ子に一緒に来
 てくれと連絡があった。康夫は心中を思いついた。早乙女を呼びよせ、セツ子をカナダへ同行させよ
 うと思ったのだ。セツ子は康夫の腑甲斐なさに立腹、二人はガス栓を開けた。そこに早乙女の運転手
 である松田(柄本明)が康夫を殺すと出刃包丁を持って現われ、康夫に乗せられ心中に参加。康夫は
 ガスが足りないと階下からガスボンベを持ち出す。やって来た和夫、留吉も入れた5人は、ガスの充
 満する中、気を朦朧とさせて早乙女を待つ。駆けつけた早乙女が、出刃包丁につまずき、包丁がボン
 ベにぶつかったため爆発を起こした。合計6人は大ケガをして病院へ入院。1年後、セツ子は康夫の
 子どもを出産。康夫はまたふらりと写真を撮りに旅に出る。

 他に、渡辺えり子〔現 渡辺えり〕(タケ子=旅館「白梅」の仲居)、庄司歌江(同じく女将)、酒井敏
也(同じく板前、タケ子の旦那)、アパッチ・けん〔現 中本賢〕(コック)、藤井洋八(野次馬)などが
出演している。荒唐無稽の物語ながら、妙なリアリティがあるのは、「世間は一皮むけばこんなもの」と
いう思いが誰の胸にも宿っているからではないだろうか。とにかく、面白かった。
 もう1本、DVDで邦画の『刑事物語』(監督:渡邊祐介、キネマ旬報社、1982年)を観たが、今日はもう
遅いので感想は後日に記すことにする。


 某月某日

 DVDで邦画を2本観たので報告しよう。1本目はドキュメンタリー映画の『無知の知』(監督:石田朝也、
「無知の知」製作委員会、2014年)である。この映画の感想文は、「驢鳴犬吠1511」ですでに公開して
いるので、そちらを参照していただこう。よって、ここでは割愛する。
 2本目は、『鑓の権三』(監督:篠田正浩、表現社=松竹、1986年)である。郷ひろみが主演の映画という
ことであまり期待してはいなかったが、そこそこ面白い映画であった。もちろん、郷ひろみが嫌いでこう書い
たのではない。あの風貌はいかにも時代劇には似合わないと思ったからである。したがって、何度もTSUTAYA
で手に取りながら、今日まで鑑賞する機会に恵まれなかった。篠田監督の映画は小生の感性とは少しずれるの
で、それも鑑賞を遅らせた理由の一つである。ともあれ、篠田監督の作品を以下に掲げてみよう。もちろん、
小生鑑賞済みのもののみである。

  『乾いた花』、監督:篠田正浩、松竹大船、1964年。
  『暗殺』、監督:篠田正浩、松竹京都、1964年。
  『処刑の島』、監督:篠田正浩、日生プロ、1966年。
  『心中天網島』、監督:篠田正浩、表現社=ATG、1969年。
  『無頼漢』、監督:篠田正浩、にんじんくらぶ=東宝、1970年。
  『化石の森』、監督:篠田正浩、東京映画、1973年。
  『桜の森の満開の下』、監督:篠田正浩、芸苑社、1975年。
  『はなれ瞽女おりん』、監督:篠田正浩、表現社、1977年。
  『悪霊島』、監督:篠田正浩、角川春樹事務所、1981年。
  『瀬戸内少年野球団』、監督:篠田正浩、YOUの会=ヘラルド・エース、1984年。
  『鑓の権三』、監督:篠田正浩、表現社=松竹、1986年。
  『少年時代』、監督:篠田正浩、藤子スタジオ=テレビ朝日=小学館=中央公論社=旭通信社=シンエイ
   動画、1990年。
 
 以上の12篇である。全作品のだいたい3分の1くらい観ている勘定になる。最初に鑑賞したのは『桜の森
の満開の下』ではなかったか。封切の時ふらりと映画館に入り、観たように記憶している。併映があったか
どうかは覚えていない。若山富三郎と岩下志麻の不思議な物語だったはずである。坂口安吾が原作なので、
そこに惹かれて映画館に入ったのかもしれない。篠田監督の作品の中では、そこそこの評価を得ているので
はないか。岩下志麻の演じたわがままな女に唯々諾々と従う山賊役の若山富三郎の佇まいや、桜の森の美し
さに呼応する生首の生々しさが印象に残っている。ちなみに、小生の一押しは、『乾いた花』である。
 さて、当該作品であるが、例によって〈Movie Walker〉によって、物語を確認しておこう。執筆者に感謝
したい。なお、一部改変したが、ご海容いただきたい。

   〔解説〕

  不義密通の濡衣を着せられた男女の道行きを描く。近松門左衛門原作の世話浄瑠璃『鑓の権三重帷
 子』の映画化で、『卑弥呼』の富岡多恵子が脚色、監督は『瀬戸内少年野球団』の篠田正浩、撮影は
 同作の宮川一夫がそれぞれ担当。

   〔あらすじ〕

  出雲の国、松江藩の表小姓、笹野権三(郷ひろみ)は器量はよく、槍さばさのみごとさでは右に出
 る者もない。その上、茶の道にも通じていた。彼は同家中の川側伴之丞(火野正平)の妹お雪(田中
 美佐子)と末は夫婦と契ってはいたが、一日も早い祝言をと迫るお雪ほどには、性急に一家を構える
 情熱はなかった。江戸表から、主君に御世継が誕生したと吉報が届いた。国許では近隣の諸国一門を
 招き、振まいの馳走のため、真の台子の茶の湯がなされることになった。真の台子とは茶の湯の極意
 のこと、茶の道で名を成せば立身出世の道も開ける。権三と伴之丞の茶道の師、浅香市之進(津村徹)
 が、主君の供で江戸詰、国許は留守とあって、両人のうち一人が殿中饗応の真の台子を勤めることに
 なった。権三は真の台子の伝授方を、市之進の妻であるおさゐ(岩下志麻)に懇願する。おさゐは伝
 授の替わりに、娘の菊(水島かおり)を貰ってくれと権三に頼みこみ、彼は承諾する。権三と入れち
 がいに、浅香家を訪れたお雪の乳母(加藤治子)は、そんなこととは知らず、おさゐに権三とお雪の
 関係を打明け、その仲人を頼み込む。その夜ふけておさゐを訪ね、伝授の巻物を披見した権三は、お
 雪のことで嫉妬するおさゐの狂態に悩まされ、帯を庭先に放り出される。その帯は、お雪が権三に贈
 ったものだった。帯はかねてからおさゐに言いより、色仕掛けで伝授の巻物を奪いとろうと庭先に忍
 びこんでいた伴之丞に拾われた。不義密通を叫ぶ伴之丞。世間への申訳も立たず、やむなくふたりは
 屋敷を出て、あてもなく逃れていく。事件を知ったおさゐの弟である岩木甚平(河原崎長一郎)は、
 遁走した伴之丞を追い、その首を討つ。帰国した市之進は、息子の虎次郎(嶋英二)を他家へ預け、
 菊とその妹の捨(浅川奈月)を、おさゐの諸道具とともに舅の岩本忠太兵衛(大滝秀治)方へ送りつ
 け、妻敵討ちの旅に出た。手に手をとって逃げるおさゐ、権三は、京都三条大橋に着いた。権三は不
 義者として市之進に斬られる覚悟。おさゐはどうせ冥土へ行くのなら、権三と夫婦の契りをかわして
 からと、旅篭で激しく愛しあう。宇治の川岸にかかる橋の上で、ふたりはついに市之進と出会った。
 そして、彼の刀に倒れるのだった。一件落着し、浅香家ではおさゐの遺児である虎次郎が亭主となり、
 茶を立てている。

 他に、三宅邦子(忠太兵衛の女房)、神保共子(萬=浅香家の女中)、久保田靖子(お杉=浅香家の飯炊)、
小船秋夫(角介=浅香家の下男)、不破万作(波介=川側家の下男)、竹中直人(文右衛門=権三の同僚)、
浜村純(道具屋の主人)、小沢昭一(船頭)などが出演している。
 武家屋敷の調度や庭、海岸縁の風景、宇治の大橋など、映像的に見応えのあるシーンはたくさんあった。
しかし、時代劇にしては現代調の女の描き方や、茶道の所作や剣捌きに少し難があると思った。主演の郷も
腰がふらついているので、鑓を遣うシーンは少し心許なかった。けっこう練習はしたのだろうが。槍遣いに
関しては、何と言っても『城取り』(監督:舛田利雄、石原プロ、1965年)〔「日日是労働セレクト110」、
参照〕における赤座刑部を演じた近衛十四郎に敵うものはないと思っている。時代劇スターが綺羅星のよう
に輝いていた時代が懐かしい。


 某月某日

 DVDで邦画の『クイール』(監督:崔洋一、「クイール」フィルムパートナーズ〔松竹=テレビ東京=テ
レビ大阪=衛星劇場=日本出版販売〕、2004年)を観た。いわゆる「動物もの」だとは認識していたが、盲
導犬の物語だとは最近まで知らなかった。いずれ観ようと思っていた作品である。人から聞いて話の内容は
だいたい分かっていたので、安心して観ることができた。概して動物を主人公に据える映画はこんな感じに
仕上がるものだが、まさに典型的な「動物もの」であった。
 物語を確認しておこう。例によって、<Movie Walker>のお世話になる。執筆者に感謝いたい。なお、一部
改変したが、ご寛恕を乞う。

   〔解説〕

  実話をもとにしたベストセラー写真集『盲導犬クイールの一生』(写真:秋元良平/文:石黒謙吾)
 を映画化した感動作。多くの人々との出会いと別れを通して立派な盲導犬に成長をとげた、1匹のイ
 ヌの生涯を追う。

   〔あらすじ〕

  生ませの親である水戸レン(名取裕子)のたっての願いで、盲導犬になるために訓練士の多和田悟
 (椎名桔平)に預けられることになった一匹のラブラドール・レトリーヴァーの子犬。おなかに鳥が
 羽を広げたようなブチがあることから、パピーウォーカーの仁井夫妻(香川照之〔勇〕/寺島しのぶ
 〔三都子〕)によって“クイール”と名付けられたその子犬は、1年間、夫妻のもとで愛情一杯に育
 てられた後、いよいよ盲導犬訓練センターで本格的な訓練を受けることになる。のんびり屋でマイペ
 ースなクイールに、ヴェテランの多和田でさえ手を焼くこともあったが、やがてクイールは立派な盲
 導犬へと成長し、視覚障害者の渡辺満(小林薫)と巡り会う。初めこそ息の合わなかった渡辺とクイ
 ール。だが、ハーネスを介して伝わってくるクイールの思いやりに、渡辺は次第に心を開くようにな
 り、互いにかけがえのない存在になっていく。しかし、クイールとの生活が2年を過ぎた頃、渡辺は
 重度の糖尿病に冒され、3年後この世を去ってしまう。そしてそれから8年後、仁井夫妻のもとで余
 生を送っていたクイールもまた、12年と25日の生涯を静かに閉じるのだった。

 他に、櫻谷由貴花(渡辺美津子=満の娘)、松田和(渡辺悦男=同じく息子)、戸田恵子(渡辺祺子=同
じく妻)、黒谷友香(久保マスミ=盲導犬訓練士)、水橋研二(酒井雄一=同)、石田太郎(戸塚裕史=視
覚障害者)、坂上智恵(蒲田洋子=同)、小市慢太郎(川本=同)、宇宙亭くいだおれ(吉永)、谷川清美
(矢口京子)、佐藤貢三(石橋)、宮本毬子(民家の主婦)、吉田康平(高橋光夫)、寺井健人(水戸乾二)、
落合充(塚本徹)、野村克也(片岡智則)、日出行雄(金子)、中川智弘(高野)、山崎清秀(平田)、仁
枝玲子(桜井)、山田昭彦(獣医)、ラフィー(クイール〔成犬〕)、チビチビクー(同〔幼犬〕)、ビー
ト(同〔3ヶ月犬〕)、チビクー(同〔7ヶ月犬〕)、エリ(同〔老犬〕)などが出演している。
 盲導犬の起源は古く、ポンペイの壁画にそれらしき犬が描かれているという。たいがいの人はこの映画を
微笑ましく観るだろうが、なかにはそういう叙情に流されない人もいる。この映画を「動物虐待」映画だと
評する人などがそうだ。クイール自身の意志で盲導犬になったのではないからである。しかし、いざなって
みると、案外自分の身の上を気に入っていたのかもしれない。いずれにしても、クイールに捧げられたさま
ざまな人々の愛は、本物であろう。


 某月某日

 DVDで邦画の『ハイハイ3人娘』(監督:佐伯幸三、宝塚映画、1963年)を観た。当時人気の、中尾ミエ、
伊東ゆかり、園まりの「三人娘」が活躍する青春ミュージカル映画。「三人娘」という項目の<ウィキペディ
ア>があるので、それを以下に紹介しよう。小生の知らないユニットもあった。なお、詳細については割愛する。

  初代三人娘:黒柳徹子、横山道代(現・横山通乃)、里見京子(または、水谷良重)
  NHK三人娘:馬渕晴子、冨士眞奈美、小林千登勢(または、黒柳徹子)
  七光り三人娘:朝丘雪路、水谷良重、東郷たまみ
  元祖三人娘(ジャンケン娘):美空ひばり、江利チエミ、雪村いづみ
  スパーク3人娘:伊東ゆかり、中尾ミエ、園まり
  東芝三人娘:小川知子、奥村チヨ、黛ジュン
  新三人娘:南沙織、小柳ルミ子、天地真理
  フレッシュ3人娘:榊原郁恵、清水由貴子、高田みづえ
  角川三人娘:薬師丸ひろ子、原田知世、渡辺典子
  フジの三人娘:有賀さつき、河野景子、八木亜希子

 ちなみに、「三人娘」という名称では呼ばれないが、芸能界における3人1組のユニットを挙げておこう。

  東宝スリー・ビューティーズ:水野久美、上原美佐、三井美奈
  東宝スリーペット:星由里子、浜美枝、田村奈巳
  お姉ちゃんトリオ:団令子、中島そのみ、重山規子
  スリー・チャッピーズ:桜井浩子、南弘子、中川ゆき
  花の中三トリオ:森昌子、桜田淳子、山口百恵
  3M:宮沢りえ、観月ありさ、牧瀬里穂

 さて、「スパーク3人娘」であるが、渡辺プロダクションの秘蔵っ子で、いずれもスターになった。当時
小学生だった小生は園まりの大ファンで、当該映画より少し後で流行った彼女の楽曲をうっとりとしながら
聴いた口である。なお、一番好きだった楽曲は、「何も云わないで」(作詞:安井かずみ、作曲:宮川泰、
唄:園まり、1964年)である。当該映画でも「マイ・ボーイフレンド」という未知の楽曲を歌っており、や
はり痺れてしまった。今でも大ファンであることの証である。
 さて、物語を確認しておこう。例によって、<Movie Walker>のお世話になる。執筆者に感謝いたい。なお、
一部改変したが、ご寛恕を乞う。

   〔解説〕

  川上宗薫原作『先生・先輩・後輩』(ジュニア小説〔ジュヴナイル小説〕)を『河のほとりで』の
 井手俊郎が脚色、『夢で逢いましょ』の佐伯孝三が監督した喜劇ドラマ。撮影は梁井潤。

   〔あらすじ〕

  間宮今日子(中尾ミエ)、天野千恵子(伊東ゆかり)、江藤悠子(園まり)の三人は高校の二年生
 だが、お茶目で明朗なハイティーン娘だ。間宮医院の院長甲太郎(植木等)は、オキャンな今日子、
 長姉の早苗(藤山陽子)、高校一年の雅義(田辺靖雄)と年頃の妹や弟たちに悩まされ通しだ。反対
 に千恵子は楽器店を経営する兄の清一郎(谷啓)、静代(横山道代)夫婦の甘い新婚生活にあてられ
 通し、教頭(ハナ肇)が父親の悠子は、目下二人の話の聞き役だ。ある日のこと、今日子のところに
 「貴女が死ぬほど好きです」という怪電話がかかったから大変である。三人娘はこの犯人を追求する
 ことになったり同級の男の子内村満春(長沢純)、折口敬治(手塚しげお)、浦太一(高倉一志)の
 三人がリストにあげられた。だが、この三人が今日子の家に集まった時、またもや怪電話。三人娘は、
 作戦を変えて、大塚先生(江原達怡)と飯田幸四郎先生(高島忠夫)を追うことになった。しかし、
 大塚先生と早苗は恋人同士ということが判明。ついには弟の雅義まで捜査に引っぱり出される仕末だ。
 やがて学園祭が近づいて来た。内村はこれを機に東京へ転校することになっていた。学園祭が終って、
 内村の送別会が開かれた。飯田先生、折口、浦、今日子、千恵子、悠子、雅義などが集って賑やかに
 喫茶店で開かれた。そこで、犯人の代わりにテープで電話をかけた主が判明。それは、その喫茶店の
 ウエイトレスであるユリ子(山路ゆり)だった。そして、声の主は折口だったが、彼も真犯人を庇っ
 て怪電話の張本人の名前を明かさなかった。しかし、飯田先生の発案で、今度は正々堂々と名前を名
 乗って愛を告白すべきだということになった。果たして、後刻、今日子の許に電話がかかってきた。
 それは、東京に発つ予定の内村であった。今日子が好きだった彼は、折口に意志伝達の電話を依頼し
 ていたのだった。嫌疑もはれた飯田先生は、山野辺先生(若林映子)と近く結婚することになった。
 今日子、千恵子、悠子の三人娘は、今日も教室で相変わらずお茶目振りを発揮し陽気に歌いまくるの
 だった。

 他に、夏洋一(岡本和雄=雅義の友人)、北川町子(房江=甲太郎の妻)、水原弘(三人娘が通う楓高校
の先輩)、岡村文子(校長先生)、犬塚弘(先生A)、安田伸(先生B)、桜井センリ(先生C)、石橋エ
ータロー(先生D)、ラウル・アペル・ダンサーズなどが出演している。なお、山路ゆりは後に深山ゆりと
名前を変えた女優(引退)であるが、園まりの実姉の由(「アポロのブログ」より)。
 ベン・ケーシー、ジョージ・チャキリス、ジェス(ララミー牧場)などの懐かしい名前が出てきた。飯田
先生の常用の煙草は「いこい」、ラーメン代は1杯50円、トンコマは100g40円だった。実に幸福な時代で
あったことが今となっては明らかである。


 某月某日

 DVDで邦画の『THE CODE/暗号』(監督:林海象、2008 THE CODE プロジェクト、2009年)を観た。林監
督の作品は、他に『夢みるように眠りたい』(監督:林海象、映像探偵社、1986年)しか観ていないが、独
特の感性が伝わってくる監督のひとりである。後者は、林監督のデビュー作であるが、同時に佐野史郎のそ
れでもある。モノクロームに字幕という準サイレント映画で、その不思議な味わいが評価された由。小生も
一目置いている作品である。探偵が登場する作品は数多く、有名な探偵としては、明智小五郎、金田一京助、
工藤俊作、三毛猫ホームズ、コナンなどがすぐに頭に浮かぶだろう。また、映画の結構が似ている作品とし
て『ピストルオペラ』(監督:鈴木清順、日本ビクター=松竹=衛生劇場=テレビ東京=電通=スパイク=
小椋事務所、2001年)を連想した。この映画の登場人物の多くは探偵ならぬ殺し屋であるが、名前ではなく
数字で個体識別されるところが同じである。なお、題名に「探偵」の文字が入る小生鑑賞済みの邦画を以下
に掲げておこう。

  『名探偵アジャパー氏』、監督:佐伯幸三、新東宝、1953年。
  『探偵事務所23 くたばれ悪党ども』、監督:鈴木清順、日活、1963年。
  『探偵物語』、監督:根岸吉太郎、角川春樹事務所、1983年。
  『探偵物語』、監督:三池崇史、真樹プロダクション、2007年。
  『探偵はBARにいる』、監督:橋本一、「探偵はBARにいる」製作委員会〔東映=テレビ朝日=木下
   工務店=東映ビデオ=アミューズ=クリエイティブオフィスキュー=東映チャンネル=北海道新聞社=
   北海道テレビ=メーテレ=朝日放送=広島ホームテレビ=九州朝日放送〕、2011年。
  『探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点』、監督:橋本一、「探偵はBARにいる2」製作委員会〔東映=
   テレビ朝日=木下工務店=東映ビデオ=アミューズ=クリエイティブオフィスキュー=東映チャンネル=
   北海道新聞社=北海道テレビ=メーテレ=朝日放送=広島ホームテレビ=九州朝日放送=早川書房〕、
   2013年。

 さらに、「探偵」という文字こそないが、探偵が登場する印象深い邦画として、『ありふれた愛に関する
調査』(監督:榎戸耕史、メリエス=サントリー=日本テレビ、1992年)を挙げておこう。

 さて、物語を確認しておこう。例によって、<Movie Walker>のお世話になる。執筆者に感謝いたい。なお、
一部改変したが、ご寛恕を乞う。

   〔解説〕

  鬼才・林海象が、尾上菊之助を主演に迎えて放つ“探偵事務所5”シリーズ最新作。暗号解読の天
 才である探偵507が、上海を舞台にした危険な事件に挑む!

   〔あらすじ〕

  “探偵事務所5”のある川崎市で爆破テロ事件が相次ぎ、犯人グループは政治犯の釈放を要求する。
 市長は発見された爆弾の解除を、探偵501(佐野史郎)に依頼する。情報科学研究室の部長・探偵507
 (尾上菊之助)は、宍戸会長(宍戸錠)の孫娘・瞳(貫地谷しほり)に数学を教える傍らで、次々と
 爆弾コードの解読をこなしていき、犯人グループも逮捕される。507は上海支部から、暗号の解読を
 依頼される。見たことのない配列の暗号が写った写真を見た507は、上海へ向かう。上海には、万年
 平探偵の探偵523(斎藤洋介)と宍戸会長が待っていた。507のバックアップを名目に上海にやってき
 た会長だったが、他の理由も隠されていた。507は情報屋(松岡俊介)の協力を得て、依頼人の美蘭
 〔メイラン〕(稲森いずみ)が歌っているクラブに向かう。美蘭は、上海最大の地下マフィア“青龍
 コンス”のボス・李(廉叔良)の女で、関わる者は死ぬと噂されていた。507は、クラブを出た美蘭
 を追跡し、彼女の部屋に忍び込む。美蘭は507に、暗号の謎から自分を解放してほしいと告げ、背中
 に彫られた暗号を見せる。美蘭にとってこの暗号は、幼いころに生き別れた父の手がかりでもあった。
 507は解読を始めるが、護衛に気づかれ、部屋を抜け出す。しかし逃亡の途中で、青龍の一味に追い
 詰められる。窮地に陥った507を、謎の男が助け出す。男は、「暗号のことを忘れないと死ぬ」と警
 告して去っていく。青龍は、美蘭の暗号が旧日本陸軍の軍資金の在り処を示すと確信していた。507
 は美蘭を青龍の元から救い出し、暗号の解読を進める。次第に、美蘭も507に心を開いていく。507は
 財宝が村外れの洞窟にあると分かるが、青龍も2人を追い詰めていた。すると、謎の男が再び現れる。

 他に、松方弘樹(椎名)、テイ龍進(小龍=李の息子)、柏原収史(探偵511)、宮迫博之(同じく522)、
坂井真紀(同じく577)、成宮寛貴(同じく591)、上原歩(同じく517)、津田寛治(同じく520)、夏生ゆ
うな(同じく532)、鈴木リョウジ(同じく542)、虎牙光揮(同じく555)、吹越満(同じく575)、中沢清
六(同じく508)、加瀬大周(同じく529)、金井良信(同じく558)、原田喧太(同じく569)、佐伯新(同
じく576)、方舟波(楊警部)、櫛山晃美(椿=探偵事務所5のオペレーター)、福満大樹(新人探偵)、  
鰐淵晴子(暗号解読部員)、桃生亜希子(同)、汐見ゆかり(同)、小川洋夫(同)、奥山潔(同)、金子
功(同)、室千草(同)、岡田真央(映画館の女)、秋山奈々(爆弾を括りつけられた川崎市民)、小松拓
也(場末のバーのバーテンダー)、木村貴史(若き日の吉岡=陸軍省の男)、荻原真治(宍戸=少年時代)、
山内亜美(美蘭=少女時代)、阿部孝夫(川崎市長)などが出演している。
 もう少し細部を詰めればもっとよい作品になっていたと思う。また、前半と後半が完全に分断されている
ので、その間に架橋を工夫した方が観ている側としてはさらに面白さが増したと思う。なお、旧日本軍の遺
物(財宝など)をめぐる物語に関しては、以下の作品を思い出した。

  『果てしなき欲望』、監督:今村昌平、日活、1958年。「日日是労働セレクト19」、参照。
  『電送人間』、監督:福田純、東宝、1960年。「日日是労働セレクト50」、参照。
  『日輪の遺産』、監督:佐々部清、「日輪の遺産」製作委員会〔角川映画=NTTドコモ=IVSテレビ制作=
   シネムーブ〕、2011年。「日日是労働セレクト99」、参照。
  『人類資金』、監督:阪本順治、「人類資金」製作委員会〔木下グループ=松竹=テレビ東京=講談社=
   ハピネット=ギークピクチュアズ=Cross Media International=GyaO!=КИНО〕、2013年。
   当該ブログ、参照。

 とくに、『果てしなき欲望』は、金塊ではなく、当時の時価で六千万円相当のモルヒネというところにむ
しろリアリティがあった。敗戦より13年しか経っていないことも手伝って、強奪を企むやつらがいても不思
議ではないと思わせたからである。それと比較すると、当該作品は荒唐無稽の域を出なかった。もっとも、
あくまで「暗号解読」がメイン・テーマなので、これはこれでいいのかもしれない。ただし、探偵507と美
蘭の恋愛模様はもう少し工夫してほしかったし、宍戸と椎名の決闘シーンも、宍戸の年齢的な衰えが目立っ
たので、少し痛々しかった。


 某月某日

 DVDで邦画の『トキワ荘の青春』(監督:市川準、カルチュア・パブリッシャーズ、1996年)を観た。以
前からTSUTAYAでマークしていた作品であるが、今回その気になって借りてみた。ほぼ予想通りの流れでは
あったが、主人公が寺田ヒロオだとは考えていなかった。手塚治虫(登場人物のひとりは、「てづかおさむ
し」と発音していた)はともかくとして、藤子不二雄、石森章太郎(その後、石ノ森章太郎)、赤塚不二夫
あたりが主人公だと思っていたので、少し意外だった。しかし、観終わってみると、市川監督の意図からす
れば、ここはどうあっても寺田ヒロオでなければならないと思った。彼に関しては、何と言っても『スポー
ツマン金太郎』(『週刊少年サンデー』など、1959-1970年)が先ず頭に浮かぶ。その他、『暗闇五段』
(『週刊少年サンデー』1963-1964年)を読んだ記憶がある。彼を演じた本木雅弘はその生真面目さをよく
表現していると思った。その他の配役も適切で、やや赤塚不二夫役の大森嘉之が小生の思い描いていた赤塚
像とは異なると思った。案外、売れる前はこんなだったのかもしれない。いずれにせよ、1960年前後の雰囲
気は醸し出していると思う。当該映画を製作するに当たって協力した人物(団体)の名前を挙げておこう。

  赤塚不二夫/安孫子素雄(藤子不二雄○A〔○の中にA〕)/石ノ森章太郎/鈴木伸一/
  つのだじろう/手塚プロダクション/寺田紀子/藤本弘(藤子・F・不二雄)/水野英子/
  森安直哉/棚下照生/つげ義春

 また、当該作品の原案となった書籍(一部は漫画)を以下に引用しておこう。

  『トキワ荘の時代』、梶井純 著、筑摩書房、1993年。
  『まんが道』〔藤子不二雄の自伝的漫画作品〕、藤子不二雄○A 作、
   (出版形態は多数あり、1977-2013年)。
  『トキワ荘青春日記』、藤子不二雄○A、光文社、1996年。
  『まんがのカンヅメ』、丸山昭 著、ほるぷ出版、1993年。
  『トキワ荘の青春物語』、手塚治虫 他 著、蝸牛社、1995年。
  『トキワ荘の青春』、石ノ森章太郎 著、講談社、1986年。

 さて、物語を確認しておこう。例によって、<Movie Walker>のお世話になる。執筆者に感謝いたい。なお、
一部改変したが、ご寛恕を乞う。

   〔解説〕

  今から40年ほど前、石森章太郎、赤塚不二夫、藤子不二雄ら、多くの明日を夢見る若いマンガ家た
 ちが青春時代を過ごした実在のアパート“トキワ荘”での彼らの物語を、史実に基づいて描いたフィ
 クション。監督は『東京兄妹』の市川準。脚本は市川と自主映画作家で『東京兄妹』でも共同脚本を
 つとめた鈴木秀幸、演出助手も兼ねた森川幸治の3人による共同。撮影も『東京兄妹』の小林達比古
 が担当した。主演のトキワ荘のリーダー格・寺田ヒロオに『GONIN』の本木雅弘、赤塚不二夫に『静
 かな生活』の大森嘉之が扮した他、小劇場、自主映画などで活躍する個性派が多数、実在のマンガ家
 役でキャスティングされている。96年度キネマ旬報ベストテン第7位。

   〔あらすじ〕

  トキワ荘に住むマンガの神様・手塚治虫(北村想)の向かいの部屋には、あちこちに原稿の持ち込
 みをしながらマンガ家としてのスタートを切ったばかりの寺田ヒロオ(本木雅弘)が住んでいた。あ
 る日、藤子不二雄のペンネームで合作でマンガを描いている安孫子素雄(鈴木卓爾)と藤本弘(阿部
 サダヲ)のふたりが、手塚を訪ねてトキワ荘にやってきた。あいにく手塚は留守だったが、寺田は田
 舎から出てきたふたりのために食事をご馳走してやり、東京での生活についていろいろと教えてやる
 のだった。その後、手塚は別の仕事場に引っ越し、上京した安孫子と藤本がその空部屋に入った。そ
 れに続くように、トキワ荘には『漫画少年』の投稿仲間だった石森章太郎(さとうこうじ)、赤塚不
 二夫(大森嘉之)、森安直哉(古田新太)、鈴木伸一(生瀬勝久)らマンガ家の卵たちが次々と集ま
 り住むようになる。トキワ荘によく遊びにきているつのだじろう(翁華栄)を加えた彼ら8人は“新
 漫画党”を結成し、寺田の部屋に集まっては、マンガの未来についての話に花を咲かせた。家賃を滞
 納するほど生活は苦しいながらも希望に燃えて好きなマンガに打ち込む彼らは、少しずつマンガ家と
 しての実績を重ねていく。そんなころ、『漫画少年』の学童社が倒産した。以前からマンガとアニメ
 ーションの二足のわらじを履いていた鈴木は、これを機会にアニメ一本でやっていくことを決心し、
 トキワ荘を出ていく。『漫画少年』が廃刊になってもマンガ人気はすたれず、石森と藤子はあちこち
 に連載を抱える売れっ子になっていた。寺田は相変らずマイペースで描き続け、石森のアシスタント
 をしながらなかなか世に出るチャンスをつかめないでいる赤塚の面倒を見たり、彼らをよくまとめて
 いた。その後、ギャグマンガの才能を見いだされた赤塚はとんとん拍子に売れっ子になり、同じころ、
 自分の描きたいものとそれが認められない現実とのギャップに悩んでいた森安が、こっそりトキワ荘
 から引っ越していった。寺田は、速いスピードで変化していく少年マンガの世界に自分が合わなくな
 ってきていることを感じつつ、それでも自分の好きなものしか描けないでいた。そしてある冬の日、
 寺田は“新漫画党”のみんなで写した一枚の写真を残して、トキワ荘を出ていった。

 他に、松梨智子(水野英子)、安部聡子(石森の姉)、土屋良太(つげ義春)、柳ユーレイ〔憂怜〕(棚
下照生)、きたろう(丸山=編集者)、原一男(加藤謙一=学童社編集長)、向井潤一(本多=同じく編集
者)、広岡由里子(同じく事務員)、桃井かおり(藤本の母)、時任三郎(寺田の兄)、内田春菊(娼婦)
などが出演している。
 寺田が、上京してきた安孫子や藤本に、東京の生活事情を話すシーンがある。生活費(一月あたり)に言
及していたので、以下に書き記しておこう。

 部屋代 3,000円/光熱費 500円/新聞代 330円/食費 4,000-5,000円(二人だと7,000円)

 中華そば(ラーメン)が30-40円くらいだったので、大体こんなものだろう。新聞代とあるのは、漫画の
ネタを仕入れるのに必要だろうと寺田が示唆したからである。なお、赤塚不二夫の部屋の壁に「毒蛇は急が
ない」と書かれた紙片が貼ってあった。この言葉は小生の座右の銘なので、少し笑った。


 某月某日

 DVDで邦画の『子宮に沈める』(監督:緒方貴臣、paranoidkichen、2013年)を観た。最初に連想したの
は『誰も知らない』(監督:是枝裕和、『誰も知らない』製作委員会、2004年)だが、さらに凄惨な映画に
仕上がっている。「幼児虐待」、「育児放棄」、「ネグレクト」などの言葉がマスコミを賑わすようになっ
てから久しいが、この映画の母親は、それらよりもさらに一線を越えた「未必の故意」による殺人を犯して
いると看做すこともできるだろう。実際、当該映画は実話に基づいて作られているが、モデルになった母親
は懲役30年の刑が確定している由(ウィキペディア)。以下、「大阪2児餓死事件」の概要を同じ<ウィキ
ペディア>から引用してみよう。執筆者に感謝したい。なお、ほぼ原文通りである。


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  大阪2児餓死事件:2010年に発生した大阪市西区のマンションで2児(3歳女児と1歳9ヶ月男児)
              が母親の育児放棄によって餓死した事件。

   〔事件概要〕

  2010年7月30日、「部屋から異臭がする」との通報で駆け付けた警察が2児の遺体を発見。死後1
 ヶ月ほど経っていた。なお遺体が発見されるまで「子供の泣き声がする」と虐待を疑う通報が児童相
 談所に何度かあったが発覚しなかった。同日に風俗店に勤務していた2児の母親(当時23歳)を死体
 遺棄容疑で逮捕し、後に殺人容疑で再逮捕した。

   〔被疑者の生い立ち〕

  逮捕された母親は三重県四日市市に生まれた。両親の離婚などで中学生時代は家出を何度も繰り返
 していた。この時、母親の父親が高校スポーツの指導者としてニュースの特集に出たことがあり福澤
 朗が当時中学生だった母親に家に帰るよう促したことがある。2006年12月、当時大学生だった男性
 (その後大学を辞め就職する)と結婚。2007年5月、20歳になった直後に長女を出産。2008年10月に
 長男を出産し、2009年5月に離婚した。

   〔事件発覚まで〕

  母親は離婚後大阪市西区のマンション(母親の勤務先名義)に移ったが、子どもの世話をしなくな
 っていた。この時子どもを残し、わずかな食料を置き交際相手と過ごすようになり長期間家を空ける
 こともあった。
  2010年6月9日頃、居間の扉に粘着テープを張った上に玄関に鍵をかけて2児を自宅に閉じ込めて放
 置し、同月下旬ごろに餓死させた。7月29日、勤務先の上司から「異臭がする」との連絡を受け、約
 50日ぶりに帰宅した際に子どもの死亡を確認した。死亡を確認した母親は「子どもたちほったらかし
 で地元に帰ったんだ。それから怖くなって帰ってなかったの。今日1ヶ月ぶりに帰ったら、当然の結
 果だった」と上司にメールを送信するも、その後はそのまま男性と遊びに交際相手に出かけホテルに
 宿泊し、翌7月30日に逮捕されるまで過ごしていた。

   〔裁判〕

  母親は逮捕後、約5か月間の鑑定留置期間に精神鑑定を受け、刑事責任能力には問題ないとの結果
 が出たため、大阪地検に殺人罪で起訴された。なお、死体遺棄容疑は不起訴処分となった。
  検察側は、母親が最後に家を出た際「冷蔵庫に食事がなかった」、「子ども2人の衰弱を目の当た
 りにしていた」などの点を挙げ、母親に殺意があったとして、無期懲役を求刑した。弁護側は「被告
 も育児放棄を受けた影響があった」とし子どもに対する殺意はなく、保護責任者遺棄致死罪にとどま
 るとした。母親は「子どものことを今でも愛している」と話した。
  2012年3月16日、大阪地裁は母親は子どもに対する「未必の殺意」があったと認定し、懲役30年の
 実刑判決を言い渡した。2012年12月5日、大阪高裁も「生命が危険な状況で、放置すれば死亡すると
 認識できた」として一審判決を支持し、被告側の控訴を棄却した。裁判は最高裁まで争われ、2013年
 3月に懲役30年が確定した。その後、事件のあったマンションでは毎月一度、住人交流会が行われて
 いる。

   〔その他〕

  2013年に同事件を基にした映画『子宮に沈める』が緒方貴臣監督によって制作された。母親を伊澤
 恵美子が演じた。この映画は現在も不定期で上映されている。

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 この映画を観ていて一番連想したことは、自分の母親の小生に対する躾のことだった。小生が小学校を卒
業するまではずいぶん厳しい母親であったが、中学生になると息子の自主性を尊重してくれたらしく、よほ
どのことがない限り叱られたことすらなかった。それどころか、わがままだった小生の願いをできる限り叶
えてくれたので、調子に乗ってかなり甘えていたことを後悔しているくらいである。もちろん、普遍化する
ことはできない教育方針ではあるが、総じてある程度の判断力がつくまでは厳しく育て、それ以後は寛容を
もって旨とすべしというのが、小生の「躾」観である。亡くなってから10年以上経過しているが、今でも母
親に対しては深甚の感謝の念を抱いているので、けっこう譲れない考え方である。もし、小生の母親が当該
映画の主人公のように育児放棄をしていたら、小生は生きてはこれなかっただろう。そういう意味でも、い
ろいろな思いが交錯する映画であった。おそらく、人によっては、こんな映画を製作すること自体おぞまし
いと思うかもしれないが、密室における育児の実態を考える上では貴重な映像だと思う。
 物語を確認しておこう。例によって、<Movie Walker>のお世話になる。執筆者に感謝いたい。なお、一部
改変したが、ご海容いただきたい。

   〔解説〕

  実際に大阪で起きた2児放置死事件を基に、『終わらない青』、『体温』の緒方貴臣が監督した社
 会派フィクション。都会で暮らす若いシングルマザーが、孤独に追いつめられ逃避に陥ることで始ま
 る子どもたちの悲劇を“部屋”という閉ざされた空間の中に描き出す。出演は『きみに会えて』の伊
 澤恵美子、『ハブと拳骨』の辰巳蒼生。

   〔あらすじ〕

  由希子(伊澤恵美子)は、夫(辰巳蒼生)と二人の子ども(土屋希乃/土屋瑛輝)とともに暮らし
 ていたが、ある日、夫から一方的な別れを告げられ、子ども二人とアパートで新生活を始める。毎日
 の長時間労働、資格試験、家事、子育てなどに追われながらも、必死に“良き母”であろうとする由
 希子。だが学歴も職歴もないシングルマザーは経済的困窮に陥り、次第に社会から孤立していく……。

 他に、仁科百華(由希子の高校時代の友人)、田中稔彦(由希子の男)が出演している。子どもたちの振
舞はごく自然で、「よくこれだけ上手に描けたな」と思った。男児は演技をしていなかったと思うが、女児
の役を演じた土屋希乃は、名子役といってもよいだろう。『誰も知らない』でも感じたことだが、育児を母
親だけに押しつけがちな社会の欠陥が露呈していると思った。聞くところによれば、躾と虐待の境界は見極
め難く、それらに専門的に当たっている人でも簡単には見分けられないらしい。やたらに甘やかしても駄目、
厳しくし過ぎても駄目、ちょうどいい躾はいったいどこに存するのか、人類の永遠のテーマであろう。


 某月某日

 DVDで邦画の『人類資金』(監督:阪本順治、「人類資金」製作委員会〔木下グループ=松竹=テレビ東
京=講談社=ハピネット=ギークピクチュアズ=Cross Media International=GyaO!=КИНО〕、2013年)
を観た。竜頭蛇尾の観があるが、世評とは異なり、小生にとってはそこそこ見応えのある作品だった。もっ
とも、全体に安っぽく、ハリウッドが作ったらまったく違った映画になっただろう。いわゆる「M資金」を
題材にしているので、その背景を確認しておこう。〈ウィキペディア〉のお世話になる。執筆者に感謝した
い。なお、一部加工したが、内容に変化はない。ご寛恕願いたい。


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  M資金:連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)が占領下の日本で接収した財産などを基に、現在も
      極秘に運用されていると噂される秘密資金である。Mは、GHQ経済科学局の第2代局長であ
      ったウィリアム・フレデリック・マーカット(William Frederick Murcutt)少佐(後に
      少将)の頭文字とするのが定説となっている。その他にマッカーサー、MSA協定、フリー
      メーソン (Freemason) などの頭文字とする説などがある。

  M資金の存在が公的に確認された事は一度もない。しかし、M資金をふくむ様々な秘密資金を詐欺
 で語る手口が存在し、著名な企業や実業家がこの詐欺に遭い、自殺者まで出したことで一般人の間で
 も有名になった。過去にはその被害を企業の不祥事としてフィクサーがぶち上げるケースもあった。
 逆に、報道により実態をうやむやにするケースもあった。

   〔不透明な資金〕

  第二次世界大戦終戦時の混乱期に、大量の貴金属やダイヤモンドなどの宝石類を含む軍需物資が、
 保管されていた日銀地下金庫から勝手に流用されていた隠退蔵物資事件や、件の日銀地下金庫にGHQ
 のマーカット少佐指揮の部隊が調査・押収に訪れた際に、彼らによる隠匿があったとされた事件など
 が発生した。
  GHQの管理下に置かれた押収資産は、戦後復興・賠償にほぼ費やされたとされるが、資金の流れに
 は不透明な部分があり、これが“M資金”に関する噂の根拠となった。他には、停戦直前に帝国軍が
 東京湾の越中島海底に隠匿していた、大量の貴金属地金が1946年4月6日に米軍によって発見された事
 件や、終戦直後に各種の軍需物資が隠匿され、闇市を通じて流出していた時期の鮮明な記憶が噂の真
 実味を醸し出していた。
  また、戦後のGHQ統治下で構築された、いくつかの秘密資金が組み合わされたものが現在の“M資
 金”の実態であると主張する意見もある。それによれば、M資金・四谷資金・キーナン資金・その他
 の、GHQの活動を通じて形成された資金を統合したものが“M資金”であり、その運用は日本政府の
 一部の人々によって行われ、幾多の国家的転機に際して利用されてきたという。流れの不透明な資金
 には、他にG資金とX資金がある。さらには蓄積円というものまで存在した。1980年には笹川良一が
 資金提供して日本海洋開発が日本海で旧ロシアの軍艦アドミラル・ナヒモフの調査を実施し、金属の
 インゴットが引き上げられたと報じられたことがあった。

   〔詐欺の手口〕

  M資金詐欺は、昭和30年代から現代に至るまで、ほぼ同じ手口・内容の詐欺が繰り返されている。
 M資金詐欺師が目を付けるのは、企業の経営者や実業家といった、それなりに社会的地位のある人々
 である。
  M資金詐欺師は多種多様な演出をして思考を麻痺させ、虚実織り交ぜた話で被害者の欲求につけ入
 り、からめ取って行く。話を信じ、M資金の恩恵に与ろうとした被害者が金を用意して仲介者(詐欺
 師)に渡した後、その人物はそのまま行方不明になる、というケースが典型的である。時には契約の
 際に書かされた書類等をネタに、企業から金銭を脅し取る手口も存在する。なかには、すぐに姿を消
 さずに“通常では申込金の受付から審査まで数カ月かかるが、これを加速するための運動費を政治家
 に提供する”といった口実で、さらに金を引き出すM資金詐欺師もいる。
  不透明な資金が色々あるおかげで詐欺口上はバリエーションが豊かである。「いわゆるM資金とは
 別」などと前置いてから、さまざまなバージョンの話で詐欺を働いているケースが知られている。
  また、規模や金額は小額ながら、近年流行している“架空請求詐欺”や“振り込め詐欺”といった
 ケースで、「弁護士立会い」、「裁判所命令」、「和解手続き」、「還付金」といった、多くの被害
 者にとって非日常的な用語を多用して、被害者の思考を麻痺させている点に、M資金詐欺の強い影響
 が窺える。(後略)

 *******************************************


 小生も「M資金」に関しては『ゴルゴ13』などでだいぶ以前から知っていたが、当該映画のようなある意
味で「ユルイ」ものではなかったと思う。もっとシビアーな世界を描かないと、『闇の子供たち』(監督:
阪本順治、「闇の子供たち」製作委員会〔セディックインターナショナル=ジェネオン エンタテインメン
ト=アミューズ〕、2008年)同様、歯痒い結果になる。言ってみれば、阪本作品の泣き所とも言えるだろう。
しかし、別の角度から見た場合、むしろ「ヒューマン・ドラマ」にカテゴライズされるかもしれない。つま
り、ウェットな作品に仕上がっているのである。
 物語を確認しておこう。例によって、<Movie Walker>のお世話になる。執筆者に感謝いたい。なお、一部
改変したが、ご寛恕を乞う。

   〔解説〕

  第二次世界大戦の際に日本軍が集めた資金などを基にした巨額の不透明な財産“M資金”。戦後史
 最大のタブーとも言われる同テーマを描く、阪本順治監督による社会派サスペンス。M資金詐欺をし
 ていた男が、本物のM資金の存在を知り、巨額の報酬を手に入れようとする姿が描かれる。主人公役
 の佐藤浩市をはじめ、実力派が勢ぞろいした。

   〔あらすじ〕

  1945年、敗戦を不服とする反乱兵たちが日本軍の秘密資金を持ちだしていた。総量600トンにも及
 ぶ金塊を回収しに来た笹倉雅実大尉(松崎謙二)は、この先、資本という怪物を相手に戦うことにな
 ると見据え、金塊を軍に戻さず海へ沈める。2014年、父と同じくM資金詐欺の道を進む真舟雄一(佐
 藤浩市)は、相棒の酒田忠(寺島進)といつものように交渉を進めようとしたところ、彼を追ってい
 る北村刑事(石橋蓮司)が現れる。逃げようとする真舟に石優樹〔セキ・ユーキット〕(森山未來)
 と名乗る男が近づき、“財団”の人間が真舟を待っているので同行してほしいと告げる。日本国際文
 化振興会、前身は日本国際経済研究所というその“財団”の名は、何者かに謀殺された父が死の間際
 にためていたノートの中にあり、真舟自身も詐欺をするときに使っているものだった。M資金は実在
 するのか、実在するなら一体何なのか。真舟は石の言葉に導かれるように“財団”のビルへ向かう。
 そこへ、防衛省の秘密組織に属する高遠美由紀(観月ありさ)とその部下・辻井(三浦誠己)らが現
 れ、真舟を阻止しようとする。逃げる真舟と石に向かい、このままでは消されると忠告する。翌朝、
 真舟と石はあるビルへ向かい、そこで本庄一義(岸部一徳)と会う。本庄は、M資金を10兆円盗み出
 すことを真舟に依頼。報酬は50億用意するとのことだった。仮の名を“M”〔=笹倉暢人〕(香取慎
 吾)という真の依頼者も現れ、かつて日本復興のために使われたものの、今や単なる投資ファンドに
 なり下がっているM資金を盗み出しマネー経済の悪しきルールを変えたいと話す。カネでカネを買う
 マネーゲームが世界を空洞化させており、そんな世界を救いたいという“M”に共感する真舟。破格
 の報酬とM資金の正体を知りたいという欲求が合わさり、真舟はこの話に乗ることにする。現在M資
 金は投資顧問会社代表を務める笹倉暢彦(仲代達矢)が率いる“財団”によって管理されているが、
 その実権はニューヨークの投資銀行が掌握。M資金を盗み出すために、真舟らは世界規模のマネーゲ
 ームを企てる。そんな彼らは、先物取引で失敗し、財務操作を重ねて損失隠しをしている財団の極東
 支部となっているロシア・極東ヘッジファンド代表の鵠沼英司(オダギリジョー)に目を付ける。計
 画が順調に進んでいるように見えたが、たった一つのミスを犯したことから事がうまく運ばなくなる。
 そんな異常な動きをニューヨーク投資銀行のハロルド・マーカス(ヴィンセント・ギャロ)が察知し、
 すぐさま清算人〔遠藤治〕(ユ・ジテ)と呼ばれる暗殺者を真舟や石のもとに送り込む。真舟や石は
 監視され、追い詰められていく……。

 他に、豊川悦司(ハリー遠藤=清算人・遠藤治の祖父)、伊藤紘(武井=警察の囮)、信太昌之(秋葉=
同)、橋本一郎(黒瀬少尉)、侯偉(台湾の投資家)、原田麻由(お付の通訳)、芹沢礼多(権藤=酒田の
仲間)、川屋セッチン(若松=同)、峰蘭太郎(真舟の父)、磯貝龍虎(パスポートの偽造屋)、高良光莉
(その相棒)、菅原あき(笹倉家の家政婦)、辛島陽一(中国船の船員)、伊藤孝太郎(募金箱の大学生)、
塚本幸男(軍司令)、重松収(内閣官房長官)、相内優香(ニュース・キャスター)などが出演している。
 石の言葉が印象深い。「携帯電話の契約数は50億を超えているのに、世界の七割の人間は電話をかけたこ
とがない」、「途上国では、使い捨てのプリペイド携帯が出回っており、ブラック・マーケットの住人たち
の必需品になっている。それを使って、麻薬の売買や人身売買を行っているのである。つまり、日替わりで
携帯を使い捨てにしている連中が、電話をかけたことのない人たちを食い物にしているのだ」など。なお、
真舟(木下という偽名を使っていた)の身分が鵠沼にばれるきっかけは、証券マンの隠語である「往復ビン
タ」を真舟が知らなかったことからである。「往復ビンタ」とは、「買ったら下がって、売ったら上がって、
もうどうしようもない」という隠語であるが、真舟は「パワハラ」と混同している。最後に、「M資金」の
《M》は《Mankind》の《M》から来ていることが明かされる。言うまでもなく、題名の「人類資金」のこ
とである。


 某月某日

 DVDで邦画の『最終兵器彼女』(監督:須賀大観、「最終兵器彼女」製作委員会〔東映アニメーション=  
東映=東映ビデオ=スカパー・ウェルシンク=小学館=シリコンスタジオ=アミューズメントソフトエンタ
テインメント=博報堂DYメディアパートナーズ〕、2006年)を観た。TSUTAYAのレンタルDVDコーナーで何度
も借りようかどうか迷った作品である。現在、「パニック」についていろいろ考えているが、何かの参考に
なるかと思って借りてみた。予想した以上に「あり得ないシチュエーション」の連続ではあったが、古風な
純愛もそれなりに描いているので、何か不思議な感覚を喚起する映画だとは思う。若い人が観れば、「大事
な人(多くの場合、恋人)」を守るためならば、命も惜しくないと思うのだろうか。
 物語を確認しておこう。例によって、<Movie Walker>のお世話になる。執筆者に感謝いたい。なお、一部
改変したが、ご寛恕を乞う。

   〔解説〕

  350万部突破を誇る高橋しんの人気漫画を前田亜季主演で映画化。“兵器”に改造された女子高生
 と同級生の恋を、VFX映像満載で活写したSFロマンスだ。

   〔あらすじ〕

  小樽に暮らすシュウジ(窪塚俊介)とちせ(前田亜季)は、交際を始めたばかりのごく普通の高校
 生のカップル。だが、ちせは自衛隊によって開発・改造された、世界が恐れる“最終兵器”だったの
 である! 諸外国からの攻撃に対し、高い戦闘能力で迎撃するちせ。シュウジは、そんな彼女に戸惑
 いながらも、普段は何も変わらない彼女と愛を育み、やがて一緒に生きたいと思うようになっていく。
 しかし、メンテナンスを繰り返し完全なる兵器へと変貌を遂げた筈のちせに、システム・エラーが発
 生。このままでは制御不能となり、地球そのものを破壊しかねない。そこで自衛隊は、連合軍から突
 きつけられた停戦の条件を受け入れる決断をする。果たして、それはちせの抹消だった。そして執行
 前夜、シュウジと愛を確かめ合ったちせは、翌朝、自ら大気圏外へ飛び立つと、ミサイルによって破
 壊される……。終戦後、砂漠を行くシュウジ。彼は、ちせの“残骸”を見つけ出し、永遠に一緒にい
 ることを誓う。

 他に、木村了(アツシ)、貫地谷しほり(アケミ)、渋川清彦(テツ〔尾崎哲〕=陸上自衛隊三曹)、酒
井美紀(ふゆみ=テツの妻)、伊武雅刀(ムラセ)、川久保拓司(ナカムラ)、二階堂哲(中隊長)、津田
寛治(白衣の男=ちせが最終迎撃モードに入ったことを告げる男)、充吉修介(自衛隊員)、奥村勲(同)、
原田光輝(同)、中森祥文(同)、田中鈴之助(同)、清水一哉(同)、越康広(同)、田崎敏路(同)、
本宮憲二(同)、犬橋哲郎(同)、山崎大昇(同)などが出演している。それにしても、「交換日記」とは
何と古風な!


 某月某日

 DVDで邦画の『ガメラ3 邪神<イリス>覚醒』(監督:金子修介、大映=徳間書店=日本テレビ放送網=博
報堂=日本出版販売、1999年)を観た。金子監督が撮った「平成ガメラ」シリーズの第3作目である。もち
ろん、時系列通りの作品であるが、ギャオスの変種である「イリス」が登場する分、物語は複雑になってい
る。この映画でJR京都駅付近が破壊されるが、京都が破壊される怪獣映画はあまりないようだ。『ゴジラVS
メカゴジラ』(監督:大河原孝夫、東宝、1993年)において、京都タワーや清水寺周辺などが破壊されるよ
うだが、小生は未見である(ネット情報「ゴジラに破壊された有名スポット」より)。
 物語を確認しておこう。例によって、<Movie Walker>のお世話になる。執筆者に感謝いたい。なお、一部
改変したが、ご寛恕を乞う。

   〔解説〕

  ガメラによって両親を殺された少女の憎しみが生んだ怪生物と、ガメラの壮絶な戦いを描いたモン
 スター・パニック映画の新シリーズ第3弾。監督は『F[エフ]』の金子修介。特技監督は『新世紀
 エヴァンゲリオン劇場版 DEATH(TRUE)』の樋口真嗣。脚本は、『GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊/
 インターナショナル・ヴァージョン』の伊藤和典と金子監督自身が執筆。撮影を『元気の神様』の戸
 澤潤一が担当している。主演は、『新生トイレの花子さん』の前田愛と『ガメラ 大怪獣空中決戦』の
 中山忍。

   〔あらすじ〕

  4年前の1995年、東京を舞台としたガメラとギャオスの戦いで最愛の両親を失った中学生の比良坂
 綾奈(前田愛)は、今は弟の悟(伊藤隆大)とともに奈良県南明日香村の親戚の家にひきとられ暮ら
 していた。彼女のガメラに対する憎悪は日増しに膨らむ一方で、そんな中、彼女は村に古くから伝え
 られている伝説の神獣「柳星帳」が眠る・社の沢・の祠の封印を解いてしまう。ある日、渋谷上空に
 ガメラと数頭のギャオスが出現した。激しい戦いの末、ガメラはギャオスを倒すも、渋谷駅周辺は壊
 滅状態。テレビ中継でその模様を見ていた綾奈は、ガメラに対する憎しみを一層強くする。綾奈が封
 印を解いた社の沢の祠で、奇妙な生物が覚醒した。綾奈のクラスメイトで彼女に秘かな想いを寄せて
 いる守部龍成(小山優)は、その生物が柳星帳ではないかと不安になるが、綾奈はそれにイリスと名
 づけ育てるようになる。ところが、その過程で綾奈はイリスの繭に取り込まれてしまった。龍成のお
 陰で彼女は病院に運ばれ一命を取り留めるも、成長したイリスは村人たちを襲い巨大化していく。と
 ころで、4年前のギャオス大量発生以来、その生態研究を続けていた鳥類学者の長峰真弓(坂上忍)
 は、明日香村で起こった事件を聞きつけ、今はホームレスとなった大迫力元警部補(螢雪次朗)とか
 つてガメラと心を通わせた草薙浅黄(藤谷文子)と奈良に飛んだ。調査を進めていくうち、どうやら
 ギャオスの変異体らしき怪生物が現れたことをつきとめる真弓。そして、その誕生に綾奈という少女
 が関わっていることを知った彼女は、綾奈が入院している病院へ急行。彼女の弟から、綾奈がガメラ
 に非常に憎悪を抱いていたことを知る。ところがその後、綾奈が病院から姿を消してしまう。政府の
 内閣情報調査官の朝倉美都(山咲千里)が彼女を京都へ移送したのだ。綾奈を追って京都に向かう真
 弓と浅黄。そんな彼女たちの前に、朝倉のブレーンである推測統計学に精通したゲーム作家の倉田真
 也(手塚とおる)が現れ、かつて浅黄がガメラと心を通わせたように、ギャオスの変異体であるイリ
 スは綾奈との融合を試みているのだと告げた。実は、美都は倉田を使ってギャオスによる人類破滅を
 シミュレートさせており、そのために綾奈を京都に連れ去ったのだった。真弓は、そんな美都のやり
 方に猛烈に抗議。綾奈の命を救うべく、彼女を東京の病院に移すことを決める。だが、イリスが嵐の
 京都に現れてしまった。綾奈を探して、京都中を破壊するイリス。しかし、そこへガメラが登場。イ
 リスと激しい死闘を繰り広げ、見事にイリスを倒してみせると、綾奈の身を案じ駆けつけた龍成の家
 に伝わる剣の効果で、イリスに融合されそうになった綾奈をも助けるのであった。ガメラに命を救わ
 れ、ガメラが地球の守護神であることを知る綾奈。だがその時、日本上空には世界中から集まったギ
 ャオスの群れが飛来していた……。

 他に、福沢博文(ガメラ)、大橋明(イリス)、安藤希(守部美雪=龍成の妹)、堀江慶(日野原繁樹=
綾奈の親戚)、八嶋智人(桜井=国立遺伝子研究所の研究員)、本田博太郎(斉藤雅昭審議官)、川津祐介
(野尻明雄=札幌青少年科学館館長)、清川虹子(守部刀自=龍成の祖母)、津川雅彦(航空総隊司令)、
石丸謙二郎(航空総隊先任管制官)、上川隆也(航空総隊コントローラー)、渡辺裕之(戦闘指揮所連隊長)、
斉藤暁(日野原・夫=繁樹の父)、根岸季衣(日野原・妻=同じく母)、田口トモロヲ(綾奈を診断した医
師)、かとうかずこ(綾奈の母=ゴジラに殺される)、三田村邦彦(同じく父=同)、徳井優(駐在付)、
伊集院光(京都駅附近の警官)、仲間由紀恵(女性キャンパー)、本田大輔(大輔=その友人)、三輪明日
美(センター街の女子高生)、生瀬勝久(八洲海上保険社員)、廣瀬昌亮(深海調査研究船「かいれい」チ
ーフ)、鴻上尚史(同じくクルー)、石橋保(同)、草野仁(『ザ・ワイド』司会者)、勝恵子(同)、渡
辺いっけい (『ザ・ワイド』プロデューサー)、小沢遼子(同じくコメンテーター)、鷹西美佳(『きょう
の出来事』キャスター)、増田隆生(臨時ニュースのアナウンサー)、船津宣史(同)、松永二三男(同)、
小松みゆき(渋谷のレポーター)、松本志のぶ(ウェザーキャスター)、前田亜季(回想の綾奈)、加藤博
之(官房長官)、竹村愛美(知美=綾奈をいじめている同級生)、藤崎安可里(早苗=同)、山口日記(夏
子=同)、掛田誠(ホームレス)、栩野幸知(同)、仁科貴(護衛の自衛官)などが出演している。なお、
配役に関しては、〈ウィキペディア〉も参照した。執筆者に感謝したい。


 某月某日

 自主上映会とDVDで2本の映画を観たので報告しよう。1本目は洋画、2本目は邦画である。およそ対照
的な作品で、前者はどこまでも重く、後者はどこまでも軽い。2000年の時空を超えて、人間の営みの多様さ
を疑似体験したというわけ。
 1本目は、「小夏の映画会」(代表:田辺浩三)〔於 自由民権記念館〕が主催した『奇跡の丘(Il Vangelo
Secondo Matteo)』(監督:ピエル・パオロ・パゾリーニ〔Pier Paolo Pasolini〕、伊=仏、1964年)で
ある。「マタイによる福音書」を忠実に映画化した作品で、イエス役のエンリケ・イラソキや、若きマリア
役のマルゲリータ・カルーソの風貌を観た瞬間、この映画は成功しているだろうと思った。案の定、圧倒的
な流れでイエスの復活までが描かれていた。正統的なキリスト教の信者がこの作品をどう評価するかは分か
らないが、一つの芸術映画として観た場合、あり得る一つの姿を活写していると思った。イエスが述べ伝え
た有名な言葉や、現実世界ではあり得ないと思われる奇跡の数々は、ほとんどすべて作品の中に収められて
いたと思われる。少し性急な感じがしたが、次々と語られるイエスの馴染深い言葉や奇跡が、当然のごとく
耳目に飛び込んできた。遣われている言語は英語だが、それもご愛嬌といったところか。なお、ペテロがイ
エスを知らないと三度語った後、鶏が鳴くはずだったが、なぜか当該映画ではその鳴き声がなかった *。小
生が、聞き逃したのだろうか。また、イエスが「エリエリ・レマ・サバクタニ(神よ、何ゆえに我を見捨て
たもうや)」といった嘆きを洩らしたとき、多くの石でできた建物が崩壊するシーンがあるが、あれはパゾ
リーニの演出だろうか。少し、派手のような気がする **。この2点が少しこころにひっかかった。

 * 第26章73-75 暫くして其処に立つ者ども近づきてペテロに言ふ『なんぢも慥(たしか)にかの党与
       (ともがら)なり、汝の国訛なんぢを表せり』 ここにペテロ盟(うけ)ひかつ契(ちか)
       ひて『我その人を知らず』と言ひ出づるをりしも、鶏鳴きぬ。ペテロ『にはとり鳴く前に、
       なんぢ三度われを否まん』と、イエス言ひ給ひし御言(みことば)を思ひ出だし、外に出
       でて甚(いた)く泣けり。日本聖書協会『舊新約聖書(文語訳)』より。なお、正字を現
       代ものに置き換えた。
 ** 第27章50-52 イエス再び大声に呼はりて息絶えたまふ。視よ、聖所の墓、上より下まで裂けて二つと
       なり、また地震ひ、磐(いわ)さけ、墓ひらけて、眠りたる聖徒の屍体(しかばね)おほ
       く活きかへり、イエスの復活(よみがへり)ののち墓をいで、聖なる都に入りて、多くの
       人に現れたり。同書より。

 物語を確認しておこう。例によって、<Movie Walker>のお世話になる。執筆者に感謝いたい。なお、一部
改変したが、ご海容いただきたい。

   〔解説〕

  「マタイによる福音書」から監督としては日本初登場のピエル・パオロ・パゾリーニが脚色・監督
 したキリスト伝。撮影は『乞食』、『ママ・ローマ』(共に日本未公開)でパゾリーニと組んだトニ
 ーノ・デリ・コリ、音楽はルイス・エンリケス・バカロフで、バッハ、プロコフィエフ、黒人霊歌な
 どを駆使している。出演は、キリストにスペインの学生エンリケ・イラソキ、マリアに女学生マルゲ
 リータ・カルーソ、年老いたマリアに監督の母親スザンナ・パゾリーニが、また使徒たちには監督の
 友人である詩人、評論家、作家それに農夫や体操選手など素人ばかり。

   〔あらすじ〕

  予言者の言葉通り、ヘロデ王の代にべツレヘムの大工ヨゼフの婚約者マリア(M・カルーソ)は、
 聖霊によって懐妊し、生まれた子はイエスと名づけられた。迫害を逃れるため行っていたエジプトか
 らイスラエルにもどり、ガラリヤで成人したイエス(E・イラソキ)は、ヨハネのもとで洗礼を受け
 た。その時天から声かひびきわたり、イエスが神の子であることを告げた。彼はただひとり、荒野で
 四十日間の断食、さらに悪魔と対決し、退けた。その後イエスはガラリヤ全地を巡り歩き、教えを広
 め始めた。群衆を伴って山にのぼっては、神の国の福音を説ききかせた。そしてイエスは数々の奇跡
 をも行なった。しかし、悔い改めるものばかりではなかった。イエスは、自分が長老や司祭たち、律
 法学者たちから苦しみを受け、殺されることを知っていたが、それでも怖れずエルサレムめざして布
 教の旅を続けた。エルサレムについたイエスは、長老や司祭たちの偽善を責め、最後の審判の日の近
 いことを説くのだった。やがて過ぎ越しの祭りの日、十二人の弟子とともに晩さんの席についた。そ
 して「この中の一人が私を裏切るであろう」といった。預言通り、イエスは弟子の一人ユダに売られ、
 ゴルゴタの丘で十字架にはりつけになった。それから三日目、イエスは復活し、十一人の弟子の前に
 姿を現わした。

 他に、スザンナ・パゾリーニ(年老いたマリア)、マルチェロ・モランテ、マリオ・ソクラテなどが出演
している。なお、原題(イタリア語)は「マタイによる福音書」の意味である。パゾリーニの作品を鑑賞す
るのは3本目だが、今後、少なくとも『アポロンの地獄』や『豚小屋』は観ておきたいと思った。
 2本目は、DVDで鑑賞した『バブルへGO!! タイムマシンはドラム式』(監督:馬場康夫、フジテレビ=
電通=東宝=小学館、2007年)である。やはり馬場康夫は痒いところに手の届く監督であると改めて思った。
一種の「おふざけ映画」なのだが、それでも何かしら余韻が残るのだから不思議である。小生個人としては、
バブル時代なんかに2度と戻ってほしくないと考えているが、こころのどこかにはあの時代に対する郷愁が
ないわけではない。とにかく浮かれていたことは間違いない。小生自身、大学院生の頃と重なるので、バブ
ルの恩恵にはほとんど浴しているわけではないが……。
 物語を確認しておこう。以下、上と同様である。

   〔解説〕

  『私をスキーに連れてって』のホイチョイ・プロダクションズ最新作。阿部寛、広末涼子を主演に
 迎え、バブル経済を存続させようと試みるタイムスリップ・コメディ。

   〔あらすじ〕

  2007年。日本の経済は破綻し、国家の崩壊が目前に迫っていた。この危機をなんとか食い止めよう
 と、財務省に勤める下川路功(阿部寛)は、ある計画を極秘で進めていた。その頃、元カレの作った
 借金返済に追われるフリーターの田中真弓(広末涼子)のもとに、疎遠だった母・真理子(薬師丸ひ
 ろ子)の訃報が届く。葬儀中にもかかわらず、サラ金の取立屋である田島圭一(劇団ひとり)は容赦
 なく返済を迫って真弓を困らせていた。葬儀の後、下川路が真弓のもとを訪れ、真理子は死んでおら
 ず、自作のタイムマシンで1990年にタイムスリップしたという真実を打ち明ける。下川路と真理子は
 バブル崩壊を食い止め、歴史を変えるプロジェクトを進めていたのだ。しかし真理子はバブル時代の
 東京で行方不明になってしまったのだという。そこで真弓は、母親を救うためと借金取りから逃れる
 ために、ドラム式の洗濯機型のタイムマシンで1990年の世界へと乗り込んだ。バブル景気の絶頂に浮
 かれている17年前の東京は、真弓にとって不思議の国。まもなく真弓は、この計画を何も知らない若
 き日の下川路と出会う。当時の彼は、今とは別人のような軽薄な遊び人だった。真弓はなんとか下川
 路を納得させ、協力を得る。やがて真理子を無事発見。そして実は、真弓が下川路と真理子の間に出
 来た娘であることが判明する。すべてを知った彼らは、力を合わせて最悪の事態を回避させ、日本経
 済を救うのだった。

 他に、吹石一恵(宮崎薫=TVリポーター、下川路の恋人のひとり)、伊藤裕子(高橋裕子=芹沢金融局長
の秘書、同じく下川路の恋人のひとり)、伊武雅刀(芹沢良道=1990年当時の大蔵省金融局長、後の芹沢フ
ァンド代表)、小木茂光(菅井拓朗=財務省における下川路の同僚)、森口博子(玉枝=キャバクラのママ、
1990年当時は「玉奴」という赤坂一の売れっ子芸者)、飯島愛(本人役=1990年当時の六本木のディスコ・
ガール)、飯島直子(本人役=1990年当時の新人タレント)、八木亜希子(本人役=1990年当時の新人アナ
ウンサー)、ラモス瑠偉(本人役)、露木茂(同)、松山香織(同)、鷲尾いさ子(同)、今井美樹(同)、
小野ヤスシ(同)などが出演している。
 洗濯機の他に、携帯電話(1990年当時は、ポケベル)や扇風機や掃除機が重要な役割を果たしており、よ
くできた脚本(君塚良一)だと思った。馬場監督の一般劇場映画(5作品)はすべて観たことになるが、新
作は製作しないのだろうか。もし封切されることがあったら、今度は映画館で観たいと思う。


 某月某日

 DVDで邦画の『永遠の0(ゼロ)』(監督:山崎貴、「永遠の0(ゼロ)」製作委員会〔東宝=アミュー
ズ=アミューズエンタテインメント=電通=ROBOT=白組=阿部秀司事務所=ジェイ・ストーム=太田出版=
講談社=双葉社=朝日新聞社=日本経済新聞社=KDDI=TOKYO FM=日本出版販売=GyaO!=中日新聞社=西
日本新聞社〕、2013年)を観た。アジア・太平洋戦争時の、いわゆる「特攻」を描いた映画である。当該の
テーマに関しては、数々の映画が製作されており、出版された書籍も無数に存在すると思う。小生のゼミ生
にも、このテーマで卒論を書いた学生がいたことすらある。したがって、「特攻」に関してはけっこう考え
てきたつもりであるが、明確なイメージを結んでいるわけではない。以下で、「特攻」が絡む映画(回天を
含む)の主だった作品(小生が鑑賞済みのもの)を掲げてみよう。

  『雲ながるる果てに』、監督:家城巳代治、重宗プロ=新世紀映画、1953年。
  『人間魚雷出撃す』、監督:古川卓巳、日活、1956年。
  『あゝ特別攻撃隊』、監督:井上芳夫、大映東京、1960年。
  『あゝ同期の桜』、監督:中島貞夫、東映京都、1967年。
  『人間魚雷 あゝ回天特別攻撃隊』、監督:小沢茂弘、東映、1968年。
  『最後の特攻隊』、監督:佐藤純彌、東映東京、1970年。
  『あゝ予科練』、監督:村山新治、東映、1968年。
  『あゝ決戦航空隊』、監督:山下耕作、東映、1974年。
  『英霊たちの応援歌・最後の早慶戦』、監督:岡本喜八、東京12チェンネル、1979年。
  『きけ、わだつみの声 Last Friends』、監督:出目昌伸、東映=バンダイビジュアル、1995年。
  『君を忘れない』、監督:渡辺孝好、「君を忘れない」製作委員会〔日本ヘラルド=ポニーキャニオン=
   デスティニー〕、1995年。
  『ホタル』、監督:降旗康男、東映=テレビ朝日=住友商事=角川書店=東北新社=日本出版販売=
   TOKYO FM=朝日新聞社=高倉プロモーション、2001年。
  『零<ゼロ>』、監督:井出良英、「零<ゼロ>」製作委員会〔ケイエスエス=プログレッシブ
   ピクチャーズ〕、2003年。
  『出口のない海』、監督:佐々部清、「出口のない海」フィルムパートナーズ〔松竹=ポニーキャニオン=
   住友商事=テレビ朝日=衛星劇場=スカパー・ウェルシンク=IMAGICA=講談社=メモリーテク=
   Yahoo! JAPAN=朝日新聞社=東京都ASA連合会=アドギア=メーテレ=山口放送=朝日放送〕、2006年。
  『紙屋悦子の青春』、監督:黒木和雄、バンダイビジュアル=アドギア=テレビ朝日=ワコー=
   パル企画、2006年。
  『俺は、君のためにこそ死ににいく』、監督:所城卓、「俺は、君のためにこそ死ににいく」製作委員会
   〔東映=シーユーシー=東映ビデオ=シーイーシー=日本テレビ放送網=ゲオ=日本出版販売=産経
   新聞社=所城卓事務所〕、2007年。
  『永遠の0(ゼロ)』、監督:山崎貴、「永遠の0(ゼロ)」製作委員会〔東宝=アミューズ=
   アミューズエンタテインメント=電通=ROBOT=白組=阿部秀司事務所=ジェイ・ストーム=太田出版=
   講談社=双葉社=朝日新聞社=日本経済新聞社=KDDI=TOKYO FM=日本出版販売=GyaO!=中日新聞社=
   西日本新聞社〕、2013年。

 他にもまだまだあるのだろうが、とりあえずいくつか列挙してみた。17本が多いのか少ないのか分からな
いが、けっこう観ている勘定になる。とりわけ印象深い作品を3篇だけ挙げるとすれば、『雲ながるる果て
に』(「日日是労働セレクト4-6」、参照)、『人間魚雷 あゝ回天特別攻撃隊』(「日日是労働セレクト
21」、参照)、『あゝ決戦航空隊』(「日日是労働セレクト22」、参照)あたりだろうか。それぞれ、
もう一度鑑賞してみたい作品だからである。
 さて、当該作品であるが、岡田准一の演じた宮部久蔵という人物は、これまでの「特攻映画」に登場した
ことのないキャラクターである。そういう意味で新鮮味はあった。しかし、あまりにも見事な人間なので、
現実離れをしていると思った。まったくテーマの異なる映画ではあるが、『孤高のメス』(監督:成島出、
「孤高のメス」製作委員会、2010年)の主人公である、外科医の当麻鉄彦(堤真一)を連想した。専門分野
における類まれなる腕前、全体の流れを瞬時に把握する洞察力、群を抜く先見の明、誹謗中傷に屈しない胆
力、周囲の人々を思いやる優しさ、どれを取っても超一流である。そんな人が、少なからぬ人々から「海軍
一の臆病者」と罵倒されるのだから、人間は分らないものである。いずれにせよ、70年も昔のことであるか
ら、小生のような「戦無派」には与り知らぬものがあることは言うまでもない。
 物語を確認しておこう。例によって、<Movie Walker>のお世話になる。執筆者に感謝いたい。なお、一部
改変したが、ご寛恕を乞う。

   〔解説〕

  百田尚樹の同名ベストセラー小説を岡田准一主演で映画化したヒューマンドラマ。現代に生きる青
 年が、太平洋戦争の特攻出撃で亡くなった零戦パイロットの祖父のことを調べるうちに、祖母への思
 いを知るようになっていく姿がつづられる。桑田佳祐が新曲を書き下ろし、サザンオールスターズと
 しては23年ぶりに映画主題歌を担当する。

   〔あらすじ〕

  2004年、佐伯健太郎(三浦春馬)は、司法試験に落ち失意の日々を過ごしていた。祖母・松乃が他
 界し葬儀に参列するが、そこで祖父・大石賢一郎(夏八木勲)とは血がつながっていないことを知る。
 血縁上の祖父は、松乃の最初の夫で、太平洋戦争時に零戦パイロットとして出撃、終戦間近に特攻隊
 員となり散った宮部久蔵(岡田准一)という人物だった。健太郎は久蔵がどんな人物だったか調べよ
 うと、彼のかつての戦友を訪ねてまわる。しかしその先々で、「海軍一の臆病者」といった手厳しい
 評判を聞く。類まれなる操縦センスを持ちあわせながらも、敵の駆逐よりも生還を第一に考えていた。
 それは、久蔵が妻・松乃(井上真央)と娘・清子とかわした、家族の元に生きて戻るという約束があ
 ったためだった。それならなぜ久蔵は特攻の道を選んだのか。やがて久蔵の最期を知る人物に行き着
 き、健太郎は久蔵の懸命な思いを知る……。

 他に、濱田岳(井崎源次郎〔戦時中〕)、新井浩文(景浦介山〔同〕)、染谷将太(大石賢一郎〔同〕)、
三浦貴大(武田貴則〔同〕)、上田竜也(小山=宮部小隊の3番機)、吹石一恵(佐伯慶子=健太郎の姉)、
風吹ジュン(清子=宮部の娘〔現代〕)、田中泯(景浦〔現代〕)、山本學(武田〔同〕)、橋爪功(井崎
〔同〕)、平幹二朗(長谷川梅男=戦時の零戦搭乗員のひとり。宮部を「海軍一の臆病者」と罵る)、佐々
木一平(山田=大石の特攻仲間)、遠藤雄弥(香川=同)、栩原楽人(寺西=同)、青木健(伊藤=飛行訓
練中、死亡)などが出演している。なお、VFX(Visual Effects)の映像処理は素晴らしく、これ以上は不
可能と思えるほどの出来であった。この映画の評価がどうであれ、あるいは第三者がどんな感想を抱いたと
しても、「特攻」を敢行する者の気持は想像を絶するだろう。戦没者の冥福を祈りたい。


 某月某日

 11月になった。今年もすでに大晦日までの期間が2か月を切った。年々歳々、時間の経つのが早い。楽し
い時間は早く過ぎるというから、きっと楽しいのだろう。実感はあまりないが……。年末年始はのんびりし
たいので、あとひと踏ん張りである。
 さて、DVDで邦画を3本観たのでご報告。1本目は、『小さいおうち』(監督:山田洋次、「小さいおう
ち」製作委員会〔松竹=住友商事=テレビ朝日=博報堂DYメディアパートナーズ=衛星劇場=日本出版販売=
ぴあ=読売新聞東京本社=エフエム東京=博報堂=GyaO!=朝日放送=名古屋テレビ放送=北海道テレビ放
送=北陸朝日放送〕、2014年)である。監督の山田洋次が原作に惚れこんで映画化に漕ぎ着けたそうである
〔ウィキペディアより〕。戦前・戦中が主な舞台の映画としては、『母(かあ)べえ』(監督:山田洋次、
「母べえ」製作委員会〔松竹=テレビ朝日=衛星劇場=エフエム東京=読売新聞東京本社=名古屋テレビ放
送=住友商事=博報堂DYメディアパートナーズ=日本出版販売=ヤフー=朝日放送〕、2007年)がすでにあ
るが、だいぶ様相は異なる。「思想犯」絡みで主人公が時代に翻弄されるのではなくて、「恋愛」絡みで主
人公がやきもきするという流れだからである。「山田洋次もついに好々爺になっちまったか」と言われても
仕方がないだろう。ところで、アジア・太平洋戦争の時代を描く最近の邦画は、真正面から困難な時代を活
写することはせずに、どこか日向ぼっこのにおいのする映画に仕立て上げる傾向がある。そこで、以下に、
2001年以降の主な邦画(小生の鑑賞済みの作品に限定)の中から、タカ派とハト派に分けて戦争映画を分類
してみよう。

  〔タカ派〕

  『ホタル』、監督:降旗康男、東映=テレビ朝日=住友商事=角川書店=東北新社=日本出版販売=
   TOKYO FM=朝日新聞社=高倉プロモーション、2001年。
  『ムルデカ 17805』、監督:藤由紀夫、東京映像制作、2001年。
  『赤い月』、監督:降旗康男、東宝=日本テレビ=電通=読売テレビ=読売新聞社=日本出版販売=
   SDP、2003年。
  『零<ゼロ>』、監督:井出良英、「零<ゼロ>」製作委員会〔ケイエスエス=プログレッシブ
   ピクチャーズ〕、2003年。
  『ローレライ』、監督:樋口真嗣、フジテレビジョン=東宝=関西テレビ放送=キングレコード、2005年。
  『八月拾五日のラストダンス』、監督:井出良英、ブロードバンド・ピクチャーズ、2005年。
  『男たちの大和/YAMATO』、監督:佐藤純彌、「男たちの大和/YAMATO」製作委員会(東映=角川春樹
   事務所=テレビ朝日=他)、2005年。
  『出口のない海』、監督:佐々部清、「出口のない海」フィルムパートナーズ〔松竹=ポニーキャニオン=
   住友商事=テレビ朝日=衛星劇場=スカパー・ウェルシンク=IMAGICA=講談社=メモリーテク=
   Yahoo! JAPAN=朝日新聞社=東京都ASA連合会=アドギア=メ?テレ=山口放送=朝日放送〕、2006年。
  『俺は、君のためにこそ死ににいく』、監督:所城卓、「俺は、君のためにこそ死ににいく」製作委員会
   〔東映=シーユーシー=東映ビデオ=シーイーシー=日本テレビ放送網=ゲオ=日本出版販売=産経
   新聞社=所城卓事務所〕、2007年。
  『明日への遺言』、監督:小泉尭史、アスミック・エース エンタテインメント=住友商事=産経新聞社=
   WOWOW=テレビ東京=ティー ワイ リミテッド=シネマ・インヴェストメント=CBC=エース・プロ
   ダクション、2008年。
  『私は貝になりたい』、監督:福澤克雄、「私は貝になりたい」製作委員会〔TBS=東宝=ジェイ・
   ドリーム=博報堂DYメディアパートナーズ=毎日放送=朝日新聞社=プロダクション尾木=中部日本
   放送=TBSラジオ=TOKYO FM=RKB毎日放送=北海道放送=他 JNN全28局〕、2008年。
  『真夏のオリオン』、監督:篠原哲雄、「真夏のオリオン」パートナーズ〔テレビ朝日=東宝=博報堂DY
   メディアパートナーズ=バップ=小学館=木下工務店=デスティニー=日本出版販売=朝日放送=
   メーテレ=朝日新聞社〕、2009年。
  『キャタピラー(CATERPILLAR)』、監督:若松孝二、若松プロダクション=スコーレ、2010年。
  『聯合艦隊司令長官 山本五十六』、監督:成島出、「聯合艦隊司令長官 山本五十六」製作委員会、
   2011年。
  『太平洋の奇跡 フォックスと呼ばれた男』、監督:平山秀幸、「太平洋の奇跡」製作委員会〔日本テレビ
   放送網=バップ=東宝=DNドリームパートナーズ=読売放送=電通=読売新聞社=札幌テレビ=ミヤギ
   テレビ=静岡第一テレビ=中京テレビ=広島テレビ=福岡放送〕、2011年。
  『野火』、監督:塚本晋也、海獣シアター、2014年。

  〔ハト派〕

  『美しい夏キリシマ』、監督:黒木和雄、ランブルフィッシュ、2002年。
  『父と暮らせば』、監督:黒木和雄、衛星劇場=バンダイビジュアル=日本スカイウエイ=テレビ東京
   メディアネット=葵プロモーション=パル企画、2004年。
  『笑の大学』、監督:星護、フジテレビ=東宝=パルコ、2004年。
  『紙屋悦子の青春』、監督:黒木和雄、バンダイビジュアル=アドギア=テレビ朝日=ワコー=パル企画、
   2006年。
  『母(かあ)べえ』、監督:山田洋次、「母べえ」製作委員会〔松竹=テレビ朝日=衛星劇場=エフエム
   東京=読売新聞東京本社=名古屋テレビ放送=住友商事=博報堂DYメディアパートナーズ=日本出版
   販売=ヤフー=朝日放送〕、2007年。
  『夕凪の街 桜の国』、監督:佐々部清、「夕凪の街 桜の国」製作委員会〔アートポート=セガ=住友
   商事=読売テレビ=双葉社=読売新聞大阪本社=TOKYO FM=東北新社=東急レクリエーション=シネ
   ムーブ=ビッグショット=広島テレビ=福岡放送=山口放送〕、2007年。
  『火垂るの墓』、監督:日向寺太郎、「火垂るの墓」フィルム・パートナーズ〔テレビ東京=バンダイビ
   ジュアル=ポニーキャニオン=衛生劇場=佐久間製菓=トルネード・フィルム=ジョリー・ロジャー=
   パル企画〕、2008年。
  『石内尋常高等小学校 花は散れども』、監督:新藤兼人、近代映画協会=バンダイビジュアル=テレビ
   東京=シネカノン、2008年。
  『一枚のハガキ』、監督:新藤兼人、近代映画協会=渡辺商事=プランダス、2011年。
  『日輪の遺産』、監督:佐々部清、「日輪の遺産」製作委員会〔角川映画=NTTドコモ=IVSテレビ制作=
   シネムーブ〕、2011年。
  『はじまりのみち』、監督:原恵一、「はじまりのみち」製作委員会〔松竹=衛星劇場=サンライズ=
   静岡新聞社〕、2013年。
  『少年H』、監督:降旗康男、「少年H」製作委員会〔テレビ朝日=トライサム=博報堂DYメディア
   パートナーズ=朝日放送=クリーク・アンド・リバー社=メーテレ=北海道テレビ=九州朝日放送=
   朝日新聞社=神戸新聞社=講談社=GyaO!〕、2013年。
  『風立ちぬ』、監督:宮崎駿、「風立ちぬ」製作委員会〔日本テレビ放送網=電通=博報堂DYメディア
   パートナーズ=ウォルト・ディズニー・ジャパン=ディーライツ=東宝=KDDI〕、2013年。
  『爆心 長崎の空』、監督:日向寺太郎、パル企画=メディアファクトリー=日本スカイウェイ=長崎
   放送=長崎ケーブルメディア、2013年。
  『アオギリにたくして』、監督:中村柊斗、ミューズの里「アオギリにたくして制作委員会」、2013年。
  『小さいおうち』、監督:山田洋次、「小さいおうち」製作委員会〔松竹=住友商事=テレビ朝日=
   博報堂DYメディアパートナーズ=衛星劇場=日本出版販売=ぴあ=読売新聞東京本社=エフエム東京=
   博報堂=GyaO!=朝日放送=名古屋テレビ放送=北海道テレビ放送=北陸朝日放送〕、2014年。

 分類してみて驚いたが、意図したわけではないのに、それぞれ16作品ずつの同数であった。もちろん、か
なり恣意的な分類なので、異論もあるだろう。思うに、小生が「タカ派」に振り分けた作品であっても、ど
こか過去の戦争映画に比べると甘く感じられる作品が多いので、「ハト派」映画が多いと感じているのだろ
う。もっとも、「1980年以降に製作されたアジア・太平洋戦争を時代背景にもつ邦画はどれもこれも生温い」
というのが小生の全般的な印象なので、そのような結果を生んだのかもしれない。いずれにしても、先の戦
争は完全に風化しており、実際に戦争を体験した人々においても、本当に苦しかった部分はそっくり記憶か
ら抜け落ちているのではないだろうか……そんな疑念を思わず抱いてしまうのである。最近の日本における
なし崩し的な右傾化も、おそらくそういった傾向に与っているのだと思う。
 物語を確認しておこう。例によって、<Movie Walker>のお世話になる。執筆者に感謝いたい。なお、一部
改変したが、ご寛恕を乞う。

   〔解説〕

  第143回直木賞に輝いた中島京子の同名ベストセラー小説を、名匠・山田洋次監督が映画化したミ
 ステリアスなドラマ。とある一家で起きた恋愛事件の行方を見守った1人の女中。60年後、彼女がつ
 づったノートを手にした青年によってその出来事が紐解かれていくさまが描かれる。女中を黒木華、
 一家の若奥様を松たか子が演じる。

   〔あらすじ〕

  東京郊外にあった少しモダンな三角屋根の家で女中として働いていた当時の思い出を大学ノートに
 書き記していく晩年の布宮タキ(倍賞千恵子)。昭和11年、タキ(黒木華)は上京し、時子(松たか
 子)と雅樹(片岡孝太郎)の夫婦とその息子の恭一(秋山聡〔幼年期〕/市川福太郎〔少年期〕)が
 暮らす平井家で働き始める。優しい時子やかわいらしい息子のいるその家での穏やかな暮らしは、一
 人の青年〔板倉正治〕(吉岡秀隆)の出現により変化する。時子の気持が揺れ、恋愛事件の気配が漂
 う中、タキはある決断をする。タキの死後、このノートを読んだ親類の荒井健史(妻夫木聡)は、遺
 品の中からタキが封じ込めた秘密に関わる手紙を見つける……。

 他に、橋爪功(小中先生=小説家。タキの最初の奉公先)、吉行和子(小中夫人=時子の叔母)、室井滋
(貞子=時子の姉)、中嶋朋子(松岡睦子=時子の親友)、林家正蔵(按摩)、ラサール石井(柳=雅樹や
板倉の勤める玩具会社の社長)、あき竹城(カネ=タキの付添人)、笹野高史(花輪和夫=タキの見合相手)、
松金よね子(その叔母)、螢雪次朗(酒屋のおやじ)、小林稔侍(荒井軍治=タキの親戚)、夏川結衣(荒
井康子=健史の姉)、木村文乃(ユキ=同じくガールフレンド)、米倉斉加年(平井恭一〔晩年〕)などが
出演している。
 <ウィキペディア>によれば、原作と映画化された作品とでは肝心なところが大きく異なっている。原作で
は、雅樹は性的不能者である(息子の恭一は時子の前夫の浅野の遺児であり、雅樹の実子ではない)という
設定に加えて、タキは時子に恋愛感情を抱いていることになっている。このような背景を映画では一切捨象
しているので、牧歌的な作品に変容しており、時子が板倉に激しく惹かれるところや、タキが手紙を板倉に
渡さなかったところに決定的な瑕疵をもつことになったのだと思う。つまり、説得力を欠いたというわけで
ある。もっとも、この時代のことであるから、原作のようなあざとい設定の方がむしろ現代的なバイアスが
かかっているのかもしれないが……。なお、この家の玄関扉には現代風の「二重錠」がついているが、戦前
から存在していたかどうかは不明である。小生が子どものころ住んでいた団地のドアにはなかったし、二重
錠の存在を知ったのも、だいぶ成長してから(昭和40年代くらい)ではなかっただろうか。また、新聞や雑
誌の紙質も上等なものに見え、粗悪なものには見えなかった。これも時代と合わないのではないかと思った。
時代考証はかなり困難な作業なので、仕方がないのではあるが……。
 2本目は、『アナザー Another』(監督:古澤健、「アナザー Another」製作委員会〔角川映画=東宝=
NTT DOCOMO=ツインズジャパン〕、2012年)である。役者の演技がもう少し上手ならば、もっと怖い映画に
仕上がっていたと思われる。言い換えれば、ホラー映画の筋書としてはけっこう新鮮で、リアリティはさほ
どないが、よく練られている作品だとは思う。ただし、この種の映画の例に漏れず、よく考えれば矛盾だら
けで、思わせぶりな部分もあちこちに散見できた。
 物語を確認しておこう。以下、上と同様である。

   〔解説〕

  2009年に発表されるや、各方面で絶賛を浴びた綾辻行人のホラー小説を実写映画化。とある地方都
 市へやってきた少年と彼の周りで起きる不可解な出来事が描かれる。主人公の少年・恒一を演じるの
 は、『麒麟の翼 劇場版・新参者』など映画出演が相次ぐ新鋭・山崎賢人。『告白』で話題を読んだ
 橋本愛が眼帯のミステリアスな少女・鳴を演じる。

   〔あらすじ〕

  1998年春。15歳の榊原恒一(山崎賢人)は、大学教授である父親がインドに行っている間だけ、叔
 母の三神怜子(加藤あい)がいる山間の地方都市・夜見山市で暮らすことになった。転居早々肺に持
 病を持つ恒一は、発作を起こし倒れてしまうが、幸い担ぎ込まれた病院で回復する。入院中のある日、
 病院のエレベーターで恒一は制服を着た眼帯の美少女と出会う。思わず見入ってしまう恒一であった
 が、少女は不可解な言葉を残し、地下の霊安室へと消えてしまう。退院した恒一が夜見山北中学校の
 3年3組に登校すると、病院で出会った少女・見崎鳴(橋本愛)が教室にいた。恒一は彼女の存在を
 気にかけるようになるが、どういうわけか彼女は、クラス内で奇妙な扱いを受けていた。クラスメー
 ト全員や担任の先生までもが、まるで彼女など存在しないかのように振舞っているのだ。恒一は鳴を
 問いただそうと追いかけるが、その都度見失ってしまう。そんな中、クラスメートの一人が、恒一と
 鳴の姿を見て凍りついたように足を止め、その直後、不慮の事故により惨死する。その後、謎めいた
 図書室司書の千曳辰治(袴田吉彦)が現れ、やがて3年3組のクラスメートとその親族の間で不吉な
 出来事が次々と起こり、死者が増えていく。まるでクラスの中に死への扉が開いてしまったかのよう
 に……。

 他に、三浦誠己(松永克巳=夜見山北中学校の同窓生)、つみきみほ(霧果=鳴の養母)、銀粉蝶(民江=
恒一の母方の祖母)、宇治清高(勅使河原直哉=恒一のクラスメート)、井之脇海(望月優矢=同)、岡山
天音(山田優=同)、脇卓史(風見智彦=同)、清水元揮(水野猛=同)、佐々木隆一朗(前島学=同)、
岡野真也〔まや〕(桜木ゆかり=同)、秋月三佳(赤沢泉美=同)、今野真菜(和久井桜子=同)、正名僕
蔵(久保寺紹ニ=3年3組の担任教師)、佐藤寛子(水野沙苗=猛の姉)などが出演している。なお、配役
は<ウィキペディア>を参照した。橋本愛は売れっ子であるが、たしかに不思議な魅力に満ちた女優である。
 3本目は、『ガメラ2 レギオン襲来』(監督:金子修介、大映=日本テレビ放送網=博報堂=富士通=
日本出版販売、1996年)である。『ガメラ 大怪獣空中決戦』(監督:金子修介、大映=日本テレビ放送網=
博報堂、1995年)〔「日日是労働セレクト121」、参照〕の続篇である。前回はギャオスがガメラの相手
であったが、今回は宇宙怪獣レギオンがガメラの宿敵となる。巨大なレギオンが比較的小型の群体レギオン
とタッグ・マッチを組むので、さすがのガメラもいささか苦戦するが、人間の協力と不思議な力の加勢によ
って、最後の最後でガメラが勝利を得るストーリーである。ハキリアリとある種のキノコの関係に似たレギ
オンの共生生物である「草体」も絡んで、いささか複雑な物語となっている。前作に引き続き、樋口真嗣の
特撮は素晴らしく、今回もガメラの咆哮は迫力満点であった。なお、『ゴジラ×メガギラス G消滅作戦』
(監督:手塚昌明、東宝映画、2000年)〔「日日是労働セレクト119」、参照〕においては、最初は小さ
なメガヌロンが羽化してメガニューラとなり、さらに、ゴジラのエネルギーを吸い取ったメガニューラはメ
ガギラスに成長する(メガニューラの戦略として、1匹を選んで巨大化させる)という設定だったが、たぶ
ん、『ガメラ2 レギオン襲来』のレギオン(大型1匹と無数の群体が存在する)からヒントを得ていると
思う。というのも、当該作品を観ていて、直ぐにこの作品を連想したからである。
 さて、物語を確認しておこう。以下、上と同様である。

   〔解説〕

  おなじみ大怪獣ガメラと、宇宙からの異生物レギオンとの壮絶な戦いを描いたモンスター・パニッ
 ク・ムービーの復活シリーズ第2弾。監督は前作『ガメラ 大怪獣空中決戦』を手がけ好評を博した
 金子修介。脚本も前作と同じく伊藤和典が担当し、撮影の戸澤潤一、特技監督の樋口真嗣など前作の
 主要スタッフが再び顔を揃えた。主演は『大失恋。』の水野美紀と『GONIN2』の永島敏行、    
 『LUNATIC』の吹越満。また前作でデビューした藤谷文子が同じ浅黄役で再び出演するほか、
 長谷川初範、螢雪次朗、渡辺裕之らが前作と同じ役どころで顔を見せている。

   〔あらすじ〕

  冬のある日、北海道・支笏湖近辺に巨大な隕石が落下した。すぐさま渡良瀬二佐(永島敏行)を中
 心とした自衛隊が現場に急行したが、巨大なクレーターが発見されたのみで、不思議なことに隕石自
 体は影も形も見つからなかった。隕石の落下を目撃した札幌青少年科学館の職員・穂波碧(水野美紀)
 とNTT職員の帯津(吹越満)は、それ以来、支笏湖周辺から札幌にかけて巨大なオーロラの発生や
 光ファイバー・ケーブルの消失といった謎の現象が起きていることに興味を持ち、調査を始めていた。
 そんなころ、札幌のビール工場ではガラス瓶の大量消失と怪獣らしき生物の目撃が確認され、偶然知
 り合った渡良瀬と穂波はお互いの情報を交換する。そして、隕石落下から5日目、ついに札幌の街に
 大きな異変が起きた。地下鉄構内に虫のように群れをなした異生物が出現し、地下鉄の乗客が襲われ、
 ビル街には巨大な植物体が現われたのだ。「草体」と思われるこの植物が種子を放出することによっ
 て札幌の街は潰滅してしまうのではないかと見られ、自衛隊もなす術がなかったが、すんでのところ
 で現れたガメラが草体を破壊し、異生物の群れと戦った。群れを引き連れて飛び立ったガメラを追っ
 て地下からは巨大化した異生物レギオンが現れ、空の彼方へと消えていく。それからしばらくして、
 今度は仙台に小レギオンの群れと草体が出現した。ガメラも仙台に現れ種子の放出を阻止しようとす
 るが、巨大レギオンに苦しめられて、わずかに及ばずに仙台の街は潰滅してしまった。レギオンとの
 戦いに力尽きたガメラは、死んだようにうずくまったまま動かなくなってしまう。穂波の調査が明ら
 かにした草体とレギオンの生態関係によれば、レギオンは確実に次の標的を東京に持ってくるだろう
 と思われた。自衛隊は利根川近辺でその進行をくいとめようとしたが、勢力を増大したレギオンには
 歯が立たなかった。そのころ、仙台ではガメラとの交信能力を持つ少女・草薙浅黄(藤谷文子)を中
 心とする、生き延びた子どもたちがガメラ復活を懸命に祈っていた。彼らの願いが届き、奇跡の復活
 を果たしたガメラは、レギオンを倒すべく利根川へと飛ぶ。帯津の活躍で渡良瀬たちは巨大レギオン
 と群体レギオンの電波によるコミュニケーションを妨害して群体を退治し、巨大レギオンと一騎打ち
 となったガメラは、ウルティメイト・プラズマを放ってレギオンをついに倒すのだった。こうして人
 類はガメラのおかげで再び平和を取り戻した。

 他に、螢雪次朗(大迫力=元刑事の警備員)、石橋保(花谷=自衛官)、沖田浩之(笹井=同)、川津祐
介(野尻=穂波の上司)、長谷川初範(佐竹=自衛隊幹部)、田口トモロヲ(地下鉄の運転手)、ベンガル
(穂波の父)、角替和枝(同じく母)、大河内浩(札幌・大通指揮所の連隊長)、渡辺裕之(戦闘指揮所の
第三隊長)、ラサール石井(NTT名崎送信所の職員)、梶原善(ビール工場の警備員)、小林昭二(武器
小隊の先任空曹)、辻萬長(戦闘指揮所の師団長)、梅垣義明(札幌・機動隊小隊長)、坂野友香(雪乃)、
田口浩正(銭湯の学生)、舟田走(戦闘指揮所の第二隊長)、笹入舟作(防衛庁の幕僚)、信実一徳(仙台・
監視拠点の連隊長)、養老孟司(北大獣医学部の教授)、徳間康快(内閣官房長官)、福留功男(「ズーム
イン朝」のキャスター)、関谷亜矢子(臨時ニュースのキャスター)、藪本雅子(報道番組のキャスター)、
今中麻貴(札幌・現場リポーター)、水本豊(仙台・現場リポーター)、前田亜季(仙台の少女)、大橋明
(ガメラ)、吉田瑞穂/田村浩一/佐々木俊宜(巨大レギオン)、秋山智彦/渡部佳幸/小林勇治/中田晶
宏(群体レギオン)などが出演している。
 「タヒチの植物の六割は、鳥が他の場所から運んできた種である」、「酸素は実はかなりの毒物」、「レ
ギオンという名前は、<マルコによる福音書第五章>から採られている」、「レギオンは電磁波でコミュニケ
ーションを取っている」、「レギオンの身体は半導体に似ており、シリコンを餌にしている」、「自衛隊は、
兵力の被害のことを<損耗>と呼んでいる」など、本当かどうかは分からないが、それなりのリアリティをも
たらせている。ただし、穂波は、「シミュレーション」と発音すべきところを「シュミレーション」と発音
していた。日本語字幕も間違っていたので、スタッフの不注意だと思われる。

                                                  
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